渓流ルアーの王者として君臨する“Dコンタクト”の短所を考える
今さら語るまでもない完璧なルアー“スミス・Dコンタクト”
Dコンタクトというルアーは、スミス社からリリースされているヘビーシンキングミノーです。
渓流用ルアーとして圧倒的ド定番な「ヘビーシンキングミノー」ですが、このDコンタクトが草分けということは渓流界では有名な話です。
Dコンタクトは、渓流でルアーフィッシングを楽しむ方のタックルボックスに必ず入ってるといっても過言ではないルアーでしょう。
余りにも完成されたルアーなので、先に欠点を探しておかないと今回は褒めちぎって終わってしまいそうなレベルのルアーなんです。
短所らしい短所が見当たらない
強いてあげるならば、大ヒット&ロングセラールアーなため、様々なサイズやタイプがリリースされており、若干名前が紛らわしい……。ことくらいでしょうか(笑)。
僕が心の底から渓流入門者にオススメするのは『Dコンタクト 50mm 4.5g』と『Dコンパクト45mm 3.5g』です!
他にも、DインサイトやDコンタクト タイプⅡ、DコークスやDコンセプトなどなど。使い道を当てれば凄く釣れるルアーが沢山ありますが、購入する際は間違えないように注意しましょう。
まぁ、間違えても問題なく釣れるルアーばかりですが(笑)。
もう一つ決定的な短所がありました!
Dコンタクトの唯一の弱点。それは値段が高いんです……。 僕のオススメするDコンタクト 50mmのメーカー希望小売価格は1,760円(税抜価格1,600円)。
シーバスやバスの世界からすると安いかもしれませんが、渓流用のルアーの相場って案外安いんですね。
スピアヘッドリュウキなど、1,000円ちょっとでよく釣れる渓流ルアーが手に入る時代に1,600円はちとお高い……。 でも確実に釣れる……。
釣行優先主義の僕は、無くしたら渋々買うといったルーティンがここ数年続いております(笑)。
Dコンタクトは、なぜ売れ続けるのか。なぜ釣れ続けるのか。
Dコンタクトだけ異質な釣果があがり、多くの人から支持される理由……それは「慣性スライド」というDコンタクトならではの変わったアクションに秘密があります。
まぁ、細かいことは後回しにして、ひとまず、Dコンタクトが僕に出会わせてくれた渓魚達を少し紹介させてください。
Dコンタクトを使用した実釣動画はこちら
Dコンタクトは僕に渓流ルアー釣りを教えてくれたルアー
僕が初めて使った渓流用ルアー「Dコンタクト」
僕がちゃんと渓流ルアー釣りを教えてもらったのは10年程前のこと。
クロマグロにアーカイバルタグという記録計を取り付ける調査で佐渡島を訪れている時でした。
一緒に調査をしていた友人が「コレ使えば100%釣れるから!」といって貸してくれたルアーがDコンタクト 50mmだったのを今でも覚えています。
ケツから「ストーンッ」と沈むルアーにビックリ
ヘビーシンキングミノーを使ったことが無かった僕の第一声は「何コレめちゃ沈むやんw!」でした。
でも、アップキャスト(上流向きに投げる)をしながら川を釣り上がることが渓流釣りのセオリーだということや、渓魚はルアーを動かし続けることが大切だということを改めて丁寧に教えてもらい全て納得しました。
ルアーでの渓流釣りも面白いじゃん……そう感じるDコンタクトとの出会いでした。
「今日は絶対釣りたい!」って時にいつも選択するルアーはDコンタクト
中国地方にしか生息しないゴギ(イワナの亜種)を狙った時も、Dコンタクトで釣りを開始しました。
ずっと釣りたかった魚、なかなか手軽にはいけない山口県。バリカタで行くのも当然ですよね。
▼そんなゴギを狙った釣行記はコチラ!
