レイクトラウトとは

レイクトラウトは、北米原産のイワナの仲間で、カナダやアメリカ北部の湖に広く生息しています。最大で全長1m・体重40kgを超えることもあり、トラウトの中でも屈指のサイズを誇ります。
体側の小斑点と背中の虫食い模様が美しく、魚体に対して各ヒレが大きく見えるのもレイクトラウトの特徴と言えるでしょう。
名前の通り、おもに湖(lake)に生息する魚であり、強い肉食性を示すためルアーやフライへの反応も良く、原産地ではスポーツフィッシングの対象魚としても人気があります。
イワナとレイクトラウトの見分け方

イワナ属に分類されるレイクトラウトは日本に生息するイワナに近い種類の魚であり、サケやヤマメといったサケ属の魚と比べると細長い体形です。
イワナとレイクトラウトは体形こそ似ていますが、尾ビレの形状に注目するとレイクトラウトの尾ビレはイワナよりも湾曲しているため簡単に見分けられます。
本栖湖の問題|生態と日本の生息地

レイクトラウトの適水温は4〜10℃とサケマス類の中でもとくに冷たく、動物プランクトンや昆虫、ワカサギやヒメマスなど、大小様々な餌を捕食します。
1966年に栃木県の中禅寺湖だけに移植された経緯がありますが、近年では山梨県の本栖湖でも生息が確認されました。
レイクトラウトは産業管理外来種に指定されており、中禅寺湖では遊漁対象魚として利用されている一方、本栖湖では既存の水産資源に悪影響を与えるとして駆除活動が行われています。
※産業管理外来種とは、産業上重要である一方、野生生息域が広がると生態系や農林水産業に悪影響を及ぼす恐れがあり、適切な管理が必要な外来生物のこと。魚類ではニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウトの3種のみ指定されている。
スプレイク|カワマスとのハイブリッド

原産地の北米ではしばしばレイクトラウトとカワマス(ブルックトラウト)が交雑することが知られており、ハイブリッド個体はスプレイクと呼ばれます。
日本の渓流魚で例えるならヤマメやアマゴとイワナの交雑個体である“カワサバ”と言えるでしょう。
このような交雑個体は一般的に繁殖能力を持ちませんが、一部の生息域では世代を重ねるスプレイクがいるようです。
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中禅寺湖のレイクトラウト釣りに挑戦

栃木県日光市に位置する中禅寺湖は火山による堰止湖であり、もともと魚類が生息していませんでした。
明治時代以降にイワナやヒメマス、ビワマス、サクラマス、ニジマス、カワマス、レイクトラウト、ワカサギといった様々な魚類が放流され、今もなお水産資源や観光資源として活用されています。
山根
平日でも人気ポイントには釣り客がズラリと並び、釣りが始められる朝4時の時点で入れる場所ないじゃんってくらいの大盛況。これだけ人を集められるなら産業として重要だと実感しました。
解禁期間と遊漁料

中禅寺湖で魚釣りをする場合は遊漁券を購入する必要があります。
コンビニやインターネットでの販売はなく、買えるのはいずれも湖畔にある大島商店と民宿越後屋の2カ所のみ。前売り券や年券もありません。
料金や定休日など情報が更新されることもありますので、詳しくは中禅寺湖漁業協同組合のホームページで最新情報をご確認ください。
山根
岸釣りの解禁期間は4月1日から9月19日。遊漁券(2700円)は当日の午前3時から購入可能、魚釣りは午前4時(4/1解禁日のみ5時)から可能です。
ルールについて

中禅寺湖には様々なルールがあり、しばしば改定も行われますので実釣前に必ず漁協のHPで最新情報を確認するようにしましょう。
例えば、バーブレスフックの使用や持ち帰り制限に関するルール、禁漁区域、ワカサギ以外は餌釣り禁止といったルールが細かく設定されています。
中禅寺湖のシーズン・ポイント

実釣したのはゴールデンウィークが明けた5月上旬。東京の最高気温は23℃予想という日なのに、中禅寺湖の明け方は1℃、最高気温も12℃ということで、平地と比べて10℃も低く、非常に寒く感じました。
4月の解禁直後は降雪や道路の凍結がありますので、個人的には5月から6月中旬頃が狙い目かなと感じます。
一方で、レイクトラウトは低水温を好む性質があるので、表層水温が上昇する7月以降は岸から釣りにくくなると言われています。
国道側に入釣することに

