ヌマチチブ(通称:ダボハゼ)という小さなハゼをご存知ですか?!
ダボハゼの由来とは
「ダボ」とは……ドアホが変化した言葉とか、韓国語でバカという意味がある바보(バボ)が由来であるなどと言われ、相手を罵る(ののしる)時に使う言葉です。
どんな状況でも、どんな餌にも食らいついてくる『バカなハゼ』という意味。今回紹介するヌマチチブやチチブは釣り人から「ダボハゼ」と呼ばれています。
ちなみにヌマチチブの由来は、沼にいるチチ(男性器)みたいな魚という、散々な由来を持っています。
ヌマチチブ(ダボハゼ)は釣り人から嫌われがちな存在です
そんな酷い名前が付けられている時点で、もはやヌマチチブが釣り人から不人気な外道であることは説明不要ですよね。
ハゼやテナガエビ釣りで頻繁に掛かってきたり、ウナギ狙いで付けているミミズをかじっていったりと、川や河口で釣りをする際の厄介者として有名な魚です。
▼“外道”ヌマチチブがよく掛かる代表的な釣り
ヌマチチブとチチブの違いについて
ちなみに、ヌマチチブとそっくりなダボハゼとして『チチブ』という魚がいますが、今回の記事では両者を見分けずにヌマチチブと一括りにしてご紹介していきます。
両種の見分け方としては、一般的に海水が浸入するような場所ではチチブ、河川下流から中流域や池や湖ではヌマチチブと思って良いでしょう(海から近い場所にもヌマチチブが生息する場合もあります)。
見た目の違いとしては、胸びれ基底部にある横帯の中に、不規則の橙赤色の線があればヌマチチブですが、個体差や繁殖期を迎えたオスではこの限りではないので注意が必要です。
ヌマチチブの魅力を伝えたい
“外道”にだって魅力はあるんです
僕は、どんな生き物にもなにか必ず魅力がある! と思って日々魚釣りを楽しんでいます。
この記事を読み終えた頃には、ヌマチチブ(ダボハゼ)も釣ってみようかな。と皆さんの心を動かせたら……と思いながら執筆しています!
ヌマチチブの魅力その1:誰でも簡単にどこでも釣れる
ヌマチチブ最大の魅力は、なんといってもとにかく簡単に釣れること。
ザリガニ釣りよりも簡単と言っても過言ではないくらい、魚釣り未経験者でもちびっ子でも本当に手軽に釣り上げることができる魚です。
ヌマチチブの魅力その2:小さくても美味しく食べられる
もうひとつ。ヌマチチブの魅力と言えるのが、ハゼの仲間らしい食味の良さです。
小さな魚体を活かした唐揚げや佃煮、卵とじでも美味しく食べることができるんです。
記事後半では、ヌマチチブのレシピもご紹介しますね!
ヌマチチブの生態や特徴について
ヌマチチブの大きさと特徴
ヌマチチブ(画像:上)は、大きくても15cm前後とマハゼ(画像:下)よりもやや小型のハゼの仲間。
丸みを帯びた黒っぽい魚体と頭部にある小さな白斑模様がヌマチチブの特徴で、マハゼとの見分けは比較的簡単です。
ヌマチチブの生息域と好む環境
ヌマチチブの生息範囲はとても広く、北海道から九州にかけての汽水域から河川中流域、池や湖にも生息しています。
岸近くの捨て石やテトラポッドなど隠れ家になりやすい硬い物に居ついていることが多く、しばしば石の上でヌマチチブ同士が縄張り争いをしている姿を観察することもできますよ。
ヌマチチブの繁殖期とオスの婚姻色について
ヌマチチブの繁殖期は地域によって多少の差があるものの、一般的に6月から9月とされています。
繁殖期のオスは真っ黒な婚姻色になり、メスが石の隙間などに産み付けた卵を必死に守ります。
ヌマチチブの楽しい釣り方
ヌマチチブは動く物に興味津々
ヌマチチブは、川底で動く物に興味を持って近寄ってきます。この姿がとっても可愛いんです。
川底に大人が抱えられるくらいの石があれば、その周りをチョンチョンと餌を動かしながら誘ってみましょう。
石の隙間からピョコっとヌマチチブが現れ、パクっと餌に食いついてくれるはずです。
初心者の方は餌釣りがオススメ
ヌマチチブを釣るのに餌のこだわりは不要。ミミズや赤虫、河口域はジャリメでも良いでしょう。
仕掛けもシンプルでOKです。袖針3号前後にガン玉を打つだけでヌマチチブは釣ることができますよ。
極小ワームを使ったゴリングも面白い
ヌマチチブの他にも、ゴクラクハゼやヨシノボリ、ウキゴリなどなど小型のハゼを狙ったワーミングも意外と面白いんです。
ワームで狙う場合はガルプ系のワームがオススメですが、メバリングやアジングワームを切って使用しても良いでしょう。
リグは、餌釣りと同様に袖針のすぐ上にガン玉を付けるだけでOKですよ!
