どのノットを選べば良いのか……
筆者はふと思いました。
普段愛用するノットが最善と信じるものの、実際はどうなのだろうか。
ノットは釣果に直結する要素、試さずにはいられません。
そこで定番ノットの中で最強を決めるべく、強度による最強決定戦を行うことと決めました。
出場者が決定!
今回ノット強度選手権を実施するにあたり、“比較的使用者が多いノット”をテーマに4人の代表選手を選出しました。
エントリー№1:ユニノット
エントリー№2:クリンチノット
エントリー№3:パロマーノット
エントリー№4:完全結び
初心者から上級者まで愛用している定番ノットなだけに、激戦の予感。結果が楽しみです!
測定方法
測定には「ドラグチェッカー」を使用し、ライン単体の断線負荷・結束した状態での断線負荷の比率を“結束強度”として数値化します。
ラインの太さで結果が変わるかも知れないので、フロロカーボンの10ポンド・20ポンドの2種類で検証することにしました。
№1 ユニノット
一見複雑に見えるかもしれませんが難易度は低く、手早く組めるノットとして幅広く愛用されているユニノット。
結束強度については比較的弱いんじゃないかと噂されていますが、果たして結果はどうなるのでしょうか。
結果
■10ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 3.80㎏ | 78.4% |
2回目 | 3.90㎏ | 80.4% |
3回目 | 3.80㎏ | 78.4% |
4回目 | 3.75㎏ | 77.3% |
5回目 | 3.80㎏ | 78.4% |
平均スコア | 3.81㎏ | 78.6% |
■20ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 8.50㎏ | 77.3% |
2回目 | 7.20㎏ | 65.5% |
3回目 | 7.90㎏ | 71.8% |
4回目 | 7.50㎏ | 68.2% |
5回目 | 7.50㎏ | 68.2% |
平均スコア | 7.72㎏ | 70.2% |
10ポンドライン78.6%、20ポンドライン70.2%とラインの太さで強度の差が目立っていますね。
太いラインになればなるほ、どユニノットでは締め込みが甘くなるという考察が立てられます。
80%には届きませんでしたが、細ラインでは“安定した強度”と“抜群のスピード”は大きな強みといえるでしょう。
№2 クリンチノット
慣れれば目を瞑ってでも結べると言われるほど、イージーなクリンチノット。私自身も一番最初に覚えた思い出深いノットです。
スピードはありますが、ユニノットと同じように結束強度の弱さが指摘されるクリンチノットの実力を見ていきましょう!
結果
■10ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 3.75㎏ | 77.3% |
2回目 | 4.40㎏ | 90.7% |
3回目 | 3.50㎏ | 72.2% |
4回目 | 3.60㎏ | 74.2% |
5回目 | 3.75㎏ | 77.3% |
平均スコア | 3.80㎏ | 78.4% |
■20ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 6.00㎏ | 54.5% |
2回目 | 5.50㎏ | 50.0% |
3回目 | 7.50㎏ | 68.2% |
4回目 | 7.25㎏ | 65.9% |
5回目 | 8.50㎏ | 77.3% |
平均スコア | 6.95㎏ | 63.2% |
10ポンドラインでは前者ユニノットと互角の勝負ですが2回目のテストでは、驚異の90%越えを記録しました。
しかし20ポンドの結束では63%と一気にスコアダウン。
テスト中はすっぽ抜けが頻発しており、太ラインの締め込みに弱い点が敗因となってしまいました。
№3 パロマーノット
オフショアジギングにも使用されることの多い『パロマーノット』。
ユニノットやクリンチノットに比べ若干工程が増えるものの“最強の結束強度”と呼び声が高くソルトルアーマンから絶大な信頼を受けています。
しかし慣れていないと強度にバラつきが発生するという話もあるので、刮目していきましょう。
結果
■10ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 4.50㎏ | 92.8% |
2回目 | 4.25㎏ | 87.6% |
3回目 | 4.25㎏ | 87.6% |
4回目 | 3.90㎏ | 80.4% |
5回目 | 4.10㎏ | 84.5% |
平均スコア | 4.20㎏ | 86.6% |
■20ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 10.00㎏ | 90.9% |
2回目 | 9.25㎏ | 84.1% |
3回目 | 9.50㎏ | 96.4% |
4回目 | 10.00㎏ | 90.9% |
5回目 | 9.90㎏ | 90.0% |
平均スコア | 9.73㎏ | 88.5% |
回数を重ねても数値の振り幅も少なく、どちらのラインも結束強度85%越えとハイスコアを叩き出しました!
これは裏話ですが……10ポンドラインの4回目テスト時に結び目が重なりグチャっとした見た目の悪いパロマーノットが出来上がり、本来結び直すところですが妥協してそのままテスト続行。
その結果パロマーノット内ではワーストスコアとなり、こういう細かいところで釣果の差が出るんではないかと痛感させられたテストでもありました。
№4 完全結び
「パロマーノット? いやいや俺こそが最強だ!」
強きで名乗りを上げたのが、完全結び選手。ノットの中でも、完璧に近い強度を出せると言われています。
結び方は意外にも簡単で、別名『漁師結び』とも呼ばれるプロ御用達のノットです。
いよいよ完全無欠の100%ドリームを拝めるのか!? 普段から愛用している私自身も自ずと気合いが入ります。
結果
■10ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 3.25㎏ | 67.0% |
2回目 | 2.50㎏ | 51.5% |
3回目 | 3.00㎏ | 61.9% |
4回目 | 2.90㎏ | 59.8% |
5回目 | 2.90㎏ | 59.8% |
平均スコア | 2.91㎏ | 60.0% |
■20ポンドライン
実施回数 | 断線負荷(㎏) | 結束強度(%) |
1回目 | 9.50㎏ | 86.4% |
2回目 | 9.75㎏ | 88.6% |
3回目 | 9.25㎏ | 84.1% |
4回目 | 9.50㎏ | 86.4% |
5回目 | 9.50㎏ | 86.4% |
平均スコア | 9.50㎏ | 86.4% |
正直に言いましょう。筆者はショックを受けています。
20ポンドラインでは流石と言わんばかりの安定感&強度を見せてくれましたが、10ポンドラインは3キロ付近で毎回ブレイク。
“これは自分のやり方が悪いんだ”と工程を再々確認しながら組み上げても結果は変わらず、完全結びの最強イメージがラインブレイクと共に崩れ落ちていきました。
テスト中はキロくらいの負荷をかけた辺りで、コブがギューっと縮小し摩擦に耐えれず切れているような印象でした。
ライトゲームからライトショアジギングまで愛用のノットでしたが、太糸用として使用していきます。
優勝は果たして
今回はラインの太さに関係なく抜群の強度を魅せてくれた「パロマーノット」に栄光のトロフィーを授与することに決定しました!
大会を通して“ラインの太さで得意分野が異なる”ことや、“同じ工程でも組み方で強化が大きく変化する”など、シンプルかつ奥深いノットの世界を体感することができ、いい勉強になりました。
是非、この機会に普段やっているノットをイメージではなく数値化してみてはいかがでしょうか。
私みたいにノットを見直す機会になるかも知れませんよ。
☟みなさんも一度、テストしてみてはいかがでしょう?
BOUZ ドラグチェッカー
自分が組んだ完全結びが弱かった。テスト後はラインの残骸たちとともに、乾杯です。