イトウ

イトウはなぜ幻の魚?絶滅が危惧される日本の三大怪魚の生息域や釣り方

日本三大怪魚のひとつに数えられられる『イトウ』

絶滅危惧種のため“幻の魚”と称され、釣り人が一生に一度で良いから出会いたいと夢焦がれる魚としても知られていますね。

今回はそんなイトウの生息域や生態、どうやったら釣れるのかについて怪魚ハンター山根(兄)がお届けします!

目次

イトウの生態や生息域について

イトウはサケやマスの仲間

釣ったイトウ

低い体高と細長い円錐形の魚体が特徴的な『イトウ』は、サケやマスの仲間です。

口に入る生き物なら何でも襲い掛かる獰猛な性格と、真っ赤に染まる婚姻色から魚に鬼と書いてイトウと読む場合もある一方。

糸のように細いサケやマスの仲間という意味で「糸魚(イトウ)」と呼ばれるようになったという説もあります。

イトウの仲間は世界に5種類

世界のイトウ

英語でイトウのことを「サハリンタイメン」と呼び、世界にはタイメンの仲間が5種類知られています。

この写真のイトウは、シベリアやモンゴルに生息するアムールタイメンです。

イトウの生息域

イトウの生息地

現在のイトウの生息域は、北海道からロシアのサハリン州にかけてとされています。

基本的には河川に生息するイトウですが、海まで降り沿岸域を回遊するものも一定数存在します。

イトウの大きさと記録。語り継がれる伝説について

イトウイトウの最大記録といえば、1937年に北海道十勝川で捕獲されたという“215cm、26kg”という話が有名ですね。

あくまでも僕の私心という前置きの上で、写真も魚拓も剥製も残されておらず、215cmに対して26kgとは長さに対して体重があまりにも軽く、長さか体重のどちらか……または双方に間違いがあると感じます。

夢や希望はさておいて、一般的なイトウの大きさとしては全長100~130cm、体重10~20kg前後まで成長すると考えられています。

▼ アイヌ民族が語り継ぐイトウ伝説

北海道の先住民族アイヌが語り継ぐ伝承のひとつに、イトウに関するものがあります。熊が然別(しかりべつ)湖に飛び込んで泳いでいたところ、急にぶくぶくと沈んで見えなくなってしまいました。熊を追っていた狩人は、船を漕ぎ出して確認へ向かいます。すると、四、五十メートルもあろうかというイトウの主が、飲み込んだ熊を喉に詰まらせていたというのです。

