サーフからのヒラメ釣りを始めよう!
ここ数年でとても人気が出ているサーフからのヒラメ釣り。
今回はヒラメ釣りを始めたい方に向けて、何を準備してどのように釣るのか、そして美味しく食べる方法までを、サーフフィッシングのプロとして活動している私、目黒毅久が解説します。
ぜひ本記事を参考にしてヒラメのルアー釣りを始めてみてくださいね!
動画での解説はこちら
ヒラメについて
ヒラメは日本全国に分布している魚です。平べったい扁平な体形と目が左側にあることが特徴。
水族館などでヒラメを見ると砂の中に潜んでいたり、たまにヒラヒラと泳ぐ程度だったりするので、「あまり活発に泳がないのでは?」と思われる方も多いかもしれません。
しかし、じつはイワシ等の小魚を追いかけ回して捕食する獰猛なフィッシュイーターなのです。それゆえにルアー釣りの格好のターゲットとなります。
また、高級魚として知られるヒラメはとても美味しい魚ですので釣った後にも楽しみが待っています。
ヒラメのシーズン
地域差はありますが、日本全国でみると1年中どこかで釣れている魚です。
一般的に、ヒラメの適水温は13~25℃くらいと言われており、その中でもベストなのは水温15~20℃くらい。
例を挙げると、宮城県の仙台周辺は4月〜12月、静岡県の遠州周辺は3月〜6月と9月〜12月あたりがヒラメのシーズンです。
水温が低過ぎても高過ぎても釣り辛くなるので、ご自身の釣行地域の水温と照らし合わせて釣行してみてください。
ヒラメ釣りのタックル
ヒラメを釣るためには、他のルアーフィッシングと同じくロッドとリール、ラインが必要です。
釣具店に行くとたくさんのアイテムが並んでいますが、具体的にどの様な物が良いのかを説明します。
ロッド
広大なサーフでルアーを投げてヒラメを釣るには、遠投性能が大切です。
長さは10ftくらいを基準に考えていただき、体力のある方はより長い物を、体力に自信のない方は少し短めの物を選ぶのがおすすめです。
また、サーフでは20〜40gくらいのルアーを使うことが多いので、その辺りのルアーを投げられる竿を選びましょう。
リール
リールはロッドの長さに合わせたサイズを選びますが、基準となるのはシマノの4000番・ダイワのLT4000番サイズです。短めのロッドなら3000番、長めのロッドなら5000番を使う方もいます。
多くのリールには糸の回収速度(巻き上げ長)の違うノーマルギア、ハイギア、エクストラハイギア等がラインナップされていますが、基本は糸の回収が早いハイギアかエクストラハイギアを選ぶと良いでしょう。
ダイワ カルディア LT4000-CXH
ギヤー比:6.2
巻取り長さ(cm/ハンドル1回転):99
最大ドラグ力(kg):12
PE(号-m):1.5-200
ベアリング(ボール/ローラー):6/1
ライン
メインラインは、飛距離と感度の面からPEラインの一択です。ナイロンラインやフロロカーボンラインを使うことはありません。
PEラインは細いわりに引っ張り強度が強い糸ですが、摩耗に弱いという弱点があります。
その弱点を補うため、PEラインの先端に摩耗に強いフロロカーボン製ショックリーダーを接続します。
それぞれの太さは、PEライン1号、ショックリーダー5号(20lb)を基準にしてみてください。
ラインの接続方法(ラインシステム)
PEラインとショックリーダーを結ぶ方法はたくさんあるのですが、私はFGノットという結び方を推奨しています。
慣れが必要な接続方法ですが、慣れてしまえば強度を出しやすくて接続部分もコンパクトに収まるので、しっかりと習得しておくのがおすすめです。
いきなり釣り場でするのは難しいので、下記リンク先の動画を参考にしながらご自宅で練習してみて下さい。
ヒラメ釣りに使用するルアー
サーフでヒラメを釣る際に適したルアーをご紹介します。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。
ジグヘッド+ワーム
「初めてヒラメを釣ってみたい!」という方にまずおすすめしたいのが、食わせの力が強いジグヘッド+ワームです。
このルアーは、オモリとフックを兼ねるジグヘッドと、ゴムのような素材でできたワームを組み合わせた物です。ジグヘッドのウエイトを調整することで、様々な状況に対応できるのも魅力の1つ。
