幻の高級魚をジギングで狙う!
アラは大変美味な魚ですが、漁獲量が少なくて市場への流通量が極端に少ないことから、幻の魚とも呼ばれています。
じつはアラは中深海のスロージギングで釣ることができ、数釣りは難しいながらも、狙って釣れるターゲットとして密かに注目されているのです。
本記事では、アラを狙ったスロージギングについて紹介します!
アラについて
アラは、スズキ目ハタ科アラ属に分類される海水魚です。
九州地方ではクエ(スズキ目ハタ科マハタ属)のことをアラと呼ぶこともありますが、アラとクエは別の魚です。
本種(標準和名アラ)は日本各地の沿岸、水深70〜300m程度の岩礁域に生息しており、体長は最大で1mに達します。
別名オキスズキとも呼ばれるように、スズキに似た姿をしているのが特徴で、スズキより頭や目がやや大きめです。
漁獲量は非常に少なく、市場価値は高価。変動はありますが、kg当たりの単価は5,000円前後、大型の個体になるとさらに高値がつく傾向があります。
アラジギングのタックル
まずはタックルについて解説します。いわゆる中深海用のタックルを用意してください。
ロッド
ダイワ ヴァデルSJ 63B-3
全長 | 6ft3in |
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自重 | 115g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 141cm |
ルアー重量 | 150-260g |
PEライン適合 | 1.0-2.5号 |
ロッドはスロージギング専用ロッドを選びましょう。
300g前後のジグを扱える、各社の#2〜#4クラスがおすすめです。
水深150m前後で300g程度のジグを使うエリアが多いので、#3くらいがもっともオールラウンドだといえるでしょう。
120m程度の浅場では#2、200m以上の深場では#4を目安にしてください。
リール
ダイワ ソルティガ 15H-SJ
ギア比 | 7.1 |
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自重 | 480g |
最大ドラグ力 | 8kg |
巻取り長さ | 115cm |
PE糸巻量(号-m) | 3-400 |
リールはジギング用のベイトリールを選びましょう。
シマノ製のリールでは、オシアジガーやトリウムの1500〜2000番、オシアコンクエストの300番などが適しています。
ダイワ製のリールでは、ソルティガ15やソルティガIC300番がおすすめです。
操作性は悪くなりますが、電動リールを使うと回収作業が楽になります。
ライン
PEラインの1.2〜1.5号を、最低でも400〜500m以上巻いておきましょう。
伸びの少ないPEジガー4本組(サンライン)やファイヤーライン(バークレイ)が人気です。
アラをジギングで狙ってみた!
幻の魚を釣って食べてみたい!
ということで筆者も実釣してきました。
一度頂きものを食べた時に、感動するくらい美味しかったのでぜひ自分で釣ってリピートしたい!
相手は幻の魚。はたして釣れるのか? その様子をお届けします。
欲望剥き出しで向かったのは、7月も後半の石川県輪島沖。
数が釣れるわけではありませんが、アラがスロージギングで連日コンスタントに上がっており、狙って釣れる珍しいエリアです。
まだ暗い朝4時頃に集合してスタート!
ポイントまでは1時間半ほど。かなりのスピードで走ったので、陸地はうっすらしか見えません。
水深は140m前後、船長の合図とともに実釣スタート。
この日の潮周りは、中潮です。
最初の底取り後、すぐにアタリが出てスルメイカがヒット。
朝マズメで活性が高いらしく、周りでもたくさんスルメが上がっています。
潮はあまりなかったので、250gのジグでも十分底取りはできました。
スルメイカを意識して、手持ちのジグの中からそれっぽいカラーに変更。
スパイV300g(ディープライナー)のパロットカラーで攻めてみます。
ちなみにこの日のタックルは、ロッドはロジカル60の#3(ディープライナー)、リールはオシアジガーFカスタム 1501HG(シマノ)です。
PEラインはオシアジガーMX4PE 1.2号-600m(シマノ)にリーダー6号のセッティング。
コンスタントにヒットするのは、オキメバル(ウスメバル)やタヌキメバル(シロソイ)など。
日本海の中深海ではポピュラーな存在で、どれも美味しい魚!
本命ではありませんが、お土産には丁度良いです。
あちこちで竿が曲がる中、小型ながら本命の姿も!
群れでいるのか、小さな漁礁が点在しているのか、同じタイミングで上がることも多いようで、同船者が釣ると期待も高まります。
案外あっさり釣れた幻の魚を横目に、我こそはと必死にアクションを続ける人々……。(筆者も含む)
タナを上げるとオキメバル、ボトムはタヌキメバルといった感じで、本命に辿り着きません。
ここで潮もなかったので、100gのタングステン製ジグとPE0.6号のタックルにチェンジし、アプローチを変えてみます。
するといきなりヒット!
上がってきたのは50cmほどのマダイ。
図らずもタイジギングになっていたようです。
アラと紛らわしい引きなのでよく勘違いするのだとか。
結局、スモールシルエット作戦は別の魚のアタリが増えそうなので、マダイを釣ってすぐに辞めました(笑)
とにかく釣れるまで、黙々とボトムから3m前後を探り続けます。
気温は30℃を超える炎天下の中、風もほとんどないベタ凪の海で、ダウン寸前です。
ここでお気に入りのスパイVを根掛かりさせてロスト! ショック( ; ; )
しかし、今までほとんど無かった根掛かり。底が荒い(=アラが多い)ポイントなのかもしれません。
すぐにクランキー290g(シーフロアコントロール)に結び変えて、アプローチします。
根掛かりは怖いものの、丁寧にボトムを探り続けると何かがヒットしました。
掛けた瞬間の重量感で大物であることを確信!
