フルソリッドのソルティガ
ソルティガSJ AGS TGは、ダイワから発売されているスロージギング専用ロッドです。
TGは“スリルゲーム”を意味し、高強度なカーボンフルソリッドブランクを採用しています。
オリジナルのソルティガSJに対し、曲げ込んでファイトできるのがTGシリーズの強みです。
本記事では、そんなソルティガSJ AGS TGの使用感をお届けします!
ラインナップ
番手 | 全長(ft) | 自重(g) | 継数(本) | 仕舞寸法(cm) | 適合ルアー(g) | PEライン適合(号) | 定価(円) |
55B-2 | 5’5″ | 114 | 1 | 165 | 120-200 | 0.8-2.0 | 61,000 |
55B-3 | 5’5″ | 120 | 1 | 165 | 150-260 | 1.0-2.5 | 62,000 |
55B-4 | 5’5″ | 127 | 1 | 165 | 200-330 | 1.2-3.0 | 63,000 |
ソルティガSJ AGS TGの特徴
まずはソルティガSJ AGS TGのスペック的な特徴から解説します。
ブランク
軽量・高強度なHVFカーボンに東レのナノアロイ®︎テクノロジーを組み合わせ、さらに高強度化したHVFナノプラスを採用しています。
また、カーボン繊維と樹脂が均一に分散させることで、どの方向からの負荷に対しても等しく曲がり、曲がり癖がないことも特徴です。
それに加えてX45フルシールドも導入しており、ソリッドの芯に対して斜め方向にカーボンクロスを巻きつけて補強。
この補強がバットからティップまで入っており、フルソリッドながら高い反発力を得ています。
ガイド
オリジナルのソルティガSJがチタンガイドなのに対し、TGはAGSを搭載しています。
このAGSはRフレームと呼ばれるもので、HVFナノプラスと東レのトレカ®︎T1100Gをコンポジットして作られたフレームです。
リングは、コバルト合金製のCリング、セラミック(シリコナイト)製のNリングをハイブリッドでセッティングしています。
リールシート
リールシートはオリジナルSJと同じく、Fuji製のPULSシートです。
TDPS22等とは異なり、ブランクタッチできることが特徴。グリップはコルク仕様です。
ソルティガSJ AGS TG 55B-2をインプレ
ここからは、ソルティガSJ AGS TG 55B-2の使用感をお届けします。
大阪湾(明石海峡)で青物とタチウオを狙って実釣してみました。
アクションについて
まずは150gのジグをアクションさせている様子です。
動画では伝わりにくいかもしれませんが、グリップエンドまで曲がり込むような柔軟さを備えています。
しかし、曲がりっぱなしではなく、十分な復元力で曲がった分を素早く返してくれます。
スローピッチはもちろん、ハイピッチでも使いやすいですね。
スペック上の最大ウエイトである、200gをアクションさせている様子です。
少し曲がり込みは大きくなりますが、150gの時とほぼ操作感は変わりません。
ただし、曲がり込みが大きくなった分だけ、ハイピッチのリズムが少しスローになります。
オーバーウエイトの300gをアクションさせている様子です。
さらに深い位置まで曲がり込みますが、しっかりジグを跳ね上げられています。
ただし、100m以深でしっかりとジグを動かしたい場合は#3や#4が良さそうです。
逆に、ジグをソフトに動かしたい場合は、やや過負荷な状態で#2を使うのもアリでしょう。
“手釣り感覚”のダイレクトな操作感
ショートレングスかつ軽量なので、まるで手釣りのような、糸を持ってジャークしているような、ダイレクトかつ繊細な操作感です。
この操作感は唯一無二で、めちゃくちゃ面白いですね。
短かい分だけ竿の戻りが速く、スロージギングロッドでありながら細かくて速いピッチの誘いにも適します。
その反面、竿の可動域が狭いので、ジャークとフォールのストロークは短くなります。
とくにタチウオや根魚狙いでは、「もう少しフォール幅があればな……」と感じることは少なからずあるはずです。
また、糸がやや斜めになっている時は、フォールというよりかはステイのような釣り方になります。ロッドで糸を送り込めないので、ジグが一定のレンジにホバリングしているような状態ですね。
そのため、一般的なスロージギングロッドのように大きく上げて大きく落とすのではなく、上げをメインにショートフォールやステイを入れる釣りに向いています。
あとは、短いので屋根がある船では便利ですね。(大阪湾・明石の船は屋根付きが多い)
うっかり屋根に穂先を当てる心配がありません。
チューブラーを超える感度
高反発でショートレングスなブランクとAGSの相乗効果なのか、非常に高感度です。
フルソリッドは感度が悪いイメージでしたが、ソルティガSJ AGS TGはそのイメージを払拭してくれます。
とくに手感度が優れており、チューブラーロッドと遜色ないか、「超えている」と言っても良いくらいです。
