シマノ 20 ストラディックSWの特徴とスペックをおさらい
2020年にフルモデルチェンジした、シマノのストラディックSW。
デザインもシックかつメカニカルな雰囲気に一新され、発表時からパワーゲーム系アングラーの話題を集めていました。
そんな最新モデルに投入されている技術や基本スペックを改めて確認してみます。
インフィニティドライブ搭載(※4000HG、4000XGを除く)
5000番以上の番手には「ステラSW」にも搭載されているインフィニティドライブが採用されています。
ピニオンギア両端へのベアリング搭載やメインシャフト表面処理による低摩擦化で、負荷が掛かっても力強い巻き上げをキープできる最新機構。
ステラSW以外では20 ストラディックSWが初採用で、この機構だけでもかなり見所のあるモデルへ進化しているのがお分かりいただけるでしょう。
Xシールドで防水性能が飛躍的に向上
スプールからボディまでシーリングや特殊撥水グリスを組み合わせ、海水の侵入を徹底的に防ぐシマノ最新防水システムも採用。
この機構の採用で、SWリールに道具として求められる耐久性が大幅に向上しています。
Xプロテクト仕様のラインローラー
ラインローラー部は、内部ベアリング周辺や軸受け部に特殊撥水グリスを封入したXプロテクト仕様。
スピニングリールにおいて、最も海水との接触頻度が高いラインローラー部も抜かりなく耐久性が確保されています。
なめらかな巻き心地が持続するサイレントドライブ(※4000HG、4000XGのみ)
ボディの基本設計やドライブギア、ウォームシャフト周辺の駆動部品の精度・クリアランスを見直し、徹底的にガタや揺れを抑えるのがサイレントドライブ。
ちなみにガタが出やすいシャフト終端にはウェーブワッシャーが配置され、使用によって出てくるクリアランスのブレを低減し、静粛性が長続きする工夫が盛り込まれているそう。
落ち着いたデザインが秀逸
20 ストラディックSWはデザインも一新!
青みがかったガンメタとシルバーを基調にした渋く、タフな印象のカラーリングがビッグゲームの相棒としての信頼を高めてくれます。
番手ごとのスペック
20 ストラディックSWは4000番から10000番まで、PG、HG、XGの全10機種をラインナップ。
注目なのがモデルチェンジに合わせて8000番、10000番の大型番手が新たに追加されていること。
上位のバイオマスターSWやツインパワー SWにしかなかった番手とスペックが、この価格帯のモデルで実現されたのはある意味事件でしょう。
品番(番手) | 最大巻上長(cm) | ギア比 | 自重(g) | 最大ドラグ力(kg) | 糸巻量 PE(号-m) | 本体価格(円) |
4000HG | 95 | 5.8 | 300 | 11.0 | 1-490 | 32,000 |
4000XG | 101 | 6.2 | 300 | 11.0 | 1-490 | 32,000 |
5000PG | 78 | 4.6 | 430 | 12.0 | 2-350 | 32,500 |
5000XG | 105 | 6.2 | 430 | 12.0 | 2-350 | 32,500 |
6000PG | 83 | 4.6 | 440 | 12.0 | 2-440 | 32,500 |
6000HG | 103 | 5.7 | 440 | 12.0 | 2-440 | 32,500 |
6000XG | 112 | 6.2 | 440 | 12.0 | 2-440 | 32,500 |
8000PG | 94 | 4.9 | 650 | 13.0 | 3-410 | 37,900 |
8000HG | 107 | 5.6 | 645 | 13.0 | 3-410 | 37,900 |
10000HG | 116 | 5.6 | 660 | 13.0 | 4-400 | 37,900 |
20 ストラディックSWを実釣でインプレ!
