ダツの特徴や魅力を知ろう
鋭く突き出た“くちばし”がダツの特徴

まるで槍のようなくちばしが特徴的なダツという魚は、サンマやサヨリ、トビウオやメダカの仲間です。
上下共に伸びた吻には鋭い歯がぎっしりと並び、一度咥えた獲物を逃すまいと進化してきたことが伺えます。
さらっとダツはメダカの仲間とお伝えしましたが、一部の骨格構造が酷似していることから現状では、メダカはダツ目に分類されるという説が優勢です。
ダツは嫌われ者ですが……

「ダツは潮止まりに現れる外道」とか「不味くて釣れても嬉しくない魚」とか、悪評ばかり耳にするダツですが、今回の記事はダツの長所を深堀するのが主目的。
ルアーへの反応がすこぶる良いダツは、他の魚が釣れない時間に釣り人を癒してくれますし、食べ方を間違えなければ意外と美味しく食べることができる魚なんですよ!
だた、ちょっと危険な魚なので注意が必要です

ダツが生息する海域では、夜釣りではライトを付けたまま海面を覗いてはいけません。
ヘッドライトを付けたまま海面を覗いて目に突き刺さり命を落とす、といった悲惨な事故が過去に起こっています。夜の海では海面を照らしての移動、ライトを付けたまま海面を覗くなどの行動は避けましょう。
また、水中でも同様で、ナイトダイビング中に不用意に水面方向を照らさないよう注意が必要です。
エメラルドグリーンの魚体は一見の価値あり

どんな魚にも、魅力的な場所は必ずあります。魚の特徴を知ることで例え外道であっても、釣れた時の満足感が変わりますよ!
ちなみに、僕はコバルトブルーに染まるダツの体色が大好きです。
僕的にダツは怪魚ですね

釣りの対象魚としては嫌われ者かもしれませんが、生き物としては特徴満載で僕はカッコいい怪魚だと思っています。
今回は、ダツの仲間でも大型種と言われるオキザヨリをGetしたので、ダツの美味しい食べ方をお伝えいたします。
オキザヨリとダツの違いや見分け方について
オキザヨリはとにかくデカい!

ダツ科に分類されるダツの仲間は、世界に約30種が知られています。
なかでもオキザヨリは最大で130~150cmにまで成長し、ダツの仲間では最大種のひとつに数えらています。
ダツとオキザヨリの見分け方

ダツとオキザヨリの違いを見分けるには、尾びれの形に注目しましょう。
ダツの尾びれは上下対象的な形をしているのに対し、オキザヨリの尾びれは下側の方が長く発達しています。
ダツの仲間であるオキザヨリを捌いて分かる特徴について
ダツの仲間にはウロコがあります

サンマやサヨリ、メダカやトビウオにウロコがあるように、ダツにもウロコがあります。
ダツのウロコはやや大きめですが、薄いため包丁などで撫でると簡単に取ることができます。
お腹には卵がたっぷり!コレも食べてみよう

お腹を割いてみると、粒の大きい卵が出てきました。
ダツの仲間の繁殖期は初夏と考えられており、沿岸で産卵するようです。
小さいながらも肝も取れたので、卵と一緒に調理してみます。
気泡緩衝材のような特徴的な鰾(うきぶくろ)が出てきたぞ!

卵を取り去ると、まるで緩衝材のプチプチのような鰾(うきぶくろ)が出てきました。
他の魚の鰾とは形が大きく異なることに驚きです。鰾で呼吸する魚もいますが、それとも違うし、何のための構造なのか知りたいところです。
ダツ料理のフルコースを作っていきます
銀皮が美しいダツのお刺身

ダツをお刺身にする場合は、小骨が少ない後ろ側(尾びれ側)がオススメです。
血合い骨を抜くか、削ぎ落せば小骨の無い冊ができます。ダツには銀皮があるので、しっかり残すと見栄えが良くなりますよ!
脂が無さそうなダツの塩焼き

率直に魚の美味しさを知る上で大切なのは焼き魚でしょう。シンプルな料理こそ、その魚のポテンシャルが良く分かります。
ダツの塩焼きは、お世辞にも脂が多いとは言えず……食べる前から身のパサパサ感が分かります。気になるお味はのちほど!
ダツの輪切りで作る味噌汁

青魚で汁物を作ったことがあまりないのですが、チャレンジしてみました。
輪切りにしたオキザヨリの身に熱湯をかけ、すぐに冷水に入れます。ヌメリや残ったウロコを取り、出汁が出るように水から煮て味噌汁にしました。
僕はいつもフライにしています

ダツと言えば、山根家ではいつもフライにしています。
三枚におろし、腹骨や血合い骨を削ぎ取り、塩コショウで下味をつけて、パン粉多めで揚げます。
フライに加えて今回は、シンプルな唐揚げも作ってみました。塩で下味をつけ、片栗粉をまぶしてカリッと仕上げました。
ダツの卵は身と一緒に煮つけました

ダツの卵と肝は身と一緒に煮つけにしてみました。
身は熱を加えるとギュっと締まってしまいますが、煮汁がしみ込めば美味しそうですね!
さてさて、次は皆さんお待ちかねの食レポコーナーです! はたしてダツはどの料理が一番美味しいのでしょうか?
生・煮る・焼く・揚げる・漬ける。ダツの美味しい食べ方は?!
ダツのお刺身は鮮度が命かな

釣りたて新鮮なオキザヨリのお刺身からいただきます。
釣って数時間以内という鮮度の良さもあって、触感が良く、青魚特有の香りも相まって想像以上に美味しいです。
ダツに脂を求めるな!

続いて塩焼きを頂きますが……やはり、脂が極端に少なく、パサパサで旨味も少ない印象です。
一応、サンマのような香りは皮目から感じられるものの、焼き魚として不向きかなと個人的には思います。
揚げ物との相性は抜群です

フライにしてしまうと、どんな魚でも美味しく食べられるのですが、ダツのフライは脂が少ないせいか、程よく身がほぐれるので口当たりがとても良いです。
青魚の旨味がほのかに感じられるのもGood! やはり、ダツを美味しく食べるには揚げ物が良いですね!
小骨が気にならなければ汁物や煮つけも◎

初めて作ったオキザヨリの味噌汁、些か小骨が気になりますが、身はほぐれやすく味噌との相性も良いですね。
青魚の香りが好きな方にはオススメです!

煮つけは身が引き締まっているのでやや硬めです。卵は粒が大きいので食べ応えあり!
肝はカワハギよりあっさりしているものの、煮つけで美味しくいただけました!
ダツの漬けがベストマッチかも!レシピはこちら

思ったよりも魚体が大きかったので、残ったオキザヨリの身とごま油1:みりん2:醤油4:おろしニンニク少々の割合で一晩漬けこんでみました。
ニンニク醤油の風味がしっかりと身に染みていて白米が進みます! これが一番旨かったかも!
ダツに関しては、お刺身よりも漬けの方が僕は好きですね!
皆さんも大きめのダツが釣れたら、ダツ料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017