スリランカは天然バラマンディの穴場かも

家族で訪れたスリランカ旅行。
旅程の終盤、1日半だけ僕のワガママを聞いてもらい、ボートでバラマンディとナイフフィッシュ釣りを楽しんできました。
バラマンディといえば、アカメの近縁種であり、世界中のアングラーにとって憧れのターゲット。釣行先としてはオーストラリアが真っ先に思い浮かび、次いでマレーシアやインドネシアが定番ですが……。
意外にもスリランカがかなりオススメだったんです! その理由を、釣行記とあわせてご紹介しますね。
山根
「なぜ今までスリランカに来なかったんだー!」って本気で思いましたね。
▼スリランカの観光地のビーチで夜釣りを楽しんだ記事はコチラ
スリランカがオススメと感じた理由
航空券が比較的安い

スリランカがオススメと感じた理由は航空券が比較的安いこと。7〜10万円が相場といったところです。
今回は中国東方航空を利用して往復5万円程度でしたので、国内遠征と然程変わらない金額で行けちゃいました。
山根
成田空港には直行便も就航していますので、4〜5連休を確保できれば実釣2〜3日楽しめると思います。
物価が安くて治安が良い

スリランカの物価は日本と比べて1/2〜1/3と安いので、物価の高いオーストラリアよりも現地の滞在費用を抑えられます。
治安に関してもスリや引ったくりなど軽犯罪こそ頻繁に発生していますが、タイやマレーシアと同じく比較的良好です。
今回のようにフィッシングガイドを使えば海外釣行が初めての方にもオススメできる国と言えますね。
国際空港から釣り場が近い

今回、僕が実釣したのは首都コロンボから南へ20kmほどの位置にあるボルゴダ湖です。
コロンボのダウンタウンからタクシーで1時間、バンダラナイケ国際空港から1時間半という好立地です。
スリランカは観光立国ですので、ダウンタウンだけでなく湖周辺にも沢山の宿泊施設があり、予算に合わせて様々なグレードのホテルを選ぶことができます。
ボルゴダ湖について

ボルゴダ湖は海水と川の水が混ざり合う汽水湖であり、雨季と乾季で塩分が異なります。
海産魚であるバラマンディは乾季、ナイフフィッシュは雨季が狙いやすくなりますが、汽水湖という環境を活かして通年両種を狙うことができるのもスリランカのメリットです。
因みに、ボルゴダ湖があるスリランカ西部の乾季は11月から4月、雨季は5月から10月とされていますが、近年の気象変化により曖昧な年もあるようです。
山根
ボルゴダ湖はタイダルウォーターなので、季節よりも実釣日の月齢が重要になります。干満差が大きい時期を選んで釣行すると良いでしょう。
ブラックウォーターが流れ込むスポットも

ボルゴダ湖にはいくつかの川が流れ込んでおり、なかにはタンニンを含んだブラックウォーターもあります。
ブラックウォーターにいるバラマンディは、体色が鮮やかな金色に変化することがあり、この特別な色を狙えるのもボルゴダ湖の魅力です。
狙える魚種が豊富

淡水魚も海水魚も狙うことができるボルゴダ湖は、ルアーフィッシングの対象魚が豊富です。
列挙してみると……、バラマンディ、ナイフフィッシュ、マングローブジャック、ターポン、レディーフィッシュ、メッキ類、スネークヘッド、ジャイアントグラミー(ルアーで釣るの難しいケド)などなど。
個人的には、最初の5種がボルゴダ湖のグランドスラムかなと感じます。
ゴールデンバラマンディ(スリランカパーチ)

スリランカに生息するバラマンディは、2012年にLates lakdivaという学名で新種記載されています(僕がスリランカに来たかった理由はコレです)。
言われてみれば、オーストラリアで釣ったバラマンディよりも何となく体形が細長く感じますが……、僕のような分類素人には見分けがつきません。
因みに論文を読んでみると、いくつもある計数項目の中で釣り人が見やすいものとして、背ビレ第3棘基部から側線までの間の鱗の枚数がL. lakdivaでは5枚なのに対し、L. calcariferでは6枚という違いがあるようです。
スポテッドナイフフィッシュ

