オフショアゲームの超万能ロッド

シマノのオフショア万能ロッドとしてラインナップされるクロスミッション。
タイラバやジギング、イカメタルなど縦方向の釣りをメインに、あらゆるオフショアの釣りに使える「なんでも竿」といえるシリーズです。
2020年デビューのクロスミッション(無印)、2021年デビューのリーズナブルなクロスミッションBBに続いて、2022年にクロスミッションXRがシリーズ上位機種としてデビューしました。

専用ロッドが100点、代用ロッドが50点以下の性能しか発揮できないとすれば、クロスミッション・クロスミッションBBはあらゆる釣りで60~70点の性能を発揮できるような設計といえます。
そして、その汎用性をさらに拡張し、様々な釣りで80点以上の性能を発揮する究極のオフショアバーサタイルロッドを目指したのが、今回ご紹介する上位機種のクロスミッションXRといえるでしょう。
ラインナップ
クロスミッションXRのラインナップは、ベイト3機種、スピニング2機種の全5モデルです。
福永
他のシリーズと比べると少なく感じるかもしれませんが、それだけ1本ごとの汎用性が高いということですね。
シマノの自信を感じます!

出典:シマノ
長さはすべて6ft6inなので、ベイトかスピニングかの選択と、使い方に応じた硬さを選べばOK。
ティップランのように、ショートキャストを行う釣りにはスピニングがおすすめです。
クロスミッションXRが得意な釣りは底取りが重要となるものが多いので、硬さに関しては釣行エリアの水深を目安に選ぶと良いでしょう。
硬さ選びのポイント
例えば、タイラバやジグの重さは、風や潮の流れが弱く素直にルアーが沈む状況で、最低でも水深=ルアーウェイト。(水深40mならばルアー40g)
たいていの場合、風や潮の流れがあっても底取りできるように、水深の1.5倍~2倍のルアーウェイトを使用することが多いでしょう。
福永
遊漁船の場合は、ルアーウェイトを指定される場合も多いので、確認の上、ロッドの硬さを選択しましょう。
B66Mを購入!
筆者はB66Mを購入。カヤックフィッシングの幅を広げたかったことが大きな購入動機です。
これまでは東京湾奥がホームということもあり、シャローエリアでのシーバス狙いがメインでしたが、深場でのジギングやタイラバにも挑戦したいと思い、何か良いロッドはないかと思案。
1本で様々な魚を狙えるロッドを探していたところ、クロスミッションシリーズの存在を知り、その中でも各部を自分好みに変えられる「XR」の購入を決断しました。
福永
想定した釣り場の水深は、60m前後。MAXルアーウェイトがジグで120g、タイラバで150g。水深の2倍のルアー重量まで対応できるロッドが欲しかったのでバッチリでした。
カヤックではできるだけ荷物を減らしたいので、この手のロッドはめちゃくちゃ重宝します!
クロスミッションXRの特徴
ティップスイッチシステムがめちゃくちゃ魅力的!

クロスミッションXRの最大の魅力は、なんといってもティップスイッチシステム。
ソリッドとチューブラーのティップが標準装備で、必要に応じて交換可能な機構です。
いわゆるハイエンドロッドは、感度や軽量さに優れる最上級の素材や設計を採用していますが、すべての釣り人がその恩恵を感じとれるかといえば、微妙なところでしょう。
その点、“1本のロッドが2種類の特性を持つ”魅力的なティップスイッチシステムは、たとえ初心者であっても一目瞭然で便利さがわかるのではないでしょうか。

ソリッドは並継、チューブラーは逆並継と継ぎ方法をも併用する凝った作りで、また、ガイドセッティングもそれぞれ最適化。
ティップを折ってしまった際の修理が簡単なこともメリットの一つといえます。
▼ソリッドティップ

高い強度を誇るタフテック∞(インフィニティ)を採用したソリッドティップは、繊細で柔らかないわゆる乗せ調子。
巻きの釣りであるタイラバや、微細なアタリをとっていくイカメタル、ティップランエギングなどに向いています。
ガイドは小径かつ角度が付いているタイプで、絡み予防を重視した仕様です。
赤と白のカラーリングで、目で見てアタリがわかりやすい点も特徴ですね。
▼チューブラーティップ

チューブラーティップは張りがあり、キビキビとルアーを動かすのに最適。
SLJやライトジギング、インチクなど、積極的にロッドをシャクって誘う釣りには、チューブラーティップを装着します。
ガイド径は大きめで、糸抜けの良さを重視したKガイド仕様を採用しています。
Xシート採用でグリップも変えられる!


