みんな釣れるって言うけれど……
皆が口を揃えてめちゃくちゃ釣れる!と賛するロングセラーのルアーたち。
「そんなに釣れるなら!」と買って泳がせてみるものの、「正直、使いにくいなぁ……支持されてる意味がわからん!」と、手放してしまった記憶はありませんか?
使いにくいのは「ある能力」に特化しているから
でもよく考えてください。例えばスーパーカーはめちゃめちゃ速いですが、えてして燃費が悪いですし街乗りには向きません。
何か一つに特化するというのはそういう事なんです。
ルアーにも、それぞれ使いづらい要素はあるけれど、それを帳消しにできてしまうほど、“ある能力に特化したルアー”があります。
短所と長所はいつも紙一重。そんな愛すべきルアーをご紹介します。
その1:ビーフリーズ78S
ラッキークラフトが生んだ傑作ミノー。淡水海水問わず、日本はもちろん、海外にも絶対持っていくミノーがビーフリーズです。
1996年(なんと23年前)に生まれ、今も愛されているロングセラーで知らない人は居ないでしょう。
ビーフリーズには沢山のモデルがラインナップされていますが、筆者が最も多用するのは78Sです。
正直ここが使いにくい
▼軽くて飛ばない
重心移動が主流となった現在のミノー。それらのモデルと比べると固定重心のビーフリーズは飛距離が落ちます。重心移動モデルもソルトウォーター用でラインナップにはありますが、ほとんどのビーフリーズは固定重心です。
遠投性能がそこまで必要のないボートシーバス等は問題ありませんが、陸っぱりメインの方や、重心移動モデルが当たり前といった世代の方は、「もう少し飛んでくれれば……」と思うシーンもあるのではないでしょうか?
▼重いフックを乗せられない
ビーフリーズシリーズは浮力が絶妙にセッティングされているため、重いフックを乗せるとバランスが崩れてしまいます。ラインも同様で、セッティングはシビアなルアーと言えるでしょう。
▼強度は高くない
通常サイズのバスやシーバス狙いでは問題ありませんが、想定以上に大きな魚が掛かることが多いのがビーフリーズの特徴。
薄いボディのため破損しやすいという点があります。※仕事柄、海外での釣行が多い筆者だけの不満かもしれません。
ビーフリーズのココが凄い!
ビーフリーズの凄い点は“とにかく釣れる!”これに尽きます。デメリットは釣れるアクションを出すための布石なのです。
▼ただ巻きだけでも驚くほど魚が釣れる
固定重心のため、立ち上がりが良く、着水同時に泳ぎ出すレスポンスの良さを持っています。シーバス釣りにおいては「ビーフリーズのただ巻きはエサ」と言われるほど。
▼ポーズ時のナチュラルなヒラウチアクション
ビーフリーズ最大の武器はストップした際に見せるヒラウチアクション。ナチュラルにブルンッ! と震えるポーズアクションは抜群に効きます。
▼キレのあるアクション
ジャークベイトとしてのダート幅と、キレの良さは他のジャークベイトの追従を許さないほどです。明滅しながらのスライドアクションはカバーの中にいる魚を引っ張り出すほどのアピール力があります。
▼軽いリトリーブ抵抗
ビーフリーズは巻いたときの抵抗は驚くほど軽いにも関わらず、キッチリアクションをします。引き抵抗が軽いので気持ちよく攻めることが可能です。
その2:ジョインテッドクロー178
言わずと知れたS字形ビッグベイトの元祖でありながら、未だに絶大な人気を誇るルアー。バス用に開発されましたが、シーバスをはじめ他魚種でもなくてもならない必殺ルアーになっています。
正直ここが使いにくい
エキスパートの使用率が高いルアーという印象もあるジョイクロ。溺愛するアングラーがいる一方で、グーグル検索にも『ジョインテッドクロー 釣れない』という関連ワードが上位に上がってくるほど、釣れずに困っているアングラーもいらっしゃるようです。
▼根掛かりしやすい
S字形のジョインテッドクローはリップがなく、フックがむき出しの為、障害物に引っかかりやすいという側面があります。なのに定価は5,500円(税込)……。ストラクチャーの際を攻めるのにもドキドキです。
▼ただ巻きだけでは通じない
S字形アクションの特徴は、文字通りただ巻くだけで大きくS字を描きながら泳ぐアクションです。ただこのアクションだけでは”追ってくるけど食い切らない“ということが多々起こります。釣り人が食わせの間を作ってあげなくてはいけません。
▼細かい調整が必要
これはメリットとも言えますが、ジョインテッドクローの力を100%生かすには水温や水深に合わせた調整が必要です。ジョインテッドクローにはシンキングスピードがそれぞれ設定されたモデルが発売されていますが、それと合わせてラインの太さも合わせてあげる必要があります。
ジョインテッドクローのココが凄い!
