アンダー2万円の船タコロッド

2023年にシマノからリリースされた船タコ専用竿、「タコマスターSS」。
“船タコ釣りをより楽しめるロッド”をコンセプトに、軽さと感度を重視して作られた1本です。
アンダー2万円で買えるこのロッド、その実力やいかに!?
ラインナップ
タコマスターSSの特徴
スパイラルX × センターカット2ピース

ブランクには、シマノ独自の強化構造であるスパイラルXが導入されています。
カーボンテープを斜めに密巻きすることにより、ネジレやつぶれ剛性が向上。

センターカット2ピースなので仕舞寸法が短く、携帯性も◯。
元竿の継部は口金によって補強されており、欠けや割れのリスクを軽減しています。
目感度重視のグラスソリッド穂先

穂先にはグラスソリッドを採用。
グラスならではのしなやかさによって、目感度を高めています。
白色の塗装と赤のスレッドによって視認性もGOODです。
調子は2パターン
じつは同シリーズでも調子が変えられており、S175は8:2調子、M175とMH170は9:1調子に設計されています。
この点は状況によって釣りやすさが違ってくるので、番手選びは間違えないように注意しましょう。
トップSiC+アルコナイト

トップガイドはSiCリング、他のガイドはアルコナイトリングです。
下位機種であるタコエギBBはOリングをメインとしたセッティングなので、ガイドが全体的にグレードアップしています。
#1〜5ガイドは足が低くて傾斜したLDBガイド、#6〜10ガイドはKガイドです。
シマノオリジナルのリールシート

シマノ独自のカーボン樹脂素材であるCI4+を用いた、マルチパーミングCI4+シートを採用しています。
感度を高めるために、リールシートの中をブランクが通るブランクスルー構造になっているのも特徴です。
タコマスターSSをインプレ

2023→2024は暖冬だったこともあり、新仔のタコがよく育ったせいか、2024年のタコは好調。
そんな噂を耳にしたので、船タコの聖地である明石にやって来ました!
今回お世話になるのは、東二見の「西海ソルトウォーター」さん。
ここ数年は不調だった明石ですが、今年の状況ははたして!?

ロッドをタコマスターSSのS175に新調したので、やる気満々デス!
そして偶然にも同行者がM175を持っていたので、使い比べながら使用感をお届けします。
あわよくば竿頭を目指したい!

午前5時に出船、5月下旬の小潮周りです。
連日釣れているのと潮周りも良いため、やはり平日でも満船。
ただし、前日は大雨だったので水潮の影響が気になります……。

オモリは50号、ダイワのマダクとシマノのタコマスターフラッシュブーストをメインに使っていきます。
2024年はレギュレーションがさらに厳しくなり、脂身などのエサが禁止になりました。
その他、エギやスッテは2個まで、針は半傘+バーブレスで1段のみ、100g以下のタコはリリースなどのルールは昨シーズンと同様です。

スタートから早速タコの反応を得られました。
リリースサイズではありますが、嬉しい1匹!
ここ数年は寂しい状況が続いていたので、喜びと安心感と。

前半は水深15m前後、浅場の海草帯をメインに流し、キャストして広く探ると反応を得やすい感じでした。
M175を使用していた同行者が、リズム良くタコをキャッチしています。

早速M175を借りて、キャストしながら探ります。
S175より手感度に優れるので、底取りや細かい操作がしやすい!
海草帯の上を這わせるように細かく誘っていくと、数杯追加できました。

後半は水深10m以下のフラットの浅場がメイン。
横流れの潮が強く、キャストするとオマツリのリスクが高くなりそうでしたので、S175で足元をメインに仕掛けを落ち着ける作戦。
流れ過ぎないよう何度も潮上に仕掛けを打ち返し、投入回数を増やしていくと、ラインが船下に入っていく角度で連発!
跳ね過ぎない柔軟な穂先のおかげでアタリをしっかり出せました。