イトウの生活史と寿命

イトウ

日本に生息するサケ・マス類は秋に産卵しますが、イトウは春に川を遡上し産卵します。

シロザケやカラフトマスといった、日本に生息する多くのサケマス類の寿命が4年前後である一方で、イトウは20年以上生きる個体が確認されています。

また、初めて繁殖活動に参加するまでに4~8年程度かかるとされており、一般的な魚類よりも性成熟するのが遅いことが伺えます。

▼身近な魚の寿命と成熟年齢についてはコチラの記事でご紹介

イトウが“幻の魚”と呼ばれるワケ

生態系の頂点に君臨する大魚『イトウ』

イトウの口アップ

現在、北海道に生息する川魚として最大種であるイトウは、まさに生態系の頂点に立つトッププレデターです。

自然の摂理とは、“食われる者”よりも“食う者”が少なく存在するもので、イトウも例外ではありません。

生息数が少なくなかなか釣れない魚だからこそ、「憧れの魚」と釣り人に称されます。

※環境省が発行するレッドリストでは、20年まやは5世代以内に20%の確率で絶滅する可能性のある種。絶滅危機に直面している種とされる絶滅危惧種に登録されています。

長寿で晩熟な川魚は世界中で減少している

長寿で晩熟な川魚チョウザメ

海と違い川という環境は人との距離が近く、人間活動による環境変化が起こりやすいものです。

人が起こす急激な環境変化に適応できずに、イトウに限らずメコンオオナマズやシロチョウザメ、オーストラリアハイギョなど、世界中の川で大魚たちが数を減らしました。

かつては、北海道から東北地方にかけてトッププレデターとして繁栄していたイトウですが、幻になりつつある魚ということを意識しながら接していくべきでしょう。

怪魚ハンター山根
絶滅寸前まで減ってしまっても、人の手によって蘇りつつある魚達もいます。イトウもそんな魚になれると良いですね。

▼釣り人が資源管理に参加するシロチョウザメについてはコチラの記事

イトウの釣れる場所と時期について

イトウ釣りのメッカと呼ばれる場所

イトウ釣りのメッカ猿払川

さて、そんな幻になりつつあるイトウですが……環境が残されている場所や人が環境を整えている釣り場では決して珍しい魚ではありません。

今でもネイティブのイトウが残る貴重な自然河川として、宗谷地方を流れる猿払川がイトウ釣りのメッカと言えるでしょう。

また、幌加内町(ほろかないちょう)に位置する朱鞠内湖(しゅまりないこ)は、発電目的で作られた人造湖でありながらも人々がイトウの増殖事業や漁場管理を的確に行っているためイトウを狙った釣りが楽しめます。

イトウは通年釣れる魚だが……

イトウ釣り

例えば、朱鞠内湖では結氷した氷の上からでもイトウを狙えるくらい、オールシーズン釣ることのできる魚と言われています。

しかしながら、春に河川へ繁殖のために遡上するイトウを狙った釣りは自粛しましょう。というのが昨今のイトウ釣りの考え方です。

怪魚ハンター山根
行政や組合が作った明確なルールが無い河川が多い中で、釣り人らしい自主的なルールを尊重した上でイトウ釣りを楽しみたいものですね。

ベストシーズンは初夏と秋

イトウ釣り猿払川

通年釣ることのできるイトウですが、ベストシーズンは産卵後の5月中旬から6月と冬に向けて荒食いをする10月から11月というのが一般的です。

イトウ釣りは多彩な釣り方があるぞ

シーバスフィッシングのようなイトウ釣り

イトウ釣り北海道

イトウは緩やかに流れる勾配の少ない湿原の河川から、干満差のある河口域、時にはサーフでも釣ることのできる魚です。

河口域やサーフでは、潮汐やベイト、イトウの回遊を意識したまるでシーバスフィッシングのような釣り方が展開されます。

怪魚ハンター山根
タックルは、9~10ft台のシーバスロッドやサーモンロッド、海アメや海サクラマスロッドの流用が一般的ですよ。

シマノ ディアルーナ S106M

シマノのシーバスロッドとして有名なディアルーナシリーズですが、北海道ではサーフでのサクラマスやアメマス狙いのアングラーに支持されています。


サーフや河口域でのイトウ狙いとなると、S106MやS106MHがオススメです!


ミノーを快適に使っていく場合はM、120cm越えのメモリアルフィッシュを狙っていく場合はMHを選んでみてはいかがでしょうか。

全長10ft6in(3.2m)
継数2本
ルアーウェイト8-45g
適合ラインPE0.8-2号

ジャクソン アスリート 12ss

サーフでイトウを狙う場合は12~15cm前後のミノーがよく使用されます。ジャクソンのアスリートシリーズは北海道のサーフでトラウト相手に実績と人気を両方を兼ね揃えたルアー。


