シマノのフラッグシップ、ステラ。
シマノのフラッグシップであると同時に、“憧れのリール”の代名詞でもあるステラ。
1992年の発売以降、モデルチェンジを繰り返しながら、時にはスピニングリールの歴史を変え、世界中から圧倒的な支持を集めています。
本記事では、歴代ステラを振り返りながら、2023年時点での中古相場や修理可否などを紹介していきます。
歴代ステラを振り返り
ステラの歴史は30年以上。
初代から最新まで、歴代15モデルを一気に振り返ります。
92ステラ
「釣り人の五感に忠実であること」「他に類を見ない圧倒的な性能」をコンセプトに開発され、誕生したのが初代ステラです。
巻き上げ時のブレを大幅に軽減させるSBL、回転ノイズの解消を図るメタルハウジングが採用されました。
精密機器レベルの精度を求め、カメラの部品メーカーに製造を委託するという逸話も。
デザイン面でも最高級の美しさを求め、最高峰のスピニングリールとして世界から注目を集めました。
SBLを初搭載!
SBL(Shimano Balance Lock)とは、回転時のブレを大幅に軽減させるシステムです。
振動工学によって重心バランスを3次元的に調整し、ローターの回転バランスを向上させています。
これによって驚くほどスムーズかつ滑らかな巻き上げを実現しました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、6,000円〜48,000円。
メーカーでの修理は不能です。
95ステラ
第二次バスブームの最盛期に登場し、とくにバスフィッシングシーンで高い人気と評価を得たのが2代目ステラです。
新たに、巻き上げ効率を向上させるSHIPや逆転時のアソビを排除するスーパーストッパーⅡが採用されました。
また、高級感を演出するガンメタリックのボディ、スプールのブランキング加工など、デザインにも磨きがかかっています。
SHIP・スーパーストッパーⅡを初搭載!
SHIP(SMOOTH &HIPOWER SYSTEM)とは、先進的な3次元CADを用いた高精度設計によって、パワーロスを大幅に軽減するテクノロジー。
これにより、さらにパワフルな巻き上げが可能になりました。
スーパーストッパーⅡは逆転時のアソビを軽減し、ライントラブルを防ぐ機構です。
どちらのテクノロジーも、以降のシマノ製スピニングリールの標準的な仕様となりました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、5,000円〜30,000円。
メーカーでの修理は不能です。
98ステラ&99ステラ
98&99ステラは、コンパクト化を目指した3代目のモデルです。
ボディは薄型になり、SUPER SHIPと3D曲面ローターを搭載しました。
今までになかった16000番やPG(パワーギア)&HG(ハイギア)がラインナップに加わり、ビッグゲームやジギングの流行にも対応。
小型番手は98年に、5000番以上の大型番手は99年に登場しています。
SUPER SHIP・3D曲面ローターを初搭載!
SUPER SHIPは、従来のSHIPを改良してさらに力強く滑らかな巻き心地を実現した機構です。
3D曲面ローターは丸みを帯びた形が特徴で、以前の角ばったローターよりもラインが引っかかりにくく、ライントラブルが軽減しました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、98ステラが4,600円〜48,500円、99ステラが17,000円〜56,000円。
メーカーでの修理は不能です。
ステラ ミレニアムエディション
一般的には「ミレニアムステラ」と呼ばれ、西暦2000年を記念して発売された完全受注生産のモデルです。
スーパースローオシュレーティングシステムによる超密巻き機構や、ねじ込み式のハンドルが初採用されました。
クロムメッキ仕上げのボディやシリアルナンバーの刻印、専用アルミケースもあり、所有欲を刺激する販売方法も話題に。
スーパースローオシュレート・ねじ込み式ハンドルを初搭載!
