PEラインの進化がすごい
PEラインとは、ポリエチレン製の原糸(イザナスやダイニーマ等)を編み込んで作った釣り糸のこと。
ポリエチレンは聞き慣れない素材かもしれませんが、身近なところだとレジ袋やゴルフ場のネットに使われていて、強度が高いのが特徴です。
PEラインが世に出始めて20年ほど経った現在は、目覚ましい進化を遂げたいろいろなラインが発売されています!
編み数で違いがある
冒頭でも触れた通り、PEラインは数本の原糸を編み込んで作られた“編み糸”です。
ちなみに、ナイロンやフロロカーボン、エステルラインは、1本の糸で作られているので“モノフィラメントライン”と呼ばれます。
話をPEラインに戻すと、原糸の本数によってPEラインの性質に大きな違いが生まれます。
編み数は4本と8本が一般的で、今では12本編みのPEラインも登場しているんです。
そこで今回は、現在主流となっている4本編みと8本編みのPEラインの違いについて解説します!
4本編みの特徴
擦れに強い
4本編みのもっとも大きな特徴は、8本編みに比べて“ちょっと擦れに強い”という点です。
なぜ擦れに強いのかというと……上のイラストのように赤い線の位置まで傷が入ったとします。
すると、4本編みは原糸の50%が残っているのに対して、8本編みは37.5%しか残りません。
この理屈に加えて、4本編みは1本1本の原糸が太いことも擦れに強い理由です。
とはいえ、フロロカーボンやナイロンに比べると圧倒的に弱く、あくまでも“ちょっとだけ強い”だけなので、過信は禁物!
糸鳴りがする
4本編みは原糸が太いので、8本編みよりも表面の凹凸が大きいです。
そのため、ガイドとの摩擦で糸鳴りが起こりやすく、負荷を掛けて巻いた際やルアーをジャークした時に大きな音がなります。
ぼくは実釣には「何ら問題はない」と思っているのですが、煩わしく感じる方も方は多いはずです。
中には、「糸電話現象で魚に音が伝わる」と言う人もいています。
価格が抑えめ
8本編みと比べて製造コストが低いため、実売価格が抑えめなところは4本編みの魅力です。
「安いからダメな糸」と思われがちですが、 じつは製造コストが低いだけなので品質が悪いわけではありません。
8本編みの特徴
飛距離が出る
表面が滑らかなことにより、4本編みより飛距離が伸びるのが最大のメリットでしょう。
ガイドとの摩擦が少ないので、ルアーが失速することなく飛んでくれます。
数値にすると数%程度の差ですが、「あと5m飛んだらな……」というシチュエーションは少なくないはずです。
表面が滑らかで快適
表面が滑らかなので、4本編みのような糸鳴りはしません。
巻き上げたり、ルアーを操作した時にノイズがないので、「釣りに集中しやすい」という人も多いと思います。
「編み数で伸びが違う」と言われているけど……
とくにオフショアジギングで気にされるのが、PEラインの伸び。
深いポイントで重いジグを使うオフショアジギングでは、ラインの伸び率によって操作感や感度が大きく異なります。
一般的には「4本編みの方が伸びない」と言われることが多いのですが、「じつはモノによって違う」と某釣り糸メーカーの方に伺いました。
原糸の数だけではなく、編み方や編み込みの密度によっても伸び率は大きく変化するらしく、「○本編みだから伸びない」とは一概に言えないそうです。
そのため、伸びにくいラインをお求めの場合は、“低伸度”を謳っている製品を選びましょう。
ちなみに、一般的なPEラインの伸び率は5%程度で、低伸度といわれるPEラインの伸び率は3%前後です。
編み数ごとに適した釣り
4本編みはこの釣り
4本編みは擦れに強い特徴があるため、それを活かした釣りにおすすめ。
ロックフィッシュや磯釣り、その他にもラインが擦れる可能性が高い釣りには4本編みが向いています。
ただし、耐摩耗性能を過信せず、できる限り擦れさせないことが大切です。
8本編みはこの釣り
8本編みは飛距離が求められる釣りにおすすめ。
ショアジギングや遠浅サーフなど、“ぶっ飛ばしてなんぼ”の釣りは間違いなく8本編みの出番です。
おすすめのPEライン
今まで使ってきたPEラインの中から、編み数別にイチオシのラインを紹介します。
各ラインのインプレッション記事のリンクも貼っているので、詳しい使用感を知りたい方はぜひご覧ください!
4本編み
低価格なアイテムが多い4本編みの中でも、かなりお手頃な部類に入るゴーセンのルーツX4シリーズ。
使用感も良くてかなりハイコスパなラインなので、頻繁に巻き替えて使うことで、常にいい状態のラインで釣りをできます。
ぼくはショアジギングで0.4号と0.6号の300m巻きを愛用しています。
8本編み
最近はこのラインでないとソワソワしてしまうほど気に入っている、ぼくの釣りになくてはならない存在。
強度や使いやすさ、耐久性など、すべての性能が高い次元でバランスしている超万能ラインです。
0.8〜2.0号までのPEラインは、すべてショアマスターで統一しています。
低伸度系
低伸度ラインの代表的存在である、バークレイのスーパーファイヤーライン。
正確には“PEラインではない”らしいのですが、低伸度かつ高い耐摩耗性を備えた唯一無二のラインといえます。
オフショアジギングやロックフィッシュ、渓流ルアーにおすすめです。
編み数はひとつの目安!
今回はPEラインの編み数について解説しましたが、これらはあくまでも目安程度に考えてください。
というのも、原糸の質や編み方、編み込み密度、表面のコーティングによっても糸の性質は大きく異なります。
そのため、編み数は“ラインの性質を決めるひとつの要素”というわけです。
これらを踏まえ、ルアーや竿に拘るのと同じように、ラインも拘ることでより釣りが面白くなることは間違いなし!
自分なりのベストなPEラインを見つけて釣りを楽しんでくださいね。