渓流ベイトフィネスのメリット
サミングがしやすいのでキャスト精度が高い

ピンポイントにルアーを送り込む“低弾道キャスト”を必要とする渓流釣りでは、空中でルアーの軌道を制御するサミングがとても重要です。
スピニングリールよりもサミングがしやすいというメリットから、近年ではベイトリールを渓流釣りに使用するアングラーが増えていますね。
着水直後からアクションできる

流れが速く魚がルアーにアタックする範囲の狭い渓流では、着水直後のルアーの泳ぎ出しが釣果をとても重要!
ベイトリールにはスピニングリールのベールを返すという動作が無いため、着水と同時にルアーにアクションを入れることができます。
できるだけテンポ良くキャストを続けるという意味で、渓流ベイトフィネスではキャストする利き手と逆のハンドルを使用することが一般的ですよ。
糸フケによるライントラブルが少ない

一般的に渓流釣りは、上流に向かって釣り上がっていくため“アップキャスト”(上流に向かって投げること)が主体。
必然的にルアーは流れに乗って自分に向かってくるので、糸フケが出やすくなります。
スピニングリールを使っていると、この糸フケが原因となって大きなライントラブルが起こりやすいのです。
渓流ベイトフィネスのデメリット
バックラッシュが発生する

渓流ベイトフィネススタイル最大のデメリットは、皆さんが心配している『バックラッシュ』でしょう。
どんなにベイトリールの扱いに慣れている上級者でも、キャスト時に周囲の枝や草、水面を叩いてしまうとトラブルは避けらません。
ライントラブルで釣りにならなかった……ということにならないように、初めてベイトリールに挑戦する方は練習してから臨むようにしましょう。
▼バックラッシュの簡単な解消法
川幅の広いフィールドや向かい風では扱いにくい

他に渓流釣りでのベイトフィネススタイルのデメリットを挙げるとするならば、やはり『飛距離』でしょう。
とくに開けた渓相で上流から風が吹き下ろしているような状況では、スピニングリールの方が有利と言えるでしょう。
とはいえ、小規模渓流の釣行がメインとなる方は、飛距離よりもキャスト精度、手返しの良さを優先してベイトフィネスの方がおすすめと言えます。
渓流ベイトフィネスリールのバックラッシュ対策|ブレーキ調整のやり方
慣れていない方は“糸巻量を極端に少なく”してみよう

渓流釣りの場合、ロングキャストや大きな魚に走り回られたりといったことが想定されないため、糸巻量を40m程度と少なくすることをおすすめします。
糸巻量を減らすことにより、スプールの重さが軽くなるため軽量なルアーでもスプールを回してくれます。「え?そんな糸の量で変わるの?」って感じるかもしれませんが、軽量ルアーを投げる為には糸だけでなく糸に付いた水でさえ不必要な重さなんですね。
また、バックラッシュをした場合も糸巻量が少ない方が軽度で済むことが多くなります。
ただし、再起不能なライントラブルを起こした場合に備えて、予備スプールや巻き替え用のラインを用意した方が安心ですよ。
渓流ベイトフィネスリールに巻くメインラインとリーダーの目安
サンヨー アプロード GT-R PINK-SELECTION ナイロンライン
サンライン スモールゲームPE-HG
渓流ベイトフィネスで使用するラインの目安はPEであれば0.4~0.6号、ナイロンであれば3~5lbといった太さや強度が一般的。
PEラインの扱いに慣れている方は、PE0.6号にフロロライン6lBを50cmほどリーダーにしたセッティングを基準に試してみてください。
PEラインを使ったことが無い方は、使い慣れたナイロンラインがおすすめですよ。
▼渓流ベイトフィネスのラインについて
キャスト練習の前に正しいブレーキ調整を覚えよう

ベイトリールにはバックラッシュを防いだり、ルアーを遠くに飛ばすために調節可能なメカニカルブレーキとマグネットや遠心ブレーキがついています。
まず、釣り場についたらハンドル側にあるメカニカルブレーキをしっかり緩めます。するとスプールが「ガタガタ」と動きます。この状態から徐々にメカニカルブレーキを絞めていき、スプールがガタつかなくなれば設定完了。
マグネットや遠心ブレーキはMAXに近い状態から使い始め、これ以上弱くしたらバックラッシュしてしまいそう……という値まで緩めていきます。
仕様するルアーの重さや空気抵抗、風向き、キャストしたい飛距離に合わせて最適値を見つけていきましょう。
基本的には、メカニカルブレーキは触らずにマグネットor遠心ブレーキを細かく調整して使用します。
垂らしを無くし、竿を曲げて投げる練習をしよう

渓流でベイトフィネスリールを使って上手にキャストするコツは、キャストの垂らしをゼロにすることです。
垂らしゼロにすることでロッドに蓄えた力をそのまま弓のように放つことができ、ライナー性の弾道でルアーが飛びます。
またキャストの力の入れ方にもコツがあり、前方に振り切る時よりも、テイクバックする時の方が力を入れているイメージでキャストしましょう。
腕の振りの早さで投げるのではなく、しっかりロッドを曲げて投げることでバックラッシュを減らすことができますよ。
渓流で使用するベイトフィネスリールの選び方
選び方①|浅溝&軽量スプールを選ぶ