タチウオの歯がメタルジグに当たったような、“カツン”という瞬間的な情報も手元に大きく伝わってきました。
曲げ込める
フルソリッドに共通する醍醐味は、曲げられること。曲げる楽しみがあること。
まるでゴムのように伸びる感覚で、どこまでも曲げ込めます。
しかし、「曲がる=リフトパワー」というわけではなく、魚の動きに追従することでバラシを減らす、魚の引きを吸収することで体力を奪うといった意味合いが強いですね。
イメージとしては、のべ竿や磯竿に近いファイトができるロッドです。
ポンピングでガンガン浮かせるのではなく、曲げっぱなしにしておいてリールで巻くファイトが良いと思います。
万能近海ジギングロッドとして
使い込んで感じたのは、万能近海ジギングロッドとしての素質の高さです。(とくに大阪湾において)
青物に関していえば、150〜300gまでのジグを扱えるので、イワシパターンからタチパターンまで通年使いどころが多いと思います。
ジグをしっかり飛ばすこともできれば、ナチュラルに泳がせることもできるので、アクションの面でも一番融通が効く硬さです。
タチウオを狙うに当たっても、ティップを下げて竿を柔らかく使えば、タチウオジギングらしいナチュラルな誘いも可能。
それに、しなやかで感度も良いので、居食い系のアタリも食い上げるアタリもしっかり伝えてくれます。
一般的な2番クラスのスロージギングロッドだとタチウオには硬く、柔いライトジギングロッドでは重たいジグがしんどいのですが、ソルティガ SJ AGS TG 55B-2は両方に対応できる懐の深さを備えています。
大阪湾は青物もタチウオも魚影が濃く、日によっては両方狙うことも多いので、1本あれば大活躍するのは間違いありません。
オリジナルのソルティガSJと比べて
ソルティガSJのオリジナルモデルも使ったので、両モデルの使用感を比べてみました。
オリジナルは#3を使ったので単純比較はできませんが、ぜひ参考にしてください。
面白いことに、素材も長さも違う両モデルですが、ジグの操作感はかなり近いものがあります。
推測ですが、長いチューブラーと、短いフルソリッドがニアリーイコールの状態になっているのではないでしょうか。
おそらく、フルソリッドで6ftまで伸ばすと、もう少し柔らかく感じて戻りも遅くなるはずです。
チューブラーより反発が少ない分を、ショートレングスにすることで補っていて、フルソリッドのネガな部分を上手く排除している印象でした。
また、AGS TGはオーバーウエイト気味でもジャークがしやすく、上限ウエイトに関しては#2.5くらいに感じます。
持った時の軽さは、AGS TGの方が軽く感じます。
オリジナルの61B-3が自重106g、AGS TGの55B-2が自重114gと、AGS TGの方が重いのに軽く感じるのには驚きました。
ショートレングスとAGSによって、重心が手元に寄っているからかもしれません。
感度もAGS TGの方が高いように感じました。
チューブラーの方が反響するはずですが、短い分だけ伝達が早くてノイズが少なくなるのかもしれません。
理由はわかりませんが、フルソリッドとは思えない感度です。
オリジナルのSJも曲げられるスロージギングロッドで、張りがある分だけパワーが強いように感じます。
それに対してAGS TGは、バラシにくさと折れない安心感、大きく曲げ込める楽しみがあります。
両者の使い分けは、「フォールを多用するオーソドックスなスロージギングにはオリジナルSJ、上げ主体のジギングにはTG AGS」と考えるのがいいでしょう。
めっちゃ面白いロッドです!
フルソリッドロッドらしからぬ操作性と感度を備えていて、柔らかくも硬くも使えるのがAGS TGの魅力でした。
使う前は“曲げられるだけのロッド”かと思っていましたが、いざ使ってみるとめちゃくちゃ楽しいロッド。
買って損はないロッドなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
▼今回使った番手
ダイワ ソルティガ SJ AGS TG 55B-2
全長 | 5ft5in |
---|---|
自重 | 114g |
継数 | 1本 |
仕舞寸法 | 165 |
ルアー重量 | 120-200g |
PEライン適合 | 0.8-2.0号 |
▼その他の番手
ダイワ ソルティガ SJ AGS TG 55B-3
全長 | 5ft5in |
---|---|
自重 | 120g |
継数 | 1本 |
仕舞寸法 | 165cm |
ルアー重量 | 150-260g |
PEライン適合 | 1.0-2.5号 |
ダイワ ソルティガ SJ AGS TG 55B-4
全長 | 5ft5in |
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自重 | 127g |
継数 | 1本 |
仕舞寸法 | 165cm |
ルアー重量 | 200-330g |
PEライン適合 | 1.2-3.0号 |