2年使い倒したスティーズA TW HLC!
村上晴彦氏が監修するHLCシリーズは、ダイワ製ベイトリールの中でも異彩を放つ存在と言えるでしょう。
HLC(=ハイパーロングキャスト)という名前の通り、遠投に特化しており、歴代モデルは使い手・使い方を選ぶ“ピーキーなリール”としても知られました。
そんなHLCシリーズに2021年に加わったのが、スティーズA TW HLC。
筆者は購入してから2年ほど使い続けていて、めちゃくちゃ気に入っているのでその魅力をお届けします!
ラインナップ
スティーズA TW HLCのスペック
まずはスティーズA TW HLCがどんなリールなのか、スペックから紹介します。
アルミ合金製ボディ
スティーズA TW HLCはフルメタルハウジング仕様で、フレームとサイドプレートはアルミ合金から作られています。
重量面ではマグネシウム合金よりも不利ですが、剛性に優れることがアルミ合金の特徴です。
ボディが歪みにくいため、高負荷状態でもスムーズに巻き上げられ、ギアの噛み合わせが安定するので耐久性にも秀でています。
ハイパードライブデジギア
強固なアルミ合金ボディに収まるのは、G1ジュラルミン製のハイパードライブデジギアです。
従来のギアよりも、ドライブギアとピニオンギアの噛み合い率を高め、巻き上げの効率や耐久性の向上を図っています。
マグZ BOOST HLCスプール
最大の特徴は、径36mm/幅24mmのG1ジュラルミン製マグZ BOOST HLCスプールです。
マグフォースZ BOOSTというのは可変式のブレーキで、キャスト直後はインダクトローターが出ることで強いブレーキが効き、スプールの回転が落ち着くとインダクトローターが戻ってブレーキ力が弱まります。
つまり、キャスト直後の回転数が高まるタイミングは強いブレーキでバックラッシュを防ぎ、後半はブレーキを弱めることで飛距離を伸ばすわけです。
さらに本機種はHLC仕様になっており、インダクトローターを戻すバネが非常に強く設定されているため、従来よりも早い段階でブレーキを弱めて飛距離を伸ばそうとします。
ちなみに、PEラインに特化して設計された、36mm HLC PE スプール G1/BL-isseiが発売されています。
このスプールはisseiの公式オンラインストア限定で発売されているので、PEユーザーの方はぜひチェックしてみてください。
なお、同規格のスプールを搭載した機種はないので、他機種とのスプールの互換性はありません。
クリック音付きドラグ
ドラグはMAX6kg(ギアレシオ8.1のみ5.5kg)のATDなので、バスはもちろんシーバスともパワーファイトができる仕様です。
なおかつクリック音が鳴ってラインの引き出し量を聴覚的に把握できるため、ナイトゲームでも安心して使えます。
ソルトウォーターもOK
スティーズA TW HLCは海水対応になっており、ピニオンギア部にマグシールドボールベアリングを搭載したり、塩ガミや固着に強いハイパータフクラッチを採用したりと、耐久性を高めています。
スティーズA TW HLCをインプレ
購入後2年間、使用環境はほぼ100%ソルトウォーターです。
シーバスをメインに……
時折フラットフィッシュ狙ってみたりと、酷使してきました。
はじめは「使いにくいやん……」と思っていましたが、今となっては最高の相棒になっています。
重量級ルアーの遠投性能は抜群
最大の魅力は、15〜40g前後の絶対的な飛距離です。
試しに、よく飛ぶルアーの飛距離を測ってみました。
・サムライスピン 40g:111m(ブレーキ2)
・シーバスハンターバイブZ 22.5g:70.7m(ブレーキ5)
・シーシェイカー90 25g:68.7m(ブレーキ4)
・ヘビキャロ8号:90.6m(ブレーキ3)
とくにバイブレーションやシンキングペンシル、メタルジグなど、重たくて空気抵抗が少ない“もともとよく飛ぶルアー”がさらによく飛びます。
また、PE2号を150m巻けるので、海で大遠投する場合でも安心ですね。
36mmスプールが◯
先ほどの飛距離にも繋がる要素ですが、径36mm/幅24mmのスプールが良いですね。
大口径かつ幅広なので、遠投してもスプールの目減りが少なく、巻き取り量が極端に少なくならないこともGOOD!
一般的に幅広のスプールは、ラインとレベルワインダーの角度が大きくなって放出抵抗が増えますが……
もちろんTWSなので問題なしです。
近距離&抵抗の大きなルアーは苦手
「過去のHLCよりはオールマイティ」と言われることもありますが、一般的な視点で見ると十分にピーキーです。
そのため……
・空気抵抗の大きなルアー(ジョイント系や扁平系)
・軽いルアー(10g以下)
・近距離キャスト
などは苦手です。投げることはできますが、サミングは必須。
このあたりは、マグフォースZやSV系リールの方が断然ストレスフリーです。
この通り、HLCスプールはインダクトローターを戻すバネが強く、スプールを高回転状態にしないとブレーキが掛かりません。
というわけで、軽いルアーはほとんどブレーキが掛からず、空気抵抗の大きなルアーはインダクトローターが戻ったタイミングで糸が浮き始めるため、ある程度の慣れが必要です。
巻く釣りにも止める釣りにも◯
ダイワらしい軽やかな巻き感かつ、ハイパードライブデジギアの恩恵もあってかシルキーさもあり、巻き心地は○です。
巻き上げトルクも強く、抵抗が大きなバイブレーションやロングビルミノーも楽々巻け、水圧が大きくなる激流地帯でも安定して巻けるのは、ソルトアングラーとして高評価!