スーパースローオシュレートとは、オシュレート(スプールの前後運動)を非常に遅くした仕組みです。
これによって巻き上げが滑らかになり、ラインがスムーズに放出されることで飛距離も向上。
その一方で、ライントラブルの多さも話題となり、後継の01ステラや04ステラとともに評価が分かれるモデルです。
ねじ込み式のハンドルはガタつきが少なく、以降の高級スピニングリールに採用されていきました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、20,000円〜87,000円
メーカーでの修理は不能です。
01ステラAR&FW
限定モデルのミレニアムエディションを除いては、4代目となるステラです。
多様化したルアーフィッシングに対応するために、FW(フレッシュウォーター・淡水用)とAR(オールラウンド・両用)の2軸で展開されました。
スムーズ・サイレント・ストロングからなるS-Systemが設計コンセプト。
密巻き機構も進化して実装され、発売から20年経った現在でも一部のマニアからは「歴代最高のドラグ」と評価されています。
特徴の異なる2モデル
淡水専用のFWは、マグネシウム合金をメイン素材にして軽量化が重視されました。
一方で、ソルトでの使用も前提としたARは、剛性と耐食性に優れたアルミ合金を用いています。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、9,000円〜38,000円。
メーカーでの修理は不能です。
01ステラSW
01ステラFW・ARと同時期に発売された、初代のステラSWです。
99ステラはレギュラーモデルの大型番手という展開でしたが、ビッグゲームやジギングに特化した大型番手がSWとして独立。
ちなみに、FWやARのようなスローオシュレート仕様ではありません。
2000番までラインナップ
99ステラは16000番まででしたが、01SWは20000番までラインナップされました。
ビッグゲームや海外遠征がポピュラーになり、「オフショアゲームの最高峰=ステラSW」というイメージも定着。
ちなみに、デザインの異なるスペアスプールが付属していました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、20,000円〜90,000円
メーカーでの修理は不能です。
04ステラ
S-sysytemに信頼のR(Realance)を加えた、SRコンセプトで設計された5代目のステラです。
01ステラでFWとARに別れた展開は再び統合され、1シリーズで展開されました。
ちなみに、ステラとステラSWは別れたままなので大型番手はなく、01ステラSWが併売されています。
04ステラはベールやギアの設計を見直し、防錆性能の高いベアリングを導入し、01モデルから性能の底上げが図られました。
オシュレートは01モデルよりやや速くなったものの、スローオシュレートに分類される世代です。
現行リールへと繋がる技術を多数導入!
04ステラに導入されたSRワンピースベールは段差が無く、糸ヨレやキャスト切れが大幅に少なくなりました。
ギアは3D解析と冷間鍛造を組み合わせ、精密かつ強靭なSR-3Dギアです。
ドラグはリジットサポートドラグと呼ばれ、2個のベアリングでスプールを支持することでドラグの安定感を向上させています。
防錆性能に優れるA-RB(Anti-Rust Bearing)も採用され、2010年代・2020年代へと繋がる技術を多く搭載していました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、13,000円〜60,800円
メーカーでの修理は不能です。
07ステラ
6代目となる07ステラは、04モデルから大きな仕様変更が行われました。
1点目はミレニアムステラから続いていたスローオシュレートの廃止、2点目は新型スプールの搭載です。
また、ギアの表面を特殊加工したバリアギア、ベアリング側面をシーリングしS-ARBによって耐久性も大幅に向上しています。
AR-Cスプールを初搭載!
スプールの前つば部分を傾斜させたAR-Cスプールは、ライン放出時の摩擦抵抗を大きく軽減。
公式に「約15%の飛距離向上」がアナウンスされた上に、ライントラブルも非常に少なくなりました。
今となっては汎用スピニングリールのすべてがAR-Cスプールを搭載しており、その完成度の高さを物語ります。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、17,000円〜79,000円。
メーカーでの修理は不能です。
08ステラSW
耐久性に特化したSWコンセプトに基づいて設計された、2代目のステラSWです。
スプールリングやラインローラーにバリアコートが施され、耐久性と耐食性を向上。
SWリールとしてはAR-Cスプールを初搭載し、キャスティング性能にも磨きが掛かっています。
さらにXG(エクストラハイギア)も新たにラインナップされ、オフショアキャスティングでも絶大な支持を集めました。
7年をかけて熟成されたSWコンセプト
ドラグ部に採用されたSWメタルドラグノブとSWハイパーディスクドラグは、耐熱性を高めてドラグの熱ダレを防ぎます。
さらに防水性を高めるために、機密性が高いSWウォーターレジストボディも採用。
また、SWビッグローラーは従来のラインローラーよりも大口径で、接触領域を増やすことで荷重を分散させ、ラインへのダメージを最小限にしています。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、27,500円〜78,500円。
メーカーでの修理は不能です。
10ステラ
次作の14ステラからは構造がガラリと変わるため、「ひとつの完成形」とも評されるのが7代目の10ステラです。
X-SHIPを導入して、07モデルからさらなる回転性能の向上を試みています。
小型番手はマグネシウムローターを採用するなど、軽量化・低慣性化へのこだわりも見られました。
巻き感度の高さからトラウトフィッシングで根強い支持があり、廃番後も小型番手は高値で取引されていました。
X-SHIPを初採用!
