ノリーズが誇る名作スピナーベイト“クリスタルS”
クリスタルSとは、ハードベイトの名手・田辺哲男氏がプロデュースしているスピナーベイト。
ノリーズがTIFAのブランドの一つであった時代から発売されていて、その歴史はいまや20年以上も経過しています。
現在はそれぞれ性格の異なる、全6アイテムがラインナップ
現在のクリスタルSシリーズは、オリジナルを含め全6アイテム。レンジや使い方等に応じた細かなセレクトができる盤石のラインナップです。
クリスタルS(オリジナル)
シリーズの始まりとなったクリスタルS(オリジナル)。
最大の特徴は搭載されているV-ブレード。ウィローリーフ特有のフラッシングの強さに加え、強烈なバイブレーションも生み出すこのブレード。発売以来一度も形状が変えられていません。
ウェイトラインナップは3/8・1/2ozで、ブレードの組み合わせはタンデムウィロー。
ウェイトごとにブレードの大きさ、さらにはフックサイズも使用タックルを想定したものが採用されています。
掛かり重視の柔らかいワイヤーは、バスが釣れると変形してしまうものの、トレーラーフックいらずのフックアップ率を実現。
有効なレンジ・使い方
クリスタルS・オリジナルは、浮き上がりがやや強め。巻き速度は、ゆっくり〜普通ぐらいでシャローを引いてくるイメージで使います。
その際にも巻き感がしっかりあって、一定レンジを引きやすくとても使いやすいですね。
一方で、早巻きでミドルレンジの広範囲をサーチしたい場合は、後述するウィンドレンジやディーパーレンジを使用します。
クリスタルS・ウィンドレンジ
ウインドレンジは、標準モデルのクリスタルSと比較して、ワイヤーがコンパクトシルエットとなっています。
その名称(ウィンド)からも分かる通り、風が強い時でもキャスタビリティを確保できるというスピナーベイトです。
スカートも飛行姿勢を考慮したワンサイド設定(内側カット仕様)で、空気抵抗を減らしてキャスタビリティを向上させています。
空気抵抗の大きなスピナーベイトは風が吹いている状況ではキャスタビリティが落ちますが、ウインドレンジはそのような状況でも使いやすくなっています。
ウェイトラインナップは3/8・1/2・5/8oz。それぞれにタンデムコロラドとタンデムウィローがラインナップ。
さらに1/2・5/8ozにはリアブレードのサイズをアップさせたデカコロモデルもあります。
個人的にオリジナルとウィンドレンジはもっともメインに使う2機種です。
ウィンドレンジはコンパクトシルエットで食わせやすく、キャストもキマるため汎用性が高いですね。
今のフィールドが求める要素を満たしたスピナーベイトだと感じています。
有効なレンジ・使い方
ウインドレンジは強風時にめっぽう強く、他のスピナーベイトではキャストがままならない時が出番。とくに1/2・5/8ozはキャスタビリティが抜群です。
またフォーリングでもコロラドブレードが綺麗に回ってくれるため、杭や橋脚といった縦ストラクチャーをタイトに攻めたい時にもおすすめ。
クリスタルS・ディーパーレンジ
警戒心の高いビッグバスにも口を使わせやすい、タイトバイブレーションが特徴的なディーパーレンジ。
ワイヤーセッティングによってブレードの動きを抑制し、フラッシングの強さを残しつつもタイトバイブレーションを実現。同時に浮き上がりにくい特徴も手に入れています。
オリジナルのクリスタルSは、市場に存在するスピナーベイトの中でも強いスピナーベイトですが、ディーパーレンジはあえてアピール力を抑えた仕様です。
「ディーパーレンジ」という名前なのでディープを攻めるモデルと思いがちですが、普通にシャローを引いてこれるモデルです。
浮き上がりを抑えた仕様なのでレンジキープしやすく、非常に扱いやすいモデルですね。
ラインナップは1/4・3/8・1/2・3/4ozの4種類で、ブレードはダブルウィローが採用されています。
シリーズ中で唯一、1/4ozが設定されているのもポイント。
軽量な1/4ozは浮き上がりやすく、ドシャローをゆっくりじっくり引くという、他のウェイトにはない動きを出せます。これがテキメンに効くこともあるので持っておきたいですね。
そんなとき、1/4ozの巻きスピードでアジャストしていきます。
有効なレンジ・使い方
