ニゴイって、そもそもどんな魚?

ニゴイは河川の中・下流域を中心に、湖沼や用水路などにも生息する身近な淡水魚です。
都市部を流れる川でも見かけることがあり、ルアーや餌釣りのターゲットとして釣り人にはお馴染みの存在でしょう。
コイに似ているけど、じつは……

ニゴイは漢字で「似鯉」と書き、コイに似ていることが名前の由来とされています。
一方、ニゴイをよく観察すると、体はコイより細長く、長い吻や下向きの口など、その姿はむしろカマツカという魚に似ています。
近年の分類ではコイ目カマツカ科に分類されており、分類上もカマツカに近い仲間です。
何でも食べる?ニゴイの食性

ニゴイは雑食性で、ユスリカの幼虫やミジンコ類などの動物プランクトン、ミミズや昆虫といった陸生生物、生きた魚や甲殻類、さらにはシジミなどの貝類まで、実にさまざまなものを積極的に捕食します。
一方でニゴイは環境によって好んで捕食する餌を変える魚であり、食べている餌もニゴイの食味に影響を与えていると感じます。
ビッグベイトで釣れる川があるかと思えば、ルアーで釣るのが難しい場所もあります。
じつは「胃」がない魚

余談ですが、ニゴイはコイやフナと同様に胃を持たない『無胃魚』であり、小魚やエビなどを飲み込み、強固な咽頭歯で潰すように処理します。
山根
無胃魚と知らずに初めてコイの仲間を捌いてみると、胃がないことに驚くかもしれません。
「ニゴイはまずい」は間違いじゃない。でも……

『ニゴイは美味しい』と聞いて、近所の川でニゴイを釣って持ち帰ろうとした読者の方々! ちょっと待ってください……。
ニゴイは生息環境によって食味、とくに臭いに大きな差が出る魚なので、美味しいニゴイを見極めることがとても重要です。
“当たり個体”は水質と水温がカギ

一番重要なのは、水質が良く夏でも水温が低い場所を選ぶことです。
例えば、里山を流れる清流や湧水が豊富な河川などが狙い目でしょう。
もちろん、水がきれいだから絶対に臭くない、水温が低いから絶対に美味しいというわけではありません。あくまでも傾向として覚えていただければと思います。
止水より「流れのある場所」を狙いたい

個人的には、止水域よりも流れのある川で釣れたニゴイの方が、ハズレを引く確率は低くなると思っています。
例えば、魚が行き来できる同じ水系であっても、ダム湖で釣れたニゴイより、そのダムのバックウォーターを昇り、強い流れに棲んでいるニゴイの方がオススメです。
美味しく食べるなら鮮度も重要

どんな川魚にもいえることですが、ニゴイも鮮度は大切です。
持ち帰る直前まで活かしておき、血抜きをして氷水で一気に冷やし込みます。
淡水魚は海の魚に比べて食味が落ちるのも早いため、釣ったその日に調理するのがオススメです。
「泥抜きすれば大丈夫」とは限らない

泥臭い淡水魚は「一晩きれいな水に入れておけば臭いが抜ける」といわれることがあります。
多少改善することはあるかもしれませんが、短期間の泥抜きだけで強烈な臭いが完全に消えるとは限りません。
最初から臭いの少ない魚を選ぶほうが確実ですので、ニゴイを食べる場合は釣り場選びがとても重要です。
食べるなら30cm前後がおすすめ

ニゴイは最大で50cmを超える比較的大きい淡水魚ですが、調理するとなると30cm前後の小ぶりなサイズがオススメです。
山根
大きい個体になると、コイの仲間に共通する「Y字ボーン」と呼ばれる小骨が気になり、食べにくくなります。
“当たり個体”を釣ったら、どう食べる?
ニゴイの下処理

鱗と内臓を落としたニゴイを綺麗に洗い、できるだけ細かく包丁を入れて骨切りをします。
ニゴイには想像以上にたくさんの小骨がありますが、料理する前に骨切りをしておくと驚くほど食べやすくなります。
天然の淡水魚なので生食はおすすめしません。寄生虫のリスクを避けるためにも、しっかり加熱して食べましょう。
塩焼き|クセのなさが一番よくわかる

まず試してほしいのが塩焼きです。塩を振って焼くだけのシンプルな料理ですが、淡水魚で試すには少々勇気がいる調理法でしょう。
実際に食べてみると、身はふっくらと柔らかく、クセの少ない淡白な白身。
アユのような特徴的な香りがあるわけでもなく、目をつぶって食べたら何の白身魚なのか分からないほどクセがありません。
山根
いい意味で、“普通に美味しい”白身魚。
海の魚で例えるなら脂の少ないカマスのような味わいです。
煮付け|川魚の匂いが気になる人にも

川魚の匂いやクセに抵抗があるけれど、それでも食べてみたいという方には、ニゴイに限らず煮付けがオススメです。
生姜やゴボウといった匂い消しになる根菜と一緒に、甘辛く煮付けるのがコツですよ。
山根
大きいニゴイは輪切りにしてコイのうま煮のように炊いても良いでしょう。
素揚げ|小骨ごとスナック感覚で

3枚におろして骨切りしたニゴイの身に味の素をお好みでふりかけて素揚げにします。
身の水分を飛ばし切るイメージでしっかり揚げるのがコツです。
山根
ニゴイらしい食感や風味は全て吹き飛びますが、まるでスナック感覚で美味しく食べられますよ。
天ぷら|個人的にはこれが一番うまい

僕がニゴイの美味しさを一番味わえると思っているのが、天ぷらです。
三枚におろして腹骨などを処理したら、細かく骨切り。皮は残したままでOKです。
食べやすいサイズに切って衣を付け、カラッと揚げれば完成。ぜひ、揚げたてを味わってほしい一品です。
山根
皮目からはハゼのような風味、身からはキスのような食感が味わえます。
お世辞抜きで美味しいって思える一品です!
ニゴイの評価は「どの個体を食べたか」で変わる

ニゴイは「泥臭い魚」「美味しくない魚」と思われがちですが、実際にはすべてのニゴイが臭いわけではありません。
水質が良く、流れのある場所で釣れた鮮度の良い個体なら、塩焼きや煮付け、素揚げ、天ぷらなど、さまざまな料理で美味しく食べられます。
一方で、ニゴイは生息環境や個体によって食味に差が出やすい魚でもあります。
美味しく食べるためには、料理の腕以上に、どこで釣れたどんな個体を選ぶかが大切だと言えるでしょう。
撮影:山根央之