Dコンタクトには大物も掛かります
ニッコウイワナの降海型を狙った釣行でも、やっぱりDコンタクトが活躍してくれたんです。
この時は色々なルアーを使い分けたのですが、やっぱりルアーで釣果に差がついてしまったことを記憶しています。
後方重心による遠投性や独特のアクション、フラッシングの質、止まらない動き。Dコンタクトは他に類を見ない卓越したルアーです。
平均サイズが小さい沢や源流では『Dコンパクト』が活躍します
渓流は色んなプレッシャーを忘れさせてくれる場所
美しい景観や沢登りも楽しみながら行う渓魚釣り。釣果だけを追い求める渓流アングラーは少数派だと思います。
数もサイズも他人の釣果も気にしない。都会の人混みから離れて結果に捕らわれない趣味の世界。最高ですよね……ホントに。
沢によっては平均15cmなんて場所もありますが、そんな時は45mmと小柄なボディのDコンパクトが力を貸してくれます。
Dコンタクトの弟的なラインナップ『Dコンパクト』
「結果が全てじゃない!」と言いながら、魚のサイズが小さい山岳渓流や源流域では、Dコンパクトをついつい使っちゃうんですよね。
人間そんなもんです(笑)。とにかく坊主は回避しておきたい。そんな方はぜひDコンパクトを用意してみてください。
DコンタクトとDコンパクトの使い分け
水深が20cmも無いような源流域や、川幅が著しく狭い山岳渓流などではDコンパクトが必要不可欠です。
ところ変わって、川幅が10m以上あり、深い場所では1m以上といったいわゆる渓流では、Dコンタクトの方が飛距離や集魚力といった観点から有利となります。
DコンタクトやDコンパクトが釣れる理由“慣性スライド”って何?!
ルアーが動き続けることがミソなんです
一般的なミノーをトゥイッチすると、「チョン – チョン」とロッドでアクションを付けるためルアーは“平打ち(チョン)とステイ( – )”を繰り返します。
つまり“動と静”の連続なのですが、ルアーを追いかけながら捕食する機会をうかがう渓魚は“一瞬の静”を嫌う(ルアーを見切る)傾向にあるんです。
今までのミノーは意識しなかった一瞬の静に着目し、渓魚が嫌う要素を綺麗さっぱり消し去ったのが『Dコンタクト』でした。
慣性の法則で止まらないルアー『Dコンタクト』
高比重なタングステンウエイトを採用し、若干の後方重心(傑作ともいえるバランスです)としたヘビーシンキングミノーとすることで、動いてる物は動き続けようとする“慣性”という物理現象を最大限に活かすことができたと考えられます。
慣性により動き続けようとするルアーの重心に対し、ルアーを止めようとする抵抗やルアーが姿勢を正そうとするある種の浮力が、絶妙にバランスを崩すためトゥイッチの「チョン – チョン」の“ – ”の部分でもわずかに流れるように動くアクション(レースラフティングのドリフトのような動き)を実現していると思われます(山根私心)。
ひとことで言えば、“動と静”の連続を“動と微動”の連続にしたことで、圧倒的に釣れるルアーが誕生したのです。
Dコンタクトの凄さは誰でも慣性スライドさせられること
強い慣性を与えるために素早くロッドを動かしたり、連続トゥイッチの合間にしっかりラインスラッグ(弛み)を作ったりすることで、慣性スライド用のヘビーシンキングミノーを使わずとも慣性スライドは演出できます。
とはいえ、ルアーの重心の位置やアングラーとルアーの距離、流速やレンジに合わせてトゥイッチの強弱を考えるのは簡単なことではありません。
僕がDコンタクトを渓流ルアー釣り入門者に強くオススメする理由は、誰でも慣性スライドをできるからなんです。
後方重心の恩恵は他にもあるんです
Dコンタクトの飛行姿勢は非常に安定し、真っすぐ飛んでくれるのでとにかくキャストがよく決まります。
また、飛距離も申し分なし! 空気抵抗が少なくベイトフィネスでも問題なく使用できます。
的確にポイントにルアーを打ち込むことができるというのも釣果が伸びる秘訣です。
ダウンキャスト(下流向き)にも対応しています
上流に向かってキャストすることの多い渓流釣りですが、下流に向かってキャストすることも少なからずあるんです。
流れの強い渓流ではダウンを苦手とするルアーが多い中、Dコンタクトは独特なアイの位置やリップの大きさと厚みが効果を発揮し回転や飛び出すことなく泳いでくれます。
なんだか小難しい話になってしまいましたね。最後までお読みいただきありがとうございます。
Dコンタクトは、渓流ルアーを始めて以来ずっと使っているルアーですが、使えば使うほど、つくづくバランスの取れたルアーだなと感じさせられます。
これから、渓流ルアーを始めようとされている方はぜひ、Dコンタクトを使ってみてください!
少し高いルアーですが、慣性スライドを実現させた技術を体感するに値すること間違いなしです。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017