さらに初動も軽いので、ヘビキャロのようなロッドをさびいて糸フケを回収する釣りや、ストップ&ゴーを繰り返すテクニカルな釣りにも使いやすいですね。
巻き感度が良くてナイトゲームに使いやすい
筆者がイチオシしたいのは、ナイトゲームでの使いやすさです。
巻き感度がかなり良く、リトリーブ中の変化がとてもわかりやすい!
たとえ暗闇でラインが見えていなくても、引き抵抗の変化だけでヨレを把握できますよ。
耐久性は“そこそこ”
2年間ソルトをメインに酷使した結果、耐久性は“そこそこ”と評価したいです。
良い点は、ボディやギアの耐久性は十分にあり、おかしな壊れ方をしなかったこと。
ただし、ベイトリールである以上浸水は避けられず、洗っていたとしてもある程度使うと塩ガミが起こります。
窪みがあってドライブギアの根元に水が残りやすいせいか、とくにギアシャフトボールベアリング(パーツNo.83)が錆びやすいです。
筆者は社外品の安いベアリングを大量に買って、いつでも交換できるようにしています。
ただし、純正品ではないので自己責任のもとで使用してくださいね。
遠投系のベアリングを入れてみたけど……
さらに遠くへ飛ばしたく、社外品の遠投系ベアリング&回転重視の低粘度オイルを使ってみましたが……
「明らかに飛ぶようになった」というほどの効果は感じられませんでした。
オーバー100mは嘘じゃない!
ここまで読んだものの、中には「本当に100mも飛ぶんか?」と疑っている方もいるのでは?笑
ということで、実際に100m飛ばしているところを撮影してみました。
超遠投のキモ
メカニカルブレーキに関しては、ゼロ設定(スプールの左右のガタがほぼ無い状態)にしておきましょう。
そして、マグネットブレーキを10から徐々に下げていき、ラインが浮き始めるポジションを見つけます。
例えば、ブレーキ3でフルキャストしてラインが浮いたなら、その1個手前がベストポジションです。
投げ方については、スリークォーター気味にキャストすると力を込めやすくてバックラッシュも少ないと思います。
あとはリラックスすることも大切! 力むと意図しない過入力が起こるため、とくにギリギリまでブレーキを緩めているとバックラッシュに直結します。
力まかせに振るのではなく、テイクバックでロッドを曲げ込み、リリース直前だけリストを効かせてグリップエンドを引き込めば十分飛びますよ。
使いこなせば鬼に金棒
遠投に特化した特殊なリールなので、初心者の方やオールマイティさを求める方にはオススメできない代物です。
しかし、重量級ルアーをぶっ飛ばしたい方には最高の選択肢でしょう。
飛ばし屋の上級者の方は、ぜひ1度使ってみるべきリールだと思います!
最終評価
- ・重量級ルアーへの対応力:5
- ・軽量級ルアーへの対応力:2
- ・ロングキャストのしやすさ:5
- ・近距離キャストのしやすさ:2
- ・トラブルレス性能(バックラッシュのしにくさ):3
- ・巻き感:5
- ・剛性感:4
- ・ハンドリング(軽さ・取り回し):5
- ・コストパフォーマンス:5
ダイワ スティーズ A TW HLC 6.3R
自重(g) | 190 |
---|---|
ギア比 | 6.3 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 71 |
最大ドラグ力(kg) | 6 |
スプール径(mm)/幅(mm) | 36/24 |
糸巻量ナイロン(lb-m) | 16-100 20-80 |
ハンドル長(mm) | 90mm |
ベアリング数 BB/ローラー | 8/1 |
本体価格 | 54,000 |
ダイワ スティーズ A TW HLC 6.3L
自重(g) | 190g |
---|---|
ギア比 | 6.3 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 71 |
最大ドラグ力(kg) | 6 |
スプール径(mm)/幅(mm) | 36/24 |
糸巻量ナイロン(lb-m) | 16-100 20-80 |
ハンドル長(mm) | 90 |
ベアリング数 BB/ローラー | 8/1 |
本体価格 | 54,000 |
ダイワ スティーズ A TW HLC 7.1R
自重(g) | 190g |
---|---|
ギア比 | 7.1 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 80 |
最大ドラグ力(kg) | 6 |
スプール径(mm)/幅(mm) | 36/24 |
糸巻量ナイロン(lb-m) | 16-100 20-80 |
ハンドル長(mm) | 90 |
ベアリング数 BB/ローラー | 8/1 |
本体価格 | 54,000 |
ダイワ スティーズ A TW HLC 7.1L
自重(g) | 190g |
---|---|
ギア比 | 7.1 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 80 |
最大ドラグ力(kg) | 6 |
スプール径(mm)/幅(mm) | 36/24 |
糸巻量ナイロン(lb-m) | 16-100 20-80 |
ハンドル長(mm) | 90 |
ベアリング数 BB/ローラー | 8/1 |
本体価格 | 54,000 |
ダイワ スティーズ A TW HLC 8.1R
自重(g) | 190 |
---|---|
ギア比 | 8.1 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 91 |
最大ドラグ力(kg) | 5.5 |
スプール径(mm)/幅(mm) | 36/24 |
糸巻量ナイロン(lb-m) | 16-100 20-80 |
ハンドル長(mm) | 90 |
ベアリング数 BB/ローラー | 8/1 |
本体価格 | 54,000 |
ダイワ スティーズ A TW HLC 8.1L
自重(g) | 190g |
---|---|
ギア比 | 8.1 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 91 |
最大ドラグ力(kg) | 5.5 |
スプール径(mm)/幅(mm) | 36/24 |
糸巻量ナイロン(lb-m) | 16-100 20-80 |
ハンドル長(mm) | 90 |
ベアリング数 BB/ローラー | 8/1 |
本体価格 | 54,000 |