目次
磯臭いことで有名な『タカノハダイ』の特徴や生態
タカノハダイってどんな魚?

タカノハダイは全長45cm前後まで成長するスズキ目の魚で、斜めに9本走る茶色い縞模様と尾びれの白い斑点が特徴です。
海藻などの藻類から甲殻類まで何でも食べる雑食性の魚で、特徴的な模様や磯臭さから「ヒダリマキ」や「ションベンタレ」といった別名があります。
タカノハダイの由来

いくら磯臭い魚とはいえ、ションベンタレとはあまりにも酷い名前ですよね……(笑)
他にも、お婿さんが泣いてしまう程ニオイが強いので、「ムコナカセ」と呼ぶ地域もあるようです。
ちなみに、標準和名である『タカノハダイ』を漢字で表すと『鷹羽鯛』であり、斜めに入るストライプ模様が鷹の羽を連想させるためと言われています。
タカノハダイの生息地と良く釣れる場所

タカノハダイの生息域は本州以南の日本各地と大変広く、堤防釣りや磯釣りで釣れることがあります。
藻類を食べる習性があるので、水深の浅い岩礁帯や藻場に多く生息しています。
タカノハダイとミギマキ・ユウダチタカノハダイの見分け方

タカノハダイの仲間は世界に約25種類が知られ、日本にはミギマキとユウダチタカノハダイを含めた3種類が生息しています。
タカノハダイの尾びれには、全体的に白い斑点模様があるのに対し、ミギマキとユウダチタカノハダイは尾びれの上側が茶色、下側が黒色です。
ミギマキとユウダチタカノハダイの見分け方は、ミギマキは口元が赤いのに対して、ユウダチタカノハダイは赤くありません。
タカノハダイは堤防や磯釣りの定番外道
イシガキダイを狙いに地磯にやってきました

タカノハダイは、“狙って釣れと言われると難しい”いわゆる外道の素質の高い魚なんです。
クロダイやグレを狙ったウキ釣りや、アジやイワシを狙ったサビキ釣りなどで釣り上げられることが多く、チヌやグレよりも餌を取るのが遅いので、本命がいなくなったことを知らせる魚とも言われます。
僕は運よくイシガキダイGet!

今回は、地磯からイシダイやイシガキダイをムール貝を使って狙っていました。
ウニやサザエなど、高価な餌でなくとも石物を釣ることができるんですよ!
今回はムール貝で釣れました

タカノハダイは藻類の他にも貝類や甲殻類なども食べる、いわゆる雑食性の魚です。
一緒に釣行していた弟は、残念ながらタカノハダイを1匹釣って終了となってしまいました。
弟はタカノハダイで終了。そして恐ろしい提案が……

弟から「兄貴よ、美味しい魚だけじゃなくてさぁ。タカノハダイの食レポもしたら?」って恐ろしい提案がありました。
確かに、個人的にもタカノハダイは食べたことがなく、どれほど磯臭い魚なのか気になるところです。
「タカノハダイ兄貴にあげるからさ、イシガキダイの半身ちょうだいね!」ってちゃっかりしていますね!
もちろん、イシガキダイは激ウマでした!
磯臭いと教わってきたタカノハダイを持ち帰ってきました
冬のタカノハダイは美味しい説

昔から『タカノハダイは磯臭くて不味い魚』と聞いて育ってきました。
しかし、しっかり調べてみると“冬のタカノハダイは旨い”という文章もあります。
はたしてこのタカノハダイは……どうでしょうか。
血抜きを行いエラと内臓をすぐ取り去りました

ニザダイやアイゴなど、磯の魚は即座に血抜き&エラワタの処理をすることで、磯臭さを抑えることができることを成功体験として知っています。
今回のタカノハダイも、すぐに処理をして海水氷でしっかり冷やして持ち帰りました。
それにしても、血の量がとても多かったのが印象的です。これは、現場での血抜きは絶対必要でしょう。
タカノハダイを捌いて感じたこと。気になる磯のニオイは?
磯臭さ無し!

本当にタカノハダイを持ち帰ってきてしまった。今更ながら、告白します。じつは僕……磯臭い魚が割りと苦手なんです。
恐る恐る、タカノハダイのニオイを嗅いでみると……。
「アレ?そんな臭くない。」普通の魚のニオイです。
これは、もしかして美味しいタカノハダイに当たったかもしれないゾ!
鱗が硬すぎて取れません

鮮度を落とさないように早速、タカノハダイの調理に取り掛かります! が、いきなり急ブレーキ。
なんと、ウロコが硬すぎて全然取れないんです(泣)
熱湯をかけて取りました

刺身用は皮ごと引いてしまおう! 塩焼きはウロコごと焼いてしまおう。煮つけはさすがにウロコ取った方が良いですよね。
試しに熱湯をかけてみると、固い絆で結ばれていたウロコたちが離れ、スプーンでこそぎ取ることができました。
タカノハダイの臭み対策
タカノハダイのお刺身に塩を振る

念には念を入れよということで、皮を引き、冷水で洗ったタカノハダイの冊に塩を振りかけます。
磯臭さが気になる魚のお刺身は、3%の塩水で洗ったり、塩を振って30分程冷蔵庫で置くと臭みを和らげることができます。
出汁を取る前に素揚げにする

タカノハダイのアラで味噌汁を作っていきますが、ここでも磯臭さ対策を施します。
頭とカマを一旦、素揚げにして臭みを飛ばしてから出汁をとっていきます。
塩焼きは素材の味で勝負

すべての料理に臭み対策をしてしまうと、素材本来のニオイが分からないままになっていますので。
塩焼きだけは、ウロコ付きで素材そのもののポテンシャルを確かめてみます。
はたして、タカノハダイの味は?予想外の展開に!
素揚げで作ったタカノハダイの味噌汁が旨い

まずは、汁物から。少し身構えながら一口いただくと……。
なんと、めっちゃ香り高くて美味!
磯臭さは感じられず、お味噌との相性抜群です。
合格! これはお刺身も期待できるゾ!
タカノハダイの刺身は歯ごたえ良好!やや脂ありで甘い

満を持して、タカノハダイのお刺身を頬張ります! 釣って数時間しか経っていないためか、強い歯ごたえから鮮度の良さが伝わってきます。
しっかり噛んで味わってみると、ほんのりと甘くて白身魚らしい上品な脂が広がる……これは、控えめに表現して“次も持ち帰りたい魚”ですね!
タカノハダイの煮付けも美味

こうなってくると、磯臭さの心配は無くなってきます。煮付けも例外なく美味です!
ただ、思い返すと若干ウロコを剥がす手間が気になりますね。
タカノハダイの塩焼きはウロコはNG。冷めると多少磯のニオイがする程度

ベラの仲間はウロコごと食べられますが、タカノハダイのウロコは硬すぎて駄目でした。
それでも、身はホクホクとしていて美味しいです。程よく脂のある白身魚の塩焼きって感じですね。脂くどくなくてGOOD!
試しに冷ましてから食べてみると、さすがに磯の香りが少し気になりましたので、アツアツを食べた方が良さそうです。
美味しいタカノハダイもいると言う話は本当だった

今回は、幸運にも美味しいタカノハダイに当たることができて、タカノハダイのポテンシャルを知ることができました。
磯臭い可能性もありますが、冬場にタカノハダイが釣れたら一度食べてみてはいかがでしょうか。
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