真冬でも暖かい水が流れる『温排水』を効果的に攻略しよう
温排水が流れる釣り場とは
生活排水や工業廃水が排水されている釣り場をアングラーは『温排水』と呼び、冬になるとまわりの環境水よりも水温の高いため、温かい水を求めてさまざまな魚達が集まります。
真冬の極寒期は多くの魚達が越冬状態で餌を積極的に食べませんが、水温が高い温排水付近の魚は体温も上がっているため活発に動くことができるんですね。
冬の温排水は常に混雑傾向
『真冬に魚が集まる』とか『真冬でも魚が活発に動く』というのは、超パワーワードでしかないんですよ。
つまり、温排水には自然と釣り人もたくさん集まってくる。
そう……温排水の魚は、基本スレています。
と思ってこの記事を読んでくださっている方は要注意です!
温排水による弊害も
多くの場合、温排水は人間活動によって生成された不要な熱エネルギーを効率よく排出するために、自然環境へ流されています。
生態系を考えると様々な弊害があることも忘れてはいけません。
工業廃水だけが『温排水』ではない! 温排水の種類について
工業廃水や下水処理水
港湾部では、発電所からの大規模な温排水がまわりの釣り場の水温を上げています。
河川では小中規模な工業廃水に加えて、下水処理水も温排水に該当しますね。
温泉施設からの排水
温泉も立派な温排水になるんです。
スーパー銭湯の裏などにも、しれっと小規模な温排水があったりしますよ。
そんな誰も知らない穴場を見つければ、真冬でもトップでナマズ釣りが楽しめたり、本州の都会にオオウナギが住み着いていることがあったりします。
天然の湧水
人間活動とは関係なく、冬でも暖かい水域があるのも事実。
河川や湖沼では、湧き水によって年中水温が一定の場所があったりします。
温排水の周辺で釣れる魚は多種多様! だからこそ、釣り人も集結する
ブラックバスやナマズ
温排水の好ターゲットといえば、やはり「ブラックバス」や「ナマズ」でしょう。
真冬はオフシーズンと思われがちな淡水魚ですが、温排水であれば狙って釣ることも可能ですよ!
ヘラブナやコイ
ヘラブナなどフナやコイの仲間も、暖かな環境を求めて集まってきます。
オイカワやカワムツなども集まり、バスやナマズのベイトフィッシュにもなりますね。
シーバス・チヌ・メバル・アナゴ・メッキなど
港湾部の温排水まわりでは、シーバスやチヌが人気ターゲットになってきます。
餌釣りではメバルやアナゴも楽しめますし、冬には死んでしまうはずのメッキが生き残り巨大化することもありますね。
ティラピア・ハクレン
メッキが冬を越せるように、川でもティラピアなど熱帯性の外来魚が冬を越してしまう場合があります。
温排水の“激スレ”状態なバス&ナマズの釣り方
『温排水に行けば、バスやナマズが釣れるだろう』って甘い考えは要注意ですよ
温排水は常に目の前に魚がいる状態なので、魚を探す苦労が要らない反面……常に管理釣り場なみのプレッシャーを受けているので、簡単に釣ることはできません。
マヅメ時のチャンスを逃さないように!
スレている魚達も、餌を取らなければ生きてはいけません。
とくに温排水に入り込んでいる魚は、体温も上がっているため低水温にいる魚よりも積極的に摂餌する必要があります。
温排水には、捕食者だけでなく被食を受けるベイトたちも集まっています。そんなベイトを追ってマヅメ時にはボイルが起こることも!
温排水の流れを使って魚を騙そう
規模の大きな温排水では、多くの場合排水口付近に強い流れができています。
ニュートラルな状態のスレた魚であっても、流れの中であればリアクションバイトを誘発できることがあります。
S字形のビッグベイトやメタルジグなどが有効ですね!
ライトリグも効果的ですよ!
