【ミズウオ】誰でも手ぶらで怪魚ハンティング!三保の松原に打ちあがる深海魚を拾いに行く

2020/05/15 更新

最大2.5mにまで成長する深海魚“ミズウオ”。大きな口と牙、バショウカジキのような背ビレはまさに怪魚感満載の魚です。今回はそんなミズウオの生態や、食味についてお届けします!意外と身近で「拾う」こともできちゃうんですよ!


大きな歯とヨットの帆のような背ビレが代名詞“ミズウオ”

怪魚感たっぷりの深海魚“ミズウオ (Alepisaurus ferox)”

ミズウオ 捕獲ミズウオAlepisaurus ferox)は、ヒメ目ミズウオ科ミズウオ属に分類され、最大2.5mにまで成長する深海魚です。

まるでバショウカジキを連想させる大きく発達した背ビレが目を引き、大きな口と発達した牙はメラメラと怪魚感を漂わせてくれます。

個人的にはカッコイイ系の魚だと思っておりますがいかがでしょうか。

▼意外と手軽に挑戦できるバショウカジキの記事はコチラ


ミズウオは世界中に生息しています

三保の松原 ミズウオ
ミズウオの生息域は非常に広く太平洋、インド洋、地中海、大西洋ということで、両極地を除く主要な海域に及びます。

ミズウオは、水深数百mから1500mにかけての深海に生息し、普通なら我々人間の生活環境には姿を現さない魚ですが、生息域が広いため世界での捕獲例は予想以上に多く、主にはえ縄などで混獲されています。

また、日本においては静岡県の有名な観光地“三保の松原”の浜辺でミズウオを見つけることができます。

今回の記事では、ミズウオの特徴や探せる場所に加えて、誰でもミズウオを見つけられる方法をご紹介します。

ミズウオの特徴|身体は全身水分でできている

ミズウオって実はヒョロヒョロな魚なんです……

打ち上げられた ミズウオ 盛りに盛ってカッコ良く撮影した写真を見ると迫力満点な魚体ですが、実物を触ってみると魚体の厚さは大変薄っぺらく、どこか頼りない印象を受けます。

そして何より、触って感じる最大の特徴からミズウオと呼ばれる所以を感じます。

ウロコの無いミズウオの体表は、プルプルとしたまるでゼリーのような触り心地

ミズウオ 体表
魚の体は主に骨格と筋肉からなっていますが、これらは水よりも重たいため、放っておくとどんどん沈んでしまいます。

通常、魚類は泳ぐことで飛行機のように揚力を獲得したり、鰾(うきぶくろ)を吸気することで膨らませて浮力を得ています。

しかし、これらの行動にはエネルギーが必要になります。ミズウオが生息するる深海では、餌と遭遇する機会が極端に乏しいため、極力エネルギー消費を抑える必要があります。

ミズウオは、体の殆どの成分を水分に置き換える進化を遂げたことで、浮きも沈みもしない中性浮力を獲得したのです。

全身脂身の深海魚も存在する

バラムツ
近年、遊漁で人気が出ているバラムツやアブラソコムツはミズウオとは逆に、水よりも軽い脂を全身に纏うことで中性浮力を獲得しています。

このように、身体の成分を極端に水や脂へ変化させて浮力を獲得しようとする進化は、深海魚の中でも中層に生息する魚に多く見られる特徴です。


ミズウオの死因と驚きの生態

ミズウオの死因は誤飲?!

