4年ぶりのモデルチェンジ

いわずと知れたシマノ製スピニングリールの最高峰、ステラ。
2022年春に待望のモデルチェンジが行われ、大きな話題となりました。
とりわけ今作は歴代モデルの中でも非常に注目度が高く、人気番手に関しては発売前から予約が殺到し、入手困難な状態に。
本記事では、そんな22ステラのスペックや使用感を解説します。
ラインナップ
22ステラのスペック的特徴

まずは、歴代ステラや現行下位機種との比較を交えながら、22ステラのスペック的な特徴から解説します。
ボディ

現行のシマノ製汎用スピニングリールでは唯一となる、オール金属製ボディを採用していることが最大の特徴です。
18ステラから引き続き、軽量かつ高強度なマグネシウム合金を用いています。
下位機種と比較すると、オール金属という点に加え、リールフットとギアボックスが一体となっている構造も特筆する点です。
19ヴァンキッシュや20ツインパワーは、リールフットとギアボックスが別体で、なおかつギアボックスはCI4+(炭素繊維強化プラスチック)製。
つまり、下位機種と比較した場合、ステラのボディ構造は“準ワンピース”といえる仕様です。
オール金属かつギアボックス・リールフット一体の構造自体は、旧モデルと同様ですが、これがステラの“根幹を成すもの”といえるでしょう。
ローター

18モデルと同じく、C2500番以下の番手はマグネシウム合金、2500番以上の番手はアルミ合金が採用されています。
19ヴァンキッシュや21ツインパワーXDが搭載するCI4+製ローターに対し、重量面では不利なものの、剛性に長けるのが金属製ローターの特性。
高負荷時の変形量が少ないため、巻き上げのパワーロスが少なく、ドラグの動作が安定します。
また、軽いローターよりも慣性モーメントが働きやすく、“ローターが回転を持続させように”回ることも特徴。
その一方で、軽いローターよりも回り始めるのに要するエネルギーが多く、初動がやや重たいことがデメリットです。
ラインローラー周り

ラインローラー本体は18モデルから大きな仕様変更はなく、特殊撥水グリスが充填された一体式タイプです。
内部のベアリング等を個別に交換することはできず、アッセンブリー交換になります。(パーツ価格は2500番で3,960円)
ステラのラインローラーの表面にはDLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)コーティングが施されており、下位機種と差別化が行われています。(ヴァンキッシュ以下はメッキ処理)
DLCコーティングとは表面に被膜を作るもので、摩擦係数が低く、ラインの滑りが良いことが特徴です。

そして、ラインローラー周りに新しく追加されたのが、アンチツイストフィンです。
弾力のあるプラスチック製フィンがラインのたるみを抑え、スプールの下部にラインが脱落する現象を軽減します。
とくにエギングやアジングなどの糸フケが多く出る釣りや、ライン自体が硬くて浮きやすいものモノフィラメントライン(ナイロン・フロロカーボン )で役立つ機能です。
駆動系
22ステラの目玉となるのが、ミレニアムステラ・01ステラ・04ステラが搭載していたスーパースローオシュレートの復活です。

中間ギアが増設され、これによってオシュレート(スプールを上下させる運動)速度を減速し、スプールへと密にラインが巻き取られます。
ライン同士が隣合うように、平行に近い状態で巻かれているため、放出時の抵抗が大幅に軽減され、飛距離が伸びるという仕組みです。(技術名「インフィニティループ」)
ドライブギアは18モデルと同じくマイクロモジュールギア2と呼ばれていますが、従来品より歯が大きく、大径化・幅広化されているのでまったく別物。ピニオンギアも、ドライブギアに合わせてより太くなっています。
これによって、ドライブギアとピニオンギアの接触面積が増え、「ギアの耐久性が約2倍アップ」とアナウンスされました。(技術名「インフィニティクロス」)
また、SWリールに搭載して高い評価を得ていた、インフィニティドライブ(メインシャフトとピニオンギアを非接触にした構造)を汎用リールとしては初採用。
ピニオンギアを特殊低摩擦ブッシュで支持することに加え、メインシャフトの特殊表面処理や加工も合わさり、駆動ロスを大幅に軽減させています。
スプール

