SUPフィッシングとは

SUPとは、“Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)”の略称で、サーフボードより大きめのボードに立ち、1本のパドルで漕いで水面を移動するアクティビティです。
SUPの上でヨガをやったり、子どもと一緒に乗ったり、釣りを楽しんだり……。遊び方は自由自在!
基本的なサイズのSUPボードなら、耐荷量約130kgまでの重さに対応しているため、大きな荷物やたくさんの釣具を載せることが可能。
誰でもエントリーできることから愛好家も増えていますが、一歩間違えると危険を伴うことと、釣りに関するルール&マナー、心得を理解した上で安全に楽しむことが重要です。
SUPフィッシングが流行っている訳

台風などの災害による釣り場の崩壊、マナー問題などのトラブルによる釣り禁止や立ち入り禁止、新型コロナウイルス対策など、あらゆる問題で次々と釣り場が閉鎖……。
全国的に釣り場が減っている昨今、SUPフィッシングに移行する人も増え、一度体験するとおかっぱりのような自由度の高さからハマる人が続出しているのです。
SUPフィッシングの魅力
①普段行けないような場所に行ける

SUPは小回りが利くので、狭い場所もスルスルと入っていけます。 おかっぱりで届かなかったあの場所、沖に見えていたテトラ周り、藻や海藻が多くてエンジン付きボートでは避けていたあのポイントなど……。
時にはストラクチャーの中に入ってみたりも可能。自由に漕いで自分だけのポイントを開拓するのも魅力の一つです。
②あらゆる釣りがいっぺんにできる

SUPフィッシングの船長は自分自身。ポイント選びも自由自在です。
SLJ、タイラバ、シーバス、エギング、ロックフィッシュ、キス釣り、カワハギなどのエサ釣りなど、自分の好きな釣りを自由に楽しめるのも魅力ですね。
③おかっぱりよりも釣果が期待できる

やっぱり一番の魅力は釣果です!
釣れなかったらすぐに移動したり、別の釣りに切り替えたりできるのもメリットの一つですね。
④暑い夏でも涼しい

SUPフィッシングは一枚の板の上に乗って釣りをするので、基本的には水に濡れるものだと思ってください。
足を水に着けていると気持ちよくて、暑さも感じないのでとても快適です。
⑤美しいロケーションの中で釣りができる

大自然の中で静かに楽しむ時間。 釣りに集中するもよし、景色を眺めながらまったり釣りをするもよし。
大海原に浮かびながら最高の景色と、最高の釣果で癒されましょう!
SUPフィッシングに必要な道具