最終釣果は18杯(うちリリース2杯)。
キロオーバーこそ出なかったものの、500g前後が数匹混じり、リリースサイズは2匹だけでした。
十分満足の釣果だったのですが、この日の竿頭は20匹だったのでちょっと悔しい気持ちもあります(笑)
ということで、ここからはタコマスターSSの使用感をお届けします。
目感度と手感度は高水準

手感度に優れており、底質の違いや仕掛けの動きなどがしっかり手元に伝わってきます。
S175は穂先が柔らかい分、荷重の変化が視覚的に分かりやすく、アワセどころの判断がしやすいです。
M175は穂先に適度な硬さがあるため、より手感度に優れています。
S175ではアタリか海草なのかやや紛らわしいシーンがありましたが、M175は手元への情報がよりクリアに伝わってくるので、誘い続けるかアワせるかの判断ができます。

また、タコ釣りは釣り人同士の間隔が狭い船も多く、オマツリとの戦いとも言える釣りです。
手感度が優れていることによって、同船者の糸が触れた場合も感じ取りやすく、トラブルを未然に防げるシーンも多くありました。
トラブルを回避できれば実釣時間も増えるので、釣果にも繋がりますね。
パワーに不足はないが、少し張りが強いかも?

パワー不足でタコに張り付かれるシーンはなく、船タコに必要なパワーは十分備えていると言えるでしょう。
バット部には張りがあるため、アンダーハンドキャストもしやすくて飛距離も出せます。
ただし、バットの張りが強い分だけテンションがやや抜けやすく、少しバラシが多かった印象です。
バラシの要因は他にも考えられますが、以前使っていたロッドがもう少し柔らかかったので、慣れる必要があると感じました。
とにかく操作が楽

自重そのものは特別軽いワケではありませんが、変な持ち重り感はなく、気持ちよく操作できます。
1日誘い続けても疲労感は少なく、慣れていない初心者の方でも使いやすいはずです。
バットが太いので重そうな印象を受けますが、使ってみると良い意味で裏切られると思います。

リールシートがスリムなので、リールを付けた状態でも握り込みやすいです。
ロープロタイプのグラップラー300を使っているので、収まり具合は文句なし。
糸絡みはゼロ

絶妙な塩梅のグラスソリッドとLDBガイドの恩恵か、糸絡みはゼロでした。
糸フケが出るような誘いをしても問題ナシ。
ガイドにラインが乗っても綺麗に抜けてくれます。
番手選び(使い分け)について

目感度や仕掛けの安定性を重視するならS175がおすすめです。
例えば、明石エリアに多い水深20m以下のフラットなポイントはS175の出番。
手感度やキャスト性能、深場での使いやすさを求めるならM175がおすすめです。
海草帯や根回り、深場で使いやすい反面、浅場では注意していないと仕掛けが浮きがちになります。
70m前後の深場や潮がかなり速い場合は、よりハイパワーなMH170の出番です。
使って楽しいロッドです!

船タコに必要な操作性や感度を十分に備えており、誰が使っても釣りやすいロッドでした。
実売価格が2万円以下であることを考えると、コスパはかなり良いと思います!
タコ竿を探している方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
撮影:tsuki
シマノ タコマスターSS S175
全長(m) | 1.75 |
---|---|
自重(g) | 135 |
継数(本) | 2 |
仕舞寸法(cm) | 91.5 |
オモリ負荷(号) | 30-80 |
先径(mm) | 1.4 |
定価(円) | 25,500 |
シマノ タコマスターSS M175
全長(m) | 1.75 |
---|---|
自重(g) | 135 |
継数(本) | 2 |
仕舞寸法(cm) | 91.5 |
オモリ負荷(号) | 40-80 |
先径(mm) | 1.6 |
定価(円) | 26,000 |
シマノ タコマスターSS MH170
全長(m) | 1.7 |
---|---|
自重(g) | 142 |
継数(本) | 2 |
仕舞寸法(cm) | 89.5 |
オモリ負荷(号) | 40-100 |
先径(mm) | 1.8 |
定価(円) | 26,500 |