サバは鮮度が大切
サバは“美味しい釣り対象魚”の代表格ですが、鮮度低下の早い魚としても知られています。
そのため、せっかく釣った鮮度の良いサバも適切な処理をしないと台無しに。
本記事では、元釣具屋の筆者がサバの締め方や処理の方法を解説します。
サバの鮮度低下が早い理由
サバをはじめとする青魚(赤身魚)は、鮮度低下が早い魚です。
その理由を解説します。
ヒスタミンが増えやすい
青魚は筋肉中にヒスチジンという成分を多く含みます。
ヒスチジンは海水や内臓に含まれるヒスタミン産生菌によって、ヒスタミンと呼ばれる成分に変化。
このヒスタミンがヒスタミン食中毒を招き、頭痛やじんましん、発熱を起こします。
ヒスタミン産生菌は温度が高いか鮮度が下がると増加するため、サバを高温(常温)で放置しないことが大切。
また、ヒスタミン産生菌は内臓やエラに多いので、できるだけ早くこれらを取り除くのも対策です。
ATPを分解する速度が速い
遊泳性が強い赤身魚は、エネルギーの元となるATP(アデノシン三リン酸)を消費する速度が早いです。
筋肉中のATPが減少すると細胞の成分が消費され、死後硬直→自己消化→腐敗と、鮮度低下が進みます。
ATPの減少を抑えて腐敗を遅らせるには、釣り上げたらすぐに締めて無駄なエネルギー消費を止めることが重要です。
また、血を抜くことで血中の自己消化を進める酵素を減少でき、冷やすことで腐敗までの反応速度を抑えられます。
寄生虫「アニサキス」に注意!
サバは、食中毒の要因になるアニサキスに寄生されている個体も多いです。
アニサキスはサバが死ぬと、内臓側から筋肉に移動すると言われています。
そのまま気付かずに口に入れると人の消化器官に寄生し、激しい腹痛などを発症。
釣り場でできる処理としては、釣ってすぐに内臓を取り除き、腹の中を綺麗に洗うことである程度身に移るのを防げます。
また、身を冷やすことでアニサキスの動きが鈍くなり、移動を抑えられるため、常温でサバを放置しないことも大事です。
持ち帰ってからは、-20℃以下で24時間以上冷凍、もしくは加熱処理をすることでアニサキスを死滅させられます。
最後に、目視で確認、薄く切る、よく噛むことも有効な対策です。
サバは「サバ折り」で締める
サバの締め方は、簡単に素早くできるサバ折りがおすすめです。
サバ折りの方法は、エラ蓋に指を引っ掛け、そのまま頭を上側に折り曲げるだけ。
折ったらそのまま海水を入れたバケツに漬け、尻尾を持って振って血を抜きましょう。
道具も不要で、活き締めと血抜きを同時に行え、鮮度の低下を抑えられます。
普通の活け締め&血抜きでもOK
サバ折りに抵抗がある方や、見た目を損ないたくない場合は、普通の活け締め&血抜きでも問題ありません。
脳締めする場合は、締め具などで目の後ろ側、側線とエラ蓋の線の延長が交わるあたりを突きましょう。
延髄で締める場合は、エラ蓋からナイフを入れてそのまま延髄を断ちます。
締め終わったらすぐ、エラの付け根と膜をカットし、海水を入れたバケツに漬けて血を抜きましょう。
尻尾を持ち、海水の中で1分ほど振れば大半の血は抜けるはずです。
クーラーボックスで保管
締めて血を抜いたサバは、すぐにクーラーボックスへと移しましょう。
海水を氷で冷やした潮氷で全身を浸けておくと、ムラなく均等に冷やせます。
潮氷は、ペットボトルに水を入れて凍らせたものや保冷剤を用いて作るのがおすすめです。
大量の氷を使うと、真水で海水が薄まった状態になるので、身がふやけて味が落ちてしまいます。
サバはすぐに処理しましょう!
サバは活け締めと血抜きを素早く確実に行なうことが非常に大切です。
釣りの効率は少し落ちてしまいますが、1匹ずつ丁寧に処理することで、食中毒のリスクを軽減し、美味しく食べられます。
釣ったサバは美味しく安全に食べてくださいね!