長く使える冬用ベースレイヤーを探して

末端冷え性で寒さが苦手な筆者・小林は、12月にもなると釣行頻度が著しく落ちる傾向があります。
TSURI HACKライターとして——いや、ひとりのアングラーとしても、これは自分でも見過ごせない問題です。
というのも、人間が寒いと感じる時期ほど、じつは魚がよく釣れるからです。
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そこで今回は、冬に快適かつ温かく着られるベースレイヤーを探していたところ、非常に良さげな一枚に出会えたのでご紹介します。
パタゴニア キャプリーン・サーマルウェイト・クルー

パタゴニアのベースレイヤー「キャプリーン・サーマルウェイト・クルー」。
パタゴニアは商品名が独特なため補足が必要ですが、「キャプリーン」とは同社の高機能ベースレイヤーシリーズの総称です。
用途に応じて、軽さ・速乾性・保温性のバランスが段階的に設計されており、その中でもサーマルウェイトは“最も暖かい位置づけ”のモデルになります。
その他のタイプのキャプリーンも

僕はサーマルウェイトに限らず、キャプリーンシリーズのさまざまなタイプを使ってきましたが、どれも機能性が高く、とにかく優秀です。
今夏は「クール・デイリー」と「クール・ライトウェイト」を着回しながら、暑い日々を快適に乗り越えていました。
ベースレイヤーの乗り換え

また、ベースレイヤーとして3年ほど着ていたメリノウール入りの「クール・メリノ・ブレンド」がボロボロになってしまったこともあり、そこからの買い替えという事情もあります。
「クール・メリノ・ブレンド」は非常に機能性が高く、温かく、臭くならない優秀なベースレイヤーでしたが、メリノが抜けやすいなど耐久性の弱さは否めません。
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再購入するよりも、釣りのシチュエーションでより使いやすいものを、という判断から、今回はサーマルウェイト・クルーを選んでみました。
キャプリーン・サーマルウェイト・クルーの特徴

一見するとどのキャプリーンも大差がないように思えますが、サーマルウェイト・クルーはしっかりと厚みがあり、モコッとした質感が特徴です。
軽く触れるだけで温かさが伝わってくる、まさに“冬用ベースレイヤー”といった印象です。
着た瞬間、温かさが伝わる優しい生地

それもそのはず、裏地はグリッド構造で、立体感のあるフリースのような生地感になっています。
触れているだけで気持ちよく、じんわり暖かいのが特徴です。

一方、表面はまったく異なるツルッとした質感で、肌触りが良くレイヤリングもしやすいよう滑らかに仕上げられています。

クール・デイリーと並べて比較してみると、違いは一目瞭然。
寝かせた状態で見ると、サーマルウェイトのモコッとした厚みがしっかり確認できます。
通気性もある

ボーダー状のグリッド構造によって、こもりやすい湿気や余分な熱を外へ逃がす通気性もしっかり確保されています。
冬とはいえ、釣りのように動きのあるアクティビティでは体温が上がり、想像以上に汗をかくものです。
その汗が行き場を失うと、蒸れが冷えへと変わり、一気に体温が奪われてしまいます。
だからこそ、必要な温かさはしっかりキープしつつ、余分な熱と湿気だけを逃がしてくれるベースレイヤーは、冬の外遊びにおいて欠かせない存在なのです。
アクティブな動きにも対応

ジャージをより柔らかくし、伸縮性をもたせた生地感で、体の動きに生地が引っ張られることなく、動きやすい設計になっているのも特徴です。
実際に着て釣りをしてみた感想
めちゃくちゃ暖かい!

11月の冷え込みが始まった時期に、日中と夜の両方で釣りをしてきました。
まだ本格的な寒さではないものの、とにかく驚くほど暖かいのが第一印象でした。
とくに体幹まわりの冷えが出やすい時間帯でも、サーマルウェイトがしっかり熱を抱えてくれるので、余計な力みが抜けて釣りに集中しやすい。
日中は逆に温かすぎて少し汗ばむ場面もありましたが、蒸れが抜けてくれるので不快感はありません。
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通気性が良いぶん汗の処理が早く、動きを止めても寒さが突き刺さらない。
このバランスが本当にちょうどいいんですよね。
着心地最高!

着心地は、「フワッと軽いのにしっかり包まれる」感覚です。グリッド状のフリースが肌に張りつかず、空気の層をまとっているように暖かいのが特徴。
さらに、動きに合わせて生地が自然に追随するため突っ張り感がなく、長時間の釣行でもストレスがありません。
汗ばむ場面でも内側がベタつかず、サラッとした肌離れを保ってくれるのも心地よいポイントです。
生地の弱さを感じない

耐久性も重要な要素ですが、この生地には弱さを感じさせる部分がほとんどありません。
グリッド構造のフリースは軽量でありながら適度なコシを備え、引っ張った際にも十分な強度を保ちます。
一見すると繊細な風合いながら、実際にはタフに使える印象で、冬場のベースレイヤーとして安心して任せられる耐久性を備えています。
地味に便利な親指用ループ

親指用ループは派手さこそありませんが、これが実に便利。
袖がずり上がらず、中間着を重ねるときもスムーズです。
キャストや仕掛け交換で腕を上げても手首まわりが冷えにくく、細かな作業でも集中が途切れません。
寒い釣行では“地味に効く”、ありがたいディテールです。
ユニクロのヒートテックとの違いは?

ユニクロのヒートテックは、多くの人が愛用している “冬用皮膚” とも言える存在で、吸湿発熱によって暖まる日常向けのベースレイヤーです。
一方、キャプリーンは “速乾性と保温構造” によって体温をキープするアウトドア向けのモデル。
目的に応じて、しっかり差別化できるのが特徴です。
| 項目 | ヒートテック | キャプリーン(サーマルウェイト) |
|---|---|---|
| 仕組み | 吸湿発熱で暖める | グリッド構造で保温+速乾 |
| 向き | 日常生活・軽作業 | 釣り・登山などアクティブ環境 |
| 汗処理 | 湿りやすく冷えやすい | 蒸れにくく汗が抜けやすい |
| 保温持続 | 濡れると弱い | 空気層で温かさが続く |
| 体感 | 暖かいが湿度に弱い | 軽くて温かく、動いても快適 |
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こうした違いを理解し、使い所を決めておくと、必然的に自分にとって最適な一枚や、選択するシチュエーションが見えてくるのではないでしょうか。
僕はボトム用はヒートテック

ちなみに僕は、釣りに限らず日常でも上半身には機能性の高いベースレイヤーを使っているので、今回はサーマルウェイト・クルーを2枚購入し、着回しながら冬を乗り越える作戦です。
ヒートテックは蒸れて冷えやすいため、上半身用としては一枚も持っていません。
一方で、キャプリーンシリーズの冬用ボトムも試してきましたが、サイズ感・履き心地・強度のバランスを考えると、どうしてもコスパが合わない……。
そのためボトムはヒートテックを選び、自分の体質や体型に合わせながらうまく活用して、冬の寒さをしのぐようにしています。
最強ベースレイヤーを手に入れたかも

最強のベースレイヤーを手に入れた——そう素直に思える一枚でした。
薄いのにしっかり温かく、動けば汗が抜け、止まっても冷えが刺さらない。
この快適さは、これからの寒い釣行で確実に“差”になります。
生地もしっかりしていて長く使えるため、結果的にコスパも高いと言えます。
もし冬用インナーをひとつ選ぶなら、これは早めに手に入れておいて損はありません。
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寒さ対策の“土台”が変わる感覚を、ぜひ体験してみてください。
撮影:DAISUKE KOBAYASHI
