グレ竿の選び方って?
磯や堤防からグレ(メジナ)を狙うフカセ釣りは、根強いファンが多く、古くからトーナメント等も盛んに行われています。
グレ釣りに使う磯竿は各メーカーからたくさん発売されており、とくに初心者の方は自分に合ったものを選ぶのは一苦労でしょう。
そこで本記事では、元釣具屋の筆者がグレ竿の選び方やおすすめ機種を解説しますので、竿選びにお悩みの方はぜひ参考にしてください!
グレ竿の選び方
グレ竿を選ぶ際は、号数(硬さ)・長さ・調子の3点を基準にします。
号数(硬さ)
グレ竿のパワー(硬さ)は号数で表され、もっともベーシックなのが1.5号です。
1.5号を選んでおけば、50cm前後の口太グレ・40cm半ばの尾長グレに対応できるので、始めの1本には1.5号を選ぶのがセオリー。
40cmまでの口太グレが中心のエリア等では、軽量で操作性に優れ、細ハリスが切れにくい1.2号がおすすめです。柔らかくなる分、竿を大きく曲げて魚とのやりとりも楽しめます。
良型の尾長グレが多いエリアや根が荒くてパワーが求められるシチュエーションでは、1.7号や2号以上が適し、離島の夜釣りでは3号を使うこともあります。
長さ
現在発売されている大半の磯竿は、5mか5.3mに設計されています。
ルアーロッド等に慣れている方は長く感じるかもしれませんが、グレ釣りに用いるウキ釣り仕掛けは全長が長く、足場の高さややりとりのことも考慮すると、最低でも5mは必要です。
スタンダードな5.3mを基準に、操作性を重視するなら短くて軽い5mを選びましょう。
もともとは5.3mが圧倒的に人気でしたが、近年は5mのシェアが広がっており、人気は五分に近づいています。
メーカーによっては5.3m以上の竿も発売しており、本流釣りや長いハリスを使う釣りで好まれます。
調子
グレ竿の調子(曲がり方)を大きく分けると、穂先に近い部分から曲がる先調子、胴に近い部分から大きく曲がる胴調子、両者の中間的な調子の3タイプです。
調子は好みが分かれるところですが、まだ竿の扱いに慣れていない方は、胴調子か中間的な調子がおすすめです。
胴調子の竿は大きく曲がって魚の引きを吸収してくれるため、針外れやハリス切れによるバラシをオートマチックに減らしてくれます。
先調子のメリットは、軽くて持ち重りが少なく、操作性に優れることです。そのため、トーナメント志向のアングラーには先調子の竿が好まれます。
一部の上位機種では口太グレ用と尾長グレ用が別に設計されており、口太専用モデルは操作性重視で競技志向、尾長専用モデルはトルクと粘り重視にされています。
おすすめのベーシックモデル(4万円以下)
グレ竿の中では比較的リーズナブルな4万円以下の入門機種を集めました。
ダイワ 波濤 1.5-53・N
継数:5本
仕舞寸法:117cm
自重:203g
オモリ負荷:1.5-4号
適合ハリス:1.5-3号
リーズナブルな価格ながら、本格モデルに迫るスペックを備えたダイワ製の磯竿です。
ブランクには高密度HVFカーボンと強化構造のX45を採用しており、グレの引きを粘り強く受け止められます。
穂先部には、軽量なカーボンフレームのC-IMSGガイドが搭載され、軽快な竿さばきと穂先絡みの軽減を実現。
さらに、ガタつきが少ないスクリューシート、高強度なメガトップも導入されています。
宇崎日新 イングラム ISO CIM 1.5号 5.30m 5305
自重:210g
継数:5本
仕舞寸法:123cm
オモリ負荷:1.5-4号
適合ハリス:1.5-4号
エントリーモデルであっても、国内自社工場での生産にこだわって作っている宇崎日新製の磯竿です。
ブランクには、レジン(樹脂)の量を減らしてカーボンの密度を高めた独自素材、MSVFを用いています。
ガイドは、トップにLGガイド、穂先部にCIMガイド、それ以降にはチタンとカーボンのハイブリッドフレームのTCIMを搭載。
その他には、道糸のべたつき防止処理や強度の高いタフトップも採用されています。