もちろんスプールは、ラインの放出性能に優れるロングストロークのAR-Cスプール。

ドラグノブは背が低い新形状のものを搭載。
高さがなくなった分、ノブがラインを拾いにくく、トラブル軽減を狙っています。

ステラSWと21ツインパワーXDに続き、汎用リールでは2機種目となるバリアコートスプールリングが導入されました。
いわゆるスプールエッジの強度が飛躍的に向上しており、万一ぶつけたり、落としたりしても傷が入りにくくなっています。
ドラグ周り
18モデルと比べ、ドラグ音が大きくなりました。
金属感のあるやや甲高い音質です。

旧モデルやツインパワーと同じく、メインシャフトとスプール内のベアリングの2点でスプール本体を支持する、リジットサポートドラグが採用されています。
スプールがフラつかず、安定したドラグ性能を発揮する機構です。

ドラグワッシャーには、新素材のデュラクロスが用いられています。
繊維を強化したことで、ドラグ性能はそのままに耐摩耗性を10倍以上向上させたようです。

ドラグ性能にも大きく寄与しているのが、スーパースローオシュレートです。
ラインが密に巻かれることで、ドラグ作動時にラインローラーへと入るラインの角度変化が少なく、スムーズにラインを送り出せます。
ちなみに、スーパースローオシュレートを搭載していた01ステラが、近年になっても一部のコアなアングラーから「歴代最高のドラグ」と言われていたのはこれが理由です。※
防水機構

防水機構は18モデルと同様のXプロテクト。
撥水処理と水の侵入を抑えるラビリンス構造を組み合わせた非接触式防水なので、回転性能を損なうことなく高い防水性能を実現しています。
22ステラを実釣インプレ

ここからは、実釣した上での22ステラの使用感を紹介します。
ちなみに、筆者はエギングやイカメタルをメインの用途に想定し、C3000SDHをセレクト。
リブレのカスタムハンドルを装着するので2500Sと悩みましたが、強いドラグが欲しかったので割高ですがC3000SDHを購入しました。
巻き感に文句なし
平凡な表現ですが、回転は文句のつけようがないくらいに軽くて滑らかです。
金属ローターの慣性を活かした巻き感で、巻き物を等速でリーリングするには「これ以上はない」と断言できるフィーリング。
軽いジグヘッドを巻いても、重たいスピンテールを巻いても巻き感が変わらず、カチッとした剛性感のようなものを感じます。
また、金属ローターだから巻き始めは重たいものだと思っていましたが、インフィニティドライブ等のおかげか、非常に軽く感じられました。
「重い」というのはあくまでもヴァンキッシュと比べた際の相対的評価であり、市場のリール全体を見たときには“巻き始めも”軽いリールだと思います。
糸抜けが良い
実釣時は、14〜30g程度のプラグやジグヘッド、スピンテールなどを使いました。
正直なところ、「飛距離は他のリールよりはやや伸びているかな……?」という感覚でしたが、糸抜けは明らかな違いを感じます。
ラインが放出される時のバタバタ感、元ガイドにラインが絞り込まれる抵抗感もなく、目に見えてスプールから出るループの小ささが分かるので驚かされました。
飛距離がどの程度伸びているのかわかりませんが、“今までに体感したことがないキャストフィール”なのは間違いありません。
あふれる剛性感

実釣時は、バースや台船などのストラクチャーに付くシーバスを狙いましたが、不安感はゼロ。
近距離のストラクチャーフィッシングなので、本来はベイトタックルを使いたいところですが、60cm程度ならリーリングで難なく引きずり出せました。
ドラグを締めてベイトタックルのようにゴリ巻きしても、巻き感が悪くなったり、ボディやローターがたわむ感じもありません。
普段は実売3万円クラスの樹脂ボディ・ローターのリールをメインに使っているせいか、同サイズでもまったくの別物に感じられます。
メインの用途として想定しているイカメタルは、重たいオモリの上げ下ろしが多く、ファイト中はポンピングが一切できないので、この剛性感の高さはかなり魅力です。
“ゲソイチ”でも不安なく獲れそうなドラグ
動画内ではドラグを緩めに設定しているのでズルズル滑っているように見えますが、適正値では魚の動きに追従しながらスムーズに出てくれます。
太いリーダーでドラグを締めて使っていたため、シビアな動作はまだ体感できていませんが、「ゲソイチで掛かった大型ケンサキも獲れそうだな」と、イカメタルシーズンに向けて期待しています。
また、背が低いドラグノブの操作性を心配していましたが、ファイト中に難なく調整できました。
そして、大きめのドラグ音が釣り人のテンションを上げてくれるのも嬉しいところです。
軽くはない……

