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「え、マジで動かない……?」そんな経験がある人ほど読むべき、アウトドアの車トラブル対策

「え、マジで動かない…?」そんな経験がある人ほど読むべき、アウトドアの車トラブル対策

今回は、現役ロードサービス隊員である筆者が、車のトラブルについて解説します。

釣りに欠かせない車のトラブルを減らせば、釣りの時間や気分がより快適になりますよ。

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

釣り人みんなに知っておいてほしい!

TSURI HACKライターの福永です。レッカー・ロードサービスの会社に勤めて10年以上になり、車のトラブルに関して様々な経験を積んできました。

そこで思いついたのが、ロードサービス隊員としての経験をTSURI HACK読者のみなさんと共有し、車のトラブルで困っちゃう釣り人を少しでも減らすこと!

アウトドアに行くのに車を使う人なら、知っておいて絶対損はないので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

福永

仕事では車を吊り上げ、休みの日は魚を釣り上げています(ボウズも多いけど)。

車のトラブルは自動車保険のロードサービスへ

始めに、本記事でご紹介するロードサービスの概要についてご説明しておきましょう。

現在、車を所持している方のほとんどが加入している自動車保険(任意保険)には、ロードサービス特約が付帯しています

車の故障や事故などのトラブルに対応し、超遠方までの搬送やクレーンを使うような特殊作業でない限り、たいていの場合は無料で利用可能(保険の契約内容にもよります)。

加入している保険のコールセンターに連絡すれば、24時間365日、全国各地の最寄りのロードサービス業者が手配され、筆者のような隊員が現場に駆けつけるという仕組みです。

福永

年会費制のJAFなどもありますが、本記事では筆者が実際に関わっている自動車保険のロードサービスをメインにご紹介します。
 
それでは、代表的なトラブル事例ごとに見ていきましょう!

バッテリー上がり

「バッテリー上がり」とは、バッテリーの電圧が下がってしまうこと。

ロードサービスでもっとも出動件数が多いのが、バッテリー上がりによるエンジン不始動です。

車はエンジンをかける瞬間にもっとも電力を必要とするので、ほんのわずかにバッテリーの電圧が下がっただけでエンジンを始動できなくなるんです。

そのため、“エンジンをかけずに”ルームランプを点けて釣りの準備をしたり、ハザードランプを点灯して道を調べたりするだけでも、バッテリーが上がる可能性がありますよ。

福永

乗用車が積んでいる12V(ボルト)のバッテリーは、12.6V前後が正常値なのですが、12.3Vくらいになるとエンジンを始動できない事態が発生してきます。

「え!?それだけで?」と思っちゃいますよね。

エンジンをかけていれば大丈夫?

ベルトで駆動されて発電するオルタネーター

では、電装品を使うと必ずバッテリーが上がるのか? といえば、無論そんなことはありません。

車のエンジンには発電機(オルタネーター)が付いていて、エンジン起動中は発電・充電をしながら動いています。

したがって、エンジンをかけたままならば、いくら電装品を使っても基本的にバッテリー上がりは発生しない仕組みなんです。

福永

エンジン始動中の車は、スマホを充電しながら使っている状態に近いと考えるとわかりやすいでしょう。

バッテリー上がりの予防策

バッテリー上がりのよくある原因がルームランプの消し忘れ

バッテリー上がりの予防策はというと、まずはエンジンを止めた状態で電装品を極力使用しないこと。

エンジンをかけないでルームランプやオーディオ、エアコンなどを使うのは、“残り充電が10%のスマホで動画を見ているようなもの”とイメージしてください。かなり危ういですよね?

また、長期間エンジンをかけない状態でもジワリジワリと電圧は下がっていきます

「釣り以外では車に乗らず、1か月放置してしまうことがある」という方は要注意です。

2〜3週間に一度、15〜30分程度エンジンをかけるだけで未乗車によるバッテリー上がりは防げるので実践してみてください。

福永

もちろん、ヘッドライトやルームランプの消し忘れなど、うっかりミスにも気をつけてくださいね。

車内照明を電池式ランタンにすれば、車のバッテリー残量を気にせず使えます。

水に浮くので、車外に持ち出して釣りに使うのにも向いています。

シガーソケットに差し込むタイプの「電圧計付き」USB充電器です。

こまめに電圧をチェックすることで、いち早く異常に気付くことができ、車の電気に関する理解も深まりますよ。

バッテリー上がりの復旧作業にはリスクもある

車に詳しい人なら、「バッテリー上がりくらい自分で対処できるよ!」と考えるかもしれません。

しかし、バッテリー上がりの復旧は救援用バッテリーを繋ぐだけの簡単な作業に見えますが、実は意外なリスクが潜んでいる場合も。

というのも、最近の自動車は緻密な電子制御が盛り沢山の“走るコンピュータ”とも言えるため、不適切な作業をするとエラーを起こす場合があるんです。

エンジンを始動できたとしても警告灯が点灯したり、カーナビが使えなくなったりする可能性があるので、自力での作業はあまりおすすめできません。

福永

ですので、作業は専門知識があるプロに任せちゃいましょう!
 
