雑魚(ザコ)とは

ザコとは、本命ではない魚たちの総称です。
釣り人からは“外道”的に扱われることも多く、比較的簡単に釣れる魚がそう呼ばれる傾向があります。
ただし、それはあくまで“誰かにとってのザコ”という話。
たとえばオイカワは、専門に狙う人からは“シラハエ”や“ヤマベ”と呼ばれ、立派なターゲットとして親しまれています。
ザコは1種類ではない

そして実際の川の中には、想像以上に多種多様な“ザコの世界”が広がっています。
今回は、日本の身近な河川の中流〜上流域で、誰でも気軽に狙える「ザコ4大スター」にスポットを当てます。
▶︎オイカワ

オイカワは、夏に見せる美しい婚姻色が特徴で、比較的流れの速い場所で釣れる魚です。
ちなみに、オイカワの学名は現在こそ「Opsariichthys platypus」ですが、2010年ごろまでは「Zacco platypus(ザッコ・プラティプス)」だったんです。
▶︎カワムツ

カワムツ(ヌマムツ含む)はオイカワよりもやや流れの緩い場所を好み、ヒレの鮮やかな黄色が目印です。
ルアーへの反応も良く、近年ではカワムツをはじめとする雑魚をルアーで狙う「チャビング」も注目されています。
▶︎アブラハヤ

アブラハヤ(タカハヤ含む)は、オイカワやカワムツと同じ場所に生息することもありますが、どちらかといえば川の上流域や渓流を好む魚です。
体表が細かいウロコと厚い粘液層に覆われており、触るとヌルヌルとするのが特徴的な魚です。
▶︎ヌマチチブ

ヌマチチブは、ここまでご紹介したコイ科の3種とは異なり、石の隙間など川底に張り付いて暮らすハゼの仲間で、“ザコ”というより“ダボハゼ”なんて呼ばれる魚です。
ヌマチチブのほかにも、ヨシノボリやウキゴリなど、川にはさまざまなハゼの仲間が生息しています。
雑魚であっても遊漁券が必要になることも

ここで、川の釣りにおける重要なルールについてご紹介させていただきます。
釣り上げたい魚が雑魚と呼ばれる魚だとしても、川を管理する漁協が設定している『遊漁券(雑魚券)』の購入が必要な場合がよくあります。
アユやヤマメじゃないから大丈夫だろうと未購入で竿を出すと、密漁扱いになる可能性がありますので注意が必要です。
山根
川で魚を釣る場合は、最寄りの釣具店や漁協のHPなどで規則を確認してからにしましょう。
雑魚の下処理
淡水魚は非常に傷みやすい

ズバリ、川魚の調理を成功させるコツは鮮度管理です。これは、雑魚に限ったことでなく、アユやワカサギでも同じです。
生きているうちに氷水で急冷し、冷やして持ち帰るのが鉄則。
内臓がとくに傷みやすく、できればその日のうちに調理してしまいましょう。
拘るなら活かして泥抜き

その日のうちに調理できない場合や、こだわって川魚料理を作りたい場合は、活かして持ち帰りましょう。
夏場は水温が上がりすぎると、エアレーション(ブクブク)をしていても死んでしまうため要注意です。
ウロコやヌメリを落とす

ワカサギやアユは内臓ごと食べられますが、カワムツやオイカワ、アブラハヤなどコイの仲間たちの内臓は非常に苦いため、取り除きましょう。
山根
個人的にはウロコも取った方が食べやすくなると感じます。
気になる方は塩で軽く揉み洗いするとヌメリも綺麗さっぱり落とせます。
油で調理すれば無難に美味い
素揚げが一番簡単で旨い

川の雑魚を最も失敗なく、なおかつ誰でも美味しく食べられる一品にするなら……素揚げが一番です。
高温の油で一気に揚げることで水分が飛び、香ばしさがぐっと際立ちます。
さらに、揚げる直前にほんの少しだけ味の素をまぶしておくと、旨味がより引き立ちます。
山根
ただ、その一方で魚種ごとの個性や風味の違いが分かりづらくなってしまうのは、素揚げならではの弱点かもしれません。
天ぷらでもgood

天ぷらでも美味しく食べられます。
ただし、大きめのカワムツやオイカワは骨がやや気になるため、三枚におろして腹骨まで取ってから揚げるのがおすすめです。
ワカサギのような繊細な風味とは少し異なりますが、川魚の天ぷらとして十分満足できる美味しさがあります。
南蛮漬けも旨い

カラッと香ばしく揚げた雑魚を、お酢や醤油、鷹の爪を合わせた南蛮酢にジュッと浸すのもアリ。
南蛮漬けにすることで魚の身がキュッと引き締まり、旨味も際立ちます。
コサバやコアジの南蛮漬けが好きな方は、ぜひ試してほしい一品です。
焼きで素材の味わいを堪能
炭火でじっくりと焼いてみる

素材そのものの味わいを感じてみたい方は、素焼きや塩焼きを試してみましょう。
炭火でじっくり水分を飛ばすことで、その魚と川が持つ本来の味わいが見えてきます。
ちなみに、家庭用の魚焼き器でも調理できます。
海の魚を焼く時とは真逆で、弱火でじっくり時間(20〜30分ほど)をかけ、焦がさずに焼き上げるのがコツです。
アブラハヤは骨が柔らかくて旨い

今回ご紹介する4種類の中ではアブラハヤが身質や骨の柔らかさから最も万人受けしやすいと感じますね。
とはいえ、今回ご紹介した4種どれも川魚らしい風味と皮目の香ばしさが楽しめますので、機会があれば食べ比べてみて欲しいです。
山根
ちなみに、雑魚とは呼べない魚ですが、ホンモロコの素焼きも旨いですよ!
醤油パワー最強です
川魚は醤油と砂糖との相性が良い

素材の味を邪魔せず、川魚が持つ食味を最大限に発揮してくれるのは醤油と砂糖です。
とくに川魚は砂糖との相性が良く、多めに入れて甘辛く味付けるのが川魚料理を成功させるコツですよ。
甘露煮

素焼きした雑魚を鍋に並べ、醤油・砂糖・みりん・酒・水(各同量)と少々の酢・生姜を入れ落とし蓋をします。
弱火で水分が飛ぶまで照りよくコトコト煮詰めれば完成。ちょっと手間が掛かりますが、本当に美味しい一品です。
円揚げ(つぶらあげ)

甘露煮ほど手間をかけずに、雑魚と甘辛い砂糖醤油の相性を楽しみたい方におすすめなのが「円揚げ(つぶらあげ)」です。
円揚げは、骨付きのニジマスを素揚げし、甘辛い醤油ダレにくぐらせて作る長野県の郷土料理。
素揚げした雑魚を、煮立てたタレ(醤油・酒・砂糖・みりん・水を各1:1)にサッと漬けるだけで完成します。
山根
骨まで食べられますし、タレ効果でご飯も進みますよ!
雑魚だって旨いんです

“ザコ”という、不名誉な言葉でひとくくりにされてしまう川の小魚たちですが、じつは美味しく食べられる種類も多いんです。
個人的にはアブラハヤが一番食べやすいと感じますが、オイカワも旨いですよね……。
それぞれ個性があり食味も異なりますので、ぜひ皆さんも身近な雑魚たちを食べ比べてみてはいかがでしょうか。
……とおすすめしたいところですが、雑魚たちは水質の良くない環境でもたくましく生きています。実食する際は、川選びも慎重にしてくださいね。
山根
とくに、近年全国各地で報道されるようになった有機フッ素化合物(PFAS)の汚染に関するニュースが気がかりです……。
撮影:山根央之
