「カジカ」と命名された生き物が多い件について
カジカと聞いてどんな生き物を想像しますか?

今回のお話の主人公である“カジカ”を思い浮かべてみましょう。
北海道や東北地方の方は「ギスカジカ」や「シモフリカジカ」を想像するのではないでしょうか?
沢登りがお好きな方は、フィ♪フィ♪といった「カジカガエル」の涼しげな鳴き声を思い起こすかもしれません。
このように、カジカと名のつく生き物は沢山いるため、時々混同されてしまうんですね。
海に生息するカジカの仲間

スズキ目カジカ科ギスカジカ属に分類されるギスカジカやシモフリカジカは、川に遡上する事の無い海産魚です。
海産のカジカは他にも、ケムシカジカやトゲカジカなど多くの種類が存在し、全てひっくるめてカジカと呼ばれています。
多くの種類で全長40cm前後まで成長し、お鍋の具材として、とても美味しい魚です。
生息数も多く、狙って釣れる魚でもあることから東北・北海道では庶民的な魚として人気があります。
※分類学上、カサゴ目とする見解もあるようです。今後、精査されることを待ちましょう。
山に生息するカジカガエル

カジカガエルは、山間部の渓流や湖に生息するアオガエルの仲間です。
モリアオガエルやシュレーゲルアオガエルのように大きな吸盤が指の先にあるのが特徴で、この吸盤を使って岩を器用に登ります。
鹿のように鳴くことから、河鹿蛙(かじかがえる)と呼ばれるようになったとか。
春から夏にかけて、渓流釣りや沢登りを楽しんでいると良く聞く鳴き声ですね。
川に生息するカジカの仲間

スズキ目カジカ科カジカ属に分類されるカジカは、形こそ似ていますが実はハゼとは遠縁な魚です。
カジカの仲間には、カンキョウカジカやハナカジカといった魚があげられます。
種類によっては、産卵の際に海や河口域を利用するものもいますが、カジカ類の主な生息地は河川や湖です。
ちなみに、正式な標準和名としての“カジカ”とは、川に住むカジカを指します。
※分類学上、カサゴ目とする見解もあるようです。今後、カジカの中でもさらに種が分けられる可能性があります。
カジカとハゼの違い

カジカの仲間とハゼの仲間を見分けるには一つ簡単な方法があります。
実はカジカの仲間には鱗がありません。これは、海産のカジカにも当てはまります。
鱗の有無って大きな違いですよね!
それでは、カジカについて知識が深まったところで、釣り方や捕り方、美味しい食べ方をご紹介いたします!
カジカの生息地や好シーズン、カジカ釣りの仕掛けや道具
カジカの生息地

カジカは、北海道南部から九州にかけて広く生息するとても身近な魚です。
河川整備が進み、都市部では姿を消しつつある魚ですが、多摩川上流域など、渓流魚やアユが釣れるような場所までドライブすれば、関東近郊でも充分カジカ釣りを楽しめます。
カジカ釣りの好シーズンは“夏”

春から秋にかけて活発に餌を食べるカジカですが、最も楽しく釣ることができるのはやっぱり夏でしょう!
ウェーダーを着用すれば濡れずにすみますし、夏なら海水パンツでも充分!
カジカは、河川敷でのバーベキューやキャンプの合間にちょうど良い遊び相手になってくれる存在ですよ。
カジカ釣り必要な道具“箱眼鏡(はこめがね)”

カジカ釣りは、箱眼鏡(水中メガネ)という道具を使って実際に水中を見ながら行います。
カジカが餌に食いつく瞬間が丸見えなので、子供たちも夢中になるはず!
シュノーケルでも代用できますが、箱眼鏡があれば上半身は水に濡れずにすみますよ!
リーフツアラー ワイドビュースコープ
カジカ釣りの仕掛けは超シンプル

まずは、1m前後の釣り竿になりそうなものを用意しましょう。
釣具屋さんで1,000円前後で売られている延べ竿の先端ピースが最適ですが、先の細い木の枝でも良いでしょう。
TOTO CLUB キッズ池川セット 120
仕掛けは、釣り針とオモリ(ガン玉B~3B)だけの非常にシンプルな物です。長さは15cmと短めにするのがコツです。
釣り針は市販されている糸付き袖針の3~5号、ハリス0.6~0.8号がオススメです。
オーナー 糸付 袖 針5号
デュエル ガン玉セット
カジカ釣りに使う餌について

カジカは食欲旺盛な魚ですので、動物性の物であれば比較的何でも食いついてくれます。
僕のオススメはミミズや川虫ですが、「ちょっと触れない……」という方は、釣り餌用に販売されているイクラが良いでしょう!
イクラは水に濡れてしまうとふやけて使い物にならなくなってしまうので、使う分だけ小出しにするようにしましょう。
さて、釣り針に一粒イクラを付けたら早速カジカを狙ってみましょう!
マルキュー 生イクラ
カジカの見つけ方や釣り方
まずはネット検索からはじめよう
カジカはいる場所といない場所がはっきりとした魚です。また、川によっては入漁券を購入する必要や禁漁期間が設定されている場合があります。
まずは釣行を計画している「川の名前」と「カジカ」というキーワードを使ってネット検索してみましょう。
カジカマンションを探してみよう

カジカは石と石の隙間に隠れて過ごしています。特に、大人が持ち上げられる程度の少し大きな石がオススメです。
川幅は狭すぎると流れが強く危険も伴いますし、泳ぎ続けることの苦手なカジカもあまり好みません。
ある程度ひらけた川で、勾配が急すぎない場所を探してみましょう。小学生が水遊びをできる程度の場所ですね!
水深は20cmもあれば充分です!
※浅い場所のすぐ近くに深みがある場合もあります。常にお子さんから目を離さないようにしましょう。
数打って当てにいくスタイルです

真夏の川ってなんでこんなに気持ち良いんでしょうね!
川に入ったら、見える石と石の隙間に竿先を突っ込んでみましょう。
カジカは餌を見つければすぐに食いついてくれますので、5秒くらい待っても反応が無ければ次々に穴を変えてみましょう。
この時、糸の短さの重要性に気が付くかと思います。
食いつくのが見えたら引き上げるだけ!

食いつく姿が見えているのですから、アワセのタイミングを説明するまでもありませんよね(笑)
カジカが食いつくのが見えたら素早く竿を引き上げてみましょう!
川の幸としてのカジカを味わおう
ジックリと炭火で焼き上げよう

カジカの一番の食べ方と言えば素焼きでしょう。
河原でバーベキューをやっている時でしたら、串に活きたカジカを2~3尾刺して遠火でじんわり焼きます。
焦げないように注意しながら時間をかけると、脂がまわりほんのり黄色くなってきます。
あとは、お好みで醤油や塩をかけてカジカ特有の風味を堪能しましょう。
自宅調理の場合は素揚げがオススメ

カジカは、ハゼのように素揚げにするのが最も手っ取り早いでしょう。
二度揚げすることで、頭も骨も丸ごといただけますよ!
自分たちで食べる分だけ持ち帰るようにしましょう

カジカは居れば簡単に釣れる魚ですので、案外釣りすぎてしまいがちです。
川魚は海の魚と違い、そもそも生息する数が多くありません。
例えルールがなくとも、不必要に沢山持ち帰らないように心がけましょう。
この先ずっと、カジカの魅力を味わっていきたいものです。
筆者紹介

山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017