筆者のような釣り談議に夢中になってしまう隊員でなければ、アドバイスや説明を入れても10~20分で作業完了します……笑

エンジンが掛かっても油断は禁物

エンジン始動後にきちんと発電しているのか確認するのは必須

「ロードサービスが来てくれてエンジンもかかったし、さあ釣りに行くぞ!」と安心するのは、ちょっと待ってください。

一口にバッテリー上がりといっても、電圧0.0Vの完全放電から12.3Vでギリギリかからない状態まで幅が広く、エンジンがかかっただけで万事解決と判断するのは早計です。

トラブル当日の状況に加え、過去の使用環境や経年数などが影響してバッテリーが劣化していた場合、「エンジンをかけて充電すれば大丈夫」が通用せず、次にエンジンを止めたら始動できないケースがしばしば発生します。

一度枯れた植物にどんなに水をあげても生き返らないのと同じで、ダメになってしまったバッテリーをいくら充電しても使える状態には戻りません。

そのため、エンジンがかかっても整備工場に点検を受けに行くのが大前提で、そこでダメならバッテリー交換となります。

バッテリー上がりは実に様々なパターンがあるので、現場のロードサービス隊員の判断・アドバイスに従って行動してください。

福永

「絶対にエンジン止めないでお店まで行ってくださいね!」と送り出すのが定番ですね。

バッテリーが劣化していても、発電機が正常に動いていれば整備工場までは自走できることが多いですが、自走すら危ないと判断したらレッカー搬送に切り替えます。

パンク

車のトラブルの中で、「運」の要素が強いのがタイヤのパンクです。

道路に落ちているクギやネジなどを全て避けて走るのは、さすがに不可能ですからね。

とはいえ、空気圧不足によるバーストや、タイヤを縁石の角にぶつけての破損など、予防や回避が可能なパターンもあります。

日頃からの点検や無理をしない運転を心掛け、それでも運悪くパンクしてしまったらロードサービスを手配しましょう。

福永

パンクしても多少は走れることが多いですが、ホイールまでガリガリになったり、修理して使えたはずのタイヤが要交換になったりすることも……。
 
安全が確保できるなら、その場から動かずロードサービスの到着を待つことをおすすめします。

スペアタイヤ付いてますか?

「パンクしたらスペアタイヤに交換すればOKなのでは?」と考える方が多いと思いますが、最近の車はスペアタイヤを積んでいない車種の方が圧倒的多数なんです。

スペアタイヤが使われないまま廃棄されることが多いことや、軽量化による燃費向上、荷室スペースの確保などがその理由でしょう。

スペアタイヤがあればロードサービス隊員がその場でホイールごと交換して現場復旧、無ければタイヤショップや整備工場までレッカー搬送することになります。

自分の車にスペアタイヤが積んであるか事前に確認しておくと、イザという時の対応がスムーズになりますよ。

福永

スペアタイヤが無い車には、代わりに薬剤注入タイプのパンク修理剤が積んであるのが最近の主流です。

ただ、修理剤を注入したタイヤは交換せざるを得なくなるほか、大きな穴や亀裂には対応できないので、レッカー搬送で対応することがほとんどですね。

ガス欠

出動件数は少ないものの、今も昔も無くならない定番のトラブルがガス欠です。

筆者も以前、「とりあえず釣り場まではギリギリ行けるから、帰り道にいつものガソリンスタンドで燃料入れれば大丈夫」とタカをくくっていたところ、予期せぬ臨時休業で大いに焦った経験があります。

なるべく前もって給油しておくことが、唯一にして最大の予防策ですね。

福永

最近は、ガソリンスタンドの閉店や改装のための休業が増えているので注意しましょう。

ボート用品を数多く取り扱うBMOの携行缶です。

サビに強いステンレス製なので、車とボート釣り兼用にするのも良いですね。

脱輪・スタック

釣り人って、砂浜や山道など一般の車があまり入らない場所にも行くことがありますよね。

そんな時は、脱輪やスタックに十分注意してください。

様々な状況がありますが、“間違えてせまい道に入り込み、ちょっと広くなったスペースで方向転換しようとしたら、地面がぬかるんでいてスタック”などがありがちなパターン。

