19ステラSWの画像

19ステラSWを実釣インプレ。10万円を投資する価値とは?所有欲を満たすだけなのか?

シマノがリリースするフラッグシップSWリール、ステラSW。2019年に発売された現行モデルは、インフィニティドライブ等の新テクノロジーを採用して話題になりました。そんな19ステラSWを実釣インプレし、旧モデルからの進化やツインパワーSWとの違いを解説します。

目次

アイキャッチ画像撮影:TSURI HACK編集部

4代目ステラSW

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こんにちは、編集部しみけんです。

今回は最高峰のSWリール、シマノの19ステラSWをインプレします。

ステラSWの歴史は古く、そのルーツは95ステラの大型番手にあり、初めて「SW」の名を冠したのが2001年モデル。

現行の19モデルは01ステラSWから数えると4代目、95と98ステラの大型番手を含めると6代目に当たります。

19ステラSWのラインナップ

品番自重(g)ギア比最大巻上長(cm/ハンドル1回転)実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg)PE糸巻量(号-m)本体価格(円)
4000HG3555.7937/111-490、1.5-320、2-24092,000
4000XG3556.21017/111-490、1.5-320、2-24092,000
5000HG4205.79710/132-350、3-240、4-170108,200
5000XG4206.210510/132-350、3-240、4-170108,200
6000PG4254.68310/132-440、3-300、4-210108,200
6000HG4255.710310/132-440、3-300、4-210108,200
6000XG4256.211210/132-440、3-300、4-210108,200
8000HG6255.610718/253-410、4-300、5-250119,000
8000HG6255.610718/253-410、4-300、5-250119,000
8000PG6254.99418/253-410、4-300、5-250119,000
10000PG6704.910218/254-400、5-300、6-250119,000
14000XG6756.213418/256-300、8-200、10-165119,000
14000PG6754.910618/256-300、8-200、10-165119,000
18000HG8755.712917/285-500、6-400、8-300129,800
20000PG8854.410417/285-600、6-500、8-350129,800
300009754.413117/258-600、10-475、12-375146,100

6000PGを購入

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筆者はベイエリアのジギング&ショアジギングで使うため、2020年の追加機種である6000PGを購入しました。

8000番も少し考えましたが、メインラインがPE1.2〜2号であること、ハマチ・メジロがアベレージサイズ(MAXは10kgのブリ)であることを想定し、6000番を選択。

PGをチョイスした理由は、キャスティングに使う予定はないことと、300gまでのロングジグをシャクることがあるので巻き上げ力を優先させたからです。

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ちなみに、1番クラスのローレスポンス系ロッド(MCワークス デュアルエッジ641)と組み合わせて使っています。

19ステラSWのスペック

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まずは19ステラSWのスペックについて、前作からの進化や下位機種との違いを中心に解説します。

ボディ

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ステラSWは伝統的にオール金属ボディを採用しており、今作も引き続きアルミ合金製のボディを用いています。

下位機種のツインパワーSWは、ボディの半分(リールフットではない方)がCI4+(炭素繊維強化プラスチック)製なので、シマノのSWリールで唯一オール金属ボディなのがステラSWです。

ローター

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ローターは13モデルやツインパワーSWと同じく、アルミ合金製

このローターはXリジットローターと呼ばれるもので、三次元解析によって各部の肉厚を最適化していることが特徴です。

これによって高負荷時の変形が少なく、回転レスポンスにも優れ、安定したドラグ動作も可能にしています。

また、従来まで8000番・10000番・14000番のローターは共通サイズでしたが、19モデルは8000番のみローターをコンパクト化

これによって回転時の慣性が減り、8000番は旧モデルよりも回転レスポンスが飛躍的に向上しましたが、10000番・14000番とのスプールの互換性が失われているので注意が必要です。

駆動系

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駆動系は新開発のインフィニティドライブです。

これはメインシャフトとピニオンギアを非接触化し、メインシャフトを特殊なブッシュで支持していることが特徴。

これによってメインシャフトの摺動抵抗が大幅に減る上に、メインシャフトの特殊表面処理との相乗効果により、「回転トルクが従来比約30%減」とシマノは発表しています。

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なお、ドライブギアは超々ジュラルミン製、ピニオンギアは超高強度真鍮製。これは21ツインパワーSWも同じで、両者ともに8000HGのドライブギア組が5,060円なのでまったく同じものだと予想されます。(ピニオンギアは別物です)

シマノのハガネギア(冷間鍛造ギア)は高強度なのはもちろん、意外と低価格なのはあまり知られていない良さです。

ただし、ツインパワーSWとドライブギアが共通といえども、ピニオンギアやウォームシャフトから細かなブッシュに至るまで互換性のあるパーツは少なく、“中身はまったく別物”であることを念のために補足しておきます。

