電動リールの導入を決めたきっかけ

筆者が電動リールを初めて導入しようと思ったのは、本当にひょんなことからでした。
リールを巻くときのクセが悪かったのか、人差し指と親指の先に豆ができてしまったのがきっかけ。
釣りそのものに影響が出たのはもちろん、その痛みはパソコンのキーボードを叩くのもつらく……
山下
ライター業としてもかなりの痛手です(笑)

さらに、週に何回も釣りに行く生活を続けていると、腕や肩の疲労も積み重なります。
「もっと効率よく釣りたい」「集中力を最後まで保ちたい」——そんな思いから、ついに電動リールを手に取ることにしたのです。
山下
まさか指の豆が、電動リールデビューの引き金になるとは(笑)
きっかけはなんであろうとも、新しい釣具にチャレンジする良い機会を得られたわけです。
これまで電動リールに抱いてたイメージ
難しくて敷居が高い

“初めて導入”と言ってはいますが、まったく触ったことがないわけではなく、父の電動リールを何度か借りたことはありました。
そのときは「勝手に巻いてくれるすごいリールだな」と感心した一方で、“機械任せで味気ないな”といった印象が残っていたのも事実です。
くわえて、値段も高そうだし、設定や操作も難しそう……そんな理由から、どこか“敷居の高い道具”だと感じていました。
深場用というイメージ

電動リールは深場用——そんなイメージが強く先行していたのも事実です。
そのため、当初は「自分がやる釣りにはほぼ関係ないだろう」と思い込んでおり、本来なら電動リールで挑みたいテンヤタチウオ(タナ70m前後)さえ、手巻きでやっていました。
しかし、70m前後を一日通して巻き続けるのは、今思えばかなりの重労働。
最初のうちは気にならなかったものの、仕掛けを何度も上げ下げするうちに腕はどんどん重くなり、指先の疲労まで感じるようになっていきました。
こうした釣行を重ねるなかで、“効率化の必要性”について考えるようになり、電動リールへの見方が大きく変わっていったのです。
浅場でも使っている人が意外といる

電動リールが気になり始めてからというもの、周りの釣り人を観察してみると、ライトアジのような浅場でも、手返しを重視して電動を使う人がいることに気づきました。
テンポよく釣りを展開できるのも、電動リールならではの魅力なのではと……。
筆者自身、タチウオやライトアジをやることが多いので、その釣りから電動リールをはじめてみようということで、小型電動リールの導入を決めたというわけです。
山下
いざ興味を持ち始めると、急にメリットだらけに見えてくる——
これが釣具の魔力か(笑)
実際に初めて電動リールを買ってみた

購入することを心に決めてから、まず調べたのが、そもそも何を揃えればいいのかということ。普通のリールみたいに本体だけ買えばいいという話ではありません。
「リール本体以外に何が必要なのか」、別途用意しなくてはならないものを確認しておきましょう。
リール購入時に付属しているもの

リール購入時に付属しているのは、基本的に以下の3点。
- ・電動リール本体
- ・電動コード(リールと電源をつなぐコード)
- ・取扱説明書
メーカーによって多少異なる可能性がありますが、ラインはもちろん、電源となるバッテリーも基本的に別売り。
つまり「リール単体では動かない」という点に注意が必要です。
別途用意しないといけないもの

必ず用意しなくてはならないのが、電源となるバッテリー。
船に電源端子(12V出力)が付いていれば、付属のコードを挟むだけで使用できるのですが、船の電源はなかなか安定しないようで、「リール本来の性能が発揮できない」なんてこともめずらしくないようです。
そのため、電動リールを所有するのであれば、バッテリーは一緒に用意しておいた方が良いでしょう。

バッテリーについて調べてみると、鉛とリチウムの2種類あります。
鉛は1万円ほどと比較的安価で初心者の方に人気ですが、バッテリー自体が重かったり、寒さに弱かったりなど、リチウムに比べると見劣りする部分があるとのこと。
リチウムは高価ではあるものの、鉛よりもかなり軽くて携行性抜群。電圧もより安定していて寿命も長いため、ベテラン勢の方がよく使っているようです。
容量は6〜12Ahが一般的で、一日しっかり釣りをするなら10〜12Ahが目安。
深海釣りや大物狙いでは20Ahクラスが必要になります。
山下
以前、電動リールを借りていたときは、何も考えずに使っていましたが、いつも父が諸々用意してくれていたんだな〜と。
自分で準備してみると、付属品の用途など色々と理解できるもんです。
どれくらいの予算で揃えられる?

必要なものが分かってきたところで、次に気になるのが予算感です。
バッテリーを揃えることも考えると、単純に「リール代=初期費用」というわけにはいきません。

調べてみると、エントリーモデルの電動リールはおおよそ3万円台から5万円台が中心。
このクラスでもタチウオ、アマダイといった水深100m前後の釣りに十分対応できます。
山下
ただ、筆者は「できるだけ軽くてパワーがあり、長く使えるモデルがいい」と思い、結果的に上位機種の『シーボーグ100JL』(約9万円)を選びました。
価格は高めですが、巻き上げの滑らかさや操作性を考えると、納得の一台です。
▼電動リールの選び方についてはこちらで詳しく解説!