多くの場合、車外から路面や状況を確認したり、危険そうな道を避けたりすることで回避できます。

福永

海岸や山道などは、レッカー車が到着するのにも時間がかかりがちです。

最悪の場合、レッカー車が入っていけず人力での大仕事になることも……。

砂浜・山道・雪道など、スタックした時に大活躍するのがリカバリー用のラダーです。

軽いスタックなら自力で解決することができるでしょう。

事故・その他

事故で走行不能になったり、原因不明の故障でエンジンが止まったりしたら、その場でレッカー車の到着を待つしかありません。

そんな時にドライバーが優先して行うべきことは、二次災害の防止と安全確保です。

三角表示板や発煙筒を使って自車の存在をアピールし、後続車から追突されることを防ぎましょう。

さらに、ガードレールの外側などに移動して、万が一車が突っ込んできても大丈夫なように避難してください。

福永

思い出すたびにゾッとしますが、筆者も現場作業中に居眠り運転の大型トラックに突っ込まれたことがあります!

ほんの数十センチ位置が違っていたら、命に関わる重大事故になっていたかもしれません。

トラブルで路上に車を停めざるを得ない時は、三角停止板を置いて周囲へ注意喚起!

また、渋滞を起こして気まずい時に、周囲から「故障なら仕方ないよね」と思ってもらえる効果もあるかも。

従来の発煙筒より圧倒的に稼働時間が長く、マグネットで車のボディに固定できて使い勝手も良好なLED非常信号灯です。

車検にも対応しているので、発煙筒と置き換えてもOKです。

ロードサービスを呼ぶときのお願い

ロードサービスを利用する際に、ぜひ注意してほしいのは「トラブル発生地点を正確に伝えること」です。

市街地では、住所の番地まで正確に伝えてもらえれば、迷うことなく迅速に現場に到着することができます。

釣り人がよく行く、山道や海岸沿いなど住所がわかりづらい場所は、MAPアプリを使って現場の「座標」を把握して伝えると良いでしょう。

釣り場探しなどでMAPアプリを使う釣り人は多いと思いますが、車のトラブル時にもメチャクチャ役に立つので頭に入れておいてくださいね。

福永

「信号を2つ越えて右折し、その先の大きな木が目印の家を右に……」といった説明では、正確な場所を特定できず、到着が遅れる原因になります。

高額請求に注意!

ここで、みなさんに大切な注意喚起をさせてください。

昨今、高額な料金を請求する、いわゆる「ぼったくりロードサービス業者」の存在が問題になっています。

自動車保険にて手配された業者は100%大丈夫ですが、スマホなどでネット検索して手配すると、悪徳業者が紛れていることがあるようです(もちろん、ネット上に表示される全ての業者が悪徳なわけではありません)。

概算の見積もりを頼んでも、「やってみないとわからない」などと言われたら、とくに警戒した方が良いでしょう。

そもそも、冒頭でも触れたように自動車保険のロードサービスであれば大半のケースが無料で済むので、まずは保険のコールセンターに連絡するようにしてくださいね。

福永

筆者は、「ガス欠でレギュラー5L給油して8万円」、「バッテリーあがりの復旧作業で12万円」など、信じられない金額を要求された被害者に会ったことがあります。

本来は保険を使えば無料で済む内容なので、非常に残念なケースです。

よくある質問コーナー

福永

最後に、ロードサービス利用に際してよく質問されることをまとめてご紹介します。

Q.修理工場のアテが無いのですが?

A.車の搬送先は基本的にドライバー(お客様)が指定します。

どうしても見つからない場合は、保険会社が提携工場を紹介してくれることがあるので相談してみましょう。

Q.深夜で修理工場が閉まっているのですが、どうしたらいいですか?

A.ロードサービス業者が一時保管し、後日搬送するサービスがあるので安心してください。

Q.ロードサービスを利用すると保険の等級が下がるの?

A.ロードサービスを利用しても、保険等級に影響はありません。

Q.修理工場までレッカー車に乗せてもらえますか?

A.基本的にレッカー車に同乗することはできません。

ただし、高速道路上などの危険な場所からは、同乗にて安全な場所までお送りします。

Q.レッカー作業を手伝わなければいけませんか?

A.いいえ、指一本でも手伝ってもらうことは禁止されています。

小さなケガでも、責任の所在などで大問題に発展しますからね。お気持ちだけで励みになりますよ。

トラブルでも慌てない釣り人に

今回のテーマは、釣りとは直接関係がない内容に見えるかもしれません。

ですが、ロードサービスについて多少でも知っているだけで、車のトラブル時に慌てずに対応できる釣り人になれるはずです。

福永

もしもの時に本記事を思い出し、落ち着いてトラブルに対処してもらえたら幸いです。

撮影:福永正博

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