今回の第二目標としていたこの魚は、スポッテッドナイフフィッシュやフェザーバックと呼ばれ、最大で1m前後まで成長します。
ナイフフィッシュの仲間はアロワナ目に分類される古代魚であり、鰾(うきぶくろ:浮き袋)を肺のように使った空気呼吸を行うことが特徴。
本来はスリランカに生息しない移入種ですが、ルアーや餌釣りで狙える大型魚ということで釣り人から人気があります。
生き物がいっぱい

そうそう、ボルゴダ湖は街中にあるにも関わらず野生動物も沢山生息しています。
4mを超えるイリエワニが当然の如く泳いでいますし、夕方になると翼開長1.5mにもなるインドオオコウモリが飛び回っていました。
他にもワカケホンセイインコやウオクイワシが飛んでいたり、耳を澄ませば遠くでクジャクが鳴いていたり、目の前のマングローブではハヌマンラングール(猿)が木々を揺らしています。
ボルゴダレイクで狙うバラマンディ

そんなボルゴダ湖を案内してくれたのは、Sports Fishing Lankaの二コというフィッシングガイドです。
何でも釣りガイドとして世界中を巡り、子供が産まれたことをキッカケに治安の良いスリランカに腰を据えたとのこと。
ボルゴダ湖だけでなく、外洋でのGTやマーリンを狙った釣りも案内している超人気ガイドであり、彼の存在もまたスリランカでバラマンディを狙うメリットと言えます。
山根
インドやスリランカに駐在する邦人客が多いようで二コは日本人慣れしていました。
バラマンディ釣りのコツ

バラマンディをボートから狙う際は、5ft後半のMHクラスのロッドとサスペンドタイプのジャークベイトを使うのが一般的です。
ミノーはしっかり左右に飛ばして、確実に止める。ルアー回収時にもピタッと止めてみる。バラマンディは、基本的にポーズ中にアタリが出ます。
山根
この釣りに挑戦すると決めたら、ストラクチャーやブレイクに対して正確に投げられるように練習しておくと良いですよ。
ドラグは緩く、アワセもゆっくり、何より焦らないこと

バラマンディは同サイズであってもシーバスとは桁違いのスプリント力を持つので、ドラグは緩めに設定しましょう。
水ごとルアーを吸い込みますので、フッキングはスイープに。
ドラグを締めて過剰にフッキングすると、あっさりスプリットリングが破断したりルアーが壊れたりするので要注意ですよ。
山根
PE3号+ナイロンリーダー50lbというバランスで実釣しました。ルアーがしっかり動くことを優先してタックルやフックのバランスを考えましょう。
水草の切れ目が狙い目

ボルゴダ湖は水草が豊富なので淡水域で釣りをしているかのような感覚になります。
一方で俯瞰してみると、水草が生えている場所とそうでない場所が明快に分かれています。
水草は海水では繁茂できないため、ウィードエッジがブレイクや塩分の境目になっていて、好ポイントになりやすいんです。
午前中は2バイト1キャッチ

ここからは、ボルゴダ湖での釣果について振り返っていきましょう。
初日の午前中は第一目標であるバラマンディを狙って、2バイト1キャッチでした。
マングローブジャックも釣れました

他にもマングローブジャックが2匹、メッキが数匹釣れました。
汽水域の釣りらしく、アタリが多くてじつに楽しいひと時です。
昼食は湖畔のホテルでランチ

潮止まりの時間を見計らってお昼休憩です。
湖畔に建つホテル兼レストランでのランチなんて贅沢ですよね。

スリランカといえば、スープカレーとロティ(薄いナンみたいな感じ)が定番ですが出てきたのがパスタでビックリ。
丁度、カレー料理に飽きてきたころ(豆もチキンも魚も蟹もカレーになるんです……)だったのでありがたかったです。
山根
お互いに世界中を旅しているので話が盛り上がります。自慢話をし合ったり、情報交換したり、世界の釣り事情について2時間ずっと喋りっぱなしでした。
午後はナイフフィッシュをリクエストするも……

午前中にバラマンディを釣ることができたので、午後からはナイフフィッシュをリクエストしましたが、乾季であることと、これから上げ潮なのでちょっと難しいかもと伝えられます。
それなら、バラマンディ狙いでお願いします! ってことでミノーをジャークしていると『ゴンッ!』と来て、『ガバガバー』っと水柱が立ちました。
ジャークベイトでヒット!