グレの引きをオートマチックにいなす胴調子に設計されたシマノの磯竿です。ベーシックモデルながら、シマノのグレ竿の中で最軽量を誇ります。
ブランクにはネジレ強度に優れるスパイラルXとスムーズな曲がりを実現するパラボラチューンRが採用され、粘り強い反面、魚を必要以上に暴れさせません。
穂先はしなやかさと強度を両立したタフテックαで、トップガイドから2番節の玉口までにはシマノオリジナルのXガイドが搭載されます。
ダイワ エアエボリューション 1.25-52SMT
自重:192g
継数:5本
仕舞寸法:120cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1.2-3号
負荷に応じて曲がる胴調子をベースに設計されていますが、振り調子をやや先調子にすることで操作性を向上させた1本です。
最大の特徴は、ダイワオリジナルのチタン合金製穂先のSMT(スーパーメタルトップ)を搭載していることで、感度が高く、破損のリスクも軽減しています。
ガイドはCIMガイドとTCIMガイドをミックスで用い、1.75号以下の号数は軽量化のためにあえてスライドリールシートを用いています。
おすすめのミドルクラス(4〜7万円)
4〜7万円代のミドルクラスからおすすめの機種を集めました。
ダイワ メガディス AGS 1.5-53・N
自重:200g
継数:5本
仕舞寸法:115cm
オモリ負荷:1.5-4号
適合ハリス:1.2-4号
大きく曲がり込んでからさらに魚の引きに追従して曲がる、典型的な胴調子のグレ竿です。
ブランクには高強度・軽量なHVFナノプラス素材を用い、継ぎ目でのパワーロスを軽減するVジョイントαを導入したことで、スムーズかつ粘り強く胴まで曲がり込みます。
ライン放出性能が大幅に向上した、新設計のカーボンフレームガイドAGS Type-0が搭載されていることも特徴です。
がまかつ がま磯 アルデナ 15-53
自重:200g
継数:5本
仕舞寸法:116cm
オモリ負荷:1.5-4
適合ハリス:1.25-4
シャープさとしなやかさのバランスを重視した、がまかつ製の万能調子の磯竿です。
ブランクには最高クラスの強度を誇る炭素繊維トレカ®︎T1100Gを採用し、強度確保と軽量化が両立され、シャープな振り調子も実現しています。
ガイドはオールIMガイドですが、穂先はカーボンフレーム、それ以外はステンレスフレームでセッティングされており、穂先側が軽くて持ち重り感が非常に少ないことも特徴です。
宇崎日新 ゼロサム 磯 弾 CIM 1.5号 5005
自重:210g
継数:5本
仕舞寸法:117cm
オモリ負荷:1.5-4号
適合ハリス:1.5-4号
胴調子と先調子の中間的な調子に設計され、磯竿では非常に珍しいボロン素材(金属繊維)を導入したモデルです。
高弾性カーボンより破断強度が高いボロンを元竿の一部に入れることで、感度と操作性、強度を大幅に向上させています。
ブランクのメイン素材にはトレカ®︎T1100Gが使われ、玉口は4軸カーボンで補強することで口割れを防止。
ガイドセッティングはCIMとTCIMのミックス(トップガイドはLG)です。
シマノ ベイシス 1.5-530
自重:195g
継数:5本
仕舞寸法:114.4cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1.2-4号
シマノの磯竿の中で、もっとも癖のないスタンダードな調子に設計されたロッドです。
強化構造のスパイラルXとパラボラチューンRが採用されたブランクは、操作時はシャープなフィーリングの一方で、魚が掛かると気持ちよく曲がって竿を溜めるだけで浮かせられます。
穂先部には高靱性セラミック製のXリングを用いた、シマノオリジナルのXガイドが搭載されていることも特徴。
シマノ製磯竿シリーズの中核となるモデルなので、あまり好き嫌いが分かれないタイプのグレ竿です。
