コノシロは“地域”や“人”によって評価が大きく変わる魚
コノシロの生態について

コノシロ(鮗)はニシン科に分類される魚で、全長30cm前後まで成長し寿命は3年程度といわれています。
内湾や河口域を好むコノシロは、イワシやニシンのように外洋に出る大規模な回遊は行いません。
コノシロの主食はデトリタス(有機物の粒子)やプランクトンといった微細なもので、鰓耙(さいは)と呼ばれるフィルターのような器官を使ってこしとるように食べています。
さまざまな説があるコノシロの名前の由来

大きな大群で生活するコノシロは一度に大量に漁獲されるため、値段の付かない下魚として扱われ、「飯代魚」(こうのしろ:飯の代わりにする魚)と呼ばれたという説があります。
このほかにも、糸のように伸びた特徴的な背びれの形状から「此の後ろ」(このうしろ)と呼ばれるという説や、コノシロを焼くと不快な匂いが立つことから、自分の子供の身代わりとして(死んだと思わせるために)コノシロを焼いたため「児(娘)の代」(このしろ)と呼んだという不吉な伝説もあります。
コノシロは臭い魚としても有名だが……

コノシロは5~7cm程度の幼魚期までは動物プランクトンを主食としますが、それ以上になると泥などの中のデトリタス(微細な有機物)も食べるようになり、これが臭みの原因になります。
東京湾をはじめ、水質があまりよろしくない場所では臭い魚としても有名なコノシロですが……はい。素直に認めます。たしかに匂うコノシロは臭いです。
ですが、しっかり下処理を行い調味料の力を借りることで匂うコノシロも美味しく食べることができるんです。
コノシロ=コハダです。すなわち美味しい魚なんです

コノシロと聞くと抵抗感を覚える方も、コハダと聞くと一気に安心感が溢れるはずです。
7~10cm程度のコノシロは「コハダ」と呼ばれ、関東を中心に酢で締めたコハダは人気のある食材です。ちなみに15cm以上でコノシロと呼ばれるようになります。
大きさこそ違いますが、コハダとコノシロは全く同じ魚です。なにが言いたいかというと、コノシロは本来美味しい魚なのです!
コノシロが釣れる時期や仕掛けをご紹介
コノシロは年中釣れる魚

コノシロの寿命は3年程度、内湾や河口域を離れない性質。つまり、年中岸からでも釣ることができる魚なんですね。
堤防や釣り公園はもちろんのこと、サーフ(砂浜)でも狙うことができます。
コノシロは大群で行動するため、釣れるかどうかは群れが来遊するかどうかに左右されます。
行先の釣果情報をマメにチェックすると良いでしょう。
コノシロの旬は秋から冬

年中狙えるコノシロですが、秋から冬が脂が良く乗って美味しいといわれます。
また、この時期に岸近くに接岸することが多くなるので、釣りで狙うにも最適な時期といえるでしょう。特に夜に浅い場所に集まる習性があります。
ちなみに春から初夏にかけてはコノシロの産卵期ということもあり、食味は少々劣ります。
コノシロを専門に狙うならサビキ釣り

アジやイワシを釣る際に使用するコマセ(アミエビやイワシミンチ)を使ったサビキ釣りでコノシロも釣ることができます。
コノシロは30cmを超えるようなサイズも珍しくないので、ハリスが1号以上のものを選ぶと良いでしょう。
また、足元まで群れがこないけど30m沖はコノシロの大群で海面が黒くなってる!なんて事もありますのでリール竿を使った投げサビキがオススメです。
ささめ針 ウルトラ簡単飛ばしサビキ
▼投げサビキについてはコチラの記事で詳しくご紹介
ルアーにも引っかかってくる

シーバス釣りをされる方は、特に秋から冬にかけてコノシロのスレ掛かりを多く経験されるかと思います。
バイブレーションやミノーなどでスレ掛かりしてしまったコノシロをお土産程度に持ち帰るのもアリですね。
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コノシロの酢締めの作り方
現場で下処理を行おう

釣りあげたコノシロは、生きている内にエラを切って血抜きを行いましょう。
ナイフやハサミがあれば内臓も一緒に取り去っておくことで、より匂いを抑えることができます。
氷を充分に入れたクーラーボックスでしっかり冷やして持ち帰りましょう。
三枚に卸し、綺麗に洗う

持ち帰ったコノシロのウロコを取って三枚におろし、腹骨をかきます。
流水で血合いや汚れしっかり洗い流しましょう。
血や内臓の汚れが生臭さの原因になりますので、しっかり目でお願いします。
釣った場所の水質や生臭さが特に気になる方は、ここで皮を引いておくと良いでしょう。
たっぷりの塩で匂いと一緒に脱水

コノシロの身に酢をしっかり浸透させるために、塩を使って強めに脱水します。水を抜くことで臭みも取ることができます。
網を敷いたバットかキッチンペーパーを敷いたタッパーなどに水気をしっかりふき取ったコノシロの身を並べ、両面にたっぷりと塩を盛ります。
冷蔵庫で2時間程度おくと水が出ているはずです。コノシロから出た水が身につかないように注意しましょう。
酢を用意しよう

酢10:砂糖1:塩少々の割合を目安に漬け込む酢を用意します。砂糖の割合はお好みで調節してください。
みりんや昆布を入れてもOK! すし酢があれば調味料を配合しなくても良いので便利ですよ。
塩漬けにしたコノシロを流水で洗い、キッチンペーパーなどで水分を取り、作った酢に半日から1日漬け込みます。
コノシロの酢締めの完成

酢からあげてすぐ食べるのも良いですし、キッチンペーパーでくるんで冷蔵庫のチルドで1~2日ほど休ませてから食べても美味しいですよ!
塩辛い酢締めがお好きな方から「甘さがある酢締めが良い」という方もいらっしゃると思います。自分オリジナルな酢締めのレシピを探してみましょう。
自分好みの味付けが見つかれば、毎回コノシロを持ち帰りたくなりますよ(笑)
酢で締めるのが面倒くさい場合は最終手段“唐揚げ”に頼ろう
油と味の素は最強

酢締めは面倒くさい……ケド、気になるからコノシロを食べてみたい!そんな方は唐揚げや素揚げがオススメです。
ジャングルの奥地で獲れる淡水魚でさえも魔法の調味料“味の素”をかけてカリッカリに揚げると、不思議と泥臭さがなくなるんです!
一口大に切り分けよう

三枚におろし、腹骨をかいたコノシロを更に一口大に切り分け味の素を振りかけます。小骨が嫌いな方は、数ミリ間隔で包丁を入れて骨切をすると良いでしょう。
唐揚げにする場合は、片栗粉をまぶして180℃に熱した油で揚げます。
素揚げの場合は粉は何もつけないでオッケーですよ! 素揚げはサクサクでスナックみたいな仕上がりになります。
一旦冷ましてから二度揚げにするとgood!

カラっとサクっとした食感がお好きな方は、二度揚げにしましょう。
身に火が通った段階で一旦冷ましてから、もう一度揚げると良いですよ!
もはやコノシロ本来の風味は吹っ飛んでいるかもしれませんが(笑)臭みも同時に無くなっているはずです!
コノシロは美味しく食べられる魚です

確かに、地域によって匂いのあるコノシロですが、しっかり調理すれば美味しく食べられる魚です。
ぜひ、この機会にコノシロ料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。
筆者紹介

山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。
餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活躍する。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017