一般的に、ジグヘッドは14〜28g、ワームは3〜5in程度の物がよく使われています。
メタルジグ
サーフのヒラメ用ルアーのなかで、もっとも飛距離の出るルアーがメタルジグです。重さは28〜42gほどの物がよく使われます。
メタルジグは金属の塊なので底を取るのが楽で、初心者の方でも何をしているかがわかりやすく、荒天時(強風・高波)にも強いルアーです。
近年はサーフのヒラメに特化したメタルジグも多数発売されており、他のルアーに比べて安価な物が多いのも魅力と言えます。
ミノー
「これぞルアー!」といった小魚を模した形状のミノー。
最近はワームやメタルジグ、シンキングペンシルに押され気味で、一昔前に比べて使う人が少なくなった感がありますが、使いこなせばとてつもない威力があるルアーです。
おもにフローティング(水に浮く)とシンキング(水に沈む)物があり、サーフのヒラメ釣りでは9〜14cmくらいまでの飛距離の出るミノーが人気です。
シンキングペンシル
近年、サーフのヒラメ釣りで人気が出てきたのがシンキングペンシルです。
メタルジグに近い飛距離を出せて、メタルジグより大きなアクションでヒラメにアピールできます。
しかし、引き抵抗が少ないので何をしているか理解するのが少し難しく、慣れが必要なルアーです。サーフでは9〜14cm、28〜40g程度の物が多く使われています。
サーフフィッシングに必要な装備
サーフのヒラメ釣りはロッドとリール、ルアーがあればできるかと言うと、そうではありません。
安全を期するために必要な装備、あると便利な物をご紹介します。
ライフジャケット(ゲームベスト)
サーフの釣りは基本的に、海中には立ち込まず、波打ち際で行います。
しかし、波打ち際にいても突然大きな波が来たり、ヒラメを釣り上げる際に少なからず水に入ることがあります。
そんな時に転倒して波に揉まれたら……。
釣りは遊びですが、時に危険なこともあるのでライフジャケットの着用を強く推奨いたします。
ウェーダー
先ほども述べましたが、サーフの釣りは基本的に海へは立ち込みません。
「じゃあ、ウェーダーは無くても良いのでは!?」と思うかもしれませんが、少なくとも波しぶきで濡れない、汚れないためにウェーダーは必要です。
注意点は、必ずライフジャケットと併用すること。
ウェーダーのみで水中で転倒すると、ウェーダー内の空気のせいで上手く立ち上がることができず、浅い場所でも溺れてしまいます。
帽子
キャップやハット等、帽子の着用は強く推奨します。
炎天下では熱中症の予防にもなりますし、万一ルアーが頭にぶつかったりしても衝撃を防いでくれます。
「ルアーが頭に当たることなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、帽子を着用せずに頭にフックが刺さった方を何度も見てきています。
レインジャケット
真夏は暑いので必要ありませんが、それ以外のシーズンは防寒・防風・防水・防汚・怪我防止のために、レインジャケットを羽織るのをおすすめします。
グローブ
グローブも怪我防止のために着用を推奨します。
フックが指に刺さるのを防いだり、釣った魚が暴れてヒレ等で怪我するのを防いだりしてくれます。
サングラス
サングラスは日差しや不意のアクシデントから目を守ってくれます。
通常のUVカットの物でも良いですが、偏光レンズだと光の反射、ギラつきを抑えてくれるのでより海の状況判断をしやすくなります。
プライヤー
ヒラメが釣れた時、ルアーを取り外すのに必要です。ヒラメは歯が鋭く、素手でルアーを外そうとすると簡単に手を切ってしまいます。
魚が暴れた時にルアーのフックが手に刺さらない様に、ある程度大きい物を選ぶと良いでしょう。
フィッシュグリップ
こちらもヒラメが釣れた時に必要な、魚を持つためのアイテムです。
前述の通りヒラメは歯が鋭く、素手で持つのはおすすめできません。(バス持ち厳禁!)
高価なものは必要ないので必ず用意しましょう。
ヒラメの6大ポイント
準備ができたら、さあ釣りへ!
となる訳ですが、いざ釣り場に出てみると広大なサーフのどこにヒラメがいるのか、中々わからないと思います。
片っ端から撃っていくのもアリですが、ヒラメに出会う確率が高いポイントをご紹介しましょう!
