最も身近な川魚“カワムツ”は夏にとても美しい魚
清流から都市型河川まで生息する日本の川魚“カワムツ”
カワムツは、コイ目コイ科クセノキプリス亜科カワムツ属に分類される、いわばコイの仲間です。
コイの仲間と言っても、大きく成長することはなく、カワムツの最大サイズは15~20cm程度です。
カワムツは流れのある環境を好み、清流はもちろんのこと比較的環境変化への対応力も強いため、民家や田んぼの脇を流れる小川にも生息しています。
カワムツって西日本の魚なの?本来のカワムツの生息範囲について
関東地方にお住まいの方にもお馴染みの川魚であるカワムツですが、本来は富山・長野・愛知県より西の地方に生息していました。
カワムツも他の国内外来魚と同じように、アユやヘラブナの放流に交じり関東および東北地方へ広がったと考えられています。
とにかく何処でも釣れるため、オイカワと一緒くたに淡水魚界の雑魚(ザコ)とも呼ばれています。
カワムツを狙う時期-美しい婚姻色を纏います–
カワムツの繁殖行動は、どんどん気温が上がる5月から8月にかけて。浅く川底が砂礫(されき)の環境で真昼間に行われます。
この時期になると、大きなカワムツは日本の川魚とは思えないほどド派手な婚姻色に変化します。
特にオスは大変美しく、ついつい見惚れてしまいますよ。
カワムツが繁殖期に見せる変わった特徴“追星(おいぼし)”
婚姻色に染まったカワムツを釣りあげたら、ぜひ、顔のまわりに注目してみてください。
白いゴツゴツとした突起が出ているはずです。
一見すると醜い(みにくい)顔ですが、これは追星(おいぼし)と呼ばれる繁殖期にだけ皮膚が肥大し現れる特徴です。
追星は、縄張り争いの際に武器として使ったり、雌に産卵を促す為にお腹を刺激するために役立ちます。
実は、追星はカワムツだけでなく、コイの仲間であれば、金魚やコイといった身近な魚にもあらわれるんですよ!
夏のカワムツは食欲旺盛!食性はなんでも食べるまさに雑食魚
カワムツは、主にユスリカの幼虫や水面に落ちてきた昆虫を食べていますが、水草やコケなんかも食べる雑食です。
大きなカワムツは、口に入る小魚ならば捕食することもあります。
好奇心も旺盛で、何でも食べる……ということは。そうっ! 誰でも簡単に釣りあげることができるんですね!
そんなカワムツ…美味しいんですよ!
そして、意外にもカワムツは食べて美味しい食材としての魅力もあるんです!
記事後半では、長野県安曇野市の郷土料理円揚げのレシピをご紹介します。
それでは、どんどんカワムツの魅力に迫っていきましょう!
超簡単なカワムツの餌釣り
カワムツの釣れる場所の探し方
関東以西では、「カワムツの生息しない川を探すほうが難しい」ともいえるほど数の多い魚です。
あまり大きすぎる川よりも支流がオススメです。川を覗き込んでみて小さな魚が見えればOK。
15分ほど釣りをしてみて魚が掛からなければ、次々にポイントを変えてみましょう!
5分じっとしてカワムツの警戒心を解いてあげましょう
カワムツは、生息していればすぐに釣れる魚です。
ただ、いくら食欲旺盛なカワムツとはいえ、人間の姿をみると最初は警戒して餌に食いついてくれないんですね。
5分程じっと動かずに我慢していると、警戒心が薄れてきますので釣りを開始しましょう。
堰や段差の下が鉄板ポイントです
堰が作られると、大雨の時以外は魚が遡上できないので色んな魚が集まります。
カワムツは、流れのある小川の中でも少し深くなっている場所に潜んでいます。
堰の下は、深く掘れていることが多いので、その点でもオススメなんです!
初心者の方は餌釣りで!
釣りが初めての方は、リールの要らないのべ竿を使ったウキ釣りでカワムツを狙いましょう!
竿の長さは、釣行される川幅に合わせて2.4~3.6mの間で選びましょう。
長めの竿を買っておけば、短くすることもできますよ!
ファイブスター ノベックス カラフルのべ竿&がまかつ ウキ釣り仕掛けセット
仕舞寸法:55cm
付属仕掛け:がまかつ じゃみんぐ!小魚ウキ釣り仕掛
仕掛けはセット品でOK!カワムツ釣りの餌はミミズが一番!