SUPフィッシングに必要なものをまとめました。
いざ海に出て忘れ物があったら大変です。困らないように、自分のチェックリスト等を作っておくことをおすすめします。
SUPボード
▼SUPボード(セット)
SUPボードにはおもに2種類あり、硬い素材のハードタイプと、ゴム素材でできた空気を入れて膨らませるインフレータブルタイプがあります。
インフレータブルタイプは軽量で浮力が高く、折り畳んで運べるのでおすすめです。
スターボード I GO シリーズ
標準モデルの品質も高く、ウェルディング技術(レール融着)を使用し、従来の接着剤を使用したボードより遥かに優れた耐久性を保ちます。
パドル、リーシュコード、バッグや空気入れもセットになっています。
▼パドル
水を漕いで進むためのオールの役割を担います。
カーボン製は高価ですが、軽くて疲れにくいのでおすすめです。
スターボード カーボンパドル 3ピース
▼フィン
ボードの裏に接する部分につけるもので、ボードの方向を変えるためのものです。
ボードに最初から固定されているタイプと、取り外しができるタイプがありますが、ネジ留めの部品は小さく無くしやすいので注意が必要です。
スターボード オールラウンドフィン
▼リーシュコード
ボードと体をつなぐ必須アイテム。 リーシュコードが無いと、もしも落水した時にボードが体からどんどん離れていってしまいます。
▼シーアンカー
サップボードが風や潮流で流されないように止めるための道具。
パラシュートアンカーはコンパクトかつ安価でおすすめです。
釣具
▼ロッド
最初の1本は色々な釣りに対応できる、なんでもロッドがおすすめ。
5〜7ftの長さで、ジギングやキャスティングもできるものが便利です。
テイルウォーク パドラーナ LIGHT
使用状況を問わない汎用性に優れた1本。
グリップエンドの長さが変えられるエクステンションハンドルを採用し、キャスティングもバーチカルも対応。携行性に優れた3ピースで落下防止のDカン付き、浮力の強いコルクグリップ採用しています。
フィッシュマン BC4 5.10LH
軽めのプラグもピン撃ちできるティップ、ランカークラスの怪魚を強引に引き剝がすバットパワーを装備する最強コンパクトロッド。
このレングスながら飛距離も出せて、不意のナブラ撃ちにも対応できるショートベイトロッドです。
▼リール
リールは水没を想定し、高級品は避けつつ剛性のあるものから始めましょう。
ダイワ 21 フリームス LT2500-XH
コスパに優れたバーサタイルスピニングリール。
よりタフに使いこめる2500ボディにより、パワフルな巻上をアシスト。巻取りの速さからルアーの回収速度が上がりテンポの良い釣りがおすすめです。
アブガルシア ロキサーニ パワーシューター
パワーハンドル&ディープスプール搭載のパワーフィッシングモデル。
頑強デュラメタルフレーム採用で、内部のメカをしっかりと支持、ビックベイトからソルトウォーターの大型ロックフィッシュにも対応できます。
▼ルアー
シャロー用のおかっぱり感覚で使えるものから、メタルジグやタイラバなど、深場でも使えるルアーを用意しましょう。
不意のナブラにも対応できるよう、飛距離の出るプラグや巻きで使えるメタルジグなどを用意しておくと、良い思いができるかもしれません!
コアマン VJ-28
圧倒的な食わせ能力をもつワームが、より細かく振動してフィッシュイーターを強烈に誘います。
SUPで使用するのは水深約10mまでのシャローエリアで活躍。確実に下のレンジをきっちりとトレースすることが可能です。
インクスレーベル ナッゾジグ スリムロング
沈下速度を速めたロングタイプのジグ。
こだわりのミノーアクションは巻くだけでOK。極小ブレード搭載で様々な魚種にアピールします。
ジャンプライズ ぶっ飛び君 95S
同サイズのメタルジグに引けをとらない圧倒的な飛距離を武器に広範囲のサーチが可能。
アクションは若干強めに設定したハイピッチワイドスウィング。フォールは水平ローリングフォールでタダ巻きからスキッピングまで使い方は自由自在です。
ジャッカル TG ビンビンスイッチ 45g
あらゆる魚種がターゲットの超人気タイラバ。
二枚潮を突き抜ける直進性能と整流効果を発揮する流線形ボディをぶら下がり式にセッティング。
水の抵抗を抑えることによって、速いフォールと安定したアクションを可能にしました。
▼タックルケース類
釣り具などを入れてボードにくくりつけます。 バッカンやクーラーなど、自分のスタイルで選びましょう。
ダイワ ミニクール S1050
▼ランディングネット
時には大型魚なども釣れるのがSUPフィッシングの魅力。 なるべく深めのラバー素材が使いやすいです。
プロックス ラバーランディングネット 15型
▼フィッシュグリップ
魚を掴むための道具です。 歯が鋭い魚もたくさんいるので、安全のために必ず持っていきましょう。
大阪漁具(OGK) フィッシュクリッパースリム
その他小物類
その他にも、プライヤー・ラインブレイカー・リーダー・スナップ・フック・メジャー・魚用エアー抜き・酔い止め薬など。
釣りに最低限必要なものを小分けでジップ袋や防水ケースに入れておくと、水濡れからも守られて安心です。
安全対策アイテム
▼フローティングベスト
できれば膨張式ではなく、浮力材の入ったベストタイプがより安心です。
普段の釣りで使っているフローティングベストでも良いですが、ポケットに物を入れすぎると動きの妨げになるので、なるべく動きやすくコンパクトなSUP用ベストがおすすめです。
▼セーフティフラッグ&ポール
SUPに座って釣りをしていると、じつは周辺の船からはかなり見えにくいものです。
ウネリが多少でもあれば、思っているより見えていない瞬間が多いと思ってもらったほうがいいでしょう。
派手な色の安全旗を1.5m以上の高さに掲げることが推奨されています。
アキレス セーフティーフラッグ
▼スマートフォン
防水ケースに入れて身に着けます。
何かあればすぐに連絡できるよう、バッテリーは満タンで海上に出ましょう。
▼落水検知ユニット
日清紡ホールディングスから販売されている落水検知ユニットは、アプリと連動することで、落水時に事前に登録した人へ自動で即時に通報がいくシステム。 GPSで場所を自動で共有することも可能です。
便利アイテム
無くてもいいけどあると助かる。そんなアイテムを集めました。
準備が快適になるのでおすすめですよ。
▼電動エアーポンプ
人力で大きなSUPボードに空気を入れるのは時間もかかり、体力も使います。 車のDC電源に繋いで、ものの数分で空気は満タンになります。
ソーユースティック SUPインフレータブル電動ポンプ
▼ドーリー(ランチャー)
カヤックやSUPボードを乗せて運ぶための道具です。釣り具や重い荷物も乗せて楽々運べます。
SUPフィッシングに最適な服装
海上は常に強い紫外線にさらされています。帽子や偏光サングラスは必須アイテムです。
安全面も考慮し、目立つ色の服や装備を身に着けましょう。
夏

