タチウオテンヤとは
タチウオテンヤとは、ハリとオモリが一体になったテンヤと呼ばれる仕掛けを用いて、タチウオを船から狙う釣りです。
おもに関西を中心に人気があり、ルアーフィッシングのようなゲーム性を楽しみながら、数も型も狙えます。
タチウオは個体数が多くて活発にエサを喰うので、初心者の方でも楽しめ、アタリが多くてボウズが少ないことも魅力。
今回は、タチウオテンヤに足繁く通った元釣具屋の筆者が、釣り方やタックルについて解説します。
タチウオテンヤのシーズン
地域にもよりますが、7月〜翌3月頃までがタチウオテンヤを楽しめるシーズンです。
その中でも、とくに7月〜10月頃はタチウオの活性が高く、数釣りが楽しめるベストシーズンといえます。
オフシーズンが短く、ほぼ年中楽しめるのもタチウオテンヤの魅力です。
タチウオテンヤのタックル・仕掛け
タチウオテンヤに必要な道具(タックル・仕掛け・エサ)を解説します。
たくさんタチウオを釣るためには、まずは適切な道具立てをすることが大切です!
竿
1.6〜1.8m程度のタチウオテンヤ専用ロッドがおすすめです。操作性と感度が良く、タチウオを掛けやすい先調子に設計されています。
ロッドアクションでテンヤを動かし、穂先でアタリを掛け合わせる釣りなので、専用ロッドを使うのがベストです。
専用竿でなくとも、2m前後でオモリ負荷30号程度の船竿や、200g程度まで対応できるジギングロッドなども代用できます。
リール
小型電動リールを使用するのがベストです。シマノの電動リールは400〜600番サイズ、ダイワの電動リールは200番サイズを目安にしてください。
40号前後のオモリを何度も上げ下げするため、手巻きの場合はどうしても疲れます。巻き取りが楽になると自然に手返しも上がり、釣果に結びつくので電動リールがおすすめです。
手巻きリールを使用する場合は、PEライン3号が200mほど巻け、タナが把握しやすいカウンター付きのリールを選択しましょう。
道糸・リーダー
リールには2号のPEラインを200〜300m巻いておきます。タチウオの牙によるラインブレイクやおまつりといったトラブルが発生することも多いので、PEラインは余裕を持って巻いておきましょう。
リーダーに関しては、8〜12号程度のフロロカーボンかワイヤーリーダーを50cm〜1m程度接続します。
ワイヤーリーダーは切れにくい反面喰いが悪く、遊漁船によっては禁止されていることもあるため、リーダーはフロロカーボンをおすすめします。
テンヤ(仕掛け)
各遊漁船で指定された号数のタチウオテンヤを使用しましょう。30〜50号程度が一般的です(大阪湾では40号がほとんど)。
近年はさまざまなカラーのテンヤが発売されていますが、アピール力が高いグロー(蓄光)カラーは必ず持っておきましょう。
エサ
冷凍イワシが定番エサです。写真のように、針金でテンヤに巻き付けてセットします。エサがテンヤからズレないよう、頭の部分を重点的に巻きつけてください。
遊漁船によってはエサを配ってくれるところもあるので事前に確認しておきましょう。イワシの他には、サンマの切り身や釣れたタチウオの尻尾をエサにすることもできます。
タチウオテンヤの釣り方
ここからはタチウオテンヤの釣り方を手順毎に紹介します。
底取り
ポイントに付き、船頭さんからの指示があれば仕掛けを降ろしていきます。
穂先が戻ってテンションが抜け、ラインが出ていくのが一旦止まれば着底です。
仕掛けが底に着いたのを確認したら、すぐに2mほど巻き上げてテンヤを底から少し離します。
誘い
着底後は誘いをかけながらリールを巻いて、タチウオのアタリが出るタナを探していきます。
アタリが無ければ、再度底まで沈めて誘い上げを繰り返しましょう。
誘い方のパターンについては後ほど詳しく解説します。
アタリ
タチウオのアタリはテンヤへの喰い付き方によってさまざまです。
穂先にコツコツっと伝わるアタリは、タチウオがテンヤにアタックしている途中の場合が多く、前アタリのような状態です。
タチウオがテンヤに喰いついてその場から離れない(居喰いしている)場合は、穂先にもたれるような重みが掛かります。
タチウオが下方向からテンヤを喰い上げると、テンションが抜けて穂先が戻ります。
その他にもロッドが引き込まれたりすることもあり、違和感があったらどんどんアワセましょう。