浮き上がりにくいディーパーレンジは、他のスピナーベイトと同じスピードでひとつ下のレンジを探っていくことが可能。
バスのレンジが少し深い時でも巻きスピードを変えることなく、スピーディーにエリアをチェックできます。
ハイプレッシャーかつ広大なフィールドでは、このメリットが活躍すること間違いなしです。
クリスタルS・シャローロール
シャローロールでは、オリジナルブレード・Vラウンドをタンデムコロラドで採用。ウェイトラインナップは3/8ozのみです。
スローに巻いても強いバイブレーションを発生させられ、タフコンディションに陥りワームやジグに反応しなくなったバスをもバイトさせる力を持っています。
有効なレンジ・使い方
シャローロールは、浅いレンジをゆっくり引きたい時におすすめ。
シャローにバスが居るものの、水温の急変や濁り等によって活性が低いといったシーンで活躍します。
使い方は、一定のレンジをスローにキープして巻くのがコツ。
クリスタルS・スーパースローロール
Vラウンド&Vブレードを搭載しているスーパースローロールは、シリーズ最強のアピール力が特徴。
強い波動とフラッシングで広範囲のバスにアピールします。
ラインナップは1/2ozのタンデムウィローのみで、フロントにVラウンド40、リアにVブレード45と大きめのブレードを採用しています。
有効なレンジ・使い方
スーパースローロールは、タフコンディションスペシャル。バスがスローでも追わせられるスピードで巻いて強烈にアピールできます。
ブレードが回転する中で最もゆっくり巻くスローロールを基本に、ロッドストロークで引くフィネスな使い方もおすすめ。
また、岬から続く地形変化や、ブレイクエッジなど深場をボトムトレースして使うのも有効です。
クリスタルS・パワーロール
パワーロールは、シリーズで最も浮き上がりにくい設計。V-ブレードをタンデムで採用し、光の届きにくいディープでも強力なフラッシングを放ちます。
パワフルなディープ狙いのスピナーベイトで、分かりやすいネーミングと立ち位置です。
他モデルより明らかに深いところをゴリゴリと力強く泳いでくるので、泳がせてみれば狙いどころを思い出せるような仕上がりです。
ウェイトは重めの3/4ozと1ozをラインナップ。ロングキャストで長い距離を巻いてくることが可能です。
有効なレンジ・使い方
パワーロールは、まずディープレンジ狙いにおすすめ。
ディープを回遊するスクールフィッシュを、レンジキープしながら狙う時に使いやすいです。
また障害物にコンタクトさせながらタイトに引きたい時にも浮き上がりにくい特徴が役立ちます。
障害物に当ててバランスを崩した時のヒラ打ちは、バスがリアクションバイトしてくることが多いです。
クリスタルSを使うのに適したタックルは?
クリスタルSを使うにはベイトタックルがベター。
シャローを1/4~3/8oz中心に使っていくなら軽快にキャストできるML〜Mクラス、ディープやウィードエリアを1/2~1ozで狙っていくならパワーのある、MHクラスのロッドが良いでしょう。
シリーズの特性上、リールは一定速度やスローで巻くことが多いため、巻き取りを安定させやすいローギア~ノーマルギアをセレクトしましょう。
また、クリスタルSに限ったことではないですが、スピナーベイトは空気抵抗が大きいため、スプールの回り出しが軽快なリールを使うと快適です。
ラインはフロロ14lbを中心に、カバー周りで使うなら16lbくらいまで太くして使うと、カバー周りでも安心してやりとりできます。
クリスタルSシリーズにトレーラーフックは不要?
クリスタルSシリーズは、純正トレーラーフックが用意されていないのも特徴のひとつです。
これは、「メインフックに掛からなければ、それはスピナーベイト自体が合っていない」という考え方に基づいています。
しかし個人的には、ショートバイトが多発するときはトレーラーフックを装着することも。
もちろん、変にバランスが崩れたりせずに問題なく釣ることができます。
名作は色褪せない
数々のスピナーベイトが生まれてきた中でクリスタルSが20年以上残り続ける理由は、「釣れるから」の一言に集約されるでしょう。
オリジナルを巻くだけでも釣れますが、シリーズラインナップごとの特徴をよく理解して、投げ分けることで更なる釣果UPに繋げることができます。