夏は乾きやすく、濡れても良い服装を。紫外線対策もしっかりと行いましょう。
▼帽子
つばが広めの防水透湿素材のキャップやハットがおすすめです。
ダイワ ゴアテックス インフィニアム アジャスタブルハット
▼フェイスガード
海面からの照り返し対策や日焼け対策の必需品です。
ブルーブルー フェイスマスク
▼グローブ
パドルが滑りにくくなり、操作性がアップします。
ダイワ アイスドライ UVカット クールグローブ
▼ビーチシューズ
足元は脱げにくい踵付きのサンダルか、水陸両用のマリンシューズがおすすめ。
春・秋

少し肌寒くなる季節は、レインジャケットを用意しましょう。冬の寒さでなければ、ウェットスーツはボトムだけでもOKです。
▼レインジャケット
撥水性がある、透湿防水素材のレインジャケットがあると体温調節しやすいです。
ダイワ レインマックス レインジャケット
▼ウェットパンツ
ウェットスーツの中に入った水が体温によって温められることにより、暖かさを保ちます。
身体に密着するピッタリなものがおすすめです。
冬

体が濡れて体温が下がると命に関わるため、フルドライかセミドライタイプのウェットスーツの着用を強く勧めます。
▼グローブ
手が冷えるので保温性グローブもあると重宝。
ダイワ DG-7522W(オールラウンド防寒グローブ3本カット)
▼ブーツ
足元はウエットスーツ素材のブーツがおすすめです。
注意すること

ここ数年で人気が急上昇しているSUPフィッシング。 初心者でも簡単に始められる反面、海難事故やトラブルも起きています。
転落時にボードの上に復帰できなかったり、沖に流されてしまい自力で帰還できず海上保安庁に救助されるケースもあります。
事前にできる限りの安全対策をすることはもちろんですが、何かあった時のためにまずスマホは必ず身に着けましょう。
ローカルルールも事前に確認し、周囲の船や、釣り人やサーファーの動きに気を配ることも大切です。
初心者の方は、ぜひ地域のショップやスクールが主催する体験ツアーに参加して、正しい情報と技術を習得することをおすすめします。
そして、なるべく単独釣行は避け、日の出前・日没後は決して海へ出ないようにしてください。
エントリー場所、釣り禁止場所

漁港のスロープや堤防は各漁業共同組合によって管理されているため、勝手に使うことは基本的に禁止されています。
使いたい場合は、事前に組合から許可をもらいましょう。 また、漁港の出入り口を通る際は漁船の邪魔にならないように速やかな出入りが必要です。
波打ち際では波でボードがバランスを崩し、ひっくり返ることもあります。波の穏やかな場所からエントリー、帰航しましょう。
また、釣りが禁止されている区域については、事前に確認しておきましょう。定置網や生け簀周りは半径150m以内に近づかないようにしてください。
風速、風向き

SUPボードは風や潮の流れの影響を受けやすく、沖に出すぎると戻ってこられなくなることもあります。
目安として、風速2〜3m以内が許容範囲。4mを超えるような強い風の日は無理をせず諦めることも必要です。
出航時に海上が平穏であったとしても、沖に出てから急に風が強くなることもあります。
出航から帰航までの予報を確認し、風が強くなる予報の場合は無理な出航を避けるようにしましょう。
また、風向きには海から陸に向かって吹く海風(オンショア)と、陸から海に向かって吹く陸風(オフショア)があります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。
海風 (オンショア) | 出航時は逆風で沖に出るまでに苦労する反面、帰航時は順風となり比較的楽に帰ることができます。 |
---|---|
陸風 (オフショア) | 出航時は順風で比較的楽に沖に出ることができる反面、帰航時は逆風となりで予想以上に風力が強くなると帰航が困難になります。 |
船の往来