渓流釣りでは30~40mもラインが巻いてあれば充分なので、浅溝タイプのスプールが適しています。
深溝スプールに少量の糸を巻いて使用すると、ハンドル1回転で巻ける糸の量が少なくなってしまうので不向きです。
また軽いルアーでもスプールを回転できるように、軽量スプールが搭載されている機種を選びましょう。
選び方②|ハイギアモデルがオススメ

前述の通り、渓流釣りでは上流に向かってアップキャストをするシーンがほとんどです。
自分に向かってくる速い流れの中でもしっかりルアーにアクションを入力したり、流れに乗って手前に走る魚とやり取りするためにも、ハイギアタイプのリールを選ぶようにしましょう。
選び方③|ブレーキシステムに注目

ベイトリールには、おもに遠心ブレーキタイプとマグネットブレーキタイプがに分かれますが、ベイトフィネスリールではマグネットブレーキが主流。
マグネットブレーキの方がスプールの回転速度に合わせてブレーキが働くため、軽量ルアーを扱いやすいという長所があるためです。
【2022年最新】渓流におすすめのベイトフィネスリール
ダイワ シルバークリーク エア TW ストリームカスタム
2022年ダイワから発売された渓流専用のベイトフィネスリールです。
スプールは、G1ジェラルミン製で直径28mm。ストリームトラウトブレーキチューンスプールが採用され(インダクトローター固定式)、ショートキャスト時においても安定したブレーキ力を発揮します。
T-ウイングシステム搭載のため、スプール回転数が一番上がるスプール至近のラインガイドでの抵抗を大幅に削減することにより、バックラッシュを減らし快適な釣りが展開できます。
ドラグ引き出しクリックが付いているため、魚とのファイトでラインが引き出されるとカチカチっと音がなりますよ。
シマノ 22 アルデバラン BFS XG
シマノのベイトフィネスリールを牽引するアルデバランBFS。2016年にリリースされたモデルは多くのアングラーに今もなお支持されていますね。
そんなアルデバランが2022年に新設計のマグネットブレーキを搭載し、劇的な進化を遂げて登場!
新たに採用されたTBは、ブレーキユニットの可動ストロークを長く取ることで幅広いブレーキセッティングが可能になっています。
最も弱いブレーキセッティング「1」におけるマグネットの影響を限りなくゼロに近づけることに成功したため、1gクラスの超軽量ルアーであっても、水面ギリギリな低弾道でストラクチャーの奥の奥へ送り届けます。
【王道モデル】渓流におすすめなベイトフィネスリール8選
▼ダイワのベイトフィネスリール
ダイワ 20 スティーズ AIR TW 500XXH
スティーズAIR TWは、ダイワの最高峰ベイトフィネスリール。
スプールに超小口径(直径28mm)のG1ジュラルミン製AIRスプールを搭載することで、1g台の超軽量ルアーのキャストもなんなくこなします。
独自ドラグ機構・UTDの搭載により、食いつきのない滑らかなドラグの滑り出しは、 もはやクラッチOFFでの指ドラグを必要としません。
注意点として、バスフィッシングで使用することが想定されているため淡水専用機です。ソルトでの使用も考える場合は選択肢から外れてしまいます。
ダイワ 20 アルファス AIR TW 8.6R(L)
2020年にダイワから発売された最も汎用性の高いとも言えるベイトフィネスリールです。
渓流もやるけど、メバルやアジングでも使えるベイトフィネスリールをお探しの方にオススメです。
エアブレーキシステムにより、力まなくてもルアーが伸びるようによく飛び、力んでしまったことにより発生するバックラッシュゾーンに対してはきっちりブレーキを掛けてくれます。
超小口径スプールΦ28mm AIRスプールやT-ウイングシステムが搭載されているため、超軽量ルアーであっても快適にキャストすることが可能です。
ダイワ 18 アルファス エアストリームカスタム
アルファスAIRを渓流専用にカスタマイズしたモデル。シルバークリーク エア TW ストリームカスタムが発売されたこともあり、現在では生産されていないようですが、発売当時は唯一の渓流専用ベイトフィネスリールとして注目を集めた機種です。
ダイワ 21 月下美人 AIR TW PE SPECIAL
ライトソルト用のベイトフィネスリールの中でも、PEライン専用モデルとして2021年に発売されたモデル。
ブレーキにAIRブレーキPEチューンを施すことで、マイクロルアーでも安定して20mを超える飛距離が出せます。
ドラグ引き出しクリックが搭載されているので、ラインテンションギリギリの攻防となった場合でもドラグ音を聞きながらファイトすることができます。
PEラインを使用した渓流ベイトフィネスシーンでは、選択肢のひとつになりうる機種でしょう。
▼シマノのベイトフィネスリール
シマノ リール '17スコーピオンBFS XG
幅広いユーザー層をから大きな信頼と支持を得る、スコーピオンシリーズのベイトフィネス仕様です。
FTB(フィネスチューンブレーキシステム)を搭載することで、ピッチングによる低弾道のキャストも意のままに決まります。
ソルトでも使用可能で、ドラグはエキサイティングドラグサウンドが採用されているので、夜のライトソルトゲームでも活躍する一台ですよ。
シマノ 16 アルデバラン BFS XG
2016年に発売されて以来、長い間シマノのベイトフィネスリールとしての性能と価値を牽引してきた機種です。
今春に22アルデバランBFSが発売となりましたが、今でも多くのアングラーに使用されているベイトフィネスリールですよ。
▼アブガルシアのベイトフィネスリール
アブガルシア REVO LTX-BF8
ユーザーの好みに応じて、マグネット数を増やせるマグトラックスIIIブレーキシステムが搭載。アングラーごとに異なるキャスティングの特性や、ロッドの調子に合わせた微調整が可能です。
ベイトフィネスの性能を決めるといっても過言ではないスプールの重量を、ベアリングとピンを除いた状態で約6.3gまで軽量化。
徹底的に軽量化されたスプールとマグトラックスブレーキとの相乗効果で、異次元のキャストフィールとキャスティング性能を実現しています。
アブガルシア REVO ALC-BF7
実売価格25,000円前後で購入可能でありながら、ドラグクリッカーや超々ジュラルミン製の超軽量スプールなど、上位機種とそん色ない機能を搭載したコストパフォーマンスに優れた機種です。
【コスパ重視】2万円アンダーの渓流におすすめなベイトフィネスリール
シマノ SLX BFS XG
確かな基本性能を持ったシマノのベイトフィネスリールでありながら、実売価格18,000円前後で購入可能なコスパ最強機種。
制動セクションはベイトフィネス専用に開発したFTB(フィネスチューンブレーキシステム)を採用し、スプールからブレーキユニットをなくすことで軽量化されているため、軽いルアーをストレスなくキャストすることができます。
その他の仕様もX-SHIP、エキサイティングドラグサウンドなど充実していますよ。
アブガルシア ロキサーニ BF8
実売価格13,000円前後と最安値と言えるベイトフィネスリール。超々ジュラルミン製超軽量φ33mmBFスプールやギア、カーボンハンドルやソルトシールドピニオンBBなどが搭載されてこの価格は驚きです。
とにかく安くても使えるベイトフィネスリールを探している方にオススメです。
【丸型モデル】おすすめのベイトリール
シマノ 17カルカッタコンクエスト BFS
2017年に円形リールのベイトフィネスモデルとして初めてシマノから発売された機種です。
FTB(フィネスチューンブレーキシステム)をはじめ、ベアリングやオイルもベイトフィネス仕様となっています。
駆動部にはマイクロモジュールギアを組み込むことで、滑らかでノイズの少ない巻きを実現しています。
ダイワ 19 ミリオネア CT SV70SH 70SHL
ギアボックスの出っ張りさえ気になる丸型リール愛好家に、純粋な丸型リールであるミリオネアCT SVは支持されています。
フィネス仕様にするのであれば、スプール交換することをおすすめします。
【オールドリール】雰囲気重視な渓流ベイトリール
渓流アングラーの中には、機能性よりも見た目の雰囲気を重視してオールドタックルを選択する方も。最新ベイトリールよりも少しだけ使うときに注意しておく点もあります。
雰囲気抜群な渓流ベイトリールとその使い方の注意点をご紹介します。
アンバサダー2500C