ちなみに、21ツインパワーと比べるとベアリングが3個多く、1箇所目がローターナット部分、2箇所目がウォームシャフト後端、3箇所目がメインシャフト先端(ウォームシャフトギア部分)です。

3箇所すべてが駆動系に位置するため、巻き感や巻き上げ効率の差に直結していると思われます。

防水機構

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旧作から引き続きXシールド(シーリング)とXプロテクト(特殊グリスによるストッパーベアリング部の防水)が用いられていますが、19モデルはラインローラーにもXプロテクトが導入されました。

海水の侵入経路となる部分にシール材を配置し、浸水を物理的に防ぐことで、高い水圧にも対応しています。

13モデルでは「ステラの泣き所」とまで言われたラインローラーの耐久性でしたが、シマノは「ラインローラーのベアリングの耐久性は10倍以上に向上」とアナウンスしています。

ドラグ

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ドラグは13モデルと同じく、Xタフドラグとリジットサポートドラグの組み合わせ。(4000番を除く)

スプールを2個のベアリングで支持し、金属&カーボン製ドラグワッシャーを用いることで、高耐久かつ安定したドラグ性能を発揮します。

また、10000番以上の番手には新開発のヒートシンクドラグが搭載されており、ドラグの放熱性が高められました。

ヒートシンクドラグにより、熱ダレによるドラグ力低下を50%改善、糸巻部の温度上昇が30%減と、シマノは公表しています。

なお、ドラグノブは全番手が耐熱性の高いメタルノブです。

スプール

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19ステラSWはバリアコートスプールリングが搭載されています。

バリアコートスプールリングは19ステラSWと21ツインパワーXDのみに採用されており、ヤスリをかけてもスプールリングが傷つかないという代物です。

19ステラを実釣インプレ

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ここからは実釣における使用感についてお伝えします。

前作から巻きの軽さが飛躍的に向上

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おそらく、13モデルや下位機種を愛用している人がまず体感するのは、巻きの軽さ

19ステラSWの登場時、旧モデル愛用者が口を揃えて「巻きが軽くなった」と言っていましたが、正直使うまではかなり懐疑的でした。

しかし、一度使ってみるとそれは明らかな進化だとわかります。

200gのジグをシャクった時に、13ステラSWが200gの負荷を体感するのに対し、19ステラSWは180gの負荷しか体感しないようなレベルです。

とくに、柔らかいロッドやローレスポンス系ロッドは竿の反発が弱く、ジャークがリーリング主体となるのでその恩恵を大きく感じられます。

高負荷時に巻げ効率が落ちない

19ステラSWの画像

下位機種と比べた時に大きく異なるのが、高負荷時の巻き上げ力。早い話、「最後の最後まで巻き続けられるのがステラSW」ということです。

低負荷時は下位機種との体感の差が小さく、釣具店の店頭ではほぼ同じように感じますが、負荷が大きくなるほど“ステラとそれ以外”が明確になります。

試しに番手(6000PG)を揃え、19ステラSWとセカンドクラスの某機種で300gのジグをシャクり比べてみました。

すると、その差は歴然。ステラSWの方が圧倒的に軽く、楽にシャクり続けられます。

実際のところ、6000番に対して300gはかなりオーバーウエイトですが、150gをシャクった時に大差がなかった両機種にここまで大きな差が現れるのには驚きでした。これは魚のサイズに置き換えても同じでしょう。