ダイワ 制覇 エアマスター AGS 1.5-50
自重:174g
継数:5本
仕舞寸法:110cm
オモリ負荷:1.5-4号
適合ハリス:1.2-4号
圧倒的な軽さと操作性を追求した、競技志向の強い先調子の磯竿です。
最新の高弾性カーボンのトレカ®︎M40Xをブランクに採用しており、非常に高反発かつ軽量に仕上がっています。
新開発のシリコナイト製Nリングを用いたAGSは、リングの薄肉化によってガイドの内径が広がったことで、糸の放出性が高まりました。
近年は軽量・先調子のトーナメント系ロッドが少ないため、個性が光る1本です。
おすすめのハイエンドモデル(7万以上〜)
実売7万円以上の超高級グレ竿を集めました。
曲げ込むほど強く粘り、竿でタメて獲れる胴調子に設計されたモデルです。
破断強度が高いトレカ®︎T1100GをスパイラルXコアで強化し、トルクフルで非常に強度が高いブランクに仕上げています。
また、節ごとの剛性の段差を排除するパラボラチューンR+ を組み合わせたことで、負荷に応じたスムーズな曲がりの支点移行を実現。
極限まで竿を曲げ込みながら、無駄に魚を暴れさせることなくやりとりできるため、細ハリスが使いやすいのも魅力。
シマノ BB-X スペシャル MZ III 1.5-500/550
自重:225g
継数:5本
仕舞寸法:132.8cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1.2-4号
5mと5.5mの切り替えができるズーム機能を搭載した、操作性に優れる先調子の磯竿です。
際釣りなどの近距離には5m、遠投や本流釣りのような状況では5.5mと使い分けることで、究極レベルのラインメンディングが可能。
磯竿としては特殊な4本半仕舞いの特殊なブランクは、非常に細身なことが特徴で、風切りも良くて5.5mでの使用時にも軽快な操作性を誇ります。
歴代モデルから続く、白いカラーリングは唯一無二です。
シマノ ファイアブラッド グレ デリンジャー 1.5-500
自重:230g
継数:5本
仕舞長さ:108.1cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1.2-4号
ファイアブラッドシリーズの中でも胴調子寄りに設計された、口太グレ専用モデルです。
ブランクの素材には高弾性のトレカ®︎M40Xを用い、スパイラルXコアやパラボラチューンR+と組み合わせることで、非常に強いパワーを発揮します。
胴調子ながら、5mのレングスと高弾性カーボン、Xガイドの恩恵により、操作性も損なわれていません。
口太グレを対象とした場合、ややパワフルな竿なのでアベレージサイズが40cmを超えるようなフィールドに最適です。
シマノ イソリミテッド コルトナイト 1.2-500
自重:217g
継数:5本
仕舞長さ:108.4cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1-4号
シマノ製磯竿の最上位機種に当たるのがイソリミテッド。調子は万能な中間的な調子です。
ブランクにカーボン繊維を高密度に束ねたマッスルカーボンを採用。スパイラルXコアやナノピッチ、パラボラチューンR+も加わり、他の磯竿よりワンランク上のパワーを発揮します。
付属のレンチ式バランサー尻栓は、リールの重量やアングラーの好みに合わせて脱着すれば、慣性モーメントを軽減して持ち重り感を減らします。
非常にパワーが強い竿なので、普段は1.5号を使っている方にもおすすめです。
ダイワ トーナメント ISO AGS 1.5-53・R
継数:5本
仕舞寸法:115cm
自重:200g
オモリ負荷:1.5-4
適合ライン:1.2-4
ダイワ製磯竿の中核に当たる、やや胴調子寄りのモデルです。
ブランクにはレジン量を極限まで減らしたSVFナノプラスを採用。継ぎ目のパワーロスを無くすVジョイントαを導入したことで、淀みなく曲がりながら大きなトルクを発揮します。