X-SHIPとは、ドライブギアを大径化し、ピニオンギアとドライブギアの配置の最適化した駆動系システムです。
歯面精度や支持剛性の向上、回転抵抗の軽減により、07モデルを超える究極の回転性能を実現しました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、21,500円〜120,000円。
メーカーでの修理は不能です。
13ステラSW
08モデルから5年の時を経て登場したのが、3代目となる13ステラSWです。
剛性の高さに加え、ボディ部はIPX8相当の耐水性能にすることで、さらに耐久性を高めています。
200kgオーバーのクロマグロをキャッチしたプロモーションも大きな話題になりました。
より強靭なスペックに!
新しく採用されたX-リジッドギアは、従来のギアよりも肉厚で剛性と強度を向上しています。
また、ドラグワッシャーを金属とカーボンクロスで構成し、スプール下部にドラグ機構を配置したX-タフドラグは、耐久性と耐熱性に優れます。
さらにローラークラッチは防水パッキンと特殊グリスで防水するX-プロテクトと呼ばれる仕様になりました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、30,500円〜136,000円。
2023年1月時点ではメーカーでの修理が可能です。
14ステラ
これまでのシマノ製スピニングリールとは異なる、新しい構造を採用したのが8代目の14ステラです。
従来はリールの下部にあったウォームシャフトを、上側に移したGフリーボディを採用しました。これによってストッパーレバー(逆転レバー)は消失しています。
14ステラ以降の汎用スピニングリールは、すべてGフリーボディに進化していくことになります。
また、07モデルと並んでデザインの評価も高いモデルです。
マイクロモジュールギアをスピニングリールで初採用!
ベイトリールで先駆けて搭載されていたマイクロモジュールギアが、スピニングリールとして初採用されました。
ギアの歯数を増やして小型化することで、より滑らかでノイズの少ない巻き心地を実現。
歯数が増えた分だけピニオンギアとの接触面積も大きくなり、トータルでのギア強度も向上しています。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、27,500円〜76,100円。
2023年1月時点ではメーカーでの修理が可能です。
18ステラ
14ステラをさらに進化させたのが、9代目の18ステラです。
新設計のマイクロモジュールギアⅡ、内部構造を徹底的に見直したサイレントドライブ、新しい防水機構のX-プロテクトなどを採用。
その上で前作からの軽量化にも成功した、非常に成熟度の高いモデルです。
14ステラからの進化
マイクロモジュールギアⅡは、マイクロモジュールギアの設計を見直してさらに強度アップが行われています。
また、ボディ全体や内部構造の基本設計まで見直しが入っており、徹底的にガタつきなどを無くしたサイレントドライブも採用されました。
撥水処理と海水の侵入を防止するラビリンス構造のX-プロテクトも導入され、防水性もさらに向上しています。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、32,500円〜87,000円。
2023年1月時点ではメーカーでの修理が可能です。
19ステラSW
現行のステラSWが4代目の19モデルです。(6000番以下の小型番手は20年に追加)
インフィニティドライブと呼ばれる機構を導入しており、従来はピニオンギアで支持していたメインシャフトを特殊低摩擦ブッシュで支持し、メインシャフトの摺動抵抗を軽減させています。
これによって回転トルクは従来比約30%向上し、高負荷状態でも力強い巻き上げが可能になりました。
また、ラインローラーにもX-プロテクトが導入され、従来比10倍以上の耐久性を実現しています。
8000番以上にヒートシンクドラグを初採用!
ドラグで発生した熱をスプール外へと逃す、ヒートシンクドラグが新たに採用されました。(8000番以上)
これによって、熱ダレが原因で起こるドラグ力の低下を約50%改善。
また、糸巻き部へと流れる熱も断熱シートによって遮断されており、温度上昇が約30%抑えられています。
ラインへのダメージを軽減し、より安定したドラグ性能を発揮できるようになり、ビッグゲームでの信頼性が強くなりました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、56,500円〜112,000円。
2023年1月時点ではメーカーでの修理が可能です。
シマノ 19ステラSW8000PG
口コミ・レビュー
ジギンガーにとってステラとソルティガは持つ者をグレードアップさせる魅力とそれなりの技量も問われる存在感。その領域に手を出してしまった喜びと高揚感はこれからの釣行を更に魅力的なものにしてくれる事間違い無し!