ジョインテッドクローの凄さは対応できるシチュエーションの広さ、ビッグフィッシュに対する効果の高さでしょう。
▼好きなところで止められる
ジョインテッドクローはS字の泳ぎに追尾してきた魚に対して、ポーズを入れることで頭の良い魚もつい口を使ってしまうことが多々あります。
スライドしながら止まることによって、魚との距離が詰まり、思わず口を使ってしまいます。
▼ジャークベイトとして使うと魚が狂う
ジョインテッドクローはビッグベイトというカテゴリーですが、ジャークベイトとしても優秀なのです。強めのジャーキングを連続で加えると、魚を捕食しているビッグフィッシュたちが狂ったように襲い掛かってくることもあります。
▼流れの中でも効果を発揮

川や海などの流れがあるエリアでもジョインテッドクローは活躍します。流れにドリフトさせるだけで、揺れながら魚を誘いバイトに持ち込めます。
▼オモリを貼るとオールレンジ対応可能!
ジョインテッドクローの腹部に重りを貼ると自由に沈下スピードを調整できます。流れの強いところや深場を攻める時にはこのチューンを施すことで、多くのポイントがジョインテッドクローの射程圏内となります。
▼板オモリにフォーカスした記事です
その3:ビッグバド/マグナムバド
最後にご紹介するのは、名作バス用トップウォーターのビッグバド。水面ノイジ―系として昔から根強い人気を誇ります。
またオマージュ?されたマグナムバド(マグナムバッド)も、巨大なバスを釣る武器として多くのアングラーに愛されています。
正直ここが使いにくい
名作のバド系ルアーですが、ボックスに入ってはいるものの1度も釣ったことがない人もいらっしゃるのではないでしょうか。おもちゃみたいな見た目、強すぎるように見えるアピール力なども、信じて投げられない要因かもしれません。
▼場荒れする?
よく言われるのが、うるさすぎるルアーはポイントが荒れてしまうのではないか? という事です。
筆者はバドの音で場荒れするとは思っていませんが、どちらかというと回収時にバドがリップで潜ってしまい、木や草などを引っ掛けて荒らしてしまうという印象はあります。
バドを通すコースを見極めてルアーを通さないと、バスを散らせてしまう可能性はあります。
▼引き抵抗が重く、テンポが遅い
バド系ルアーには大きなリップがついているのですが、このリップによる巻き抵抗の重さはかなりのものです。毎投時間がかかってしまうので、ランガンなど広く探りたいときには向いていると言えないルアーです。
ビッグバド/マグナムバドのココが凄い
筆者はこのルアーを溺愛しており、毎年のようにこのルアーでバスを釣りまくっています。
ピンスポットに潜んでいるビッグバスを釣るうえで、ここまで威力を発揮するルアーはほかにも数えるほどだと思います。
▼ゆっくり巻くだけで強烈なアピール力
大きく首を振りながら、後ろについたブレードとボディが干渉することで強烈な音と波動を発生させます。
アピールの高いルアーは大場所向きと思われがちですが、ピンスポットのカバー奥に潜む魚を引っ張り出す力も持っています。
ワームでは見向きもしない魚が襲い掛かる光景は圧巻です。
▼小技が効く
バド系ルアーの特徴は移動距離の短さにもあります。首振りアクションを入れたりできるので、実は皆さんが想像している以上に繊細な攻め方もできるルアーです。
ただ巻きと組み合わせることで使える幅は大きく広がります。
▼マグナムバドにフォーカスした記事です
▼ビッグバドにフォーカスした記事です
釣れると言われる意味を見直そう!
なにかに特化したルアーはどこかで欠点があるもの。そのぶん特化した性能は他の追従を許しません。
釣れると言われるロングセラーのルアー。その「釣れる意味」をより深く考える事で、あなたの永遠の一軍ルアーになってくれるはずです。
この記事を書いた人
ビックリマン高田
海外釣行ツアーChillTrip所属のプロガイドであり、Transcendenceのロッドデザイナー。年間釣行日数は300日ほど。GTから近所の小魚まで淡水海水問わずになんでも釣ります。