バークレイ ガルプ! イソメ細身 4インチ
ハゼ釣りにも使える万能ワーム。強いニオイと味が特徴で、淡水海水問わず様々な魚を釣ることができますよ。
3タイプの太さがラインナップされていますが、ヌマチチブなど小物を狙う場合は細身をカットして使います。
ヌマチチブの美味しい食べ方&レシピ
ヌマチチブを美味しく食べるコツ
小さな魚なので丸ごと食べることもできますが、僕はウロコ、エラ、内臓をしっかり取った方が美味しく食べられると思っています。
とくに消化管内容物に釣り餌に使ったミミズなどが残っている場合があるので、気になる方は内臓だけでも取ることをオススメします。
少数しか釣れなかった場合は天ぷらがオススメ
たくさん釣れなかった場合は、ハゼやテナガエビと一緒に天ぷらや唐揚げがオススメ。
小さなヌマチチブは骨ごと食べられるのでカルシウムも取れますよ!
ちなみに食味は白身魚らしく上品で、マハゼと大差なく美味しく食べられます。
たくさん釣れたらヌマチチブの佃煮を作ってみよう
ヌマチチブを狙って釣行して釣果に恵まれたら、佃煮を作って見ても良いでしょう。
調味料を煮立てヌマチチブを鍋に入れ、落とし蓋をして20分程煮立てます。
ヌマチチブは形が崩れやすいので、混ぜる場合は鍋を揺するように優しく混ぜましょう。
佃煮のレシピ
- ●ヌマチチブ (100g 20尾前後に対して)
- ●醤油:150cc
- ●水:100cc
- ●中ザラ糖:100g(砂糖でもOK)
- ●水飴:100g(無ければ砂糖で代用)
- ●みりん:50cc
- ●酒:50cc
ヌマチチブの卵とじも美味ですよ
ちょっと変わったヌマチチブレシピを楽しみたい方にはヌマチチブの卵とじがオススメです。
親子丼やカツとじを作るのと同じように、麺つゆを煮立てて玉ねぎと青ネギ、ゴボウ、青ネギを軽く煮ます。
続いて頭と内臓を取ったヌマチチブを入れて火を通します。最後に溶き卵を流し入れ、卵が固まったら完成です。
卵とじのレシピ
- ●ヌマチチブ(100g 20尾前後に対して)
- ●麺つゆ:150cc
- ●玉ネギ:適量
- ●ゴボウ:適量
- ●青ネギ(千切り):少々
- ●卵:2個
ヌマチチブも良い魚ですよ!
超がつくほど簡単に釣れて、美味しく食べられるヌマチチブについてご紹介させていただきました。
10cm前後の良いサイズのヌマチチブが釣れたらぜひ、一度持ち帰って天ぷらで食べてみてください!
きっと「ヌマチチブも釣れたら持ち帰ろう!」ってなると思いますよ!
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