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「またバレた ......」PE全盛の今こそ、ナイロンラインを使うメリットを改めて。

「またバレた ……」PE全盛の今こそ、“その致命的な弱点”を改めて。

魚は掛かるのに、あと一歩で逃してしまう──そんな“バラシ癖”に悩むアングラーは少なくありません。

そこで見直したいのが、あえてナイロンラインを選ぶという発想です。

適度な伸びが衝撃を吸収し、やり取りの安定にもつながることも。

PE全盛の今こそ、ナイロンを使うメリットを改めて掘り下げます。

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目次

バラシ対策にナイロンラインという選択肢はありか?

今年のヒラスズキ釣行は、とにかくバラシに悩まされました。

魚は掛かるのに、なぜか取りきれない──そんな日が続いたのです。

とくに70cmオーバー確実の1本をバラした時は、しばらく固まるほど悔しかった。

「原因はフックかな?」「もっとこまめに交換すべきか……?」

そんなふうに対策を探していたタイミングで、TSURI HACK編集長・しみけん氏から——

「飛距離がそこまで必要ない場面なら、ナイロンラインに替えるのも手ですよ」

とアドバイスをもらったのです。

正直、ナイロンの“伸びる感じ”はあまり好きではなく、これまで選択肢に入れていませんでした。

しかし、クッション性がバラシ軽減につながるという理屈には確かに一理ある。

その一言が妙に引っかかり、気づけば僕の手元にはナイロンラインがありました。

KOBAYASHI

「本当にバラシ対策になるのか?」

その答えを確かめたくなったのです。

ナイロンラインとPEラインの違いを整理する

PEライン全盛の今、ほとんどのアングラーが当たり前のようにPEを使っていると思います。

むしろ「ナイロンラインは一度も使ったことがない」という人も、じつはかなり多いのではないでしょうか。

PEとナイロンの違いをざっくり整理すると、おもに次のようなポイントがあります。

比較項目PEラインナイロンライン
伸びほとんど伸びない(約4〜5%)よく伸びる(約25〜35%)
感度非常に高いやや低い
飛距離よく飛ぶあまり飛ばない
1号(太さ)当たりの強度16〜20lb4lb程度
耐摩耗性弱い強い
ショック吸収ほぼなし優れている
扱いやすさ繊細でやや難しい扱いやすくトラブルが少ない

こうして比較してみると、PEが主流になった理由もよく分かりますし、PEの時代に釣りを始めた人が“PEしか使ったことがない”という状況にも納得です。

ただし、今回のテーマである「バラシ」に関しては、たしかにナイロンラインに分があります。

KOBAYASHI

ちなみに僕自身は、バス釣りブームの頃から釣りをしているので、ナイロンラインには昔から馴染みがあります。

当時はラインといえばナイロン一択でしたし、むしろそれしか選択肢がなかった時代でもありました。

今は渓流のみで使っています

ただ、よく考えてみると──僕がナイロンラインを使ってきたのは渓流だけで、海でナイロンを使うのは今回がほぼ初めてです。

渓流でナイロンを選んでいる理由も、バラシ対策というよりは別のところにあります。

例えば、リーダーの結び目が邪魔になりやすいとか、クモの巣に引っかかった時に処理が面倒とか……そういった面での理由が大きかったんですよね。

改めて、ナイロンラインの特性を知る

伸びが生むクッション性

PEラインは感度が高く、ほとんど伸びないため、アタリをダイレクトに捉えられるのが大きな強みです。

一方、ナイロンラインには適度な伸びがあり、魚が突っ込んだりジャンプしたりした際の衝撃を吸収してくれるため、フックアウトを抑える効果が期待できます。

実際に手でグッと引っ張ってみると、ほんのわずかに伸びているのが分かります。

KOBAYASHI

これが何十メートルも出ている状態なら、より大きな伸びになるのも当然で、その“クッション性”こそがバラシ軽減につながるのだと理解できます。

飛距離は断然落ちる

飛距離に関しては、PEと比べると明らかに落ちます。(同強度比)

体感では「半分くらいしか飛ばないのでは?」と思うほどで、サーフのように飛距離が最重要になるポイントでは、正直使い物にならないレベル。

ただし、ヒラスズキは近距離で食ってくるケースも多く、そういったシチュエーションでは「ナイロンのネガが出ないのでは?」とも想像できます。

KOBAYASHI

とくに“足元ヒット”はテンションが抜けやすく、バレやすいことで知られているので、ラインのクッション性が活きる可能性は十分にあると感じました。

感度も激減

ナイロンラインに替えると、感度は明らかに落ちます。

PEならルアーの挙動や小さなアタリまで手元にしっかり伝わりますが、ナイロンではその情報が鈍くなり、PEに慣れているとその違和感に困惑するはずです。

KOBAYASHI

今回、久しぶりに5号のナイロンラインを使ってみたのですが──いや、驚くほど感度が鈍い(笑)