バッテリーについては、タイプや容量によって価格が大きく変わります。
例えば、1日中使いたいという人で、リチウムバッテリー(13.2Ah)を選んだとしたら、バッテリーだけでも4〜6万円以上が必要になってきます。
それなりのリールとリチウムバッテリーという妥協なしのセットで揃えると15万円ほど初期投資として必要になる計算です。
一方、エントリーモデルのリールと鉛バッテリーを組み合わせた場合は、5万円以下でも揃えられます。
山下
選ぶもの次第で予算感が大きく変わるので、「本格的にやっていくぞ!」という感じでなければ、まずはエントリーモデルと鉛バッテリーで試して、慣れてからステップアップでもよさそうですね!
▼電動リール用バッテリーについてはこちらで詳しく解説!
いざ実釣!実際に使ってみて感じたこと

そんなこんなでシーボーグ100JLとリチウムバッテリーを使うことにした筆者。
準備を終えて、ついに自分の電動リールを持って出船の日を迎えました。
初めての釣りものは、東京湾の天秤タチウオ。

これまで手巻きで挑んだことがある釣りですが、いざスイッチを入れると、スーッと安定して仕掛けが上がっていく感覚に思わず感動。

ヒットしたタチウオが食い上げてきた際にも、巻き上げ速度を瞬時に変えることができ、バラシも少ない印象でした。
何より驚いたのは、体の疲れ方がまったく違うということ。
手巻きでは一日通すと腕や指がパンパンになっていたのに、電動リールだと釣り終了まで軽快に釣り続けられました。

次に使ったのがテンヤタチウオ。
誘い方は東京湾で定番のロッドを細かく上下させ、叩きながらテンヤを動かすバイブレーション。
この釣りではラインを巻き上げつつ、ロッドを動かす必要があるエサ釣りの中ではかなりハードな部類です。

しかし、電動リールであれば、微速で自動巻き上げしながらロッドを細かく上下させるだけ。
リール操作にかけていた力を、すべて誘いに使えるようになり、テンヤをより繊細に操作できるようになるのはもちろん、アタリを拾う余裕が格段に増しました。
山下
電動リールの恩恵をもっとも感じた瞬間でした!

最後に試したのが、ライトアジ。
魚がヒットしていないときには、ビシを素早く回収して仕掛けを打ち直す。
このテンポの速さが釣果を分ける釣りですが、電動リールならボタンひとつで一気に巻き上げが完了。

仕掛けを回収してコマセを詰め直すまでの動作がスムーズで、一日を通しての手返し効率が格段に上がったと感じました。
また、巻き上げ中も手巻きリールよりも一定速度を保てるためか、バラしが少なく、安定して釣りが展開できました。
そして何より、一日通して釣りをしても指が痛くなることがなく、快適そのもの。体への負担が減った分、最後まで集中して釣りを楽しめました。
山下
“電動=深場専用”のイメージが、すっかり変わりました!
【よくある質問】疑問に思ってたことを解決

実際に使う前、筆者もいくつか疑問に思っていたことがありました。
ここでは、その中からとくに気になっていた2つの疑問をピックアップして紹介します。
Q1:ラインは自分でも簡単に巻ける?

「他のリールと同じように、ラインって自分で巻けるの?」と思っている人も多いのではないでしょうか?
筆者自身、「ちょっと面倒臭そう」「釣具屋さんにお願いすればいいかな」くらいに思っていました。
結論から言うと、自分でも簡単にできますし、設定周りもまったく問題なく巻き替えることができました。

筆者も今回、高速リサイクラーを使って自分で巻いてみましたが、取扱説明書を読めば手順も分かりやすく、とくに難しい点はありませんでした。
巻き終えたあとは、リールにラインの号数設定を入力。この設定も説明書に沿って操作すればすぐに完了しました。
Q2:電動リールって楽しいの?

これは筆者自身も、使う前に感じていた疑問でした。
「自動でラインが巻かれるなんて、釣りの楽しさが半減するんじゃないか」と思っていたんです。
ところが実際に使ってみると、印象はまったく逆。電動リールに巻き上げを任せることで、腕や指の負担が大きく減り、釣りに集中できる時間が増えました。

手巻きのときは、疲れで集中力が切れてしまうこともありましたが、電動リールを使えば余裕を持って誘いに意識を向けられます。
とくにテンヤタチウオのように、巻き上げとロッド操作を同時に行う釣りではその差が歴然。
「電動=楽をする道具」ではなく、釣りの質を上げるための道具だと実感しました。
電動リールは“楽をする”ではなく“楽しむため”の道具

電動リールを導入する前は、「機械任せで味気ない」と正直思っていました。
でも実際に導入してみると、体の負担が減り、釣りそのものをもっと楽しめるように……
電動リールは決して“楽をするための道具”ではなく、釣りを快適に長く楽しみ続けるための相棒!
釣りの幅をもっと拡げて、新しい釣りにもどんどんチャレンジしていこうと思います!
山下
みなさんも機会がありましたら、電動リールにチャレンジしてみてくださいね!
ダイワ シーボーグ 100JL
| 自重 | 375g |
|---|---|
| 巻き取り長さ | 54cm |
| ギア比 | 5.1 |
| 標準巻糸量PE(号ーm) | 1-300/1.5-200/2-150 |
| 最大ドラグ力 | 7kg |
BMO リチウムイオンバッテリー13.2Ah
| 重量 | 1.5kg |
|---|---|
| サイズ | 209×112×70.5mm |
| 防水レベル | IP65 |