仕掛け作りは面倒ですよね。でも、ご安心ください。
ウキ・オモリ・釣り針がセットになった便利商品がありますので利用しちゃいましょう!
商品に糸の長さが記載されていますので、竿の長さと同じものを購入するようにしましょう。
餌は小さく切ったミミズが最適ですが、「ちょっと触れないよ……。」という方には、練り餌がオススメです。
人間も美味しく食べられるんとちゃう? って思わせるほど甘い香りがカワムツに効果抜群です!
でっかく、「ハエ」って書いてありますがハエの成分は入っていないのでご安心を!
オイカワという川魚を「ハエ」と呼ぶ地域があるんです。
遠出できない……そんな時は近所の川でカワムツのルアーフィッシング
カワムツを相手にした川の超ライトゲームが面白い
普段は海でライトゲームを楽しんでる方で、どうしても今日の休みは遠出ができない……なんて方にオススメです!
近所の川に、2g前後のスピナーやスプーンを持って出かけてみてください。
15cmを超える大カワムツを狙おうとすると案外苦戦したりして、ついついのめり込んでしまいますよ!
カワムツはキラキラ光るルアーが好き
シルバーやゴールド系のスピナーとスプーンが良く釣れるルアーです。
スプーンは管理釣り場用の物でもOKですよ!
▼カワムツ狙いにオススメのルアー
美味しい食材としてのカワムツ、長野県生まれのレシピがピッタリ!
僕も最近カワムツの美味しさを知りました
どうにも釣りがしたくてたまらなくなり、家の真裏を流れる小川で唯一釣れる魚“カワムツ”を釣って食べてみたんです。
もう、「わざわざ遠くまでワカサギを釣りに行かなくても良いじゃん!」ってなりました(笑)
オススメは10cm以下の小さなカワムツの素揚げ
小・中サイズのカワムツは、素揚げがとっても美味しいんです。本当にっ!
豆アジやワカサギのから揚げがお好きな方は、間違いなく「旨い!」って言ってくれると思います。
鱗は取らなくても気になりませんが、内臓は苦みがあるので取るようにしましょう。
180℃に熱した油でカリっと揚げるだけ! 超お手軽料理です。
大きいサイズのカワムツは“円揚げ”が美味!
円揚げ(つぶらあげ)は、骨付きのニジマスを素揚げにし甘辛いタレに潜らせて作る、長野県安曇野市の郷土料理です。
この料理、不思議と全く骨が気にならないんです!
大きなカワムツも円揚げにすると、とっても美味しい料理に大変身です。
カワムツの円揚げのレシピ
用意するのは以下の調味料だけ!
■円揚げのレシピ
- ・醤油
- ・酒
- ・砂糖
- ・みりん
- ・水
これらを全て1:1の割合で混ぜ合わせ、煮立てておきます。
煮詰まりすぎたら水を足しましょう。
カワムツは内臓を取り、開きます。水気をしっかりとっておきましょう。
180℃に熱した油で持った感じが軽くなるまでしっかり揚げましょう。
カラっと揚がったカワムツは、熱々のうちに煮立っているタレに投入しましょう!
「ジュワァー」っと美味しそうな音がたまりません!
2分程弱火で煮詰め、火を切り冷まして完成です。お子さんでも食べられるくらい骨は気になりませんよ!
頭から丸ごと食べられます!
カワムツは飼育するという楽しみ方もアリ
カワムツは観賞魚としても入門種
カワムツは比較的環境変化に強い魚なので、飼育も簡単な部類に入ります。
とはいえ、好奇心旺盛で何でも食べてしまうため、メダカや金魚といった他の魚と一緒に飼育することはオススメできません。
カワムツ同士の混泳は、大きさに差が無ければ小競り合いはしますが、おおむね大丈夫です。
カワムツは酸欠に弱いので、ブクブクをしてあげましょう
釣ったカワムツを持ち帰りたい場合は、エアレーションと呼ばれるブクブクを持っていくようにしましょう。
また、夏場はすぐに水温が上がってしまうので、釣り餌用の生簀クーラーがあると元気よく持ち帰ることができますよ!
