LINE公式アカウント 最新の釣り情報をチェック! 友だち追加はこちら

アブガルシアのアンバサダーが、“釣りの豊かさ”を取り戻してくれる。って話

釣り人(私)にとって「何を釣るか」と同じくらい大切なのが、「何で釣るか」です。

最新スペックや軽量化の波に抗うように、私は今日も古い丸型リールを握ります。

それは効率のためでも、釣果のためでもありません。ただ——この道具を使いたいからです。

アンバサダー5000C。その重みと輝きは、時代を超えて釣り人の心を熱くします。

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

重くても、アンバサダーを使いたいんだ。

魚釣りの魅力とは何でしょうか?

自然との一体感、魚の強い引き——もちろんそれらも大切です。

けれど私にとって外せないのは、「この道具で釣ってみたい」という思い。

お気に入りのロッドやリールを手にした瞬間、釣りは自分だけの物語になります。

uoppay

私にとっての、その“道具を使う喜び”を象徴する存在が、アンバサダー5000Cです。

アンバサダーとは

アンバサダーとは、スウェーデンの老舗釣具メーカー・アブ(AB Urfabriken、後のアブ・ガルシア)が世に送り出したベイトキャスティングリールのシリーズです。

1952年に登場した「Record Ambassadeur 5000」は、瞬く間に世界中の釣り人を魅了しました。現代の釣りに求められる機能をすべて備えながら、その姿はリールの原点そのもの。

以来、改良や派生を重ねつつも、設計思想と造形美は半世紀以上にわたり揺るぎなく受け継がれています。

効率や軽量化を追い求める現代の潮流の中にあっても、アンバサダーは“道具を操る喜び”と“金属の存在感”を宿す稀有なリールとして輝き続けています。

参考:https://www.purefishing.jp/abu100th/sp/history.html

アンバサダー5000Cをインプレ

私が使っているのは、1997年発売のアンバサダー5000Cクラシックレプリカです。

外観はオールドアブを再現していますが、中身は当時のモデルとは異なります。それでも発売から既に28年近く経過した個体。

そのため「5000Cのインプレ」と呼ぶには正確さを欠きますが、同ファミリーの一員としての印象としてお読みください。

uoppay

オールドリールの性能を論じるのは、いわばビンテージカーに燃費の文句を言うようなものです。

とはいえ、まだ使ったことのない方のために、その実力を率直にお伝えします。

死ぬほど重い

※私物はハンドルとドラグを社外パーツに変えています。ラインをフルに巻いた状態で362g

本体重量は約345g。リール単体でも、近年の軽量タックルのセットより重いほどです。

軽量タックルに慣れた手には、持った瞬間にずしりと存在感が伝わります。

uoppay

長時間の釣行では、確実に手首や腕への負担を感じますし、シングルハンドでのキャストなどは、よほど手首の強い人でなければ難しい芸当です。

死ぬほど大きい

パーミングカップの直径は約63mm。

写真ではそれほど大きくは見えませんが、ロープロ基準の高さに慣れている人なら、その全高とパーミングのしづらさに驚くはずです。

手の小さい人には扱いにくいサイズですが、その分、存在感は抜群です。

グリップはブライトリバーのオフセットグリップ(チャッカークラシック)と合わせています。

私は見た目のバランスも考え、オフセットグリップに装着してパーミング性を少しでも高めています。

▶︎現代の細身なロッドには合わない(個人の感想です)

これは個人の感想ですが、重厚感のあるボディに細身のセパレートグリップを組み合わせると、どうしても頭でっかちに(バランスが悪く)見えがちです。

アンバサダーに合わせるなら、オフセットグリップモデル、もしくは太めで長めのフォアグリップ付きストレートグリップモデルのほうが、見た目の釣り合いが取りやすく、落ち着いた印象になると思います。

uoppay

今のロッドは、ほとんどがスレンダーなセパレートグリップ仕様。

正直、似合うロッドを探すのは一苦労で、選択肢は限られ、価格も高めになりがちです。

死ぬほど遅い(超ローギア)

