炉を作ってみた

山根家では奥さんの誕生日に、囲炉裏(いろり)で串焼きを味わえるレストランで食事をするのが恒例になっています。
備長炭で焼く食材ってホントに美味しいんですよね。でも、この手のお店って安くはないので頻繁には行けません。
それなら、囲炉裏を自分で作ってみよう! というのが今回のお話しです。
囲炉裏(いろり)とは
調理と暖を取るためのもの

囲炉裏とは、敷き詰められた灰の上に炭や焚火を置いたものです。
調理をしたり、暖を取ったりする他に、灯りや乾燥機の役割も果たします。
居間の床を四角く切り開いて設置されてきましたが、ガスや電気が普及した現代では囲炉裏を使った経験が無い人も多いことでしょう。
一方で温かい国に行くと、家の外に調理場があることが多いですね。
共通するのは「炭で焼く魚は旨い!」ってことですね。
遠赤外線の効果

ガス調理は周囲の空気を温めて食材に熱を加えていきますが、炭火は遠赤外線が食材に直接当たることによって熱を発生させます。
ガスよりも遠赤外線をたっぷり放射する炭火を使うことで、食材の表面を素早くコーティングでき、魚や肉が美味しく焼けます。
でも、現代の家に囲炉裏なんて作れない

遠赤外線の良さを知ったとて、囲炉裏を家の中に作るのは無理がありますよね。
じつは無理ではないのですが、コストがかなり大きくなってしまうんです。
ちなみに通販サイトでも売られていてビックリ。これも現代ならではです。
用意する物
スチール製ペール缶

炉の役割を果たしてもらうのは、スチール製のバケツ(ペール缶)です。
ホームセンターや通販サイトなら1,000~1,500円程度で購入可能。容量は20Lのものを購入しました。
火を使うのでプラスチック製はNGですよ。
三共コーポレーション GA フリー容器 ペールカン
容量 | 20L |
---|---|
材質 | TFS(ティンフリースチール) |
囲炉裏用の灰(2.5~4kg)

ペール缶に入れる灰は、近所のホームセンターで取り扱っていなかったのでAmazonで安いものを探して購入しました。
灰の代わりに砂を敷く場合もあるようですが、僕は持ち運びもしたかったので砂より軽い灰を選択。
ちなみに、断熱性の観点でも灰の方が優れています。
100均の金網

炉の中で炭を積み上げるために金網を使用します。僕は100均のBBQネットを加工してみました。
20Lのペール缶の場合、炭置きネットの高さは35cm程度がオススメです。
網目を切るためのニッパーも100均で購入しておきましょう。
備長炭(オガ炭)

使用する炭はお好みでOK。火付きの良さなら黒炭、火持ち重視なら備長炭といった使い分けが良いかと思います。
僕は金網に入れやすくて火力も安定する、そしてなにより備長炭より安いという理由で、形が揃っているオガ備長炭を好んで使っています。
火起こし器

オガ備長炭は火が付きにくいため、僕は火起こし器を使って着火しています。
火起こし器は火消し壺としての機能を兼ねた商品がオススメ。消火した炭はまた使用できますよ。
炭を移し替えるための火ばさみかトングも用意しましょう。
作り方は超簡単!
完成形はコレ

ペール缶を使った簡易的な囲炉裏(別名、鮎焼き器)の完成形はコチラ。
超シンプルですよね!
バケツに灰を厚く敷き、炭置きネットを灰に刺すだけ。以上です。
ペール缶に灰を入れる

改めて説明するまでもありませんが、まずは灰をペール缶に入れます。
食材を刺した串が安定するように、20Lのペール缶に対して最低でも2.5kg程度の灰を用意しましょう。
使っていくうちに炭が灰になっていきますので、次第に灰の量は増えていきます。
金網を円柱状にする

炭を入れる金網を作っていきます。
100均のBBQネットを選んだ理由は加工がしやすいからです。
まずはニッパーで四隅をカットし、枠を取り去ります。
ネットがほどけないようにする

端の針金を折りこむことで、ネットがバラバラにならないようにします。
針金の先端が鋭くなっているので、手を切らないようにご注意ください。
円柱状に曲げる

最後に金網を丸く曲げて円柱状にしていきます。円の大きさは大きすぎると食材を入れるスペースが狭くなりますし、小さすぎると炭の量が少なくなります。
僕はオガ備長炭が3本ピッタリ入るサイズに合わせてネットをカットしてみました。
ネットの接合部は金網を折りこむことで上手く成形できますよ。
食材を用意して焼いていきましょう。
簡易囲炉裏(鮎焼き器)の使い方
食材を串に刺す

まずは食材に串を打っていきますが、串が短すぎると食材に灰がついてしまうので、できるだけ長いもの(40cm前後)がオススメです。
また、串から食材が滑り落ちてしまうと灰に墜落してしまうので、太めの鉄串や竹串を選びましょう。
意外と倒れないもんです

食材が倒れないように注意しながら灰に串を刺し、炭置きネットの周りに並べていきます。
火加減はネットとの距離で調整しましょう。焦げないように見張りながら、時々串をまわして焼き上げていきます。
お店の味が我が家でも楽しめる

炭火の遠赤外線で上手に焼き上げると、ホントに旨いんですよね。
この簡易囲炉裏に向いている食材は、魚だったら脂が乗った白身魚やアユ、他にも鶏肉やつくね、厚揚げなんかも最高ですよ。
大きな魚は2枚おろし(骨付き)の切り身にして串を打つと上手く焼けます。
BBQピットや七輪との違いについて

網の上で食材を焼く訳ではありませんので、串が必須です。
また、煙が立たないので燻すこともできません。今回ご紹介した簡易囲炉裏のメリデメは以下の通りです。
- メリット:遠赤外線でじっくりと焼ける、煙が少ない、準備&片付けが簡単
- デメリット:燻せない、串焼き専用
まだまだ改良の余地があるので、皆さんもアイデアを出しながら進化させてみてください!
火の扱いにはご注意を。

今回は魚に限らず、色んな食材の旨さを引き出す簡易囲炉裏の作り方をご紹介いたしました。
もとはバケツなので持ち運びも楽チンですし、蓋をしておけば灰が舞ったり濡れたりすることもありません。
火を取り扱う調理器具ですので、くれぐれも火事と一酸化炭素中毒にご注意いただきながら、お楽しみくださいね!
撮影:山根央之