アワセとやり取り
アタリがあれば素早く大きくアワせ、しっかりテンヤの鈎を貫通させるのが基本です。
コツコツっといった小さなアタリの場合はタチウオが咥えきっていない場合も多いので、アタリ方が変わるまで待つか、そのまま軽く誘い上げてみましょう。
フッキングに成功して竿に重みが乗ったら巻き上げます。速く巻きすぎると鈎穴が広がって抜けたり、遅すぎるとラインを噛まれて切られたりするので、電動リールは7割くらいの速度でやり取りするのが適切です。
タチウオテンヤの誘い方
タチウオテンヤの誘い方はいろいろですが、代表的な4パターンを紹介します。
この4パターンを身につけておけばほとんどの状況に対応できますので、ぜひ覚えておいてください。
ただ巻き(微速巻き)
着底後、そのまま一定の速度で巻き上げる方法です。誰にでも簡単にできるので初心者の方にもおすすめ。
巻き速度を変えつつ、タチウオの反応を探ってみて下さい。
電動リールでゆっくり一定の速度で巻き上げる“電動微速巻き”は、活性が低い状況には効果抜群です。
ストップ&ゴー
ただ巻きに止める動作を加えたものです。速めに巻いて止める動作を繰り返すことで、アクションにメリハリが付きます。
止めた時にアタリがでることも多く、止める秒数を変えながらタチウオの反応を確認しましょう。
ジャーク&ステイ
竿を上方向にシャクってタチウオを誘い、ピタッと止めて喰わせる間を作るパターン。ジギングのワンピッチジャークとほぼ同じ動きです。
ジャークする回数や幅、ハンドルを巻く回数、止める秒数などを変えながらヒットパターンを見つけます。
フォール
ここまで紹介した3つの誘いはテンヤを上げていくアクションでしたが、これはテンヤをフォールさせて食わせるテクニックです。
リールのクラッチを切ってフリーフォールさせるのではなく、竿を下げながらテンションフォールさせるのが基本。
上げの誘いではまったくアタリが無い時でも、フォールには反応することが多々あります。
タチウオテンヤで釣果を伸ばすコツ
タチウオテンヤでたくさん釣るためのコツを紹介します。タチウオは個体数が多くて積極的にエサを追う魚なので、いかに効率的に釣りを進めるかがキモです。
テンヤはあらかじめ用意する
テンヤはエサをセットした状態で複数個を船縁に置いておくようにしましょう。これをするだけで、手返しが抜群にアップします。
タチウオの牙は鋭く、エサはすぐボロボロになるので3個程度は作っておいてください。
エサがボロボロになったらテンヤごと交換し、エサ付けはポイント移動の間に行うのがおすすめです。
釣れるタナを把握する
タチウオは群れで行動している場合が多く、釣れるタナが固まることが多いです。
日によってコロコロ変わることはありますが、周りで釣れているタナと合わせると釣れることが多く、釣れない場合は周りにタナを確認するようにしましょう。
タナを共有することでお互いの釣果が伸びるので、タチウオテンヤはチームプレイだと思ってください。
空アワセから本アタリに持ち込む
アタリをアワセてもタチウオが掛からないこともたくさんありますが、これはチャンスだと思ってください。
空振りしてもすぐに仕掛けを回収せず、再度少しだけ誘ってみると再びアタリが出ることも多々あります。つまり、空アワセが誘いになってタチウオの捕食スイッチが入るイメージです。
タチウオはひとつのエサへの執着が強いと言われており、追い食いすることを頭に入れておきましょう。
元釣具屋が厳選!タチウオテンヤおすすめロッド
入門モデルから本格モデルまで、タチウオテンヤにおすすめの専用竿を集めました。
竿選びの参考にしてください。
メジャークラフト ソルパラ 船タチウオてんや SPXJ-B180M/Tachi
オールラウンドに扱える8:2調子のタチウオテンヤ専用竿です。
ブランクは張りがある設計で、レスポンスに優れ、素早くアワせられます。
繊細な蛍光イエローの穂先はアタリを明確に表現してくれます。
実売価格は1万円以下とリーズナブルで、タチウオテンヤ入門に最適なモデルです。
全長 | 1.8m |
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継数 | 2本 |
錘負荷 | 30-60号 |
シマノ サーベルマスターTT 82MH180