携帯用乾電池式エアーポンプ アトム5
エアチューブ:長さ約50.5cm×外径約0.6cm×内径約0.35cm
エアストーン:長さ約2.5cm×外径約1.5cm
自重:約172g
使用電池:単3乾電池×2(別売)
連続使用時間:約8時間(アルカリ電池使用時)
タカミヤ H.B concept 活かしクーラー 角型 2.2L
外部寸法:約24×12×14cm
断熱材:発泡スチロール
エアポンプポケットサイズ:縦9.5×横8.5×奥行5cm
※エアポンプ別売り
カワムツの寿命は3年前後
生き物を飼育する場合、死ぬまで飼うことが大前提です。
飽きてしまったから、病気になって可哀そうだから、といった人間の身勝手な動機で川に逃がすことは絶対に避けましょう。
元居た場所へ返すのも厳密に言うとよくありません。飼育する前に逃がすという選択肢が無いという覚悟を決めましょう。
引っ越し等で止む無く手放さなくてはならない場合は、熱帯魚店に相談してみてください。引き取ってもらえる場合があります。
真夏は超高水温に注意が必要です
日本に生息する川魚の中では、温度に対する態勢がある程度強いカワムツは、初めて魚を飼育する人向けの魚の一つです。
適水温は18~24℃といったところ、31℃を超えてくると生存が危ぶまれます。
室温が高くなってしまうご家庭では注意が必要です。水槽用のファンを設置するか、エアコンを使って室温を下げるといった対策をしましょう。
GEX アクアクールファン 水槽用冷却ファン
ガラス厚2〜12mmまでのフレームレス水槽や幅60cm以下の枠付き水槽(枠幅23mm)までのフレーム付水槽に取付が可能。
テトラ デジタル水温計 WD−1
測定精度:±1℃(0〜30℃)
測定周期:10秒毎
分解能:0.1℃
電源/電圧:ボタン電池(LR44)×2個
コード長:約1m
LR44ボタン電池×2
※同封の電池は動作確認用です。
カワムツを飼育するのに必要な水槽の大きさは60cm以上
流れを好むカワムツは、水槽の中でも良く泳ぎ回ります。
カワムツは酸欠に弱いため、上部フィルター付きの60cm企画以上の水槽で飼育するようにしましょう。
大きく成長することを見越して5~10匹程度の混泳が望ましいでしょう。
優雅に泳ぎ回るカワムツは、水槽の中でも美しいものです。
コトブキ工芸 プログレ600 8点 60cm水槽セット
・60cmフレーム付きガラス水槽:「コトブキ プログレ600」(ガラスフタ1枚つき)
-サイズ(約):幅60×奥行き30×高さ36cm(水量:約58L)
・LED照明:コトブキ フラットLED SS 600 ブラック
・上部式フィルター:コトブキ スーパーターボ トリプルボックス 600
・ヒーター:コトブキ ツーウェイオートMD 160W
・バックスクリーン(ブルー・ブラックリバーシブル※パッケージなし)
・水温計
・試供品(フード2種、カルキ抜き)
・飼育の手引きLED照明仕様
カワムツは餌付きが良く何でも食べます
魚の飼育難易度を上げる要因のひとつに、餌の好き嫌いがあります。
カワムツは、市販されている金魚や熱帯魚の餌をすぐ食べてくれるので楽ちんです。
餌やりの頻度は最大でも1日2回、30秒以内で食べきる量に抑えましょう。数日間与えなくても餓死することはありません。
水換えの頻度は、飼育数や餌やり頻度にもよりますが、1週間に1回水槽の1/4程度の換水をすると安心です。
上部フィルターが上手く機能していれば、月に1回1/3程度の換水でも大丈夫ですよ。
コメット 川魚の主食 緩沈降タイプ
緩沈降タイプ
原材料:フィッシュミール、小麦粉、小麦胚芽、酵母、緑藻、イカミール、フィッシュレバー、ミジンコ、糸ミミズ、赤虫
皆さんに川魚の魅力を知っていただければ嬉しいです
今回は、最も身近な場所に生息している川魚”カワムツ”をご紹介させていただきました。
この夏、家族で近所の川へ思い切って魚釣りに出かけてみてはいかがでしょうか。
筆者紹介
山根 kimi ヒロユキ
初めての1匹を求めて世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズ(兄)。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017