軽いリールではないので、やっぱりヴァンキッシュやルビアスと比べると重さを感じます。
良く言えば「質感がある」ということなのかもしれませんが、軽さを重視する方にはいまひとつなポイントとなりそうです。
筆者も22ステラを使うまでは「リールは軽いに越したことはない」と思っていましたが、今となっては、巻き心地や剛性感から「軽さなんて二の次」というくらいに良いリールだと思っています。
ライントラブルは起こらず

PE0.6号でさまざまなシーバスルアーを扱いましたが、ライントラブルはゼロでした。
あえて結構糸フケを多めに作ったり、ロングリーダー(キャスト時に結束部が元ガイドより手前)を試したりしましたが、エアノットなどのトラブルはありません。
もう少しいろいろな条件で検証したいところですが、普通のリールと同じように安心して使えそうです。
22ステラは“買い”なのか?

最後に「22ステラは買いなのか?」というテーマで、リールには“なにかとうるさい”編集部しみけん氏を加えて議論してみました。

ちなみに、しみけん氏はライトゲーム用にC2000Sを購入したようです。
職業柄、近年のスピニングリールはだいたい使っているようなので、筆者が気になる点も聞いてみました。
スーパースローオシュレートの副産物

買ってから週4ペースでメバリング・アジングに行っていると聞きましたが(笑)
飛距離とライントラブルの話題が多いけど、以外と副産物が多そう。例えば、巻きの軽さ。
これまでライトゲームにステラってのが感覚的に合わなく、回転が軽いヴァンキッシュや初代イグジストを使ってたんやけど、今作は「使えるな」って思ったわ。
オシュレートが遅いってことは、オシュレートのギア比が低いってことなんちゃうかと。ハイギアのリールとローギアのリール比べたら、ローの方が巻き軽いやん?
自分も、「ローター重いのにこんなに巻き始め軽いん?」って思いました。
ヴァンキッシュには劣るけど、歴代で一番初動は軽いと思うわ。あと、オシュレートが遅いってこと自体がメリットやわ。
けど、大前提としてリールの重心位置って変わるやろ?なぜなら、スプールが上下するから。
って動きがリトリーブ中に繰り返されてるわけですもんね。
繊細な人とか、釣り方なら、「リトリーブ中に穂先が安定する」みたいなことを感じるかもしれんね。
飛ばないルアーが飛ぶ?

けど、今は「飛ぶようになるルアーもある」って思ってるわ。
3gは一緒、0.8gは飛ぶって思った。
けど、軽いルアーって運動エネルギーが小さいから、ルアーがラインに引っ張られるような形で失速するやろ?
あと、軽いジグヘッドをフリップキャストした時にも伸びを感じた。フリップは上手投げよりルアーの初速が遅くなるけど、ラインがその初速を殺さんというかね。
「飛びにくいルアーが飛ぶ」みたいな話をしたけど、例えば、空中で回転しやすいルアーは変わらんと思うよ。むしろこの手のルアーは、適度に糸にテンションを掛けた方が飛行姿勢が安定するから。
現状、おれが体感で語れるのはこれぐらいかな。もともと飛距離にあんまり執着ないし(笑)
極細PEとスーパースローオシュレート

細PE・糸フケ・夜釣りと、スーパースローオシュレートと相性が悪そうな要素がフルで揃ってるじゃないですか?笑
結論から言うわ。3週間・週4ペースでアジングとメバリングに行ったけど、PE0.3号でライントラブルはまだ1回も起こってへん。
着水前にサミングしたり、着水後にラインローラーから元ガイドまでのラインを張ったりと、トラブル対策をしっかりした上での話やけどね。
糸のことをまだ信用してないから(笑)
密巻きである以上、クロスラップに比べて下の糸を拾いやすいのは、構造上どうしようもないはず。
フィンによってラインへ強いテンションを掛けられるわけじゃないから。まあいくらかは掛けてくれるんやろうけど。
大切なのは、どの程度リスクがあるのか?って考えることちゃうかな。
つまり、PEラインの品質が今に比べて非常に悪く、PEラインの扱いに慣れていない人が多かったと予想できるよね。
この20年で糸も竿もガイドも、そして釣り人も大きく進化してるはずやからね。
22ステラに関しては、他と比べると構造上起こりやすいだろうけど、(普通に使っていれば)そう簡単にトラブるものではない。って感じかな。
変な話、もし合わなかったらイグジストとかセルテートって他の選択肢もあるわけやし。
現に我々素人2名も不自由無く使えてるわけやん。
結論

