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「知ってました?」魚の味ってね...釣った瞬間に決まるんですよ

「知ってました?」魚の味ってね…釣った瞬間に決まるんですよ

釣り上げたその瞬間――魚の運命はもう決まっています。

キスの甘み、ふわっとした食感、透き通る白身。そのすべては、海から上げた一秒後から変化を始めるのです。

今回は、キス釣りを“最高の一口”に変えるための持ち帰り方から捌き方、絶品レシピまでを徹底解説します。

目次

キスが好き過ぎてたまらない。

「砂浜の女王」とも呼ばれる、美しい魚体を持つキス。

夏の本格シーズンになると、小さなお子さまでも“ちょい投げ”で手軽に数釣りが楽しめるため、ファミリーフィッシングにぴったりのターゲットです。

しかし、適切な処理方法を知らないまま釣りに出かけてしまうと、「たくさん釣れたけど、この子たち……どうしよう?」

そんな嬉しさと同時に、不安がよぎることも。

そこで今回は、知っておくと安心なキスの処理方法を5つのステップに分けてご紹介。

おおたに

持ち帰り方からおすすめの調理法まで、やさしく解説します!

【Step1】キスの持ち帰り方

わざわざ持ち帰り方から説明するなんて……と思われるかもしれません。

ですが、じつはこの段階から既に“調理”は始まっていると言っても過言ではないほど、重要なポイントなのです。

「数釣りする際の手返しの良さ」と「鮮度の維持」、この両立を考えたときに筆者がおすすめする方法は――

ズバリ! キンキンに冷えた塩水でキスを冷やして持ち帰る『氷締め』です。

①クーラーボックス・保冷剤(氷)・水汲みバケツを持参する

「水道水を冷やして持っていけばいいんじゃないの?」

そう思う方もいるかもしれませんが、じつはあまりおすすめできません。

真水にキスを長時間浸けると、浸透圧の影響で身がふやけ、せっかくの食感が水っぽくなってしまうのです。

そのため、後に作る“冷えた海水”を薄めないよう、氷は直接入れず、袋に包んだものや保冷剤を使うのがベストです。

おおたに

水道水をペットボトルに入れて凍らせたものでもOKですよ!

②水汲みバケツで海水を汲み、クーラーボックスに入れる

釣り場に着いたら、まずは海水をクーラーボックスに入れ、冷やし始めましょう。

とくにハイシーズンの夏場は海水温が高く、しっかり冷えるまでに少し時間がかかります。

キスの魚体が全身浸かるくらいの量を入れておくことで、鮮度をしっかり保つことができますよ。

③冷えた海水に魚体がしっかり浸かるようにしまう

キスが釣れたら、落ち着いて針から外し、すぐにクーラーボックスへ入れましょう。

20cmを超える大型が釣れた場合は、首元を背中側へポキッと折る「鯖折り」をしておくのがおすすめ。暴れなくなるため、ほかのキスを傷つける心配もありません。

おおたに

帰る際は、キスをフリーザーパックなどの袋に移し、水や氷に直接触れない状態で冷やすと、さらに鮮度を保てます。

【Step2】キスの背開きのやり方

今回は、キスの天ぷらにぴったりな「背開き」の方法をご紹介します。

アジフライでよく見かける、あのイチョウの葉のような形ですね。

一匹ずつ仕上げる方法も悪くはありませんが、数が多いと時間も手間もかかってしまいます。

そこでおすすめなのが、「工程ごとにまとめて作業する」スタイル。

大量に釣れたときでも、手順をまとめるだけでぐっと効率が上がりますよ。

背開きにすると、イラストのように6つの部位に分けられます。

一見すると少し複雑そうですが、手順をひとつずつ押さえれば意外と簡単。

それでは、動画や写真で順を追って確認していきましょう!

①うろこをしっかり取る

キスは、お腹から背中まで意外と多くのうろこが付いている魚です。

うろこ取りや包丁の先を使って、しっかり取り除きましょう。

少し大変な作業ですが、うろこがしっかり付いているのは新鮮な証でもあります。

②頭を落として内臓を抜く

ヒレの下あたりに包丁を入れ、縦にスッと引いて頭を落としましょう。

頭を落とすと、内臓が入った腹の中があらわになります。

包丁の先端を使い、掻き出すようにして内臓を取り除きましょう。

③背中側から、お腹側は割かないように刃を入れる

包丁をまな板とほぼ平行に構え、魚体の中心にある背びれより少し上から刃を入れます。

中骨に軽く当てるよう意識し、コツコツとした感触を確かめながら進めると、骨際の身もきれいに残せます。

うまくできれば、片側の身に中骨が付いた状態の開きが完成です!

