デコ・唇・色・態度まで……全てが特徴的なコブダイ(カンダイ)
コブダイ(カンダイ)とは
鯛(たい)とは名ばかりで、実はベラの仲間であるコブダイは、全長最大1.2m体重15kgにまで成長する大型の魚です。
20年近く生きる長寿な魚のため、このような超大型個体は年々減少傾向にあるとも言われますが、おでこが大きくなった60~80cmのコブダイは今でも珍しくなく、気軽に楽しめる大魚です。
石物釣り師の間で「カンダイのひとのし」とも呼ばれる強烈な引きは、一度経験すると忘れられません! そんな大物が意外と堤防でも狙えます。
コブダイの特徴とカンダイの由来は?
瘤鯛(こぶだい)の由来は、この特徴的な魚体から察していただくとしまして、コブダイには「カンダイ」という別名があります。
カンダイとは漢字で寒鯛と書き、真冬に獲れるものが食用に向くことからそう呼ばれるようになりました。
ブダイをはじめ、ベラの仲間は夏場に磯臭くなりがちで、コブダイも例外ではありません。一方で真冬は、クセが無くほどよく脂が乗って美味しいとされています。
ダイバーのアイドルとしても活躍中
もともとコブダイは、新潟県佐渡島などではダイビングの対象種として有名な存在でしたが、近年関西・中国地方では釣りのターゲットとしても人気が出てきています。
僕もコブダイが大好きで、佐渡でコブダイと泳いだことがあります。水中で出会うコブダイは本当に人懐っこく、めちゃくちゃ可愛いんです!
普段はとても温厚な性格ですが、他のオスが自分の率いる群れに接近すると激しい争いが始まります。
変わったコブダイの生態やスカスカの牙で食べる餌について
コブダイはメスからオスに性転換します
コブダイはベラの仲間ということで、集団の中で最も大きくて力がある個体がメスからオスに性転換します。
このような生態を雌性先熟と呼び、オス化する目安は50cm前後と言われています。
また、ベラの仲間ということで、コブダイも夜間は完全に活動を止めて休息します。そのためコブダイ釣りをする場合は日中になります。
牙魚とは呼べない、スカスカな歯並び
コブダイには太い歯が生えていますが、先が鋭くなかったり欠けてたり、歯の数が少なかったりと……サメやウツボと比べると正直言ってダサい(笑)
でも、コブダイの歯がダサいことには理由があるんです。コブダイは貝類や甲殻類を主食とする肉食魚です。
サザエやウニが大好物
コブダイの歯は、カキやサザエなどの硬い殻を砕くためにこのような形状になっているんですね。
コブダイの大好物は、サザエやウニ! 「えッ…」って思うくらいいとも簡単にボリボリと砕いて食べてしまいます。
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コブダイが釣りの対象魚として確立されつつある
コブダイの生息地について
コブダイの生息域は広く、北海道から九州にかけて分布しています。
コブダイが好む環境は潮通しの良い岩礁帯で、磯釣りや堤防釣りで狙うことができます。
コブダイが良く釣れるのは瀬戸内
近年、大阪湾や瀬戸内でコブダイ釣りが流行っています。イシダイやイシガキダイよりも手軽かつ高確率で釣れるのが人気の理由でしょう。
実際にコブダイの生息密度も瀬戸内や日本海側の方が、太平洋側よりも高いと思います(山根私心)。
関東・東海地方のコブダイについては、伊豆半島や房総半島でもダイビングで観察できるくらい生息しているのですが、瀬戸内のように堤防で高確率で釣るというのは難しいです。
コブダイの釣れる場所の選び方
はじめてコブダイを狙う場合に、もっとも重要になるのはポイント選びです。
ジッと構えて待つ釣りになるので、コブダイが生息している堤防や磯を見つけてから釣りを始めることをオススメします。
大阪湾や瀬戸内の堤防をまわり、コブダイを見たり掛けたりしたことがないか地元の釣り人に尋ねてみましょう。
波風が無く、穏やかな日は堤防の際を泳ぐコブダイの姿を見ることも珍しくありません。
コブダイ釣りの仕掛けは強靭でシンプルなものが良い
コブダイは垂らし釣りやブッコミ釣りで手軽に狙えます
足元を狙える仕掛けであれば、オモリを使った仕掛けでも、ウキ釣りや針だけのフカセ釣りでもコブダイは釣ることができます。
今回は手軽で簡単なオモリを使った仕掛けをご紹介します。
中通しオモリを使ってシンプルな仕掛けを組みましょう