ブレイク(かけ上がり)
ブレイクとは海中の地形変化で、深い所から浅い所へ急斜面の様になっている場所です。
急な斜面になっているので波が立ちやすく、目視でもわかりやすいと思います。
水深の変化がある場所は水がよく動くのでプランクトンや小魚、甲殻類も溜まりやすく、それをエサとするヒラメも集まりやすいのです。
離岸流
読んで字の如く、岸から沖へ離れて行く流れ(潮流)を離岸流と言います。
最初の内はパっと見て見つけるのは中々難しく、経験も必要です。
やはり離岸流も水のよく動くところなのでエサとなる小魚が集まりやすく、ヒラメも溜まりやすくなっています。
沖の瀬周り(サンドバー)
瀬と言うのは、海中で砂が盛り上がって海底が隆起している(浅くなっている)場所を指します。
岸から沖を見ていると、定点で必ず波が立つ所があると思います。それが瀬です。
大きさは大小様々ですが、ブレイクと同じ様に周囲に水の動きができるのでエサが集まりやすく、ヒラメもそれを狙って集まります。
河口・流れ込み
川の水と海水が交じり合う汽水域は、プランクトンや小魚がよく集まるのでヒラメが寄りやすいポイントです。
ヒラメはある程度の塩分濃度がある場所を好みますが、塩水楔(海水が河川を遡上し、底付近に塩分濃度の高い層を作る現象)が起こっている場合は、河口から数kmも上流でヒラメが釣れることもあります。
根周り・テトラ際
テトラ周りや根周りは、甲殻類や小魚が身を隠すのに適しているのでヒラメも集まりやすい傾向にあります。
しかし、ルアーを引っかけてしまって回収できなくなることも多々あるので注意が必要です。
岬・ワンド
海岸に立って横方向に波打ち際を見てみると、決して一直線ではないと思います。
沖に向かって大きく突き出たところが岬、入り江状に凹んでいる場所がワンドです。
岬の中心は浅いので左右に水の流れができます。ワンドは両サイドの岬部分に流れが発生しやすく、中央が深くなっているケースが多いので小魚が溜まりやすくなっています。
ヒラメの釣り方(ルアーメソッド)
いざルアーを投げてみると、どの様に操作(アクション)するのか、最初は悩むと思います。
ルアーの動かし方に迷ったら、まずは基本の3つのメソッドを試してみて下さい。
ただ巻き
読んで字の如く、ただ巻くだけです。
ジグヘッドワームやメタルジグは、1度ボトムを取ってから底を擦らない程度に巻いてきます。水深によってロッドの角度を調整するのがポイントです。(浅いところはロッドを立て、深いところは寝かし気味に)
シンキングペンシルもボトムを取ってから巻きますが、ジグヘッドワームやメタルジグより浮き上がりやすいので、よりスローに巻くのがコツ。
ミノーに至っては、それぞれのルアーにあらかじめ潜行レンジが設定されているため、ただ巻くだけで一定のレンジをキープしながら泳いでくれます。
リフト&フォール
おもにジグヘッドワームとメタルジグで多用するメソッドです。ロッドをあおってルアーを持ち上げ、その後は落とすという釣り方。
コツは、ラインをきちんと張った状態からリフトすることです。
フォールは、ラインを張ったまま落とすテンションフォールと、糸を緩めて落とすフリーフォールの2種類がありますが、まずはテンションフォールから覚えると良いでしょう。
ヒラメは落ちて来るエサに反応が良いので、ただ巻きで釣れない時に試してみてください。
ストップ&ゴー
釣り始めの頃は、中々ルアーがどの様にどの位置を泳いでいるのか把握しづらいものです。そんな方にはストップ&ゴーをおすすめします。
ただ巻きと同じ様に巻きますが、数回転に1度巻くのを止めてボトムを取り直します。
巻く回数はお好みで良いと思いますが、まずは5回から7回ほどリールを巻いて止めるのを基準にすると良いでしょう。
ただ巻きと同じ様に、水深によってロッド角度の調整をして下さい。
釣ったヒラメを美味しく食べよう!
ヒラメ釣りは食べるのも楽しみの1つです。
釣ったヒラメをどう持ち帰るのか、どんな食べ方がおすすめかをご紹介します。
ヒラメのキープ方法
ヒラメが釣れたら、まずは血抜きをしましょう。
血抜きや締め方には色々な方法がありますが、もっとも簡単なのが、ハサミでエラを切って海水につけておく方法です。
エラを切ったヒラメを海水の入った丈夫なビニール袋に入れておき、しばらく経ったら水の中で魚を振って最後の血抜きをします。そして水を捨て、そのままビニール袋に入れて砂に埋めましょう。
やはり夏場はクーラーボックスが必要ですが、春先や秋冬はこの方法が1番お手軽だと思います。
おすすめのヒラメ料理
私がおすすめする簡単で美味しいヒラメの食べ方をご紹介します!
▼ お刺身
やっぱりお刺身は欠かせませんね!
ヒラメを捌くときは5枚おろしが基本となりますが、慣れてしまえば難しいことはありません。大きいヒラメだと縁側もたくさん取れます。
しょうゆやポン酢、色々な薬味で食べ比べして自分の好みを見つけるのも楽しいですよ!
▼ 塩〆
5枚おろしにしたサクを多めの塩で覆ってキッチンペーパーで巻き、さらにラップを巻いて20分ほど冷蔵庫で寝かせます。
20分経ったら水で塩を洗い流してキッチンペーパーで水気を取りましょう。あとは刺身の様に切ってすだちやレモンをつけて食べるだけです。
適度な塩気に柑橘のさわやかな香りと酸味が加わり、サッパリと味わえます。
▼ ヅケ
醤油1・酒1・みりん1に、砂糖を適量加えて漬け汁を作り、すりおろした生姜と刺身ほどの大きさに切ったヒラメを30分程度漬けこみます。
漬け汁から取り出したら、白ごまを振りかけて食べましょう。
お好みでごま油をかけても美味しいですし、ヒラメのアラで取った出汁を掛けてお茶漬けにするのも絶品ですよ。
ヒラメ釣りは楽しい!
今回はヒラメ釣りの基礎知識を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
慣れるまで中々釣れないという人もいれば、タイミングよくポンと釣れてしまう人がいるのもヒラメ釣りです。
あまり数が釣れる魚ではありませんが、その分釣り上げた時の喜びが大きいのもヒラメ釣りの魅力だと思います。
ぜひ、本記事を参考にしてヒラメ釣りに挑戦してみてくださいね!