アンバサダー2500Cはアブガルシアの丸型ベイトリール。
デザインやカラーの違いが多用で言わずと知れた人気のオールドリールですね。渓流ベイトリールとして使うときにはシャロースプールに交換して使ってみてください。
また、タックルを水に浸けて撮影すると、ブレーキが利かなくなる可能性もあるので要注意です。
アンバサダー1500C

アンバサダー2500Cよりもスプールやフレーム幅をコンパクトにしたモデルがアンバサダー1500C。発売当初から渓流で使っていた方もおり、渓流ベイトリールの先駆け的存在です。
2500Cと同じくシャロースプールが販売されていて、使い勝手が良くなるので交換するのがおすすめです。
五十鈴 BC521SSS VINTAGE

高精度カップ形状、一体成型高精度アイドルギヤ、ミネベアのファインドライブボールベアリングを採用し、従来のBC521SSSよりも高性能化されたVINTAGE。現代の技術を採用しながら、その雰囲気はまさにオールドリールそのもの。
カラーはシルバー、レッド/ゴールド、グリーン/ゴールドの3色を展開しています。
あなた好みの渓流ベイトリールを。

今年も始まった渓流シーズン。今年こそ軽いルアーも自由自在にキャストできる専用リールを手に、渓流ベイトフィネススタイルを初めてみてはいかがでしょうか。
リズミカルにピン打ちしながら渓流を遡行していく楽しさ。ぜひ実感してみてください!