ガイドにはスムーズなライン放出を実現するAGS Type0が搭載されており、ストレスのないライン操作が可能。
くせのない、現代的かつ王道な味付けの1本です。
ダイワ トーナメント ISO AGS リアフォース 1.5-53
自重:210g
継数:5本
仕舞寸法:110cm
オモリ負荷:1.5-4号
適合ハリス:1.2-4号
オリジナルのトーナメントISOよりも胴調子に設計し、元竿までスムーズに曲げ込める調子に仕上げられた派生モデルです。
竿全体を大きく使ってやりとりすることで、道糸やハリスへの負荷を緩和し、胴の粘りで魚をジワジワと浮き上がらせます。
穂先部には内径が大きなNリングのAGSを搭載し、胴調子の弱点である軽い仕掛けの飛距離やラインメンディング性能をカバー。
オリジナルのトーナメントISOに比べ、より細いハリスで大きな魚を狙いたい方、竿を大きく曲げてやりとりを楽しみたい方におすすめです。
ダイワ VIP ISO AGS Type-1
自重:225g
継数:5本
仕舞寸法:115cm
オモリ負荷:0.8-3号
適合ハリス:0.8-2.5号
ダイワ製磯竿の最上位機種に当たるのがVIPです。Type-1は1.35号に相当し、調子は胴調子です。
前作から14年の時を経て、SVFナノプラスカーボン、AGS、X45、Vジョイントといったスペックで復活しました。
ブランクは細身肉厚に設計されており、魚の引きに追従して美しく曲がります。
口太グレ主体の釣り場に適したモデルですが、外道のマダイや青物に対応できる余裕も備えています。
がまかつ がま磯 マスターモデルII 口太 MH 5.3
自重:240g
継数:5本
仕舞寸法:117.0cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1-3号
がま磯シリーズの中でも最も柔軟な胴調子に設計された、口太グレ専用モデルです。
MHタイプは1.25号に相当する強さで、50cmの大型口太まで対応できるオールラウンドな1本。
ブランクのメインマテリアルはトレカ®︎T1100Gカーボンで、これに強化構造のパワークロスシステムが組み合わせられています。
さらに継ぎ目の段差を極限まで減らしたスーパーASDも採用しており、胴まで曲げこむことで究極レベルの粘り強さを発揮。美しい装飾も目を惹きます。
がまかつ がま磯 スーパープレシード 15-53
自重:235g
仕舞寸法:116.5cm
継数:5本
適合オモリ:1.5-4号
適合ハリス:1.25-4号
曲がりと操作性を両立した、万能な中間調子「本調子」の磯竿です。
衝撃吸収カーボンを随所に配置したイナシステムが採用され、竿がブレたり、やりとり中に過反発を起こしたりするのを防ぎます。
魚が掛かってからはしなやかに曲がるのに対し、仕掛けの投入時や操作時はシャープなフィーリングになっていることも特徴。
同社のマスターモデルやアテンダーと比べ、極端な胴調子ではないので好き嫌いが別れにくい味付けです。
がまかつ がま磯 グレ競技スペシャルIV 125-50
自重:190g
継数:5本
仕舞寸法:111.5cm
オモリ負荷:1-4号
適合ハリス:1-3号
ネーミング通り、競技仕様として操作性を重視した先調子のモデルです。
ブランクの素材にはM40Xとトレカ®︎T1100Gが用いられ、強化構造のパワークロスシステムが組み合わされたことで、抜群の操作性と強度を両立しています。
また、より操作性を向上させるために、カーボンソリッドの1番節(穂先)を通常よりも短く設計していることも特徴。
口太グレを効率よく釣っていくスタイルに適した1本です。
グレ竿はちょっと高いけど……
磯竿は他の竿に比べて長い分、どうしても高額な竿が多くなってしまいます。
しかし、1.5号程度の竿を持っておけば大半の釣り場に対応できるので、何本も揃えずともグレ釣りを楽しめます。
高価な買い物なので、自分に合った1本を見つけてくださいね!