サヨリとは
サヨリの特徴は細長い体形と長い下顎

サヨリ(Hyporhamphus sajori)は、ダツ目サヨリ科サヨリ属に分類され、細長い体と尖った吻端を持つ海産魚です。
とりわけ下顎が突出するのがサヨリの特徴であり、ダツとは上下ともに長く突き出た吻を持つ点において見分けられます。
▼ダツを解説した記事です
サヨリの最大サイズは約35cm

サヨリの寿命は一般的に2年と言われており、最大で30~40cm程度まで成長。
30cmを超える大型のサヨリは“閂(かんぬき)サイズ”とか“サンマサイズ”と呼ばれ、秋に釣れ盛る20cm前後のサヨリは“鉛筆サイズ”と呼ばれます。
生息域は北海道から九州にかけての沿岸部

サヨリの生息域は北海道から九州にかけての沿岸部と広く、日本各地で釣り対象魚として人気があります。
サヨリは汽水域にも侵入する魚で、港湾や河口といった内湾部がおもな釣り場です。
動物プランクトンや微細な藻類を食べる雑食性

サヨリは海面スレスレの極表層を泳ぎながら、動物プランクトンを主食としながら藻類の破片なども捕食する雑食性の魚です。
そのため、サヨリ釣りに使用するコマセはアミエビにヌカ入りの集魚剤を混ぜるのが一般的。
集魚剤を加えることで遠投性に優れたコマセとなるだけでなく、水中での煙幕要素も相まって集魚力が増し、ハリスも見破られにくくなります。
サヨリの産卵期は4~7月

サヨリの繁殖期は春から初夏とされ、藻場や流藻に対して群れを成して産卵します。
サヨリの卵は粘着沈性卵であり、藻にくっついた卵は水温15℃の場合、約2週間で孵化します。
サヨリの釣れる場所と時期
潮通しの良い堤防や河口部の突堤

沿岸域に生息するサヨリは、湾奥部や河口域など人の生活圏に近い場所で釣ることができます。
そのような内湾部の中でも、とくに潮通しの良いポイントが狙い目です。
岸壁の場合は角地、堤防や突堤の場合は先端が好ポイントと言えるでしょう。
サヨリ釣りの時期は秋から冬、所により春も釣れる

鉛筆サイズの数釣りを楽しめるのは、夏の終わりから冬の始まりにかけてです。
この時期は群れがまとまっていることが多く、1日で50匹や100匹と釣れることも珍しくありません。
一方で30cmを超えるような大型は冬から春にかけてが狙い目となりますが、サヨリは地域や年によって接岸時期や量が大きく異なりますので、直近の釣果情報を参考にしながら釣行すると良いでしょう。
よく釣れる時間帯はマヅメ時や上げ潮

サヨリは昼行性の魚ですので明るい時間帯に釣れますが、やはり警戒心が薄れて食いが立つのは朝夕のマヅメ時です。
さらに、河口域や水深の浅いポイントでは上げ潮や潮位が高い時間帯が狙い目となります。
また、曇天や雨天など光量の少ない状況の方が釣果が上向きやすい魚です。
サヨリの釣り方と仕掛けについて
ウキ釣り
飛ばしウキ+シモリウキの専用仕掛け

サヨリは水面直下を泳ぐ性質を持つため、ウキ釣りで狙うのが主流です。
コマセを撒くと足元までサヨリが寄ってくるような場合は、のべ竿とシモリ仕掛けで手返し良く釣るのがオススメです。
一方、サヨリが沖で群れている状況では、リール竿でスーパーボールとカゴを使った遠投仕掛けを用いましょう。
オーナー ぶっ飛びサヨリ仕掛
入数 | 1セット |
---|---|
替え針 | 2本 |
全長 | 1.1m |
号数 | 3.5号、 4号、 5号 |
コマセカゴと遠投性能に優れたスーパーボールを使ったサヨリ専用仕掛けです。
ストッパー付3連シモリウキとカラミ防止ロングパイプにより、遠くのアタリも見やすくなっています。
リール竿のタックル
- 竿:磯竿1.5号前後、エギングロッドなど
- リール:小型スピニングリール(2500~3000番)
- ライン:ナイロン3号、PE0.8~1号+リーダー3~4号程度
- 仕掛け:サヨリ仕掛け
延べ竿のタックル
- 竿:延べ竿4.5~5.4m
- 仕掛け:のべ竿用のサヨリ仕掛け
餌は石ゴカイやアミエビなど

サヨリ釣りの定番餌は、石ゴカイと小粒なオキアミ、アミエビ(サシアミ)です。
その中でも、遠投を必要とする場合は針持ちの良い石ゴカイがオススメ。

石ゴカイは頭を取り、針に短く真っすぐと付けるのがコツです。
オキアミの場合も、針の大きさに合わせてこぢんまりと付けると針掛かりが良くなります。
ちなみに、はんぺんやかまぼこでも釣れることが知られています。
コマセを撒きながら表層を釣る

