日本近海のキラーフィッシュ

地球上には約25万種の海洋生物が生息しており、その中で日本近海には約3万3千種と全体の13.5%が確認されています。
このように自然豊かな日本周辺の海ですが、海洋生物による被害のニュースも少なくはないのです。
死亡例もある危険なヤツら

「日本の近海に居る生物なんて、大したことないんでしょ?」
いやいやとんでもございません。今からご紹介する魚は、見たこと聞いたことがあるであろうと思われる比較的メジャーな生物であり、死亡事故も発生しているリアルガチな超危険生物です。
釣り人であれば接触する可能性も高いため、心して見ていきましょう。
弾丸野郎

コードネーム弾丸野郎ことダツ。特徴的な尖った口は、とある少年漫画で“ダツをダーツ”の要領で用いて武器としたキャラクターが存在するほど。
愛くるしい見た目ですが、その危険度は海のプロである漁師さんを「サメよりも恐ろしい」と震え上がらせるのだとか。
時速60キロで突き刺さる

彼らの最大遊泳スピードは脅威の時速60キロといわれています。
その猛スピードで突撃するだけでなく、刺さったあとは相手を仕留めるために回転するようなのです。
夜釣りやダイビング中の被害発生は多く、目に刺さって脳に至るなど事故の実例も少なくありません。
海を照らすと危険!

獰猛なフィッシュイーターでもあるダツは、魚の鱗の反射に敏感で光に向って突進してくる特性を持っています。
夜間の事故例が多いのはこの性質のため。夜の海を照らしてしまうことが原因です。
とんでもないスピードで光を目掛けて大ジャンプすることもあるので、海から高低差があっても決して油断しないで下さい。
また表層をメインに遊泳しているので比較的見つけやすく、ダツを発見した場合は光を消し海面を照らさないようにしましょう。
ステルス

コードネームはステルス。日本の広い沿岸に生息するアカエイです。
漁業価値としては低いものの、エイの中でも最も美味しいと言われています。
しかし釣り人や海水浴などのマリンレジャーを楽しむ人々に実害を与えていることも事実なのです。
最も身近な危険生物

アカエイは浅い砂泥底に生息し、河口や汽水域でも見かける身近な危険生物と言えるでしょう。
普段は大きな体を砂の中に隠し、目・噴水孔・尻尾を砂の上に出す潜伏しています。このステルス状態が事故に繋がる最大の原因です。
刺されるとどうなる?

アカエイの武器は尻尾の先に毒腺を持つ長い棘。
刺されたり、切り付けられてしまうと傷口はナイフで切られたようにパックリとえぐれます。
鈍器で殴られるような暴力的な痛みが数週間続いたり、他にもアレルギーによるアナフィラキシーショックで死亡してしまうなど最悪なケースもあるようです。
※生体が絶命しても毒は残り続けるといわれています。触らないようにして下さい。
ウェーディング時などは特に要注意

浅瀬の砂地に潜んでいることから海水浴で気付かずに踏みつけ、尻尾で刺される事例が多くあります。
釣りの場面では水の中に浸かってターゲットを狙うウェーディング時に遭遇しやすく、その槍のような鋭い毒棘は長靴を突き破る貫通力を誇っています。
対策として貫通しにくい素材のブーツ『エイガード』や杖を底に付きたて歩く先の安全を確保する『ウェーディングスタッフ』の使用を強くオススメします。
また万が一刺された際は、毒針を抜き去り火傷しない程度のお湯(40℃~50℃)に患部を浸し、タンパク毒を分解させましょう。
これはあくまでも応急処置。迅速に病院へ行きましょう。
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プレデター

コードネームプレデターことオニダルマオコゼ。まるで有名なSF映画の異星人を彷彿とさせる特徴から名づけてみました。
鬼・達磨・虎魚と迫力ある漢字が集合していますが、鬼のような形相、ボコボコとしたコブ状の体表は一度見たら忘れられません。
カサゴなどと同じ根魚であり、基本は岩の隙間や砂の中で餌となる小魚をジッと待っていますが、この待つ間は外敵や餌に気付かれぬようカメレオンのように擬態しています。
ハブの30~80倍の猛毒

オニダルマオコゼは背ビレに12~14本・尻ビレ3本・腹ビレに1本の毒棘を所持しています。
なんとこの毒はハブの30~80倍と、体重60キロの大人4人を殺傷出来る致死量なのだとか……。
不用意に触らない

沖縄から九州地区と暖かい海域で釣れることが多く、食べてもおいしい高級魚です。
しかし、オニダルマオコゼは前項で紹介した通り猛毒の持ち主。
釣れた際は決して素手で不用意に触らず、フィッシュグリップ等のアイテムを使用し安全を確保しましょう。また自宅に持ち帰り調理される場合は、猛毒である棘から取り除き細心の注意を払い処理を行ってください。
正しい知識で楽しいマリンライフを

今回ご紹介した危険生物は広い海の中でほんの一部にしか過ぎず、他にもたくさんの危険生物が存在します。
釣りを含めたマリンレジャーには様々な危険が付きまといますが、それ以上に言葉では表現できないプライスレスな楽しみも数多くあります。
初めて見る生き物や知識が無いものに関しては、むやみに手を出さず正しい知識を備えることが海の生物と共存する大事なプロセスではないでしょうか。