中禅寺湖のポイントは大きく分けて国道側と山側に大別できます。
国道側は文字通り湖畔に沿って道路や駐車場があるので、入釣しやすいことがメリットです。
一方で、山側には車両が入れる道路がないため、徒歩か渡船を利用しての入釣となりますが、国道側に比べると釣り人が少なかったり、風に強いエリアといったメリットがあります。
山根
僕は一度だけ山側へ行ったことがあったので(ボウズでした)、今回は駐車スペースからポイントが近い国道側で釣りをしてみることにしました。
山側は沢山歩きます

因みに松ヶ崎や大日崎といった山側の最奥ポイントまで駐車場から約7km、徒歩で1時間半から2時間程度です。
最後まで道こそついていますが舗装路ではありません。進むにつれて転倒しやすい場所も出てきますのでゆっくり慎重に時間に余裕を持って行動するようにしましょう。
魚探を投げ込んでみた

今回は中禅寺湖に行き慣れた弟に実績場に連れてきてもらいました。
試しに可搬型魚探を50mほど投げ込んでみると、水深1mから8mに変化するなだらかな傾斜地形だと判明。
レイクトラウトと言えば、岩礁帯やブレイクラインが定番ポイントってイメージがありましたが、適水温の時期は、今回のような浅くて平坦な地形も狙い目らしいです。
山根
ディーパーがあると地形変化が一目瞭然なので、地形変化の激しい中禅寺湖では魚探を使うと楽しさが増えるかもって感じました。
ディーパー Deeper Pro+ 2.0
Wi-Fi通信距離 | 最大100m程度 |
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本体サイズ | 直径約65mm |
対応OS | iOS 11.0以上、Android 5.0以上 |
本体素材 | ABS樹脂 |
本体重量 | 約100g |
接続方法 | Wi-Fi接続 |
対応水深 | 約15cm〜100mまで |
バッテリー | リチウムポリマーバッテリ3.7V(連続使用時間は約9時間、 フル充電所用時間:約2時間) |
充電方法 | microUSB充電ケーブル |
ソナー | 3周波対応, 周波数:100kHz /240kHz/ 675kHz 切り替え可能 |
当日のヒットパターン

実釣日は晴天に恵まれて、気温こそ低いですが空気も景色も超綺麗!
まるで海外で釣りを楽しんでいるかのような感覚になるほど、雰囲気バツグンな釣り場です。
山根
絶景に向かってキャストするだけで幸せ!
スプーンのリフト&フォールで釣っていく

レイクトラウトは、スプーン、ミノーに限らずセミルアーやビックベイトなど色んな釣り方で狙うことができます。
弟のアドバイスを受けて、14gのスプーンを湖底で跳ねさせる釣り方で狙ってみると、ヌゥ~っと竿に重みが掛かりました!
憧れの魚に感動

バレないように慎重に寄せてくると、念願のレイクトラウトです!
朝に釣れた一匹だけで、サイズもまだまだでしたが、初めてのレイクトラウトにとても感動しました。
山根
じつは訪米中にレイクトラウト釣りの計画を立てたことが2度もあったのですが、悪天候でいずれも中止だったんです……。
弟もレイクトラウトをキャッチ

同じくスプーンを使った釣りで弟は立派なレイクトラウトを釣獲しておりました。
僕が釣った個体は背中が青く、弟の釣った個体は金色。トラウトの体色って個体差があって本当に魅力的ですね。
山根
中禅寺湖のレイクトラウトは行けば高確率で釣れるようなものではなくて、1匹の価値を求める系の釣り物だなって感じました。
レイクトラウトも美味しいらしいが——

中禅寺湖漁協のHPを確認するとい“2025年から全てのマス類の持ち出し規制は解除”となっており、レイクトラウトも持ち帰ることができるので、食べたり剥製にすることも可能です。
ただし、レイクトラウトとブラウントラウトに関しては、栃木県内水面漁場管理委員会指示により卵を含めて生きたまま採捕した水域からの持ち出しが禁止されています。
※中禅寺湖漁協によって20cm以下の全てのマス類については採捕禁止です。
今回はリリースすることに

僕は何でもかんでも初めて釣った魚を食べてみたいと考えるタイプの釣り人です。
今回もクーラーボックスを用意してレイクトラウトを持ち帰る気満々だったのですが……。
不思議とリリースしていましたね。ホント、不思議。
巨大イワナを食べた経験