幅広いアクションに対応できる8:2調子の専用竿です。
ブランクに強化構造のハイパワーXを採用しており、シャープな操作感を実現。
独特な形状のXシートデュアルガングリップは、必要以上の力を使うことなくロッドを保持でき、疲労感を大きく軽減してくれます。
全長 | 1.8m |
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自重 | 138g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 93.9cm |
錘負荷 | 30-60号 |
アルファタックル アルファソニックタチウオテンヤ 175
感度に優れるチタン製トップ(CTS)を搭載した専用竿です。
チタン特有のしなやかさを備えた穂先は、アタリを大きく表現してくれ、目感度に優れます。
軽量な小口径ガイドをトップセクションに限りなく近付くようにセットし、手元へ響く感度も高めています。
全長 | 1.75m |
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自重 | 132g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 134cm |
錘負荷 | 30-60号 |
シマノ サーベルマスターXR テンヤ 82MH180/RIGHT
シマノの最新テクノロジーを導入したハイスペックなロッドです。
東レのナノアロイ®︎テクノロジーによって実現したスパイラルXコアと、成型テープを密に巻くナノピッチが採用され、ハイパワーかつシャープなブランクに設計されています。
リアグリップには、反響感度に優れたカーボンモノコックグリップを用い、手感度を向上。
左右専用に設計されたXシートエクストリームガングリップは、パーミング性能に優れます。
全長 | 1.8m |
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自重 | 148g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 93.6cm |
錘負荷 | 30-60号 |
ダイワ 極鋭タチウオテンヤSP 91H-165AGS
9:1調子のショートレングスに設計することで、圧倒的なフッキングスピードを実現したモデルです。
超弾性チタン合金穂先のSMTとカーボン製ガイドのAGSの相乗効果で、圧倒的な感度を備えています。
小さなアタリもどんどん掛けアワセる攻撃的な釣りを展開したい方におすすめの1本です。
全長 | 1.65m |
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自重 | 92g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 120cm |
錘負荷 | 30-60号 |
元釣具屋が厳選!タチウオテンヤおすすめリール
タチウオテンヤに適した電動リールを集めました。
リール選びの参考にしてください。
シマノ プレイズ600
シマノ製電動リールのエントリーモデルです。
モーターのパワーとスピードは、タチウオテンヤに必要十分なスペック。
レバー式のダイアルは片手操作が難しいものの、電動リールに慣れていない方でも操作しやすいことが特徴。
電動リールの中では最安値クラスで、タチウオテンヤ入門に最適です。
ギア比 | 5.5 |
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自重 | 470g |
最大ドラグ力 | 5kg |
巻取り長さ | 59cm |
PE糸巻量(号-m) | 2-300 |
ダイワ レオブリッツ200J
ダイワ製電動リールのエントリーモデルです。
ジョグパワーレバーが採用されており、片手での操作が容易になっています。
仕掛け落下時はレベルワインドが連動する設計で、テンヤを落とすのがスムーズかつスピーディーです。
口コミ・レビュー
大阪湾のタチウオテンヤで使いました。タチウオにはラインのキャパもパワーも十分です。さらにパワーがほしい(青物にも使いたい)という方には、上位機種のシーボーグ200をおすすめします。タチウオメインでコストを抑えたい方は買いだと思います。
