ニザダイ(別名:サンノジ)ってどんな魚?なぜ磯臭くなるのか
ニザダイは特徴満載な魚
ニザダイはスズキ目ニザダイ亜目に分類され、広い意味ではスズキの仲間です。またニザダイ亜目には、同じく海釣りの厄介者「アイゴ」がいます。
ニザダイは最大で40cm前後まで成長し、平たい魚体や小さな口、そして尾柄部にある4~5本の横縞模様が特徴です。
とくに前方の3本の横縞模様がよく目立ち、漢字の『三』に見えることから「三の字=サンノジ」とも呼ばれます。
ニザダイはカワハギの仲間ではない
ニザダイの皮膚は、まるでカワハギの仲間と間違えるようなザラザラとした質感で、とても掴みやすいです。
ただしニザダイの尾柄部には、アジのゼイゴにも似た鋭い骨質板があるので注意しましょう。
とても鋭い突起が由来となり、英語ではsawtail fish(銛の尾を持つ魚)と呼ばれます。
ニザダイが嫌われる理由①:グレ釣りの厄介者
ニザダイは、おもにグレを狙った磯釣りの外道として掛かってきます。
おちょぼ口で上手に餌を針から取ってしまったり、いざ掛かると強烈な引きでハリスを切っていったりするため厄介者扱いされています。
ニザダイが嫌われる理由②:磯臭くて不味い
ニザダイは、食べた藻類をとても長い腸でゆっくりと発酵させながら消化する性質があり、腸内の腐敗臭(好きな人にとっては発酵臭)が身にも移っています。
想像しただけで食べたくなくなりますよね……。 でも、食べる海藻の種類によっては、匂いの無い身質にもなります。
大手回転ずし店が寿司ネタにするほど、ニザダイは条件さえ揃えば“脂が乗ってメチャ美味しい”白身魚です。
記事後半では、ニザダイの持ち帰り方や臭みを軽減させる方法、そして美味しい食べ方をご紹介しますね。
ニザダイが嫌われる理由③:海藻を食べまくる
アイゴやクロダイ、そしてウニなどと同様にニザダイも磯焼けの原因となる生き物として知られています。
磯焼けの原因は、草食性魚類だけが原因とは言いづらいですが、ニザダイは海藻を主食とする草食性に近い雑食性であることは間違いありません。
一方で、ニザダイの主食はこちらも磯焼けの原因とも言われる“石灰藻”とされており、悪者なのかそうでないのかしっかり調査研究する必要があるでしょう。
強烈な引きが醍醐味!ニザダイの釣り方
ニザダイは外洋に面した磯場に多い
ニザダイの分布域は北海道を除く日本各地と広く、とくに外洋に面した磯場に多く生息しています。
草食性のため海藻が繁茂しやすい浅い水深を好み、10mより浅い場所で群れを作って生活するニザダイ。
ニザダイはオキアミもよく食べます
ニザダイは、グレ釣りと同じ釣り方で釣ることができます。
集魚剤とオキアミを撒き餌とし、フカセ釣りやウキ釣りで狙ってみましょう。
餌は海藻を付けるよりも、オキアミの方がよく食ってきますよ!
マルキュー くわせオキアミV9
・内容量:70g
▼フカセ釣りの基礎はこちら
ニザダイを狙う仕掛け|針は小さく、ハリスはフロロで
ニザダイの口はとても小さいので、針はグレ用の小さい物を選ぶと良いでしょう。
また、ニザダイの引きは強烈なので、ハリスは竿の強度に合わせて2~3号のフロロにすると安心です。
デュエル フカセ MAX
・太さ:3号
・カラー:ナチュラルクリア
・内容量:50m
▼フカセ釣りのタックルの基礎知識
ニザダイの磯臭さを抑えるためのコツ
ニザダイが釣れたらすぐさま血抜き&エラ内臓抜き
ニザダイが釣れた場合は、すぐに血抜きを行いエラと内臓を丁寧に取り出しましょう。
先ほども触れたように、ニザダイの匂いはおもに消化物に由来するため、内臓はできる限り傷つけずに取りましょう。
頭ごと落としちゃうのが簡単でオススメです。
クーラーボックスでキンキンに冷やして持ちり、すぐ食べる
ニザダイ特有の磯臭さを極力抑え込むために、海水氷でしっかり冷やして持ち帰りましょう。
また、体表の粘液や腹腔の血やヌメリが身につかないよう、丁寧に捌きましょう。
ニザダイの身を3%食塩水で洗う
ニザダイの磯臭さ対策としてもう一つやって欲しいことが、3%程度の食塩水で冊にした身をサッと洗うことです。
これで身がキュッと締まり、匂いも緩和されます。
美味しいニザダイに当たればラッキー!でも、夏は要注意……
ニザダイは通年脂が乗っている
ニザダイは、通年脂が良く乗る魚としても知られています。
とくに真冬のニザダイは磯臭い個体が少なく、ニザダイの美味しさを知っている人は必ず持ち帰るほどです。
ニザダイは刺身がマジで美味!高級食材かと思うレベル
磯臭さの抜けたニザダイのお刺身は、たっぷり脂が乗り釣りたての洗いにも関わらず、甘くって本当に美味しいんです。
鮮度抜群なニザダイは、歯ごたえが強く触感も美味しさに拍車をかけてくれます。
唐揚げにすればある程度匂う個体でもOK
どうしても、いきなりニザダイを生食する勇気が無い……という方は、唐揚げやフライにすると良いでしょう。
お刺身と同じように丁寧に捌き、食塩水で洗った身にニンニク醤油や唐揚げ粉で強めに下味をつけて、油で揚げれば美味しく食べられるでしょう。
真夏のニザダイは。手の打ちようがない個体もいる
ニザダイの磯臭さは、食べている餌の種類と水温に関係していると感じます。
そのため、とくに夏のニザダイはどんなに丁寧に処理しても磯臭くて食べられない個体がいるのも事実です。
まずはじめは、寒い季節にニザダイが釣れたら食してみることをオススメします。
ライタープロフィール
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017
関連記事