操作感やルアーの動きも変わる

ラインが伸びるということは、それだけ引っ張る力がライン全体に分散している状態を意味します。

つまり、キャスト後にルアーを巻いている最中も、常にわずかなテンションが掛かったままの状況になります。

そのため、ルアーの操作感やアクションにも影響が出ることに。

PEラインのような“キレのある動き”とは異なり、ナイロンラインではよりしなやかなアクションになりやすい傾向があります。

KOBAYASHI

例えば、ウォブリングの強いルアーなら、ナイロンラインに替えることで動きがほんの少しマイルドになる──そんな変化が起こり得るわけです。

これがプラスに働くかどうかはシチュエーション次第で、そこを理解しておくことが大切です。

PEと比べるとデメリットの方が多い

トータルで見ると、PEと比べてナイロンはデメリットの方がどうしても目立ちます。

そのため「ナイロンを使ったことがない」というアングラーが多いのもよく分かりますし、普段使いでメリットを感じにくいのも事実です。

KOBAYASHI

しかし──「確実に一本獲りたい!」という勝負どころでは話が変わってきます。

ナイロンラインの最大の特徴である“バレにくさ”を考慮すると、状況によってはナイロンが大きな武器になる場面も十分にあり得るのです。

デメリットを理解し、実釣してみると……

これらのデメリットを踏まえても、状況次第ではPE一択ではないと冷静に思えました。

僕が狙っていたのはバレやすいヒラスズキ。しかも大型が出る可能性が高く、一本を確実に獲りたい。

釣り場は飛距離がそこまで必要ないエリア──この条件なら、ナイロンで戦う理由は十分です。

むしろこの場面では、ナイロンの最大の利点である「バレにくい」がもっとも効く。

そう判断してナイロンへ巻き替え、いざ実釣へ出てみると……。

バーン! 出ました、71cmのヒラスズキ!

嘘のようにバラすことなく、無事キャッチ。しかも今季最大サイズだったので、喜びもひとしおでした。

そして何より驚いたのが──まさかの“ほぼノー・エラ洗い”で獲れたこと。

厳密には足元まで寄った最後の最後に一度だけ。途中のエラ洗いはゼロでした。

これまでランカーを含め、数多くのヒラスズキを釣ってきましたが、こんなことは一度もありません。

まだ使い込みが浅いので安易な断言は避けたいのですが、これまでの経験も踏まえると、“ナイロンラインの恩恵”としか思えない出来事でした。

ハッキリ言えるのは、今までバラし続けていた魚を、難なく一発で獲れたという事実です。

ナイロンの伸びが衝撃を吸収し、ヒラスズキに主導権を渡さず、そのまま足元へ寄せ切ることができた。

“ラインの違い”をここまで実感した釣行は初めてで、非常に印象深い一日になりました。

ファイトの感覚はいつもと違う

ファイト中の感覚は、PEとはまったく別物でした。

とにかくラインがよく伸びる。ラインが入力を吸収する分、ドラグを締められるので、“ロッドを曲げて獲りたい派”や“ラインを極力出したくない派”の人にはかなり良いと思います。

ただ、言い換えると、ドラグ調整の感覚がまったく掴めず、意図せずほぼフルロックの状態でのファイトになっていました。

ナイロンラインの伸びとロッドの曲がりでいなしていく——そんなファイトです。

KOBAYASHI

ラインが変わるだけで、同じ魚でもここまで体験が変わるのかと驚かされました。

やっぱり釣りは奥が深いですね。

ラインはヨレやすい?

ナイロンラインで気になるポイントといえば、やはり“ヨレやすさ”です。

大きな魚を1匹釣るとラインがネジネジになるので、ランニングコストという点ではPEの方が優れているかもしれません。

KOBAYASHI

ただ、子どもの頃、バス釣りをしていた時によく味わっていた“あのヨレ”の感覚が、どこか懐かしくもありました(笑)

ナイロンラインは「使いどころ次第」で化ける

正直なところ、ナイロンラインにはデメリットがかなり多いと感じます。

しかし、対象魚やシチュエーション、そして“バラシ対策”という目的に限っていえば、ナイロンラインを選ぶ価値は間違いなく“絶対アリ”です。

今回あらためて強く感じたのは、伸びることで生まれる“PEとはまったく違う楽しさ”。

PEに替えた当初は、その感度の良さに心底感動しましたが──逆にナイロンの「伸び」が生む魚とのやり取りには、別の新鮮さがありました。

ラインひとつで、こんなにもファイトの質が変わる。

その違いを体験するだけでも、釣りの幅は確実に広がります。

KOBAYASHI

そういう意味でも、一度ナイロンラインを使ってみるのは立派な選択肢ですし、個人的にはぜひ試してみてほしいと思います。

撮影:DAISUKE KOBAYASHI

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