サヨリは一定速で水面を動くものに好奇心を持ち、追いかけてくる性質があるため、リールを巻いてゆっくりと仕掛けを引っ張りながら誘います。
カゴからコマセが少しずつ零れて煙幕の帯ができることで、その中にある付け餌をサヨリが食うわけです。
サヨリが餌に食いつくと、シモリがギュンと動いたり、サヨリがジャンプしたりと明快なアタリが出ますので、リールをグリグリッと巻いてアワセを入れましょう。
マルキュー サヨリパワー
内容量 | 380g |
---|---|
主原材料 | 糟糠類、麩、魚粉、パン粉、コーボ、キララ、乳酸菌製剤 |
栄養成分 | 粗タンパク17.6%以上、粗脂肪6.8%以下、粗灰分9.9%以下、炭水化物70.9%以下 |
水面直下を泳ぐサヨリを狙うために、比重の軽い素材で作られた集魚剤です。
溶かしたアミエビやイワシミンチに混ぜるだけで使えます。
ルアーフィッシング(サヨリング)
アジングタックルをそのまま流用

サヨリは水面直下を動くものに興味を持つため、ワームや状況が良ければスプーンなどのルアーでも釣れます。
アジングタックルをそのまま流用できますので、サヨリの群れに遭遇したらぜひサヨリングを楽しんでみましょう
ルアー釣り用タックル
- ロッド:アジングロッド6~8ft、エギングロッド(フロートリグの場合)
- リール:小型スピニングリール(1000~2000番)
- ライン:PE0.3号+リーダー1.5号
- ルアー:ジグヘッド0.5g前後+1~2cm程度にカットしたイソメ系ワーム
小さくカットしたイソメ系ワームがオススメ

ワームは細身のものが良く、イソメ系ワームを2cm程度にカットして使うのがオススメです。
また、3号程度の袖針をアシストフックとしてジグヘッドに装着すると、フッキング率が格段に向上します。
サヨリの群れまで距離がある場合は、フロートリグを使って飛ばしましょう。
ガルプ ソルトウォーターイソメ細身
サイズ | 4インチ |
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入数 | 12本 |
対象魚を選ばない超万能イソメ系ワームです。
サヨリ釣りに使用する場合はカットしてください。
表層を意識してただ巻きで釣る

ルアーで釣る場合も、表層を意識することが重要です。
水面直下をゆっくりとただ巻きすると、数匹単位で追いかけてワームを啄んできますよ。
サビキでは釣り辛い魚だけど……

サヨリは水面直下を泳ぐため、サビキ釣りでやや釣り辛い魚ですが、群れが岸壁沿いまで来ている状況でしたら一般的なサビキ仕掛けでも釣れます。
夏から秋にかけて、サヨリのサイズが小さい時はサビキ釣りの方がたくさん釣れることもあるので覚えておきましょう。
一方で、岸壁から少しキャストしないと釣れないことも多いため、やはりサヨリを狙う場合は専用仕掛けを持っておくのがベターです。
サヨリの締め方と捌き方
氷締めにして鮮度良く持ち帰る

釣れたサヨリは氷締めにして持ち帰ります。
サヨリはピョンピョン飛び跳ねて水汲みバケツからすぐに脱走しますので、クーラーボックス直行がオススメです。
ウロコを引いて腹の黒い膜を取る

捌く際は他の魚と同じく、ウロコを引いて頭と内蔵を落とします。
サヨリの腹は真っ黒な内膜で覆われていますので、指でしごいて綺麗に流しましょう。
一説によると、この黒い内膜は腹腔内に光を透過させない役割があるそうです。
寄生虫“サヨリヤドリ虫”は無害です

サヨリを捌いていると、おもにエラから白いダンゴムシのような寄生虫が出てきます。
これはサヨリヤドリムシというウオノエ科の等脚類で、人に害を与えることはありません。
ちなみに、両側のエラに雌雄1匹ずつ寄生します。
ちょっとグロテスクで驚くかもしれませんが、寄生率はとても高く、付いていて当たり前ですので気にせず捌いていきましょう。
サヨリの旬とオススメの食べ方
サヨリの旬は秋から冬にかけて

サヨリの旬は一般的に冬から早春とされています。
この時期になると釣れるサイズも大きくなり、食べ応えも十分です。
大型は刺身や寿司ネタに

サヨリの身は透明感のある白身で、刺身にするととても美しいです。
大きいほど旨味と甘みがあり、最後にサヨリ特有の香りが残ります。
白身魚というよりは青魚に風味が近いので、個人的にはワサビよりも生姜派です。
小型は天ぷらや塩焼きに

鉛筆サイズのサヨリは天ぷらがオススメ。腹開きにすることで細いサヨリでも見た目が大きくなります。
サヨリの天ぷらはフワリとした食感と身の甘さ、皮の旨味が楽しめて絶品です。
また、シンプルに塩焼きも良いでしょう。焼きたてを食べると、白身魚らしい旨味と皮からサヨリ特有の香りを楽しめます。
身近な楽しい釣りです!

サヨリ釣りは日本全国の身近な釣り場で楽しめる、魅力的な釣りです。
数を釣るなら秋、サイズを求めるなら冬から早春を狙って釣行してみてください。
サヨリならではの奥深い一面もあるので、きっと夢中になるはずです。
撮影:山根 央之
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