出典: 楽天市場
自重 | 625g |
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ギア比 | 4.9 |
最大ドラグ力 | 25kg |
巻取り長さ | 94cm |
PE糸巻量(号-m) | 4-300 |
22ステラ
「無限の進化」をコンセプトに開発された、現行の10代目ステラです。
SWと同じインフィニティドライブや、ギア同士の接触面積を増やしたインフィニティクロス、DURAクロスと呼ばれる新素材のドラグワッシャーなど、最新テクノロジーが大量に投入されています。
そしてなんと言っても、最大のトピックは蜜巻き(スローオシュレート)の復活です。
密巻き機構の復活
インフィニティループという名称で、04モデル以来となる蜜巻き機構を採用しました。
キャストフィールやドラグ性能が良くなった反面、再びライントラブルについての議論が巻き起こっています。
そのため、近年のステラの中でもとくに注目度が高く、釣具店では品切れ状態が続発していることも話題になりました。
中古相場&修理の可否
2023年1月時点での中古相場は、49,800円〜97,000円。
2023年1月時点ではメーカーでの修理が可能です。
シマノ 22ステラ C3000MHG
自重 | 210g |
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ギア比 | 5.8 |
最大ドラグ力 | 9kg |
巻取り長さ | 86 |
PE糸巻量(号-m) | 1.2-150 |
ステラの魅力とは?
釣り人は皆「ステラ、ステラ」って言うけど、一体何がそんなに良いのか?
筆者が釣具店で勤務していた頃、お客さんによく聞かれました。
そして、何を隠そう筆者もそう思っていた一人で、使っていたのはどれも中価格帯のスピニングリール。
しかし、2022年にステラを購入して使ってみると、すぐにその答えがわかりました。
そんな筆者が、ステラの魅力をわかりやすく紹介します。
最新・最高のシマノテクノロジーを体感できる
フラッグシップモデルのステラには、最新かつ最高のテクノロジーが導入されます。
つまり、シマノの最高峰テクノロジーを体感できるスピニングリールは、“ステラだけ”というわけです。
例えば、最高峰の自動車に乗ろうと思うと数千万円は下りません。しかし、ステラは8万円ほどあれば世界でトップクラスのテクノロジーを味わえます。
最高のテクノロジーによってもたらされる最高の使用感が、ユーザーを魅了し続けているのでしょう。
極上の巻き心地
使用感の面で特筆すべきは、やはり巻き心地。
近年はツインパワー等の下位機種も素晴らしい巻き心地ですが……
それでも比べると到底ステラには及ばず、「ステラを超えるのは次のステラしかない」と思わされます。
その巻き心地はフィールドに出ても変わらず、釣りをより繊細かつ快適に、そして至福の時間にしてくれます。
釣具の域を超えた質感
使用感の良さはもちろんのこと、見ているだけでも、持っているだけでもワクワクできるのがステラでしょう。
工芸品のようなデザイン、フィールドで映える美しさ、手に持った時や駆動させた時の質感など、釣具の域を超えた満足感を与えてくれます。
“ステラで釣りをする”ことに喜びを感じているユーザーは少なくないはずです。
ある意味ではコスパが良い
ステラは中古相場が下がりにくく、リセールバリューが良いことも特徴です。
つまり、モデルチェンジのタイミングでステラを買い替えていけば、思っているよりもリーズナブルな価格で最新のステラを使い続けられます。
リールの状態にもよりますが、オークションやフリマアプリを活用すれば、新品価格の半値以上で取引が成立することも多いです。
実際にモデルチェンジのタイミングで買い替えるユーザーは多く、考え方によってはコスパが良いといえるでしょう。
また、ステラは耐久性も優れているので、買い替えずに長く使うパターンの方もかなり多いです。
釣具店に勤務しているとお客さんのリールに糸を巻いたり、修理で預かったりすることが多いのですが、ステラは他のリールと比べて“旧モデルの残存率”が圧倒的に高いことが印象的でした。
10年選手のステラなんてまったく珍しくありません。
仮に10年使えるとして、1年当たりのコストに換算すれば、決して高いリールではないと思います。
ステラかステラ以外。
遊び道具としては高額ですが、持った瞬間から世界が変わる特別なリールだと思います。
一度ステラを使うと、スピニングリールは「ステラかステラ以外か」になるかもしれません。