ベイトモデルのグリップには、Xシートを採用。
リールを脱着するのと同じくらい簡単に、グリップ部分を交換できます。
ティップスイッチシステムと同様に、状況や釣り方に応じてグリップの仕様を変えられて、バーサタイル性の向上に貢献しています。
クロスミッションXRの標準装備は一般的なトリガータイプですが、タイラバに適したグリップにも変更可能。
右巻き・左巻きの違いや、手巻きリール用のSサイズ・電動リール用のMサイズのラインナップで、最適な握り心地や使いやすさを探して、自分でカスタムすることが可能です。
福永
Xシート用のグリップは、クロスミッションXR以外にもエンゲツシリーズやワールドシャウラの一部モデルなど、シマノの様々なロッドに着用できますよ。
クロスミッションXRを実釣インプレ
ここからは、カヤックフィッシングをメインに実際に使い倒してのインプレをお届けします!
スムーズな曲がりにうっとり!

見てください! この曲がり!
魚を掛けてみて最初に感じたのは、ティップ部分でジョイントしているのがわからないくらい曲がりがスムーズで美しいなと。
センターカットではなく、ティップとグリップをジョイントした変則3ピースなのですが、それが気になることはまったくありませんでした。
福永
魚とのやりとりの最中に、ついつい写真を撮りたくなってしまうほど綺麗な曲がりです!
細い!軽い!でも強い!

一見すると、細身でライトな印象のクロスミッションXR。
試しに、手持ちのライトゲームロッドと並べてくらべてみたところ、クロスミッションXRの方がバットがスリムで驚きました。
ですが、実際には大型青物の強烈な引きを受け止めるバットパワーを秘めています。
曲げ・ネジレ・つぶれなどに対する強度を徹底追及したスパイラルXコア構造を、ハイパワーXでさらに武装しており、軽くて強いブランクス性能を実現。
ティップスイッチシステムに目を奪われがちですが、強さに関しても最上位モデルらしい構造を採用しているのです。

実際にブリを釣ったときに、その強さを実感。
20分近いファイトでしたが、バットがしっかりと粘ってくれて安心してファイトすることができました!
やっぱり素晴らしい可変システム!

マダイを狙っていて、タイラバからメタルジグに変更したり、あるいは思いがけず回遊してきた青物狙いに方針転換したりすることは、釣りをしていればよくあること。
そのようなときこそ、クロスミッションXRの本領発揮です。
ティップスイッチシステムとXシートの恩恵で、専用ロッドと遜色ない性能で釣りを展開できました。
買ってよかったと感じた5つのメリット
クロスミッションXRを買って気づいたことは、所有していることで考え方や行動に良い影響があることです。
ロッドとしての性能はもちろん良いのですが、それ以外で感じたメリットをご紹介します。
①いろいろな魚と出会えた!

クロスミッションXRを手に入れ、気軽に新しい釣りに挑戦できるようになった結果、いろいろな初魚種を釣り上げることができました。
また、初めての釣り場・釣り方など、新しい経験をすることが増え、釣り人としての幅が広がった気がします。
②カヤックでもボートでも遊漁船でも!

普段カヤックフィッシングばかりの筆者が、初めて船釣りに誘われたときのプランが、午後に出船し夕方まではライトジギング、日没後はイカメタルというもの。
ティップスイッチシステムを存分に生かし、どちらの釣りもクロスミッションXR1本で対応できました。
カヤックに限らず、マイボートや遊漁船、SUPに乗るときにも使い回しがきく、クロスミッションXRの便利さを感じた場面でした。
福永
専用ロッドを持っておらず、かといってレンタルタックルはイヤだという、余計なこだわりだけがある悩ましい状況。
正直なところ、万能性が高いクロスミッションXRが無かったらお誘いを断っていたかも……。
魚だけでなく、人との絆もつないでくれたロッドに感謝です。
③結果的にコスパが良い!

今までは、新しい魚種や釣法にトライする際、専用ロッドを買うかどうかが大きなハードルでした。
しかし、様々な釣りに対応するクロスミッションXRのおかげで、初めての釣りにも気軽に挑戦可能に。
実売価格で30,000円前後と決して安い価格ではないですが、何本も専用ロッドを買うことにくらべるとコスパ抜群だといえます。
④タックル数を減らすことができる!

スペースの制限が大きく、身動きが取りにくいカヤックフィッシングでは、なるべくシンプルな装備が望ましいもの。
以前はタイラバ用・ジギング用・ティップラン用・キャスティング用といった具合に、多いときは4~5本積んでいったこともありましたが、現在はクロスミッションXRとキャスティング用のロッドの2本体制で、ほとんどの釣りに対応できてしまいます。
福永
万が一転覆した場合、カヤック自体が沈むことはないのですが、多くのタックルを失う可能性が……。その意味でもタックルは少なめが良いのです。
⑤ロッドが釣りの幅を広げてくれる!

