日本に生息するタナゴの仲間は18種類もいる
実は僕、タナゴもマニアなんです
こんにちは、怪魚ハンター山根ブラザーズの兄、山根央之です。
怪魚ハンターと名乗っている僕ですが、実はタナゴマニアなんです。タナゴの仲間は特別天然記念物や外来種を含め、国内に18種類が生息し、地域によって種類が異なります。
世界中に出かけ、「はじめてのイッピキ」を追い求める僕にとってタナゴもとても魅力的な魚なんです!
ときには、タナゴをメインターゲットとしてわざわざ隣国の台湾や韓国にまで足を運んでしまったりもします。
タナゴは生息場所を探すことに楽しさがある
一部の種類を除き、多くのタナゴは生息場所さえ分かっていれば簡単に釣ったり捕まえたりできる魚です。
タナゴ釣りや採集の醍醐味は、なんといってもポイント探しでしょう。
目的の種類を定めたら、生態や生息地域を徹底的に調べ上げ、航空写真を眺めながら環境をイメージします。
実際に現場を訪れたら、ドキドキしながら糸を垂らす……。 釣れない……。
それならばと、次から次へと下調べをした水路や小川を巡り、宝石のように輝く小さなタナゴを探します。
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タナゴのオスはとっても個性豊か
タナゴのオスは、繁殖期になると種類ごとにとてもハデな婚姻色を身にまといます。
タナゴ探しの大きな見返りといえるのが、この美しい婚姻色でしょう。
時間とお金をかけて探し当てたポイントで出会う美しき魚。時に涙が出るほど感動します。
今回は、関西以西で比較的簡単に出会うことのできる。いわばタナゴ探しの入門種である“アブラボテ”をご紹介いたします!
タナゴ探しの入門種“アブラボテ”
アブラボテについて
アブラボテは、コイ目コイ科タナゴ亜科アブラボテ属に分類されるコイの仲間です。
日本の固有種で濃尾平野以西の本州、四国北部、九州北部に分布しています。
タナゴ界では最も地味といわれる種ですが、色に深みがあり僕は大好きなタナゴです。
アブラボテの大きさと生息環境
アブラボテの一般的な大きさは4~7cm前後、最大で10cm近くに成長します。
田んぼの脇を流れる小川や用水路など、緩やかに流れる澄んだ水を好みます。アブラボテを探す際は、流水環境を意識しましょう。
アブラボテの特徴は重厚感ある独特なカラー
アブラボテは、タナゴの仲間で最も見分けやすい種類といえます。
緑っぽくも紫っぽくもある独特な体色から「油面の色」を連想させるためアブラボテと呼ばれます。
ちなみに、琵琶湖周辺ではタナゴの仲間を総じて「ボテジャコ」と呼ぶ文化があり、油の色をしたボテジャコが由来とされています。
アブラボテの繁殖期
タナゴのオスが綺麗な婚姻色を発色させるのは、一年の中でも繁殖期の間であるたった数か月のみ。
繁殖の時期や期間は種類によって異なりますが、アブラボテは3~7月と比較的長い間繁殖します。
綺麗なアブラボテを狙う場合は、春から梅雨明け頃が狙い目ですよ。
アブラボテのマニアックな特徴
アブラボテ属の特徴として、口髭が長いことが挙げられます。
同じタナゴの仲間でヤリタナゴも口髭が長く、アブラボテ属に分類されています。
対照的にカゼトゲタナゴやゼニタナゴ(画像3枚目)など口髭が無いタナゴもいます。
アブラボテを探して釣ってみよう
アブラボテ用の仕掛け
生息していれば積極的に餌に食いついてくるアブラボテは、それほど仕掛けに拘らなくても釣れてくれるタナゴです。
タナゴの仲間では最もアグレッシブといって良いでしょう。市販されているタナゴ用のセット仕掛けで大丈夫です。
延べ竿は釣り場の環境に合わせて長さを決めましょう。迷ったら3m前後の延べ竿を購入するのをオススメします。
短くしたければ、竿尻の栓を抜いて、使いたい分の節を使用すればOKです!