結論、「22ステラは買い」でしょうか?
改めて直近3世代のステラを同時に使ってみると、「最新のステラが最良のステラ」やと思ったな。お金があればあと2台ぐらい欲しいわ(笑)
tsukiは初ステラを買ったわけやけど、どう?
ほんとに買ってよかったです!
ステラ以外使えなくなりそう……

筆者は今回初めてステラを購入しましたが、その完成度の高さに感動。
今まで使っていたリールも決して安物ではありませんが、それでも圧倒的な差を感じるほどでした。
高価な買い物ですが、買って後悔することはないと思いますよ!
撮影:TSURI HACK編集部 / tsuki
シマノ ステラ 1000SSPG
自重(g) | 165 |
---|---|
ギア比 | 4.4 |
巻き取り長さ(cm) | 55 |
最大ドラグ力(kg) | 3 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.4-100 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C2000S
自重(g) | 170 |
---|---|
ギア比 | 5.1 |
巻き取り長さ(cm) | 69 |
最大ドラグ力(kg) | 3 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-150 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C2000SHG
自重(g) | 170 |
---|---|
ギア比 | 6 |
巻き取り長さ(cm) | 81 |
最大ドラグ力(kg) | 3 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-150 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C2500S
自重(g) | 175 |
---|---|
ギア比 | 5.1 |
巻き取り長さ(cm) | 70 |
最大ドラグ力(kg) | 3 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C2500SXG
自重(g) | 175 |
---|---|
ギア比 | 6.3 |
巻き取り長さ(cm) | 87 |
最大ドラグ力(kg) | 3 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ 2500S
自重(g) | 205 |
---|---|
ギア比 | 5.1 |
巻き取り長さ(cm) | 75 |
最大ドラグ力(kg) | 4 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ 2500SHG
自重(g) | 205 |
---|---|
ギア比 | 5.8 |
巻き取り長さ(cm) | 86 |
最大ドラグ力(kg) | 4 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C3000SDH
自重(g) | 220 |
---|---|
ギア比 | 5.1 |
巻き取り長さ(cm) | 75 |
最大ドラグ力(kg) | 9 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 14/1 |
シマノ ステラ C3000SDHHG
自重(g) | 220 |
---|---|
ギア比 | 5.8 |
巻き取り長さ(cm) | 86 |
最大ドラグ力(kg) | 9 |
PE糸巻き量(号-m) | 0.6-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 14/1 |
シマノ ステラ C3000MHG
自重(g) | 210 |
---|---|
ギア比 | 5.8 |
巻き取り長さ(cm) | 86 |
最大ドラグ力(kg) | 9 |
PE糸巻き量(号-m) | 1.2-150 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C3000XG
自重(g) | 210 |
---|---|
ギア比 | 6.4 |
巻き取り長さ(cm) | 94 |
最大ドラグ力(kg) | 9 |
PE糸巻き量(号-m) | 2-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ 3000MHG
自重(g) | 235 |
---|---|
ギア比 | 5.7 |
巻き取り長さ(cm) | 84 |
最大ドラグ力(kg) | 9 |
PE糸巻き量(号-m) | 1.2-150 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ 4000M
自重(g) | 260 |
---|---|
ギア比 | 5.3 |
巻き取り長さ(cm) | 87 |
最大ドラグ力(kg) | 11 |
PE糸巻き量(号-m) | 2-150 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ 4000MHG
自重(g) | 260 |
---|---|
ギア比 | 5.7 |
巻き取り長さ(cm) | 93 |
最大ドラグ力(kg) | 11 |
PE糸巻き量(号-m) | 1.5-200 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ 4000XG
自重(g) | 260 |
---|---|
ギア比 | 6.2 |
巻き取り長さ(cm) | 101 |
最大ドラグ力(kg) | 11 |
PE糸巻き量(号-m) | 1.5-320 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |
シマノ ステラ C5000XG
自重(g) | 260 |
---|---|
ギア比 | 6.2 |
巻き取り長さ(cm) | 101 |
最大ドラグ力(kg) | 11 |
PE糸巻き量(号-m) | 2-300 |
ベアリング数(BB/ローラー) | 12/1 |