海イトウにチャレンジする場合は、お守りと思って持っておくと良いですよ。

全長122mm
自重21g
タイプシンキング

渓流釣りのようなバス釣りのようなイトウ釣り

渓流域でのイトウ釣り

湿原や中上流域では、ゆったりとした流れの中に潜むイトウを狙った釣りになります。

周囲より少し深くなった淵の倒木の下に潜んでいることが多く、ストラクチャー周りを釣ることがあります。

怪魚ハンター山根
渓流釣りのようなイメージの中に、どことなくバス釣りのカバーゲームらしい要素が含まれていますよ。

トランスセンデンス レイトブルーミングス510+

バラマンディやタイメン、ピーコックバスやトーマンなどを対象とした、5ft10inから7ft7inの間で4パターンの長さに可変できるマルチピースロッド。


7ft後半が扱いやすい川幅の広い河口から中流域、6ft前後の短い竿が必要となる上流域を1本のロッドで対応することができますよ。

全長5ft10in-7ft7in(変則4−5ピース:4パターン)
仕舞寸法50cm

ティムコ ライトニングウォブラー

倒木などのストラクチャーの周りをリフト&フォールで使用するのが効果的!


スプーンの他にも、ミノーやソフトベイトでもイトウを釣ることができますよ。

全長14g
自重63mm

管理釣り場のイトウについて

北海道に行かずともイトウに出会える

イトウ釣り管理釣り場

「北海道になんてわざわざ釣りに行けません!」そんな方でも、管理釣り場でイトウ釣りにチャレンジすることができますよ!

全ての管理釣り場でイトウが放流されている訳ではありませんので、まずはイトウを放流している管理釣り場を探してみましょう。

釣り堀と言えども、イトウを釣るのは難しい

管理釣り場のイトウ

釣り堀のイトウなら簡単に釣れるだろう……と思いきや、ハッキリいって野生のイトウよりも口を使わせるのに苦戦します。

何度も釣り上げられたイトウはとても賢いので、簡単には釣れないんですね。

だからこそ、管理釣り場のイトウであっても価値があるんじゃないかなと感じます。

怪魚ハンター山根
他人の評価よりも、自分が釣ってみたいって思う感情を大事にして欲しいです!

イトウの放流量が多い管理釣り場は東山湖

イトウの放流量が多い東山湖

管理釣り場も大好きな僕は、たまにイトウを狙って静岡県の「東山湖」という釣り堀を訪ねています。

イトウの放流量が多く、放流直後に釣行できると大きなミノーに“ガツンッ!”とイトウが食いついてきてくれますよ。

▼東山湖についてはコチラの記事でご紹介!

養殖のイトウの味や食べ方について

気になるイトウのお味は……

イトウを食べてみた

イトウという魚に興味がある方は、イトウの食味も気になるところだと思います。

ここまで書いてきた通り、今は北海道に棲むイトウを釣って食べるのは良しとされない時代です。

イトウはサーモンのような赤身が美しい

イトウの三枚おろし

僕は一度だけ、イトウを持ち帰ることのできる管理釣り場で釣り上げたものを食べてみたことがあるんです。

身の色こそ綺麗で、捌いている時はテンションが上がりましたが……。

皮にやや臭みがあるものの身はまずまず

イトウ料理

塩焼きで、皮の部分に淡水魚特有の嫌なニオイを感じました。

身自体にニオイは無く、刺身でも美味しく食べられましたが、信州サーモンやトラウトサーモンと比べると甘みや食感で劣っていました。

僕が食べたのは、恐らく食用というより釣り堀用に養殖されたイトウだったと思っています。

最近では、食用に養殖されたイトウを通販で購入することができるようですので、気になる方は購入してみてはいかがでしょうか。

SKフロンティア 養殖イトウ切り身(生食用)

幻の食材とも言える生食用のイトウの切り身。


コリコリとした食感と上質な脂がトロリと溶ける舌ざわりが特徴ですよ。

目標や夢を持つことで『人生』は豊かになる

イトウという魚は、北海道でも、管理釣り場でも、海外であっても……決して簡単に釣れる魚ではありません。

それでも、『イトウを釣ってみたい』という強い意思を持って、イトウのことを調べたり、釣り具を揃えたりすれば、誰でも挑戦できる魚です。

夢に見た魚を手にした瞬間の感動は、準備や挑戦の時間が長ければ長い程大きくなり、そんな感動を味わえる人生って本当に幸せなものですよ。

撮影・文:山根 央之

ライタープロフィール

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