タラをジギングで狙う

タラ(マダラ)は、「たらふく(鱈腹)」の語源ともされている通り、非常に貪欲な魚です。
国内でも重要な水産資源として利用されており、食味も良好。
釣りの対象としても人気があり、ルアーへの反応も良いことからジギングの好ターゲットでもあります。
本記事では、そんなタラを狙ったジギングについて詳しく解説します。
タラについて

マダラは、北太平洋の水深約150〜300mに広く分布する肉食性の底棲魚です。
2〜4℃の水温を好む冷水性の魚であり、日本海固有水※の影響を受ける日本海沿岸や冷水が安定する北海道全沿岸、北太平洋などに生息。
大きな個体になると体長は120cmに達します。
※日本海の約300m以深に存在する水温0〜1℃の大きな水塊。外洋や大気の影響をほぼ受けず、年間を通して水温がほとんど変化しない。
タラジギングの時期

タラジギングは年中楽しめますが、メインは冬と夏です。
冬場は産卵期なので白子や真子を抱えており、夏場は産卵がないので身が美味しくなります。
とくに冬の日本海は出船率が低くなりますが、白子が美味しいこともあって人気の釣り物です。
タラジギングのタックル

タラジギングは海域によって狙う水深が大きく異なるため、水深(≒メタルジグのウエイト)に応じたタックルを用意しましょう。
ここでは、もっとも一般的な水深200〜250m程度に適したタックルを中心に解説します。
ロッド
メジャークラフト ジャイアントキリング5G GK5SJ-B66/4
全長(ft) | 6'6" |
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継数(本) | 1 |
適合ジグ(g) | 150-350 |
250〜400gのメタルジグが使える、スロージギングロッドの4〜5番を目安にしてください。
長さは6ftが基準になりますが、ロングフォールが有効なことも多いので少し長いロッドもおすすめです。
水深100m以下の浅場で釣れる場合は、スピニングタックルを代用することもできますが、基本的にはスロージギング用のベイトタックルを使います。
▼スロージギングロッドを特集した記事です
リール
シマノ オシアジガー 2000NRHG
自重(g) | 595 |
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ギア比 | 6.2 |
最大ドラグ力(kg) | 10 |
巻き取り長さ(cm) | 117 |
PE糸巻量(号-m) | 3-400 |
口コミ・レビュー
今までオシアジガーリミテッド1500HGに250g以上のジグで中深海をやった時はジグ回収が重く苦行のようでした。番手が違うので比較してはいけないのでしょうが300g以上のジグでも回収が物凄く楽です。ブリも何匹か掛けましたがゴリ巻きも今までとは考えられないくらい楽ちんです。
出典: 楽天市場
シマノは1500〜2000番、ダイワは15〜35番のジギング用ベイトリールが適します。
水深が深くて回収作業が大変なので、電動リールを使う方も増えています。
▼スロージギングのリールを特集した記事です
ライン
よつあみ エックスブレイド スーパージグマン X4 1.5号 600m
PEラインは1.2〜1.5号を600m巻いておきましょう。
リーダーは、フロロカーボン4〜5号(20〜25lb)を2〜3ヒロほど(約3〜4.5m)接続してください。
タラジギングにおすすめのメタルジグ

地域にもよりますが、タラジギングでは300〜400g程度のジグを使うことが多いです。
フックはフロントとリア両方、アシストラインはフック同士が絡まない程度に長くセッティングしてください。
メジャークラフト ジグパラ バーチカル ロングスロー 350g
ラインナップ(g) | 100-400 |
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ややフロント寄りのバランスのため、軽い力で簡単にスライドできるジグです。
独自の断面形状によって、安定したフォール姿勢を演出。
リーズナブルな価格のため、根掛かりの多い場所でも使いやすいです。
ダイワ ソルティガ SLジグ SD 330g
ラインナップ(g) | 230-800 |
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先端部分を半球形状にしたことにより、引き抵抗を大きく軽減したセミロングジグです。
重たいウエイトでも軽くシャクれることが特徴。
高輝度グロー塗料も採用されているため、光によるアピールも可能です。
シマノ オシア スティンガーバタフライ イージーペブル 320g JV-C32S
ラインナップ(g) | 140-400 |
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ボディが面によって構成されており、ローリングしながらフォールするジグです。
フォールでのアピールが強く、魚を寄せる能力に長けています。
比較的リーズナブルなのも魅力価格です。
ディープライナー スパイ-V 350g
ラインナップ(g) | 30-1500 |
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筆者が中深海ジギングで一番信頼しているのがスパイ-Vです。
ゆったりとした水平フォールでアピールしてくれるのが一番の特徴。
少し高いですが、タラ以外にも青物、根魚、マグロなど、何を狙うにしても超おすすめです。
タラジギングの釣り方
着底直後は糸フケが大きいため、10mほど素早く巻き上げてから再度着底させ、そこからアクションを始めます。
青物のような速いアクションではなく、ゆったりとジャークして大きくフォールさせるのが基本です。
タラは底ベッタリに着いているため、誘うのは底から5m程度。上げても10m程度まで。
ワンピッチでは移動距離が長くなるので、1/2ピッチや1/4ピッチで刻みながら誘い上げましょう。
タラジギングのコツ

実釣から得た、釣果を伸ばすコツを紹介します。
根掛かり対策

根の荒い場所を攻めることが多いので、根掛かり対策は必須です。
ラインシステムは、必ずPEよりもリーダーを弱くし、根掛かりした際に高切れするのを防ぎましょう。
さらに、強度が弱いスプリットやスナップを用い、伸びやすい細軸のフックをセッティングして回収率を高めるのも効果的です。
高切れするとラインが海中に残り、それがさらなる根掛かりを招くので、将来のことも考えてできる限り高切れは防ぎましょう。
タコベイトも有効