強烈なダッシュにドラグを調整しながら耐えます。
最初のダッシュに耐え、巻ける時に巻いて間合いを詰めると、突然引かなくなりました。
どうやら浮き袋が膨張して上手く泳げなくなるようです。
そのままフックアウトに注意しながら、慎重に巻き上げてキャッチ!
ついにゲットした幻の魚!
片手で持つのは無理があるくらいの重量感です。迫力があります!
糸が細いのでドラグ調整はしっかりしておきたいですね。
このアラは5.3kg、体長70cmほどでした。
結局、このアラを最後にタイムアップ。
やはりたくさん釣れる魚ではなかったものの、良型が釣れて大満足です!
エラワタを抜いて65Lクーラーに入れてもこの迫力!
持ち帰って調理するのが楽しみです。
後から聞きましたが、肝や白子も美味しいとのこと。
アラは背ビレに毒があるらしいです。
カットしておくと安全。
鰓蓋のトゲにも毒があるそう。
かなり硬いので、よく切れる調理バサミが必要です。
1日寝かせたものを早速、刺身と炙りで食べてみました。
身の弾力がまだかなり強いので、もう少し寝かせた方が良さそうです。
味は文句無しに美味で、脂もしつこくなく、ひたすらに旨味があります。
カマの部分は塩焼きにしてみました。
さらに食感が強く、鶏肉かと思うほどジューシー。
お箸では食べにくいので、ナイフとフォークが必要です。
思い切って7日間熟成させてみました。
刺身と炙りを食べ比べましたが、皮と身の間に旨味があるので、炙りで皮ごと楽しむのが一番良さそうです。
食べてみると、1日目よりも柔らかくて食べやすく、さらに倍増した旨味に驚きます。
アラは1週間寝かせるのが正解ですね!
残ったアラのアラも余すことなくいただきます!
頭が大き過ぎて鍋に入りませんでしたが、そのまま気にせず炊きます。
少し炊いただけで凄い脂。
そのままアラ汁としていただくのもアリですが……
最高だったのは、アラのアラで作ったラーメン!
旨すぎる出汁が舌を包み込みます。
何にしても美味しい魚でしたね。
アラの釣り方
基本的な釣り方は、スローピッチジャークでOKです。
ロッドを肘持ちで大きくジャークし、そのままロングフォールさせるのをワンセットとして誘います。
1/2ピッチや1/4ピッチなどで少しずつ巻いて探る層を変え、ある程度上げたら底を取り直してください。
ほとんどはベタ底にいる魚なので、探るのはボトムから3m程度を目安にしましょう。
ポイントを入れ替える意味で、20mほど巻き上げてフォールさせるのも有効です。
アラにおすすめのメタルジグ
アラジギングにおいては、セミロング系がセオリーとされています。
とくに潮がないことが多い北陸エリアでは、ある程度自走するセミロング系の方がじっくりアピールでき、喰いも良いそうです。
また、シルエットをあまり小さくし過ぎると、フォールスピードが速くなって見切られやすくなったり、外道のアタリが増えたりしてアラの確率を下げてしまいます。
重さは250〜350gの使用頻度が高いですが、その都度適切な重さを選べるように選択肢は多く持っておきましょう。
ディープライナー スパイV 300g
「誰でも楽に釣れる」をコンセプトに設計されたセミロングジグです。
ジャーク時には適度にスライドし、失速するとバイブレーションしながらアピール。
フォール時はジグザグのスラロームアクションを発生します。
フォールスピードが遅く、バイトチャンスを長く確保できるので、ボトム付近をじっくり狙うアラジギングにぴったりです。
ウロコ ウロコジグ オリジナル 300g
青物ジギングやトンジギでも人気のウロコジグは、アラジギングでの実績も高いメタルジグです。
水抜けに優れ、軽い力でも素早くダートします。
また、テールのへこみによってブレーキが掛かるので、ジグが横を向いた状態からゆっくりフォールします。
引き重りが少なく、回収が楽なのも好ポイントです。
シマノ スティンガーバタフライ イージーペブル 290g
人気のペブルスティックをベースに、面構成のボディでアピール力を高めたジグです。
誰がシャクっても簡単に横を向いてスライドフォールを演出します。
引き重りが軽いため、深場で使っても動かしやすいことが特徴です。
フォール時は、面によるローリングで強いアピールを生み出します。
シーフロアコントロール クランキー 290g
セミロングではなくショート系のジグですが、筆者自身の釣果もあったのでおすすめしたいジグです。
クランキーは小さな入力でも即座にスライドするアクションレスポンスが特徴。
そして、表面に設けられた2つの段差がイレギュラーなフォールアクションを演出します。
ビギナーが使っても釣果を得やすいオールマイティな一品です。
これはリピート釣行確定!
深場から慎重にやりとりし、海面にアラが浮いた瞬間は興奮度マックスです!
相手は幻の魚なので、そう簡単に釣れるターゲットではありませんが、狙ってみる価値は十分にありますよ。
食べても絶品ですので、ジギングが好きな方はぜひ狙ってみてくださいね。