ギア比 | 4.8 |
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自重 | 460g |
最大ドラグ力 | 8kg |
PE糸巻量(号-m) | 2-300 |
シマノ フォースマスター 600
高負荷時にも強い巻き上げ力を発揮するMUTEKIモーター+が搭載されたリールです。
クラッチレバーの操作だけでON/OFFできるスピードクラッチと、モーター&クラッチ連動機能がタチウオテンヤにおいてかなり便利です。
探見丸搭載船では簡易魚探機能も使え、海底の状況を把握しながら釣りができます。
ギア比 | 5.1 |
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自重 | 495g |
最大ドラグ力 | 8kg |
巻取り長さ | 53cm |
PE糸巻量(号-m) | 2-300 |
ダイワ シーボーグ 200J
タチウオテンヤで大人気の、コンパクトかつハイパワーな1台です。
特殊ネオジウム磁石を用いたマグマックスモーターを搭載し、トルクフルで瞬発力に優れます。
ダイワ独自のマグシールドボールベアリングも採用され、塩噛みによるトラブルも軽減されています。
スマートフォンアプリでラインの入力やメンテナンス管理ができる機能も便利です。
ギア比 | 5.1 |
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自重 | 490g |
最大ドラグ力 | 10kg |
巻取り長さ | 55cm |
PE糸巻量(号-m) | 2-300 |
元釣具屋が厳選!おすすめタチウオテンヤ
筆者も愛用しているおすすめのタチウオテンヤを集めました。
ダイワ 快適船タチウオテンヤSS 40号
発売以来人気の高いタチウオテンヤです。
フッ素コートのサクサスフック仕様で、貫通力に優れます。
アイが二つあって水中姿勢を変えられ、それでいて他のテンヤよりも低価格です。
ハヤブサ 船太刀魚テンヤ 速掛型 喰い渋りスペシャル 40号
喰い渋りに対応することを目的としたテンヤです。
たわみにくい設計のフックに、フッ素コーティングと極小のカエシを組み合わせたことで非常に高い貫通力を誇ります。
スリムなヘッド形状によって引き抵抗が軽いのも魅力です。
シマノ サーベルマスター 船テンヤ β 40号 PN-WQ1U
掛けやすさを追求したタチウオテンヤです。
コンパクトなヘッドによってシルエットを小型化し、喰い渋りへの対応力をアップ。
水中姿勢を尻下がりに設計し、短軸で角度付きの針を採用したことで、素早いフッキングを可能にしています。
元釣具屋が厳選!おすすめ便利アイテム
タチウオテンヤ釣行の際に用意しておくと便利なものを集めました。
タカ産業 太刀魚KOバサミ TYPE-Ⅱ V-145
タチウオを掴むための専用ハサミです。
握りやすい大型ハンドルで、がっちり掴める設計。
タチウオを暴れさせず、牙が当たって怪我するのを防げます。もちろんタチウオ以外の魚にも使えます。
明邦化学 タチウオテンヤケース L
タチウオテンヤを収納する専用のケースです。30〜50号のテンヤを8個収納可能。
並列に並ぶことで、カラーやサイズが一目で判り、スムーズに取り出しやすくなっています。
ヘッドやフックの形状によっては入らないものもあるので、ご注意ください。
プロックス フックシャープナー 80 PX90880
テンヤのフックを研ぐためのアイテムです。
少し錆びたフックや針先が鈍っているものにおすすめ。
新品同様にはなりませんが、ある程度鋭さが復活します。
フッ素コートのフックの場合は、コーティングを剥がしてしまうので注意してください。
タチウオテンヤは数釣りも型狙いも楽しめる!
いろんな誘いを使い分け、アタリを見極めて掛けるタチウオテンヤ。
数ある船釣りの中でもかなり楽しい釣りだと思います。タチウオテンヤを始めてみると、これだけ人気の理由が良くわかるはず。
ハイシーズンにもなると良型のタチウオがたくさん釣れるので、ビギナーの方でも十分に楽しめる釣りです。
ぜひ、本記事を参考にしてタチウオテンヤにチャレンジしてみてくださいね!