用意する釣り具は以下の通りです。オモリの重さは仕掛けが流されないように潮の速さに合わせましょう。
鋭利な牙ではありませんが、根ズレなどのリスクがあるのでハリスはフロロを選択すると良いでしょう。
また、ハリスが太くて結びにくいので針は管付きタイプがオススメです。
■コブダイ釣りの仕掛け
- ●竿:石鯛竿、ショアジギングロッド、タコ竿、怪魚ロッドなど
- ●リール:石鯛用両軸リールや中型スピニングリール(竿に合わせて)
- ●道糸:PE4-6号もしくはナイロン22-30号
- ●中通しオモリ:10-30号
- ●スイベル
- ●ハリス:フロロ16-20号(約60-80lb)30-60cm
- ●針:管付き真鯛針 13-15号など
強烈な引きに余裕で耐えるタックルを用意すべし
使用する竿は、穂先がしなやかで大物の引きもしっかり受け止められる石鯛竿が最適です。
ですが、石鯛竿となると竿受けなども専用のものが必要となってくるので、手軽に始めたい方は、お手元のショアジギングタックルやタコロッドでも大丈夫です。
コブダイの引きを例えるなら短距離選手です。最初のツッコミこそ強烈ですが、それを耐えられれば大丈夫。青物のように走り回ることもありません。
僕は、この手の魚は全部怪魚ロッドでやってしまいます。汎用性の高いパックロッドを一本持っていると重宝しますよ!
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コブダイの餌や撒き餌の必要性について
カキやエビのむき身がオススメ!
コブダイは本当に色んな餌を食べる魚ですので、とりわけ餌にこだわる必要はありませんが、1つ注意点があります。
それは、餌取りの存在です。餌取りが多い場合は殻付きのバナメイエビなどが良く、極寒期にはカキを使うと食い込みが良かったりします。
アサリやオキアミも大好物!アオイソメの房掛けが特攻餌になることも
コブダイにとっては小さな餌ですが、アサリやオキアミも効果的です。真冬のコブダイ釣りではアオイソメの房掛けが良い餌になることもあります。
僕が釣った大きなコブダイも極太アオイソメの房掛けでした。釣具屋に極太のアオイソメが売られていたら、ぜひ試してみて下さい。
撒き餌の必要性について
結論からいうと、撒き餌はなくてもコブダイは釣れます。とはいえ、待っている時間が長いので精神的に撒き餌をしたくなるのも事実です。
名目としては、回遊するコブダイを自分の足元に留めたい場合や餌取りが多い場合などに、撒き餌することがあります。
アサリやカキなどを単体で撒くのも効果的ですが、財政的に厳しいので僕は使い慣れたV9にオキアミと砕いた殻付きのアサリなどを混ぜてかさ増ししています。
ちなみに僕は必ず撒き餌をします(笑)それもたっぷりめに。
コブダイの釣り方・撒き餌の必要性やポイントの選び方
コブダイは防波堤の基礎を回遊します
堤防に居ついているコブダイは、テトラ帯をねぐらにしていることが多いように感じます。
ただし、休むのは障害物のまわりですが、餌を取ったり、縄張りを主張する場所はもっと見晴らしの良い場所になります。
つまり釣り座を選ぶ場合は、テトラが近くにある堤防の先端や港内の小堤防の先端などが一級場所となりやすいですよ。
仕掛けを安定させて置き竿でジッと待つ
基本的な釣り方は堤防際を狙うため、仕掛けは真下に落とし込むだけで大丈夫です。
しっかり底を取り、道糸の弛みを取って待ちましょう。
この時、竿を飛ばされないようにドラグを緩めるか尻手ロープを付けるなど対策を取りましょう。
アタリがあれば高確率で食い込みます
コブダイの本アタリは大きく、穂先が力強く舞い込みます。ドラグを緩めている場合はしっかりラインが走ります。
送り込む必要はなく、すぐに力強くアワセを行いその勢いで一気にポンピングで魚の頭を下に向けないように引き上げましょう。無論ドラグは締めこんでおきましょう。
掛かったコブダイが大きい場合、アワセの直後に強烈に突っ込みます。少し怖いかもしれませんがここが最大の醍醐味です。竿をバットから曲げて力勝負で対抗しましょう。
コブダイは大阪湾や瀬戸内において皆さんの想像以上に身近な魚です。シーズンも通年狙うことができますので、ぜひこの機会に豪快なタックルで挑戦してみてはいかがでしょうか?
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017