ぬか漬けは魚でも作れるって知っていましたか?

ぬか漬けと聞くと、野菜を思い浮かべる人が多いと思います。
正直、筆者も「魚をぬか漬けにして美味しいの?」と半信半疑でした。
けれど、実際に試してみると、これが驚くほど旨いんです。

実際に食べてみて感じたのは、干物でも味噌漬けでも出せない“独特のまろやかさ”。
では、魚をぬか漬けにするとどんな変化が起きるのでしょうか?
魚をぬか漬けにするとどうなる?

魚をぬか漬けにすると、まず変化するのが食感と香りです。
ぬかの力で余分な水分が抜け、身がほどよく締まります。
一方で、脂や旨味が閉じ込められることで、味わいは驚くほど濃厚になります。

生だと適度に水分が抜けてしっとりとした食感になり、ぬか香りと魚の旨味が合わさって驚くほど美味。

焼くと表面は香ばしく、中はしっとり。
干物よりもしっとりしていて、味噌漬けよりも自然な塩気。
どちらの良さも併せ持つ“旨味凝縮タイプ”の保存食になります。

山下
ほどよいぬかの香りが食欲をそそります!
一口食べれば、「本当にぬか漬けでこんな味になるの!?」と驚くはずです。
脂が乗っている魚に相性抜群

魚のぬか漬けは、脂がしっかり乗った魚ほど美味しく仕上がります。
ぬかが余分な水分を抜きつつ脂を包み込み、旨味を逃さずまろやかに閉じ込めてくれるためです。

アジ、サバ、タチウオ、サワラなどが筆者おすすめの魚です。
焼けば皮目から脂がじゅわっと染み出し、ぬかの香ばしさと合わさって驚くほど深い味わいになります。
一方で、シロギスやヒラメ、マダイ、クロダイなどの淡白な魚も美味しく仕上がりますが、脂の少ない魚は味が入りやすいため、長く漬けすぎると塩辛くなりがち。
そのため、漬け込み時間を短めにするのがベストです。

山下
具体的な作り方はここから解説していきます!
魚のぬか漬けの作り方

準備するのは、ぬか床のほかに少量の塩、キッチン用ガーゼ、そして清潔な保存容器だけ。
ぬか漬けと聞くと、ぬか床を一から仕込むイメージがありますが、家庭で作るなら市販のぬか床を使うのがおすすめです。
野菜用として販売されているもので十分で、味も安定しやすく、発酵の管理も難しくありません。
どれもスーパーで簡単に手に入ります。

山下
魚を漬けたぬか床は脂や匂いが移るため、3回ほど使用したら入れ替えるのがおすすめです。
新しいものをすぐに捨てるのはもったいないので、ご自宅にある水分が多くなったぬか床を再利用するのも良いでしょう。
手順

まずは魚を三枚におろし、大きな魚であれば食べやすい大きさに切り、軽く塩をふって1時間ほどおきます。
出てきた水分をしっかり拭き取ることで、生臭さが残らず上品に仕上がります。

次に、切り身を1枚ずつガーゼで包みます。
こうすることでぬかが直接付かず、あとでぬかを落とす手間が減るのでおすすめです。

市販のぬか床を袋から取り出し、別容器に適量を移して魚を漬けます。
少量を塗る程度でもしっかり味が染み込むため、全体を厚く覆う必要はありません。

保存は冷蔵庫。
淡白な魚なら半日から1日、脂の多い魚は1日から2日ほどが目安です。

漬け上がったらガーゼを外し、刺身にするなら食べやすい大きさに切り、焼く場合には中火で5〜10分ほど。
皮は香ばしく、身はしっとりとした食感に仕上がり、ぬかの香りと魚の旨味が一体となった極上の一皿になります。
美味しく仕上げるコツ
漬けすぎないことが大事

ぬか漬けは漬ける日数が長いほど味が濃くなりますが、長く漬けすぎると塩気が強くなり、魚の風味が損なわれてしまいます。
初めての場合は、短め(半日から1日程度)から試すのがコツです。
味を見ながら、好みの漬け加減を見つけてみましょう。
焼く前に常温に戻す

冷たいまま焼くと、外は焦げても中が冷たいままになりがちです。
焼く30分ほど前に冷蔵庫から出し、常温に戻しておくことで、火の通りが均一になり、皮はパリッと、身はふっくら仕上がります。
中火でじっくりと焼く

中火でじっくり焼くのが、美味しく仕上げる一番のコツです。
ぬか漬けの魚は、ぬかを落としても身に味がしっかり染み込んでいるため、強火で焼くと焦げやすくなります。
中火で時間をかけて焼くことで、脂がじんわりと滲み出し、皮はパリッと、身はしっとり。
旨味を逃さず仕上がります。
香りが好きならあえてぬか床を少し塗る

香りを楽しみたい人は、焼く前にほんの少しぬか床を塗るのもおすすめです。
焦げやすいので薄く伸ばすのがポイントですが、焼き上がりには独特の香ばしさが加わり、より風味豊かに仕上がります。

山下
ぬかを完全に落として焼けば、すっきりとした上品な味わいに。
どちらも美味しいので、好みに合わせて焼き分けてみてください。
ご飯もお酒も進む絶品料理ですよ!

焼くと立ちのぼる香ばしさと脂の甘みが、ご飯にもお酒にも相性抜群。
白身魚には軽めの純米吟醸、青魚にはコクのある純米酒がおすすめ。
お茶漬けにしても絶品で、ほぐした身に熱いお茶や魚の骨から取った出汁を注ぐだけで完成です。
ぬかの香りが湯気とともに広がり、心まで満たされますよ!

山下
変わり種レシピとしても、ぜひ楽しんでみてくださいね!
撮影:山下洋太