“巻く”というリールの本質的な役割が、愚直に追求されていることがステラSWの真価だと思います。

自己主張が強い爆音ドラグ

近年のシマノのスピニングリールは汎用・SWを問わず、ドラグ音が大きくなっています。

ステラSWもその例に洩れず、13モデルよりも音量がかなり大きくなりました。

中には下品と感じる方もいるかもしれませんが、ファイト中にドラグ音がよく聞こえるのは実用面でもお楽しみの面でも○。

なお、動画撮影時はドラグ音を撮るためにあえてドラグを緩めているので、ズルズル滑っている感がありますが、適正値ではカーボンワッシャーらしい粘るフィーリングです。

過去モデルが保証してくれる耐久性

08ステラSWの画像

19モデルを使うに当たり、久しぶりに08ステラSWを使ってみました。

もちろん最新の19モデルには及ばないものの、使用感からは10年以上の月日を感じさせません。

実際、船に乗ったり、離島にショアジギングに行ったりすると、旧モデルのステラSWを愛用している人を多く見かけます。

それぞれ愛着や懐事情など使っている理由は様々だと思いますが、全員に共通するのは“使える”ということでしょう。

19ステラSWの耐久性にはまだ言及できませんが、歴代モデルが耐久性を保証してくれていると筆者は感じています。

「買い」以外の選択肢はない。

19ステラSWの画像

一番無理が効いて、一番釣り人に楽をさせてくれて、一番長く使える。

筆者が感じるステラSWの魅力はこの3点。そして、どの点もベイエリアでしっかりと感じていただけると思います。

そういった意味で、大きなマグロやGT、ヒラマサを狙わなくとも、10万円を投資する価値は十分あると言えるでしょう。

懐事情が許すなら、ビギナーもベテランも「買い」以外の選択肢がない。そんなリールです。

撮影:TSURI HACK編集部

シマノ 20 ステラSW 4000HG

ギア比:5.7
自重:355g
実用ドラグ力:7kg
最大ドラグ力:11kg
巻取り長さ:93cm
ナイロン糸巻量(lb-m):3.5-170,4-150,5-125
PE糸巻量(号-m):1-490,1.5-320,2-240

シマノ 20 ステラSW 4000XG

ギア比:6.2
自重:355g
実用ドラグ力:7kg
最大ドラグ力:11kg
巻取り長さ:101cm
ナイロン糸巻量(lb-m):3.5-170,4-150,5-125
PE糸巻量(号-m):1-490,1.5-320,2-240

シマノ 20 ステラSW 5000HG

ギア比:5.7
自重:420g
実用ドラグ力:10kg
最大ドラグ力:13kg
巻取り長さ:97cm
ナイロン糸巻量(lb-m):4-200,5-150,6-130
PE糸巻量(号-m):2-350,3-240,4-170

シマノ 20 ステラSW 5000XG

ギア比:6.2
自重:420g
実用ドラグ力:10kg
最大ドラグ力:13kg
巻取り長さ:105cm
ナイロン糸巻量(lb-m):4-200,5-150,6-130
PE糸巻量(号-m):2-350,3-240,4-170

シマノ 20 ステラSW 6000PG

ギア比:4.6
自重:425g
実用ドラグ力:10kg
最大ドラグ力:13kg
巻取り長さ:83cm
ナイロン糸巻量(lb-m):4-240,5-190,6-160
PE糸巻量(号-m):2-440,3-300,4-210

シマノ 20 ステラSW 6000HG

ギア比:5.7
自重:425g
実用ドラグ力:10kg
最大ドラグ力:13kg
巻取り長さ:103cm
ナイロン糸巻量(lb-m):4-240,5-190,6-160
PE糸巻量(号-m):2-440,3-300,4-210

シマノ 20 ステラSW 6000XG

ギア比:6.2
自重:425g
実用ドラグ力:10kg
最大ドラグ力:13kg
巻取り長さ:112cm
ナイロン糸巻量(lb-m):4-240,5-190,6-160
PE糸巻量(号-m):2-440,3-300,4-210

シマノ 19 ステラSW 8000PG

ギア比:4.9
自重:625g
実用ドラグ力:18kg
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:94cm
PE糸巻量(号-m):3-410,4-300,4-250

シマノ 19 ステラSW 8000HG

ギア比:5.6
自重:625g
実用ドラグ力:18kg
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:107cm
PE糸巻量(号-m):3-410,4-300,4-250

シマノ 19 ステラSW 10000PG

ギア比:4.9
自重:670g
実用ドラグ力:18kg
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:102cm
ナイロン糸巻量(lb-m):6-300,8-210,10-160
PE糸巻量(号-m):4-400,5-300,6-250

シマノ 19 ステラSW 14000XG

ギア比:6.2
自重:675g
実用ドラグ力:18kg
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:134cm
ナイロン糸巻量(lb-m):10-195,12-155,14-140
PE糸巻量(号-m):6-300,8-200,10-165

シマノ 19 ステラSW 14000PG

ギア比:4.9
自重:675g
実用ドラグ力:18kg
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:106cm
ナイロン糸巻量(lb-m):10-195,12-155,14-140
PE糸巻量(号-m):6-300,8-200,10-165

シマノ 20 ステラSW 18000HG

ギア比:5.7
自重:875g
実用ドラグ力:17kg
最大ドラグ力:28kg
巻取り長さ:129cm
ナイロン糸巻量(lb-m):10-310,12-240,14-200
PE糸巻量(号-m):5-500,6-400,8-300

シマノ 20 ステラSW 20000PG

ギア比:4.4
自重:885g
実用ドラグ力:17kg
最大ドラグ力:28kg
巻取り長さ:104cm
ナイロン糸巻量(lb-m):10-350,14-240,18-190
PE糸巻量(号-m):5-600,6-500,8-350

シマノ 20 ステラSW 30000

ギア比:4.4
自重:975g
実用ドラグ力:17kg
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:131cm
ナイロン糸巻量(lb-m):14-400,18-300
PE糸巻量(号-m):8-600,10-475,12-375

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