ヒラメが釣れたら……

ヒラメは食味の良い高級魚で、岸釣りでも船釣りでも人気のターゲットです。
もともと美味しい魚ですが、適切に処理をすることでより美味しく食べられます。
本記事では、元釣具屋の筆者がヒラメの締め方や血の抜き方、捌き方を詳しく解説します。
ヒラメの締め方

まずはヒラメの締め方から解説します。
エラから背骨を断つ

ヒラメを裏側に向け、エラの付け根にナイフを入れます。
そのまま背骨(延髄)を断ち、ヒラメが動かなくなれば完了です。
尾ビレの付け根を切る

尾の付け根にも切り込みを入れ、骨を断つと血が抜けやすくなります。
血抜き

エラの付け根と膜を切ります。

海水を張ったバケツに入れるか、船の場合はホースで海水を流し込んでもOK。

最後は海水を入れたイケスで頭を下にして振ったり、体を折り曲げたりして十分に血を抜きましょう。

内臓を抜く場合は、エラの下側もカットしてエラごと引き抜くようにします。
クーラーボックスへ

血抜きが終わればクーラーボックスに入れておきましょう。
真水に直接触れると身がふやけたり、傷んだりするため、ビニール袋やスノコなどを活用して真水に当てないようにします。
身をムラなくしっかりと冷やせる潮氷がおすすめです。
ヒラメの寄生虫について

ヒラメは寄生虫による食中毒を招くことが知られており、そのリスクと対策を解説します。
ちなみに、写真はヒラメに寄生していたウオジラミです。
アニサキス
魚の内臓に寄生していることが多い、長さ2〜3cm程度の寄生虫です。
魚が死んだ後、内臓から筋肉に移動すると言われており、そのまま気付かずに食べると食中毒を発生。激しい腹痛などを起こします。
予防策は、-20℃で24時間以上冷凍、もしくは70℃以上で加熱処理することです。
生で食べたい場合は、できるだけ早く内臓を処理し、よく冷やしてアニサキスの動きを抑制するのが有効。
100%アニサキスを防ぐことは難しいですが、捌いて目視で確認、身を薄く切る、よく噛むなどして、ある程度防げます。
クドア
ヒラメに寄生することが多い、クドアと呼ばれる寄生虫も食中毒を引き起こす要因です。
大きさは約10μm(マイクロメートル)と小さく、肉眼で確認することはできません。
食後数時間程度で下痢や腹痛、嘔吐などの症状を発生させます。
予防策としては−15〜20℃で4時間以上の冷凍、中心温度75℃で5分間以上の加熱が有効です。
ヒラメの捌き方

ここからはヒラメの捌き方を解説します。
一般的な魚とは異なり、鱗をすき引きし、身は5枚に卸すのが特徴です。
鱗をすき引き

ヒラメの鱗は細かい上に硬く、鱗引きでは鱗が取りにくいため、薄皮ごと鱗を取る「すき引き」がおすすめ。
包丁を平行よりやや斜めくらいの角度で尻尾側から入れ、常に前後に動かしながらゆっくり剥いでいきましょう。

すき引きが終わるとこのような状態に。
裏面も同様の手順ですき引きします。

力加減を誤ると身も削ってしまうため、注意してください。
自信がない方は、カナダワシを使って鱗を取るのも良いでしょう。
5枚卸し

まずは背骨に沿って体の真ん中に切り込みを入れましょう。

上下2つに分かれた身を取り外していきます。

背骨を刃先で引っ掻くようにし、少しずつ身を切り離していきます。

背中側も同様の手順で。

片側ができたら、裏返して同様の手順で身を取り外しましょう。

表裏合わせて4枚の柵が取れ、5枚卸しの完了です。

柵が取れたら腹骨はすいておきましょう。

エンガワも外しておきます。

刺身などで生食する場合は尻尾側から皮を引きましょう。

これで柵取りの完成です。
おすすめの食べ方

簡単かつ美味しくヒラメを味わえる、おすすめの食べ方を紹介します。
刺身

まずはシンプルにお刺身で食べてみましょう。
弾力のある食感と上品な味わいがあり、まるで根魚と真鯛が合わさったような風味です。
釣りたては食感を楽しめますが、より旨味を味わいたい方は2〜3日熟成させるのもおすすめ。

お寿司にしても絶品です。
えんがわユッケ

希少部位のエンガワは刺身も美味ですが、筆者のイチオシはユッケ。
コチュジャン・醤油・砂糖・にんにく・ごま油・ネギ・ゴマと混ぜ合わせ、卵黄を落とします。
強めの味付けながら、エンガワ独特の食感と旨味が味わえ、お箸が止まりません。
ムニエル

生食に飽きたら、塩胡椒と小麦粉をまぶしてバターで焼き、ムニエルにするのがおすすめです。
バターのコクがヒラメの旨味をさらに引き出してくれ、相性は最高。
レモンやオリーブオイル、カレーパウダーなどを加えてアレンジしても美味しいですよ。
ヒラメを美味しく食べよう!

高級魚のヒラメといえど、釣った後の処理が適切でなければ、鮮度が低下して味が落ちてしまいます。
美味しさを存分に引き出すためにも、締めて血を抜き、しっかり冷やして持ち帰りましょう。
捌くのに少しコツがいる魚ですが、その味は格別ですよ!