いずれ原産地で釣りをする日が来る(いつになるか分からないけれど)──そう思って「食べるのはその時で良いや」と感じられたのは、中禅寺湖の空気と、そこで竿を振る多くの釣り人たちの姿があったからだと思います。
他にも、湖で育った70cmに迫る巨大イワナ(頂き物)を食べた経験から、大型イワナは決してサーモンのように突出して旨いわけではない……ということが想像できたのも理由でした。
山根
原産地ではキャッチ&イートの対象魚としてもレイクトラウトは利用されています。今回は食べなかったケド、いつか必ず食べてみます!
▼僕が食べられなかった魚たちはコチラ
中禅寺湖でのタックル

専用タックルを揃えるに越したことはないと分かった上で、あえて僕はエギングタックルを流用してみました。
結論、流用タックルでも中禅寺湖の釣りを楽しめます!
10〜17g程度のスプーンや10cm前後のミノーを使った釣りであれば、お手元のエギングタックルやライトなシーバスロッドでもOKでしょう。
リールは竿に合わせて、2500〜3000番、PEラインは1~1.5号、リーダーはメインラインの強度よりほんのちょっと弱めを意識すると良さそうです。
山根
ハードルの高そうなトラウトの世界ですが格好さえ気にしなければソルト用タックルでも楽しめちゃいます。
ヒットルアー

スプーンの形状は好みや演出したいアクションによって使い分けを楽しんでいくのが醍醐味だと思いますが、今回の釣りで釣果があったのはノアG14gでした。
水深8m前後だったこともありウェイトは11〜14gが使いやすかったですが、もっと深い場所や強風時には20g前後まで持っておいた方が良さそうです。
カラーについては、僕は派手な色、弟はブラウン系の地味な色での釣果でした。
ロデオクラフト ノアG 14g
重さ | 14g |
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中禅寺湖で魚を釣って感じたポジ&ネガ
根掛かりが多い

中禅寺湖で釣りをして感じたネガティブなことは根掛かりの多さです。
ブレイクや岩といった地形変化による根掛かりはやむを得ないとして、写真のような高切れして水中に残されたラインやルアーに引っかかる現象も発生しました。
根掛かりが発生した距離をPEラインの色などでしっかりと覚えておき、積極的に根掛かりを回避しないと初心者の方はスプーンが何個あっても足りない……。ってことになりそうです。
▼フックを弱くして対応

根掛かりの多さは以前ボウズだった山側の釣行でも痛感していたので、今回は友人のアドバイスも受けながらラインよりもフックを弱くするという対策をしていきました。
PE1.2号+フロロリーダー16lb+ヴァンフックTD-31R #3Lの組み合わせなら、根掛かり時にもラインより先にフックが折れて回収しやすくなります。(今回はロスト1つで済みました)
また、万が一スプーン自体が岩に挟まる場合に備え、PEラインよりもリーダーを弱く設定することで高切れの予防にもつながります。
ヴァンフック TD-31R #3L
入数 | 2組 |
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カラー | レッド |
マナーはメチャ良いケド、釣り人もメチャ多い

これは人によって受け止め方が違うと思いますが、中禅寺湖は釣り人や観光客がとても多いフィールドです。
マナーの良いアングラーばかりですし、挨拶や情報交換をしてくれる釣り人が多くて釣りをしていてストレスを感じることはありませんが……。
平日でも湖畔にはズラリと釣り人が並び、休日ともなるとほとんどのポイントでランガンはおろか、前に向かってしかキャストできません。
山根
釣りにどっぷりハマっている方なら、地図を見てこのポイントで釣りしてみたい……って考えますよね。
しかし、中禅寺湖でそれをしようとすると深夜から遊漁券を買うために列に並び、購入後は急いでお目当てのポイントに直行する必要があります。
ワイルドトラウトの魅力を堪能

最後は中禅寺湖ならではのちょっとネガティブな部分も隠さずにご紹介しましたが、それらを差し引いてもメチャクチャ魅力的な釣り場であることに間違いはありません。
僕の実力不足で釣果面こそ悔しい結果となりましたが、景色も魚も綺麗でこりゃ再訪したくなるわけだと実感できました。
皆さんもこれを機会に中禅寺湖でワイルドトラウトを狙った釣りに挑戦してみてはいかがでしょうか。