アピール力をアップするためにタコベイトをセッティングするのも有効です。
実際、タコベイトやワームを付けた同船者が釣っていました。
また、比重の軽いタコベイトやワームを付けると、フックが沈みにくくなるのでわずかですが根掛かり対策にもなるかもしれません。
ただし、潮受けが大きくなってフォール(底取り)が遅くなるので注意してください。
がまかつ マダラトレーラー GA-009
グロー系のカラーやグローチューンも有効

タラジギングに限ったことではありませんが、深場のジギングではグローカラーが有効です。
手持ちにグローがない場合や、さらにグローを強めたい時はグローシールが便利。
ただし、グローを嫌うケースもあるので反応を見ながら探ってください。
丹後沖で実釣

最後に、筆者が釣行した際の模様をお届けします。
5月中旬に京都の宮津から出船する「ワープゾーン」さんにお世話になり、丹後沖にある浦島礁へと釣行しました。
筆者はフィッシュ&チップスが好物でして、今回は自分で釣ったタラで美味しいフリッターを作りたいなと期待に胸を膨らませながら出船!

当日は凪でジギング日和です♪
午前7時に出船し、ポイントまでは2時間弱となかなかの距離(^_^;)

このエリアの水深は200〜250m前後。
ジグは潮などに合わせて、250〜400gをメインに使用します。
まずはスパイV300gからスタート!
赤×ドットグローは、この地域のタラジギングでは定番とも言えるカラーです。

タックルは、スロージャーカー4ozにマーフィックスC3-LH、PE1.5号800mにフロローカーボンリーダー5号をセッティングしました。

午前9時頃に釣りを開始♪
最近はジギングをサボり気味だったので、水深200mオーバーともなるとなかなかハードです。
一生懸命ジャークしますが、すぐに釣れるほど甘くはありません。
「底から5m。上げても10mまで。」という船長のアナウンスに従い、レンジを丁寧に刻みます。

1時間ほど経過し、お隣の方に待望のファーストヒット!
GT(ジャイアントタラ)とはいきませんが、4kg程度のレギュラーサイズ。
思ったより早く出た1匹目に、「今日はイケるのでは?」と鼻息を荒くしてアクションを続けます。

程なくして、同行者にもヒット!
今度は少し小さいサイズ、ちぃタラです(笑)
ヒットジグは、スロースキップVBでした。

何度かポイント移動を繰り返し、早2時間が経過……。
今度は少し根の荒いポイントへ来ました。
ちょっと焦りつつも、こんな時こそ丁寧に底を攻めます。

同船者が根掛かりを連発する中、筆者の竿にも重みが!
根掛かりかと思いましたが、この根? 引くやん!
着底から一発目のジャーク時にヒットというか、着底直前に喰って、ジャークした時に気づいた感じかな?
何やらよくわかりませんでしたが、そこそこの重量感があり、タラなら大きそう。

深場からの重量感にヒヤヒヤしつつ、ゆっくり丁寧に上げて来ます。
すぐに引くのを諦めますが、何度か下に潜ろうとする感じの引きです。
「タラは全然引かない」と聞いていましたが、思っていたよりかは抵抗します。

遂に本命のタラをキャッチ!
特大ではありませんが、5.5kgの満足できるサイズ。
坊主も覚悟していたので一安心できました。

この時期のタラには白子や真子はありませんが、その代わりに身が美味しいので帰ってからが楽しみ!

タラの歯はかなり鋭いです。
ジグが大きいので飲み込まれることはほとんどありませんが、もし飲まれたらラインブレイクしかねません。
歯に触れると怪我しそうなので、気をつけましょう。

その後は浅場に移動してお土産狙い。
オキメバルやユメカサゴ、マフグ、ソウハチガレイなどが釣れます。
しかし、この日は彼らも若干渋め。

最後にタラポイントを流しましたがノーヒット。
根の荒い期待値が高いポイントでしたが、根掛かりに阻まれます(涙)
対策はしていたので、高切れはせずに済みました。

最後の最後で同船者がこの日の最大サイズを釣って終了。
船中のタラは5本、7人中2人が坊主、他は各1本ずつと貴重な配当を何とか頂けました。
良い日は1人で数本釣れることもありますが、最近はこんな日も多いそうで。
数年前は良く釣れると聞いていましたが状況は変わっており、今はエサ釣りでも苦戦する日があるみたいです。
個体数の減少や場荒れなどが要因と言われています。

持ち帰ったタラを捌いてみました。
白子はありませんが、肝がかなりデカくて美味しそう!

消化器官周りには大量のアニサキス。

ちなみに、胃の中には小魚となぜか小石が(^^;
本当に貪欲な魚なんですね。

そして、フリッターにして念願のフィッシュ&チップスに!
衣のサクサク感とタラのプリッとした食感、そしてスーパーで売られているタラとはまったく異なる新鮮なマダラの旨みが最高。
釣果も渋く、しんどいジギングでしたが、苦労して釣った甲斐がありました。

肝は湯がいて、甘辛く煮つけてみました。
脂が多くてたくさんは食べられませんが、かなり濃厚な味わいを楽しめます。
また白子が入っている時期にチャレンジしてみたいですね!
重量感がクセになる!

重量のあるタラを深場から上げてくるハラハラ感、そして無事に上がってきた時の達成感がタラジギングの魅力。
青物のような引きはありませんが、何にしても美味しいのでぜひチャレンジしてみてください!
撮影:tsuki