臭いと言われがちな魚「ボラ」

美味しくないと言われている魚ほど、食べてみたい。
ふしぎな好奇心にかられる、TSURI HACKライター小林です。
なんとなくボラは、食用としてのイメージが薄い魚。本当にそうなのでしょうか?
「寒ボラ」は素晴らしい味わい

僕が住んでいる徳島県では、この時期になると、一級河川で竿を出している釣り人をよく見かけるようになります。
何を釣っているのか聞いてみると、なんとボラだと言うじゃないですか。なんでもこの時期になると、脂が乗った“寒ボラ”が、河川に遡上してくるそうなのです。
ここで釣っているおっちゃんたちは、どうやらそれを狙っている様子。「この時期のボラは鯛よりも美味いって言われとるけんな〜」と。その味は相当なものみたいですね。
そんな言葉を聞いて、粘ってみたのですが……。
残念ながら、釣れませんでした(泣)

「それは是非釣りたい!」
ということで、エサ(オキアミ)を使って狙ってみたのですが、なかなか簡単に釣れるものではありません。なにせボラは雑食ですからね。(釣りたくないときに限って釣れるのになぁ)
こうなると、どうしても食べてみたい。この時期(冬)、マニアックなスーパーならボラが並ぶことを思い出し、購入してみました。
70cmはあろうかと思われるボラですが、値段は680円ほどと激安。やっぱりボラは大衆魚でないことを感じました。
ボラの下処理

この時期のボラは脂が乗っていると言っても、内臓は臭い魚なのでくれぐれも解体には注意しましょう。
キッチンが恐ろしく悪臭に包み込まれて、食欲を無くす可能性もあります。ただし、「内臓が臭い魚=不味い」ってことではないですよ。

内臓を綺麗に処理してしまえば、なんてことのないキレイな身です。

トロの部分は脂がほどよく乗っており、とってもソソられる外観。
また指で触ってみると、他の魚よりもアッサリしている印象を受けます。上品な味が期待ができそうですね〜。
▼魚を捌く時に便利な道具を紹介しています。
ボラのおすすめ料理①:刺身

素材本来の味わいを堪能するためにも、やっぱり最初は刺身でいただくしかありません。
皮を引いてみると、皮側にも程よく脂が乗っていることがわかります。これは期待できそう。

醤油をかるくつけて……うん! 見た目通り、脂がほどよく溶け、味わい深いではないですか。
口の中で溶けていく感じもあり、値段以上に上品な魚の刺身をいただいているような気分になれます。
もっと甘みのある味を想像していましたが、そこは期待と少し違う。とはいえ、一気にこの魚の味に魅せられてしまいました。
ボラの刺身の作り方
- 1.ボラの身を三枚におろします。
- 2.柵取りして好みの部位を切りわけます。
- 3.醤油とわさびを付けてシンプルにいただきましょう。
ボラのおすすめ料理②:漬け丼

刺身がイケてたので、次は漬け丼を。つけダレを作って、一晩ほど寝かせましょう。

ご飯と具を丼に盛り付け、青ネギや海苔、胡麻、黄身を落としていただきます!

なるほど。味をしっかり付けている「漬け」のほうが、ボラは相性が良い気がします。濃い目の味付けは、黄身とも最高に相性が良いです。
ボラの漬け丼の作り方
- 1.ボラを三枚におろして刺身にします。
- 2.ボラの刺身をつけダレに適当に漬け込みます。(みりん、酒、醤油、胡麻など)
- 3.どんぶりに盛り付けて完成。(ネギ、海苔などの薬味があるとボラの味わいが際立ちます)
ボラのおすすめ料理③:カルパッチョ

さて、お次は刺身を使った変わりダネを。ボラでカルパッチョを作ってみたいと思います。

オリーブオイル、塩を振って、玉ネギ、青ネギ、レモンを乗せます。

うん、うん♪ レモンの酸味とボラの白身、相性が良いこと。
ただ味付けがカルパッチョというよりは、セビーチェ(マリネ)っぽくなってしまいました(笑)
ボラは酸味のある味付けとも相性がいい。素材の懐の深さを感じる一品でした。
ボラのカルパッチョの作り方
- 1.ボラを三枚におろして身を盛り付けます。
- 2.好みによってオリーブオイルや塩、玉ネギを盛り付ける。軽く醤油を入れると味がしまります。
- 3.レモンをキュッと絞って完成。
ボラのおすすめ料理④:フライサンド

火を通したらどんなもんだろうか。フライを使ってサバサンドならぬ、ボラサンドにしてみましょう。
皮の臭いが気になるところ。その点も検証してみたいので、あえて皮付きで挑んでみることにします。

食パンをこんがりと焼いて、レタス、アボカド、コショウ、マヨネーズ、そして隠し味にケッパーを入れてみました。
おぉ、やはり白身魚とだけあり、フライやパンとの相性は◎。
サクサクの衣に、身は“フワッフワ”。火を通したほうが、ボラの味をしっかりと感じられますね。
ボラサンドの作り方
- 1.ボラの切り身を180度の油でフライにします。
- 2.焼いたパンに、好みの野菜(レタス・アボカド)とフライをサンドする。タルタルソースやマヨネーズをかけて完成。
ボラのおすすめ料理⑤:ムニエル

確実にボラが美味しい食材であることが判明。最後はムニエルで。
小麦粉をまぶしてバターで焼き、少し醤油をたらして香ばしく仕上げます。鉄のフライパンを使うと、より香ばしく仕上がるのでオススメです。

塩&コショウにケッパー、レタスや椎茸を添えて完成。どうですか? もうこれをボラだと気付く人は少ないでしょう?

レモンを絞っていただきました。先ほどのフライと同様、火を通すと食感が変化。柔らかな身質に箸が止まりません。
白身魚なので、白ワインとよく合いそう。晩酌にもぴったりな一品でございます。
ボラのムニエルの作り方
- 1.ボラの切り身に塩、コショウ、小麦粉をまぶします。
- 2.フライパンにバターを落として、ボラを焼きます。
- 3.香ばしく焼けたら、軽く醤油を垂らします。
- 3.お皿に盛り付けて完成。追い塩コショウやケッパーを添えてもOK。
ボラは味わい深い白身魚

釣りでは外道として扱われてしまう「ボラ」。それは、臭いイメージが根強いからかもしれません。
このように工夫して食べてみると、見方がかなり変わるモノ。わざわざ狙って釣る、釣り人の気持ちも理解できました。
時期や水質、また個体によって大きく味が左右されますが、運良く釣れた際には食べてみるもの良いかもしれませんね。
今回は残念ながら釣ることができませんでしたが、また機会があれば、ボラ釣りに出かけてみようと思っている次第です。
ライタープロフィール
小林大介
愛知県出身徳島県在住。映像クリエイター、フォトグラファーとして地方の限界集落で活動中。山の猟師でもあり、デジタルとアナログの両極端な生活を楽しんでいます。
海、川、ルアー、エサ釣りと限らず、楽しく美味しい釣りはなんでもトライするのが信条です。
関連動画
▼ボラのルアーフィッシング動画はこちら。