▼竿を短くする方法はコチラの記事でご紹介。
▼タナゴの仕掛けに関してはこちらの記事で詳しくご紹介!
アブラボテは選り好みせず何でも食べます
アブラボテは、雑食性で藻類から小さな水生昆虫まで食欲旺盛によく食べます。
釣り餌は、細いミミズを針の大きさに千切って使うのが定番ですが、赤虫やグルテンでも大丈夫です。
二枚貝が住む田んぼ脇の小川が狙い目
二枚貝に産卵する変わった生態は、アブラボテに限らずタナゴの仲間に共通する繁殖生態です。
僕の考えるアブラボテを探すキーワードは以下の通り。皆さんも頑張って探してみて下さい!
■キーワード
- ●濃尾平野以西
- ●澄んだ水が緩やかに流れる小川や水路
- ●水深10~50cm程度
- ●二枚貝が生息している
- ●小魚が逃げ隠れする様子が確認できる
- ●生き生きとした水草が繁茂している
それっぽい魚影が見え隠れしていたら取り合えず釣ってみよう
アブラボテを狙うような水路や小川は、水が澄んでいるため人影におびえて右往左往する魚影をみることができます。
魚達が水草や石積みの隙間に逃げ込むのを確認したら、その周りに仕掛けをそっと垂らしてみましょう。
アブラボテの警戒心はとても薄れやすいので、数分程度じっとしていられれば、物陰から出てきて餌に食いついてくれます。
アワセを失敗してもまた食いついてくれるので大丈夫。やっと見つけたタナゴのポイントです! 焦らず楽しみましょう!
暴れん坊なアブラボテを飼育する場合の注意点
飼育もタナゴの醍醐味のひとつ
とても美しいタナゴの婚姻色を家でも楽しみたいと感じる方も多いと思います。
もちろん、僕も今まで様々なタナゴを飼ってきました。
今は、タナゴ、銀鱗ヤリタナゴ、キタノアカヒレタビラ、アカヒレタビラ、ヤリボテを飼育しています。
アブラボテは攻撃的なタナゴ
アブラボテは、タナゴの仲間で最も気性の荒い魚といわれています。
特に繁殖期のアブラボテのオスのなわばり行動は目に余る物があり、他同種問わず視界に入る魚を徹底的に排除しようとします。
水槽が狭かったり、隠れる場所が少ないと、追われる魚が疲弊し死亡してしまう場合があるのでアブラボテの混泳には注意しましょう。
アブラボテを飼育するのに必要な水槽機材
水槽の大きさは45cm規格水槽で飼育可能です。
日本の魚ですので冬場の低水温には強く、ヒーターは不要です。
コトブキ工芸 プログレ450 5点セット
水槽:W460×D300×H340mm
上部フィルター
LED照明
ガラス蓋
サンプル品(餌・カルキ抜き)
アブラボテは高水温にも強い魚ですが、近年の猛暑には注意が必要です。
水温が30度を超えるような場合は、エアコンを使って室温を下げたり、水槽用冷却ファンを購入しましょう。
コトブキ工芸 スポットファン 204
水槽用フレームレス水槽・フレーム水槽両対応(枠幅最大30mm)
水槽の水温を2〜4℃下げることができます。(※気温や湿度により多少異なります。)
サイズ(約)幅9.2×奥行き8.2×高さ15.1cm(スライドストッパー含まず)
生き物を飼育する際は何が何でも死ぬまで飼う
近年、ペットを野外に放つ飼い主が多く社会問題になりつつあります。
弱ってしまったから可哀そうとか、飼いきれないからとか、いかなる理由があっても一度家に持ち帰った生き物を再び自然へ逃がすことは肯定されません。
これ以上、国内・国外問わず外来種問題を発展させないためにも、生き物を飼育する際は必ず家族としっかり相談し、何が何でも死ぬまで飼い続ける覚悟を決めましょう。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017