もともとはジギングとタイラバをメインに考えて購入したのですが、クロスミッションXRの釣種対応表には、それ以外の釣り方が多数記載されています。
そうすると、次はオモリグもやってみよう、インチクも持っていこうかな……となり、ロッドがアングラーに新しい釣りジャンルを提案する状況が生まれます。
新しい釣りに気軽に挑戦できるのは、このロッドの大きなメリットです。
福永
いろいろな釣具がほしくなってしまうきっかけにもなるロッドなので、くれぐれも買い物は計画的に進めましょう。(笑)
気になる点や注意点
ティップ交換は少し手間

ティップスイッチシステムは素晴らしいのですが、たいていの場合一度ラインをカットしてガイドに通しなおす必要があります。
仕方ない部分とはいえ、何度も付け替える場合は少々面倒に感じる方もいるかもしれませんね。
筆者の場合、実際に釣り場でティップ交換するのは多くても2、3回なので、あまり面倒だとは感じていません。
もう1タックル増やすとなると、ロッドだけでなくリールやラインに関しても、準備や使用後のメンテナンスが必要になるので、そちらの方が面倒に感じます。
福永
個人的には、ティップ交換が「XR」を使っている実感が最も湧く瞬間で、買って良かったなあと思いながら作業していますよ。
専用ロッドには敵わない

この手のロッドではよく言われることですが、突き詰めた部分では専用ロッドに敵いません。
その釣りにどハマりした場合は新しい専用ロッドが欲しくなり、結局大きな出費に繋がってしまうなんてことも。
ハイエンドにこだわる方は、あらかじめ専用ロッドもチェックしておいた方が良いかもしれません。
福永
そもそも汎用性を重視したクロスミッションシリーズのコンセプトから言えば当然ともいえます。
キャスティングには別のロッドが必要

いくら万能とはいっても、あくまでバーチカル(垂直方向)の釣りでの話です。
ショートキャスト程度はこなせますが、プラグやジグをフルキャストするような釣りには向いていませんのでご注意を。
福永
筆者もカヤックフィッシングのときには、クロスミッションXRのほかにキャスティング用ロッドを1本積んでいます。
アングラーを選ばない最強バーサタイルロッド

クロスミッションXRはこんな人におすすめ!
- オフショアのいろいろな釣りに挑戦したい人。
- 遊漁船やボート、カヤック、SUPでの釣りをする人。
- 釣り場に持ち込むタックルを減らしたい人。
- 対象魚ごとに高価なタックルを揃えるのは厳しいと感じる人。
今回、クロスミッションXRを使いこんでみて感じたことは、釣り人のレベルに関係なくおすすめできるロッドということです。
オフショア初心者が、いろいろな釣りを体験する入り口として購入するのは大いにアリ!
既に専用タックルを揃えているベテランアングラーでも、予備のロッドとして船に積んでいけば役立つ場面が数多くあるでしょう。
一言でいえば、オフショアゲームのエントリーモデルにしてハイエンドモデル。
ロッドのコンセプト・性能ともに素晴らしいクロスミッションXR、ぜひ一度チェックしてみてください。
シマノ クロスミッションXR B66ML
全長(ft) | 6.6 |
---|---|
継数(本数) | 3 |
仕舞寸法(cm) | 114 |
自重(g) | 111 |
ジグウェイト(g) | MAX80(鯛ラバMAX100) |
エギウェイト(g) | MAX60 |
スッテサイズ(号) | MAX20 |
錘負荷(号) | MAX30 |
適合PEライン(号) | MAX1.2 |
シマノ クロスミッションXR B66M
全長(ft) | 6.6 |
---|---|
継数(本数) | 3 |
仕舞寸法(cm) | 117 |
自重(g) | 114 |
ジグウェイト(g) | MAX120(鯛ラバMAX150) |
エギウェイト(g) | 90 |
スッテサイズ(号) | MAX30 |
錘負荷(号) | 40 |
適合PEライン(号) | MAX1.2 |
シマノ クロスミッションXR B66MH
全長(ft) | 6.6 |
---|---|
継数(本数) | 3 |
仕舞寸法(cm) | 122 |
自重(g) | 119 |
ジグウェイト(g) | MAX160(鯛ラバMAX200) |
エギウェイト(g) | MAX120 |
スッテサイズ(号) | MAX40 |
錘負荷(号) | MAX50 |
適合PEライン(号) | MAX1.5 |
シマノ クロスミッションXR S66ML
全長(ft) | 6.6 |
---|---|
継数(本数) | 3 |
仕舞寸法(cm) | 120 |
自重(g) | 101 |
ジグウェイト(g) | MAX80(鯛ラバMAX80) |
エギウェイト(g) | MAX60 |
スッテサイズ(号) | MAX20 |
錘負荷(号) | MAX30 |
適合PEライン(号) | MAX1.2 |
シマノ クロスミッションXR S66M
全長(ft) | 6.6 |
---|---|
継数(本数) | 3 |
仕舞寸法(cm) | 123 |
自重(g) | 104 |
ジグウェイト(g) | MAX120(鯛ラバMAX120) |
エギウェイト(g) | MAX90 |
スッテサイズ(号) | MAX30 |
錘負荷(号) | MAX40 |
適合PEライン(号) | MAX1.2 |