ミズウオ 死因 プラスチック
ミズウオは大変な大食漢であり、目の前に存在する物体であれば選別することなく、なにもかも食べると言われています。

打ち上げられたミズウオの死体から、空き缶やゴミ袋といった海ゴミが発見されメディアなどで時々話題になったりしますね。

また、ミズウオヒレギレイカのように、ミズウオの胃の中からしか発見されていない極めて珍しい深海生物もいたりします。

ミズウオの胃内容物調査を行うことで、ある程度のその環境の生物層や海ゴミの量を把握できるとも言われています。

猛毒のフグでもお構いなしですか……

ミズウオ 毒魚 捕食
とにかく何でも食べるという生態は、餌との遭遇機会の低い深海で何とか繁栄するためにミズウオが進化の過程でとった手段と考えられます。

たとえ、目の前に現れた物体がプラスチックや猛毒のフグであってもです。

獲物が極端に少ない深海では、その物体がエサかどうか確認している間に逃げられてしまうリスクよりも、片っ端から食べてしまう利益の方が大きいのでしょう。

そもそも、人間が捨てなければ海ゴミなんて無い訳ですからね。

ミズウオの胃の中からゴミが発見される確率が、近年上昇傾向にあるという研究結果も出ています。

ミズウオは精巣と卵巣、両方をもつ雌雄同体魚

捕獲した ミズウオ
一般的な魚はオスかメスのどちらかに分かれます。

しかし、真っ暗な深海では、餌を探すことも大変ですがパートナーと出会うのもひと苦労なんですね。

運よく出会えた時、都合よく繁殖するために成熟したミズウオは精巣と卵巣双方を持つことが知られています。

いつでもどちらの雌雄にもなれるということです。凄い生態ですよね。

ミズウオの特徴|大きな歯や青い目の役割とは

立派な歯ですが意外と殺傷能力は低そうです

ミズウオ 歯
一番に目を引くミズウオの“歯”。恐らくならんかの形で狩りに使っていることは間違いないでしょう。

ただ、実際にミズウオの歯に触れてみた感想としては、太刀魚のような凶器的な鋭さは感じられませんでした。

また歯も軽量化されているようで、中空になっているんじゃないかな? と思わせるほど頼りないものです。

どちらかというと、切り裂いたり身を削いだりするのではなく、咥えた獲物が口から逃げないようにするための役割を持っているのではないでしょうか。

とはいえ、先端はそれなりに尖っていますので、触ったりしないでくださいね! 当たりどころが悪ければ切れるはずです。

ミズウオの瞳がめっちゃ綺麗な件について

ミズウオ 特徴 目
深海魚の目はキンメダイのように、やけに大きいものが多いですよね。

光の届かない深海では、多くの生き物が目を大きく発達させ、餌となる生き物が発する少ない光を捉えようとしています。

ミズウオも大きく青い目をもっています。

目が光って見えるのは光を増幅させるための輝板(きばん)という、言わばレフ版のようなものに光が反射しているためです。

ミズウオは海釣りの大外道“エソ”に近い種類の生き物

ちなみにエソはこんな魚です

海釣り 外道 エソ
ミズウオは、身近な魚で例えるなら同じくヒメ目に分類されるエソに近い魚と言えます。

眼球の位置や口の開き方、大きさこそ差はありますが多数の歯を見ると、言われてみれば近い……かな。と思えますよね。

でも、決定的にミズウオがヒメ目に分類されるという特徴があるんです。

ミズウオにもヒメ目の特徴である脂ビレがある

ミズウオ 脂ビレ
サケやマスにも見られる脂ビレですが、エソを始めとするヒメ目に分類される多くの種類に脂ビレが備わっています。

また、鰾(うきぶくろ)を持たないことも、ヒメ目に分類される魚の特徴です。

ミズウオも水分で中性浮力を獲得しているので、鰾を持っていません。


ミズウオが打ち上げられる静岡県三保半島

ミズウオは誰でも手軽に探すことができる生き物です

三保の松原「三保の松原」で有名な静岡県三保半島の砂浜に、冬から春にかけてミズウオが打ちあがります。

「ホンマかいな!」と僕も初めて聞いたときは突っ込みました(笑)

でも、本当に打ちあがります。それも多い年には、百個体以上も打ちあがるとも言われています。

強い西風が吹き荒れることで深海の水が沸き上がってきます

三保海岸は岸と深海がとても近い珍しい海岸なんです。

冬になると表層水温が水深300m付近まで14℃前後に一定となり、高水温が苦手なミズウオが沖合から岸近くの水深300m付近までやってこれるようになります。

猛烈な西風が吹くことで海面の水が沖合に流され、かわりに深い所にあった水が沸き上がるようにして、海底から浜に向かって上方向にゆっくりと流れ始めます。

ミズウオはゆっくりとした流れに乗ってしまい、知らず知らずのうちに表層まで上がってしまうというメカニズムです。

餌を食べすぎちゃったり、変な物を食べて上手に泳げなくなったりして弱った個体が浜に打ち上げられてしまいます。

ミズウオ探しは夜がオススメです

ミズウオ拾い 砂浜
気象条件と海況が合致すれば昼夜問わず打ちあがるミズウオですが、昼間は海鳥に先に見つけられてしまったり、天気が良い日だとあっという間に蒸発して干からびてしまします。

ですので、ミズウオ探しは夜間がオススメですよ! 最初はちょっと寒いですが、歩いていればすぐ暖かくなります。

定点で打ちあがるのを待つのではなく、三保半島をヘッドライトを持って歩き回って探す方が効率が良いですよ。

ITEM
ジェントス HW-V433D LEDヘッドライト
光源:高輝度チップタイプ白色LED×1個
明るさ:約350ルーメン(Highモード時)
電池:単3形アルカリ電池×3本
点灯時間:8時間(Highモード)/ 17時間(Midモード)/55時間(Ecoモード)
エネループ使用可能

本当にミズウオが拾えるんです!

ミズウオ 拾い
にわかに信じがたいと思いますが、本当にこんな大物が砂浜に落ちてるんですね。

運が良いとまだ生きてることもありますよ!

冬に静岡県を訪れる機会があれば、三保の松原の前の砂浜を散歩してみてはいかがでしょうか。

ミズウオの食味|非常に悪いのでオススメしません

ミズウオ 食べる
もちろん、食べてみたことはありますが、ミズウオはお世辞にも美味しいとは言えません

ミズウオの食感は、出来損ないのこんにゃくのような、にゅるっとした卵のからざのような……小骨の多さも相まってとても食材とは言えません。

生で食べると殆ど味はしませんが、加熱すればするほど身から水分だけが抜けていき生臭さだけが残ります。

ちなみに焼いても、小さくなる一方で一向に焦げません(笑)

唯一食べれるなと思ったのは煮つけくらいでしょうか。生姜・酒・みりん・醤油。最強です。

ミズウオの頭骨標本はめちゃくちゃカッコイイですよ

ミズウオ 頭骨標本
拾ったミズウオで作った頭骨標本です。

作る前からカッコ良くなるのは分かっていましたが、我ながら上出来です。

脂が極端に少ないため出来上がりが真っ白ですね。脂が多い魚はどうしても黄色くなっちゃうんです。

骨がスカスカなのもこうして標本を作ることで実感できました。

最後に……原因は分かりませんが、三保海岸に打ち上げられるミズウオは130cm前後までの未成熟個体に限ることが明らかとなっています。

いつか2mを超える成熟したミズウオを捕まえて、生殖腺をこの目で確認することが沢山ある僕の夢の1つです。

筆者紹介

ミズウオ 捕獲山根 kimi ヒロユキ

初めての1匹を求めて世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズ(兄)。

餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。

ミズウオを拾いたいがために、静岡県の砂浜を一晩で30kmも歩いた経験を持つ。

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山根央之

初めての一匹に最も価値を置くプロアングラー。 20ケ国以上を渡航し釣獲した魚は数百種にのぼる。

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