今回使用したのはSW4000XG。離島遠征でのライトショアジギングによるインプレです。
ルアーごとの使い心地について
青物の回遊を待ちつつキャストとリーリングを繰り返すショアジギングにおいて、ルアーの巻き上げを楽にこなせるか否かは体力の温存にも繋がる重要なポイント。
組み合わせたルアーMAX56g、10ft6inの硬めのシーバスロッドで振り抜ける範囲で、ライトショアジギングで使う基本的なルアーを使って検証してみました。
◆30〜50gのメタルジグ
まずはライトショアジギングの基本であるメタルジグから! 引き感の軽い物や重めの物まで様々なジグをしゃくってみました。
驚いたのはワンピッチジャーク時の巻きの軽さ。負荷がかかる潮下からのジャークでも巻き感の変化がほとんどなく、意図通りのリズムをキープしやすかったのが印象的です。
ハイピッチやスローピッチ、あえてラインスラックを多めに出すなど色々なアクションパターンを試しましたが、ライントラブルもほとんどありませんでした。
◆30〜40g前後のメタルバイブレーション
関西圏を中心に、ショアジギングの定番となりつつある大きめの鉄板バイブ。ただ巻きで釣れる一方で引き抵抗はなかなかのものです。
個人的には巻きの重さが苦手なルアーだったのですが、これも驚くほど軽く巻ける。(笑)
44gのものでも、巻きの感覚は30g程度の物を引いてるかのようなスルスル感。負荷が掛かっても鈍らない巻き上げ剛性の高さが光っていました。
◆30〜40gのヘビーシンキングペンシル
近年「誘い上げ」などのテクニックと共に、ショアジギングでも有効性が認められてきているヘビーシンキングペンシル。
ただ、ヘビーとは言えショアジギングタックルでただ巻きすると「ノー感じ」になりがち。これを使って巻き感度を検証してみました。
言うても流石にノー感じになるでしょ。。。と思いきや、一番何やってるのか分からなくなりそうな潮上からのスローなただ巻きでも、ルアーがテールを振ってるのをしっかり感じられます。
ボディやギア部の剛性の高さとサイレントドライブが影響しているのか、巻き感度もかなりハイレベルな仕上がり。
この感度の良さなら、ただ巻き系のルアーがメインで、潮流の変化を掴めるかがキーになるサーフの釣りでもかなり戦力になると感じました。
カッチリしたベール動作で安心感高め
20 ストラディックSWのベール部はかなりカッチリとした挙動。不意に返ってくる心配がなく、安心してロッドを振り続ける事ができました。
キャスト時に相応のパワーでロッドを振り抜く釣りで起きる「ベール戻り」を気にする事なく釣りに集中出来るのは、道具としての信頼性をグッと高めてくれるポイントでしょう。
負荷が掛かっても続く滑らかな巻き心地とトルク
使っていて再三感じたのが、コンパクトな番手にも関わらず負荷がかかりまくっても滑らかな巻き心地がキープされる事。
持ち込んだロッドの都合上あまり重いルアーは扱えなかったものの、さらに重い60g、80gのジグでもロッドパワーさえ許せば問題なく扱える余力を感じました。
ライン放出もスムーズで飛距離も申し分なし
ショアジギングで重要な飛距離も問題なし。PE1.5号を巻いて使いましたがライン放出音は極めて静か。最低限の抵抗でスッとルアーが飛んでいきます。
検証で使ったロッドの適性重量である30gのメタルジグだと、フルキャストで80〜90m台、風を背負った状態なら100m超えの飛距離もコンスタントに出せていました。
※ラインスラックを巻き取った状態からのハンドル回転数とライン色での飛距離計測
パワーファイトもどんと来い
実釣では青物を中心に20 ストラディックSWで様々な魚とやり取りしましたが、やはり巻き上げパワーの高さが際立っていました。
今回の釣行で特によく引いたツムブリも、最小限のポンピングでゴリゴリと寄せて来れます。
印象的だったのが、サイズ以上の巻き取り負荷が掛かる魚体側面へのスレ掛かりで上がって来た魚。
リールの巻き上げパワーを駆使して難なくキャッチでき、20 ストラディックSWって楽させてくれるリールだなぁ…と感心しきりでした。
甲高く耳に入りやすいドラグ音
青物の走り具合を知覚するためのドラグサウンドは、甲高く爆音とまでいかないものの十分なボリューム。
風などで周囲が多少騒がしくてもしっかり耳に入るから、魚の走りをいなしつつ落ち着いてやり取りする事が出来ます。
こんな釣りに合いそう
今回は4000番にマッチしそうな30〜50g程度のジグ、プラグを使うライトショアジギングで使ってみましたが、強靭に進化したストラディックSWにはまだまだ余裕がある印象。
より負荷のかかる50g以上のジグをジャークしたり、10kg程度の青物まで視野に入れたショアジギングにもばっちり対応してくれるでしょう。
またオフショアであれば、カツオ・シイラ等を狙うライトオフショアキャスティングにもハマりそうです。
気になるところ
上位モデルの技術がてんこ盛りとは言え、ドラグ周りに関してはそうでもないのが20 ストラディックSW。
ステラSWやツインパワーSWに搭載されている「ヒートシンクドラグ(※ステラSWのみ)」や、「タフドラグ&リジットサポートドラグ」などは未搭載で、確かに実釣でもドラグの滑り出しに若干のラグを感じました。