サイトフィッシングができるようなクリアな温排水ならば、魚の動きを先読みしてアプローチし、リアクションバイトを狙いましょう!
フォール速度の速いワーム&ジグヘッドで、パニックアクションでスイッチが入ることがあります。
もちろん、ダウンショットやノーシンカーでスローダウンした釣りも効果的。
▼温排水の流れる川でガルプ縛りの釣行をしてみた記事
温排水のナマズは、ラバージグや小粒のメタルジグを使ったサイトフィッシングが◎
温排水には例外なく、ナマズもやってきます。昼夜問わず、スレていないポイントであれば真冬でもトップの釣りが楽しめますが、そんな場所は極わずか……。
基本的には、温排水のナマズも何度も釣られてスレています。
濁った場所では、テキサスリグを使って丁寧にボトムを探ったり、スピナーベイトのスローロールが効果的ですよ!
▼低水温期のナマズの釣り方はコチラの記事!
温排水ならではの変わった外来魚を釣るのも面白い
ハクレン|荒川の温排水に集結する巨大魚
利根川および荒川水系の温排水には、中国大陸原産のハクレンという外来魚が集まります。
一般的に最大で130cm前後まで成長する巨大魚を手軽に狙って釣ることができるとあって、一部のマニアックな釣り人から人気な魚です。
マッシュポテトで釣ることができますよ!
ハクレンは植物プランクトンを主食とするプランクトンフィーダーなので、ヘラブナ釣りのような練餌を使った釣り方で狙います。
とくにハクレン釣りに効果的といわれるのがマッシュポテトです。興味のある方は、一度狙ってみてくださいね!
▼発泡スチロールでハクレンを釣ってみた記事はコチラ
ティラピア|別名イズミダイと呼ばれる世界の大衆魚
ティラピアは、九州から東海地方の温排水や温泉地に散見的に生息している外来魚で、沖縄では温排水がない自然河川でも冬を越すことができます。
アフリカ大陸原産のシクリッドの仲間で、現在では世界中で重要な食用魚として養殖生産されている美味しい魚です。
日本でも、泉鯛の名前で養殖されていた経緯があります。
▼気になるティラピアの食レポはコチラの記事
ルアーでも餌でも釣れる楽しい魚。一応、食べることもできます
ティラピアは警戒心が高い反面、食に対しては貪欲でコケなどの珪藻から生きた魚までとにかく何でも食べる雑食性の魚です。
温排水が流れる釣り場やポイントの見つけ方や注意点
ネット検索が早くて簡単です
温排水の流れるポイントは、ネット検索で見つけられることが多いです。
お住まいの『地域名や河川名』と『温排水』を検索ワードにして探してみましょう。
ただし、ネットで簡単に見つけられるということは、それだけ釣り人が集結するということを忘れてはいけません。
港湾部の工場地帯は立ち入り禁止に注意!
海に温排水を放水している場所の多くの場所は、立ち入り禁止になっています。間違ってもそのような施設に入り込まないように注意しましょう。
温排水の排水口で釣りができなくとも、発電所など超大規模な温排水は潮流によって周囲の海を温めていることがありますので、近くの海釣り公園などが狙い目になることもありますよ!
本当に釣れる温排水は水温計を持って自分の脚で探すべし
湧水や小規模な温泉排水などは、ネットには情報が出回らないものです。
普段の釣りで水温計を持ち歩いていると、誰も知らない温排水を見つけられるかもしれませんよ!
釣り人が集まらない温排水や湧水を見つけられれば、良い釣果に恵まれるのも同然。
もし、そんなマル秘ポイントを見つけられたら、無暗に場所を公開しないようにするのもモラルです。
温排水は魚も人も密度の高い釣り場
冬の温排水は魚の量こそ多いものの、ライバルとなる釣り人も集まりやすいのも事実です。
釣り場が込み合っている時はお互い譲り合いの心を大切に、魚釣りを楽しみましょう。