今まで夜の餌釣りでしかナイフフィッシュを釣ったことがなかったので、ルアーで釣れて達成感の高いイッピキとなりましたが……。
欲を言えば、ナイフフィッシュ特有の釣り方『呼吸打ち』で釣りたかった……。
そうこうしているうちに、シャローでバラマンディのボイルが始まりました。
ゴールデンバラマンディもキャッチ!

ベイトが逃げまどうウィードエリアにミノーを投げ込むと、『トンッ』というルアーが吸い込まれる感触がロッドに伝わってきました。
ギュンギュン走り回られ、最後は水草に潜られたりしましたが、なんとかランディングに成功。
これぞ、スリランカのゴールデンバラマンディですね!
山根
二コも認める納得の良型を釣り上げた途端、大雨が降ってきたので早めの撤収としました。
翌日、大雨後の半日釣行

幸か不幸か大雨は夜の間降り続き、翌朝には止んだものの、流入河川には雨の影響が出始めていました。
昨日のようにバラマンディを狙っていきますがメッキばかり釣れてバラの反応がありません。
一方で、時間が経つにつれてナイフフィッシュの呼吸が目立つようになります。
小型ルアーを使った呼吸打ち

二コに再びナイフフィッシュ狙いをリクエストして、僕がやってみたかった『呼吸打ち』に挑戦することになりました。
ブレスする位置と流れの強さからナイフフィッシュが定位する場所を予測し、バイブレーションやワームをリフト&フォールで流し込んでいきます。
30分程粘っていると『コッ』っと鋭く吸い込むようなアタリ!すかさず合わせると豪快に跳ね上がって抵抗します。

そしてついに、念願だった呼吸打ちでナイフフィッシュをキャッチ!
じつは10代の頃、初めてタイの湖を訪れたとき、呼吸打ちに挑戦したものの、釣り切れずに悔しい思いをした経験がありました。
だからこそ、今回こそはこの釣り方で仕留めたかったんです!

ナイフフィッシュの呼吸打ちと言えば、『ブレード系ルアー』か『ソフトバイブ』が鉄板です。
ジグヘッドにワームも好実績ですが、個人的にはフックの数が多いシリコン系のバイブレーションが良い気がします。
マドネスジャパン シリテンバイブ53
長さ | 53mm |
---|---|
重さ | 8.5g |
山根
色々とルアーをローテしましたが、最終的にバイトを得たのはシリテンバイブ53にブレードチューンを施したものでした。
スリランカのバラ&ナイフ釣りオススメです!

今回はスリランカの汽水湖『ボルゴダ湖』での実釣記事を書かせていただきました。
タイやマレーシアの釣り堀のように確実に釣れるとは言い切れませんが、『せっかく海外に行くなら野生の魚達に挑戦したい』と感じる方には本当にオススメです!
バラマンディを釣ってみたい方は東南アジアやオーストラリアに加えて、スリランカも候補にしてみてはいかがでしょうか。
撮影:山根央之
編集部
今回、山根家が世界遺産にも足を運んだかは……定かではありませんが、スリランカには魅力的な世界遺産が盛りだくさん。せっかくなら、魚と遺産、どちらも“釣り上げて”みてはいかがでしょうか?
スリランカ世界遺産一覧表
名称 | 種別 | 登録年 | 主な見どころ |
---|---|---|---|
聖地アヌラーダプラ | 文化 | 1982 | 仏教都市、菩提樹、巨大仏塔 |
古都ポロンナルワ | 文化 | 1982 | 仏像、寺院遺跡 |
古都シギリヤ(シギリヤ・ロック) | 文化 | 1982 | 岩山の王宮、壁画、絶景 |
聖地キャンディ | 文化 | 1988 | 仏歯寺、伝統文化 |
ゴール旧市街とその要塞群 | 文化 | 1988 | 城塞都市、植民地時代の町並み |
ダンブッラの黄金寺院(石窟寺院) | 文化 | 1991 | 洞窟寺院、仏像、壁画 |
シンハラジャ森林保護区 | 自然 | 1988 | 熱帯雨林、固有種、トレッキング |
スリランカの中央高地 | 自然 | 2010 | 国立公園、断崖、聖地スリー・パーダ |