ギア比は4.7:1、ハンドル1回転あたりの巻き取り量は53cm。

ハイギア全盛の現代では、どうしてももどかしさを覚えます。

uoppay

ちなみに、オールドの5000Cはさらに低い3.1:1です。

死ぬほど飛ばない

最新機種のような軽快なキャストフィールや、伸びやかな飛距離は望めません。

とくに軽量ルアーは不得手で、ノーマル仕様では14g以上ないと扱いにくい印象です。

そのため私は、ルアーは14g以上を中心に選び、ロッドは趣を重視したグラスではなく、ハリのある6ft程度のカーボン製を合わせて飛距離を補っています。

uoppay

参考までに、PE3号で23gのプラグをダブルハンドルでフルキャストすると、平均で25mほど。

バス釣りでは十分実用的な飛距離だと感じます。

そして、死ぬほどカッコいい

「本当に死ぬほど、カッコいい」

ここまで散々ネガティブな面も語ってきましたが、それは、この言葉を際立たせるためでもあります。

丸型の重厚なフォルム、金属の輝き、クラシカルなエンブレム——この圧倒的なかっこよさが、すべての欠点を帳消しにします。

カスタムによる飛距離向上や、シンプルな構造ゆえの整備のしやすさといった利点も魅力ですが、「カッコいい」に勝る理由はありません。

uoppay

アンバサダー5000Cは、存在そのものがアメ車やベンツW114の迫力であり、グレッチの色気であり、ロックスターのカリスマ性なのです。

カスタム沼も深い

浅溝スプール、マグネットブレーキ化キット、レベルワインド——サードパーティー製のカスタムパーツは枚挙にいとまがありません。

それはつまり、手間とお金をかけてでも現代の釣りに使いたいと願う愛好家が、も数多く存在するという証です。

もちろん、そうしたパーツを組み合わせれば性能は見違えるほど向上します。

ただし、こだわり始めれば、現行のハイエンド機種を超える出費になることも珍しくありません。

uoppay

私は内部はノーマルのまま。

ハンドルをアウトフィッターズのパワークランクハンドル、スタードラグをブライトリバー・ABU用丸型ドラッグにしています。

世代ではない。けれどアンバサダーに見蕩れた理由

撮影:TSURI HACK編集部

私は現在40歳、いわゆるグランダー武蔵世代です。1998年頃、思春期の真っ只中でした。

当時の憧れは、ダイワのTD-XやシマノのスコーピオンメタニウムXT(銀メタ)、そして初代アンタレスです。

流線型のボディや煌びやかなメタリックカラーは、まるで未来を先取りしたかのようで、“バス釣りのかっこよさ”を象徴していました。

撮影:TSURI HACK編集部

しかし不思議なことに、年を重ねた今、私の心を最も強く惹きつけるのは、自分が青春時代に憧れた未来的なモデルではなく、それよりもさらに時を遡った存在です。

アンバサダー5000Cや4500Cといった、丸型の古き良きリールたち——。

流線型のデザインに胸を高鳴らせていた少年は、大人になると、より原点に近いクラシックな機構と形状に魅力を見いだすようになりました。

uoppay

もちろん流線型への憧れも健在です。

お金に余裕があれば「そのポテンシャル、一目瞭然」コーデで、池原ダムに繰り出したいのも本音です。

かっこよさを背中で語るオトナたち

釣りのスタイルは人それぞれですが、その原点は多くの場合、憧れからの模倣にあります。

私にとってのそれは、アンバサダーを手に、湖面に静かに浮かび、トップウォータールアーだけでバスを仕留めるオトナたちの姿でした。

写真の中、その背中には言葉を超えた“かっこよさ”が宿っていました。

気づけば私は、その美学を追いかけるように、効率よりも優雅さを選ぶ釣りへと歩みを進めていたのです。

uoppay

もちろん、トップウォーター以外の道具を使う日もあります。

“これでなければ”ではなく、“良いと思えるものを取り入れる”——それが私の性分です。

今なら新品のアンバサダーが手に入る

オールドモデルを手に入れるのはハードルが高いという方には、ファクトリーチューンモデルも選択肢のひとつです。

5500Cや4500Cといった往年の名機を現代技術で再構築し、外観はオールドアブの魅力をそのままに、内部は最新パーツでアップデート。

メーカー純正のチューンが施された、新品で手に入る特別な一台です。

uoppay

5000Cのハイギア(5.3:1)バージョンが5500Cで、ボディのサイズ感は変わりません。

4500Cはスプールがナローになったバージョンで、横幅がコンパクトになります。

性能重視の丸型ならカルカッタシリーズがおすすめ

単に「丸型リール」という括りで選ぶのであれば、シマノのカルカッタシリーズも有力な選択肢となります。

現代的な性能を求めるトップウォータープラグ愛好家や丸型リール愛好家にとって、カルカッタはまさに理想的な受け皿といえるでしょう。

uoppay

アンバサダーは観賞用として引退させ、カルカッタシリーズに移るトップウォータープラグ愛好家も非常に多い印象です。

“カッコいい”を、もっと楽しんだっていいじゃない。

本記事でお伝えしたいのは、釣りの楽しみは効率だけで測れるものではないということです。

「アンバサダーこそ至高だから、ぜひ買ってほしい」という話ではありません。(もちろん興味を持っていただけたら嬉しいですが)

状況によっては効率も大切になります。その天秤の位置は人それぞれ。

誰もが、自分にとっての最適なバランスを探りながら道具を選んでいるのだと思います。

「お洒落は我慢」とよく言われます。

私もかつてはその言葉通りの価値観を持っていましたが、日常では快適さを優先するようになりました。

ブーツからスニーカーへ、シャツからTシャツへ——しかし、釣具だけは今も変わらず“お洒落”を基準に選び続けています。

外見へのこだわりは薄れても、この部分だけは不思議と手放せなかった(取り戻したかった)。

釣りは、選んだ道具や時間の使い方そのものが物語。

たとえ結果に結びつかなくても、その一投に“カッコいい”を込める——そんな価値観を、私は大切にしています。

アンバサダーを使うようになってから、釣りがいっそう豊かになりました。

もしかすると、その豊かさをもたらしたのは、便利さとは無縁の“この不便さ”なのかもしれません。

uoppay

皆さんも、自分だけの“カッコいい”を、どうぞ楽しんでください。

関連記事