日本に生息する3種類のザリガニについて
アメリカザリガニ|もっとも身近なザリガニです

皆さんが「ザリガニ」と聞いて真っ先に思い浮かべる姿は、写真のような真っ赤なアメリカザリガニかと思います。
それもそのはず、アメリカザリガニは北海道から沖縄県にかけて47都道県に生息している最も身近なザリガニです。
身近な存在の一方で、じつは北米大陸から連れてこられた“外来種”でもあります。
ウチダザリガニ(タンカイザリガニ)|食べて美味しい食用ザリガニです

北海道や福島県などに、一際大きなウチダザリガニが生息しています。
いかにも日本のザリガニのような名前が付けられていますが、じつは北米由来の“外来種”なんです。

じつに美味しいザリガニとして知られ、ウチダザリガニが漁獲される地域では食材として利用されています。
▼ウチダザリガニの記事はコチラ!
ザリガニ|もともと日本に生息していた唯一のザリガニです

今回の記事で主人公を務める『ザリガニ』は、日本に生息するザリガニの仲間で唯一の在来種です。
かつては、東北地方以北に多く生息していましたが、現在では限られた水域でひっそりと命を繋いでいます。
外来種である他のザリガニと区別するために、ニホンザリガニと呼ぶのが一般的ですが、標準和名は「ザリガニ」です。
ニホンザリガニの大きさや生態、生息地域について
ニホンザリガニとは

堅苦しく説明すると、ニホンザリガニは十脚目アメリカザリガニ科アジアザリガニ属に分類され、環境省が定めるレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている日本の固有種です。
簡単に言えば、ニホンザリガニは世界で日本にだけ生息し、広い意味としてアメリカザリガニの仲間です。近年、生息数が減少しており絶滅の危機が増大しています。
ニホンザリガニの色や大きさ、寿命について

茶褐色でずんぐりとした体形のニホンザリガニは、最大でも6cm前後と小型のザリガニです。
ニホンザリガニの寿命は約10年。3-5年程度で生涯を終えるアメリカザリガニの寿命より長いものの、繁殖できるようになるまで5年前後掛かると言われています。
ニホンザリガニの生息域

ニホンザリガニの生息域は狭く、北海道、青森県、秋田県と岩手県の一部に生息しています。
山間部の小川や湧水が豊富な湖沼や水路、とにかく水温の低い環境でなければ生息できないのがニホンザリガニの特徴です。
ニホンザリガニとアメリカザリガニの違いや見分け方について
ニホンザリガニとアメリカザリガニの決定的な違い

ハサミのトゲの有無に注目すると、ニホンザリガニとアメリカザリガニを簡単に見分けることができます。
ハサミに小さな突起があるものがアメリカザリガニ。対照的にツルっとしているのはニホンザリガニです。
ハサミが無い場合はどう見分ける?

「え?自切しちゃってハサミが無いザリガニはどう見分けるかって?」鋭いご質問ですね。

そんな時は、目と目の間の触覚の当たりに注目してみて下さい。真ん中の突起が長ければアメリカザリガニ、短ければニホンザリガニです。
先にもニホンザリガニの生息地について触れましたとおり、宮城県および山形県以南で採れた場合は外来種のザリガニと判断して間違いありません。
ニホンザリガニとウチダザリガニの違いや見分け方について
姿も色も似ているニホンザリガニとウチダザリガニ

アメリカザリガニよりもニホンザリガニに色合いや形が似ているのが『ウチダザリガニ』です。
ニホンザリガニと同じく冷水性のザリガニであるため、生息地も重なります。
ちなみに上記の写真はウチダザリガニです。
大きさで見分けてみよう

7cmよりも大きいウチダザリガニであれば、大きさでニホンザリガニと見分けることができます。
続いて小さな個体でも簡単に見分ける方法をお伝えします。
ニホンザリガニとウチダザリガニはココが違う

ウチダザリガニのハサミには、白い点が入っていてとても特徴的です。

はい……ハサミが無い場合ですね!
これも、アメリカザリガニと同様に目と目の間にご注目いただき、突起が丸みを帯びていればニホンザリガニ、尖っていればウチダザリガニです。
北の大地で念願のニホンザリガニと出会う
北海道の旅路でニホンザリガニを探してみる

イトウ釣りからオオカミウオ釣りに向かう道中で、僕にとって憧れの生物であるニホンザリガニの棲む沢を訪れてみました。
魚釣りばかりが旅ではありませんからね! といっても、僕の旅は美味しい物を食べるか生き物を探すかの二択なんですけど(笑)
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丁寧に小石を返してみると……

魚の生息していない小さな沢ですが、水は冷たくとても綺麗です。
鈴を鳴らしたり音楽をながしたり、とにかくヒグマに充分気を付けながら丁寧に川の石を返してみると……。
ニホンザリガニとの出会いに感動

いました! ニホンザリガニです!
ずっと出会ってみたかった憧れの存在に出会えてめちゃくちゃ感動です!
小さな姿ですが、これでも大人なんですね! 片腕ではありますが、ハサミに白い点や細かなトゲは見当たりません。

どんな生き物もやっぱり最初のイッピキが一番記憶に残ります!
貴重な在来種であるニホンザリガニの存在を、この記事を通して知っていただければ幸いです。
筆者紹介
山根央之(やまねひろゆき)
初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。餌・ルアー問わず、もはや釣りに限らず。ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜くやNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017