漁港近くで釣りをする時は、航路に入るととても危険です。漁船や釣り船は一斉に朝早く出航するので、航路を妨げると重大な事故になりかねません。事前に周辺のおもな航路を確認しておきましょう。
また、海上のウネリがあると海面が大きく上下します。SUPボードごとウネリに隠れてしまうので漁船などとの接触の危険性が増します。必ずセーフティーフラッグを立て、目立つ色の帽子や服装を選んでください。
万が一、こちらに船が向かってきたら、パドルを高く掲げてこちらの存在を気づかせるということを心がけてください。
落水について
SUPフィッシングをしていて、落水しやすい状況をまとめました。
①大型船が起こす三角波に対し、ボードが平行に位置しているとき
②根掛かりを外そうと力をかけてバランスを崩したとき
③立ち上がる瞬間や座る瞬間
④二人乗りをしていて、一人が急に体制を変えたとき
釣具を乗せたSUPボードは一度ひっくり返るとなかなか元に戻せません。 落水後はパニックにならないように、落ち着いてななめ後ろから腹這いで再乗艇しましょう。
もしもバランスを崩し落水を免れないと感じた時は転覆を避けるため、ボードには掴まらず、海に降りる感覚で落ちましょう。
SUPに慣れないうちはボードに這い上がるのも一苦労で、釣り道具が乗っていると更に難しくなります。なるべくSUPボードの後ろには物を固定させないようにしてください。
また、万が一の落水時のために、必ずリーシュコードでボードと体を繋いでおいてください。
根掛かりした時

SUPでの根掛かりはかなり危険。
すぐに外れれば良いのですが、船やSUPは常に風や流れによって動いているので、ロッドは海底にどんどん引っ張られていくのです。最悪の場合、落水やロッドの破損につながってしまいます。
根掛かってしまった場合は、スピニングリールならすぐにベールを返し、ベイトリールならクラッチをすぐに切って、ラインをフリーの状態にしましょう。その状態でロッドはホルダーなどに置き、SUPボードを根がかり場所の真上に来るように戻ります。
ラインブレイカーに糸を何周か巻き付け、真上に向けて一瞬の力で切るようにしてください。ゆっくり切ろうとするとSUPもその動きに合わせゆっくり動いてしまうので、なかなか根掛かりは切れません。
熱中症対策

海上では日差しも強く、釣りに集中していると水分をとるのを忘れがちになります。
ましてやSUPは基本的に濡れるものなので、おかっぱりや船と違い、あまり暑さを感じません。
そのため、こまめに水分・塩分は必ずとりましょう。 海上だけでなく、SUPの準備や片付けの時も時間がかかるので、真夏はとくに注意してください。
いざ海へ!
最初は湾内でキス釣りなどがおすすめ!

最初の入門は、波のない穏やかな湾内がおすすめです。
砂地で根掛かりが少ない場所で、キスなどを狙ってみましょう。少し慣れたら、キャストして広範囲を探ると釣果もアップします。
慣れてきたら人が見える範囲で沖に出てみよう

少し慣れたら風速2m以下の日に、500m以内で沖へ出てみましょう。
潮目を探して回遊魚や、砂地ならヒラメ・マゴチなどのフラットフィッシュを狙うのも楽しいですね。
根回りでロックフィッシュやエギングなどにも挑戦し、根がかりにも慣れておくといいかもしれません。
体力に自信があるなら沖の深場にも挑戦!

無風の日で、体力に自信があれば沖合2kmほどの範囲でオフショアの釣りも楽しんでみましょう。
ポイント探しに役立つのがこちらの地形アプリ『海釣図v』。
有料ですが、魚探を使わないSUPフィッシングではこのアプリが一躍を担っています。地形変化の多い場所を探して、自分だけの楽園を見つけましょう!
SUPフィッシングは魅力がいっぱい

SUPフィッシングは簡単で釣果も伸び、色々な釣りが自由にできて、美味しい魚がたくさん釣れる楽しい釣りです。
その反面、まだまだ新しい釣りのスタイルだからこそ、一人一人の配慮が大切。
海難事故やトラブルにならないよう、安全対策やルールをもう一度確認し、できれば初心者は一度体験スクールなどを受けてからSUPフィッシングを始めてみることをおすすめします。