が、実際にそれが釣果に響くような事はなく、魚の引きをしっかり受け止めキャッチへ導いてくれています。
これはドラグ性能の維持や耐久性の面で、ワッシャー の摩耗やグリス切れなどを起こした時に差が顕著になる部分なのかな、と感じています。
ドラググリスをこまめに入れたり、ドラグワッシャーの摩耗具合を日頃からチェックしておけば大きな問題はないところでしょう。
20 ストラディックSWを旧製品や類似モデルと比較
実釣でもお値段以上な性能が際立った20 ストラディックSWですが、旧モデルや似通ったスペックのリール比べて果たしてどうなのか比較してみましょう。
18ストラディック SWとの比較
旧作の18ストラディック SWも、手頃な価格ながらオフショアゲームに対応した性能が魅力的なリールでしたが、20モデルになって進化したのが「巻き上げ力」、「剛性」、「防水性能」の3つ。
すなわち、SWリールとして重要となる性能全てをアップグレードさせているのが20 ストラディックSWなのです。
またパワーや耐久性のみならず、巻き感度や静粛性まで高められている他、18モデルにはなかった8000番、10000番のガチのビッグゲーム番手も揃い、”正常進化”以上のスペックアップがなされています。
旧作からの買い替えを考えているのなら、間違いなく「買い」と断言出来る仕上がりです。
ツインパワー SWとの比較
シマノのラインナップでは上位に当たるツインパワー SW。
20 ストラディックSWに搭載された技術特性をみると、巻き上げ機構と防水性能に限ればほぼ同じ物や新構造が採用され、4000番に至っては本体重量も軽くなっています。
唯一劣るのがドラグの滑り出しと耐久性、5000番以上のモデルの重量ですが、+20,000〜30,000円の価格差をドラグ性能やわずかな軽さにつぎ込むかどうか、ここは意見が分かれるところになりそう。
まさに上位機種キラーと呼べる存在感で、20 ストラディックSWはツインパワー SWにも迫る優秀な働きが期待出来るでしょう。
バイオマスターSWとの比較
2013年以降モデルチェンジがないバイオマスターSW。
価格こそ同じレンジのモデルではあるものの、搭載技術、本体重量、番手ラインナップ全てにおいて20 ストラディックSWが上回っており、後継機種とされても違和感がありません。
あくまでも推察の域を出ませんが、バイオマスターSWは大幅にモデルチェンジされる、あるいはディスコンとなりストラディック SWに統合される、いづれかの道を辿ると考えられます。
現段階ではバイオマスターがモデルチェンジされる情報もないため、13モデルの買い替えを考えているなら20 ストラディックSWはもちろん「買い」でしょう。
20ツインパワー 、19ストラディック等の大型番手との比較
SWリールではありませんが、せっかくなので4000番やC5000番がラインナップされているコアソリッド系の汎用リールとも比較してみます。
これらのリールと明らかな差があるのは「巻き上げ力」と「ボディ剛性」。
主にショアで用いられる汎用大型番手に比べると、20 ストラディックSWの4000番は”パワーの上限が高い”印象です。
逆にデメリットと言えるのが本体重量が若干重いことと、巻き出しのレスポンスがやや劣ること。
中型青物程度までを狙った釣りしかしない、タックルは軽いに越したことはない、ということであれば20ツインパワー や19ストラディック。
ライトに楽しみつつ、でかい魚に備えておきたいのであれば20 ストラディックSW、といった具合で自身の釣りに合わせて選んでみると良いでしょう。
5000番から上の番手のお得感がヤバそう
20 ストラディックSWのラインナップやスペック、実際に使った感想をまとめると「この価格帯でここまでやるの!?」という驚きを隠せない仕上がり。
SWリールの最上位モデルと同じドライブ機構を搭載したモデルが1/3程度の価格で手に出来てしまう。。。
他メーカーはもちろん、シマノも自分の首を締めに掛かってるんじゃないかと心配になるほどのハイバリューモデルでしょう!
SWリールのニュースタンダードは半端じゃない
上位モデルを凌駕する勢いの充実したスペックながら、実売2万円台後半〜3万円程度で買えてしまう20 ストラディックSW。
今回実釣で使った4000XGなら高い適応幅で、ショアジギング、サーフ、オフショアのライトジギング やライトキャスティングと「パワー」がモノを言う釣りに高い適性を示してくれるでしょう。
ヘビーデューティーなデザインも相まって、ビッグゲームフリークからも人気を集めるリールになりそうです!
シマノ 20 ストラディックSW 4000HG
シマノ 20 ストラディックSW 4000XG
シマノ 20 ストラディックSW 5000PG
シマノ 20 ストラディックSW 5000XG
シマノ 20 ストラディックSW 6000PG
シマノ 20 ストラディックSW 6000HG
シマノ 20 ストラディックSW 6000XG
シマノ 20 ストラディックSW 8000PG
シマノ 20 ストラディックSW 8000HG
シマノ 20 ストラディックSW 10000HG