④中骨を外す

半身に残った中骨を除去していきましょう!

まず、身をひっくり返し、内側をまな板に付けます。

次に、中骨の少し上、頭側から刃を入れ、コツコツとした感触を確かめながら尾まで進めましょう。

イメージは、包丁の腹で中骨をまな板に軽く押し付けるような感覚です。

尾の付け根まで進んだら、包丁を立てて中骨を断ち切ります。

ちなみに、天ぷらのついでに中骨を素揚げすれば、香ばしい骨せんべいとして楽しめますよ。

④中骨を外す

内臓が入っていたお腹の部分には、腹骨が残っています。

小さな個体であれば、天ぷらや唐揚げにすればほとんど気になりませんが、念のため取り除いておくと、小さなお子さまが食べても安心です。

腹骨をすくい取るように刃を入れ、包丁と手で腹骨を挟むイメージでそぎ取ります。

これでキスの背開きの完成です!

【Step3】キスのおすすめ料理3選

【王道にして頂点】キスの天ぷら

まず、キスの背開きを用意します。

キッチンペーパーで表面の水気をしっかり拭き取り、天ぷら粉をまんべんなくまぶしましょう。

180度ほどの油に入れ、途中で一度ひっくり返しながら、約1分ほどカラッと揚げます。

揚げ時間が長過ぎると、せっかくのふわふわな身が固くなってしまいます。

サクッと短時間で揚げるのがポイントです!

塩を軽くふるか、めんつゆにさっとくぐらせてパクリ。

サクふわの食感と、ほのかな甘みを持つ身はまさに極上。

思わず食べ過ぎてしまいます……。

ついでに中骨を素揚げして骨せんべいにするのもおすすめ。

ぽりぽりと香ばしく、絶好のおつまみになりますよ。

【釣り人の特権!】キスのお刺身

キスは鮮度の落ちが非常に早い魚。

店頭で見かけても、生食に適した状態で並ぶことはなかなかありません。

だからこそ! 20cmを超える大物が釣れたときには、ぜひお刺身で味わってみてください。

釣れたてだからこそ堪能できる、透き通るような身と上品な甘み――まさに釣り人だけの特権です。

筆者のおすすめは、皮にさっと火を通す「湯霜作り」。

白身で淡白な味と思われがちですが、じつはそうではありません。

プリッと心地よい歯ごたえに、噛むほどあふれる甘みと旨味――これがたまりません……。

おおたに

「釣りが趣味でよかった~!」と心から思える瞬間です。

【少しこだわって】キスの昆布締めの握り

そのままでも十分美味しいキスのお刺身ですが、ひと手間加えることで、また違った味わいが楽しめます。

お酒を含ませたキッチンペーパーで昆布の表面をしっとり湿らせ、その上にキスの身を並べていきましょう。

魚を並べ終えたら、もう一枚、お酒で湿らせた昆布を重ね、ラップでしっかり包んで冷蔵庫へ。

ここからが昆布締めの真骨頂――寝かせることで、魚の繊細な旨味と昆布の風味が絶妙に馴染んでいきます。

寝かせ時間はお好みですが、筆者のおすすめは約3時間。

やわらかな身に昆布の旨味がほどよく移り、味のバランスが最も引き立つタイミングです。

そのままでも十分美味しいキスですが、昆布で旨味が引き出されることで酢飯との相性がぐっと高まります。

口に入れた瞬間、昆布の風味と酢の酸味がひとつになり、上品で奥深い味わいに。

おおたに

自分で釣り、捌き、握る――。

味覚だけでなく、その体験も重なってこそ生まれる、とびきりの美味しさをぜひ味わってみてください。

身近で美味なキスを楽しもう!

ちょい投げで気軽に楽しめて、気づけば大量にキープできてしまうキス。

小さな魚ですが、しっかり処理をすれば最高の味わいに変わります。

ぜひ、釣りから食卓まで――まるごと楽しんでみてください!

撮影:おおたに

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